状況 | 名前 | ディシプリン | サークル | 種族 | プレイヤー |
---|---|---|---|---|---|
生存 | マロージャ | 騎兵 | 3 | トロール | FRTS |
生存 | シャラン | 射手 | 3 | ウィンドリング | たゆ |
生存 | トーラス | 武人 | 3 | トゥスラング | 蕉 |
生存 | リン | 理論魔術師 | 3 | エルフ | ラン |
生存 | インプルス | 空賊 | 3 | オーク | Rant |
オーク空賊 インプルス、記す。
トラヴァーに到着。まずは腹ごしらえってことで、食い物屋を探す。いつの間にかリーダーってことになったらしい、無口な武人トーラスが選んだ手近な店に皆で入る。店の名前はドワーフ語で「ピッキー・パレート」、まぁ俺たちの言葉だと「味にうるさいあんたも納得」とかいう意味になるだろう。同じ納得するなら量の方がいい。まぁいい。どうも見慣れない店構えが気になるが、こいつに続いて入ってみた。まぁ何とかなるだろう。
予想通り、エルフの屋敷みたいにスカしたつくりの店だ。うまそうな匂いがするが、客連中の皿の大きさからみて、どうも俺には不足気味だな。
俺たちが席につくと、エルフの女給がすっ飛んできて注文を取った。良く分からないが「料理長のお勧め定食」って奴にしておく。
注文をしてすぐ、射手のシャランが騒ぎ出す。なんだか表で大きな「揺れ」があったとか。確かに俺もかすかに地響きを感じた気がする。なんだか知らないが、この揺れは、凄く嫌なものを思い出させる。…これは、まるで…
そこで店のドアが開いて、完全装備のドワーフが飛び込んできた。ドワーフの年はイマイチ分からんが、だいたい壮年ってところか。そいつは店内で大声でこう言った。「緊急事態だ。シティガード全員召集。他にも手の空いているものがいれば手伝いに回ってくれ。急げ」
すると周囲の連中がみんな立ち上がった。さっきのエルフの女給が出てきて、なにやらドワーフと話をしていたが、なにかよくない知らせだったのだろう。泣きながら店の奥へ駆け込んでいった。俺は騎兵のマロージャと目配せして、ドワーフについていくことにした。嫌な予感がする。
道々、ドワーフは「ドリムスビー」と名乗った。トラヴァーの空長官だそうだ。そして俺の予感は当たっていた。「クリムゾン・ドーン」というエアシップが墜落、炎上しているというのだ。これから救助と消火に向かうと。やがて遠くに立ち上る濃い煙が見えてきた。
妙だ。エアシップは墜落しても火が出たりはしない。よほど燃えやすい物を積んでいたか、それとも外から火を投げつけられたか、だ。そこらへんをドリムスビーに尋ねてみた。すると、「ラッケン」というホラーの仕業だと。どうも空を飛んでエアシップに火をつけ、叩き落そうとするらしい。…ふうむ。金儲けの匂いがする。
クリムゾン・ドーンは船首以外の全部に火が回っていた。こうなってしまっては、船を諦めるしかない。熱と煙がひどい。船外に生き残りはいないか…。いるとすれば船内だな。火の壁になってしまった船側を見て、どこから侵入するか躊躇っているうちに、マロージャに先を越された。奴め、船尾の壁に向かって≪突撃≫しやがった。火の粉をものともしないで船の側面に突っ込み、トロール一人分ぐらいの大穴を開けた。ちっ。同じことをするのは面白くないんで、俺は甲板に回ることにした。助走を付けて≪跳躍≫。楽勝で甲板へ。馴れたものだ。
ふと下を見ると、いつの間にか追いついてきたらしいリンとトーラスがいた。トーラスはマロージャの開けた穴から入るつもりらしい。リンは…見ず知らずの連中を仕切って、消化の指図をしている。いつも四の五の煩いエルフ女だが、こういう時には役に立つもんだな。呪文でこの火を何とかしてくれるといいんだが、無理か。きっと後で出来ない訳をご高説賜ることになるんだろう。そう思ってちょっと憂鬱になる。
頭上から聞きなれた甲高い声がする。シャランだ。甲板のほぼ真中辺りを指差している。目を凝らして見てみると、どうやら生存者が一人、全身煤けているんで良く分からんが恐らくはヒューマンの男だ。。そいつを引っつかんで、火の周りの遅い船首の方に逃げようとした。…が。どうも嫌な予感がする。この船は船首から地面に突っ込んでいるし、下手にそっちに行くと崩れかねない。ここは脇から飛び降りるしかないな。
結果から言えば俺の判断は正しかった。再度≪跳躍≫で船を離れ、高さに少々不安があったので≪風乗り≫を併わせてみた。無事、着地。
正しかったと分かったのは、マロージャのおかげだ。奴は火の海になった船内を駆け抜け、途中で見つけた生き残りと思しき男を抱えて船首へと向かった。だが案の定、船首は崩れ落ち、奴はかなり厳しい傷を負うことになった。殺しても死なないトロール野郎だが、助けたはずのモノが男じゃなくて、ただの人形だったのは、精神的にかなりキツかったようだ。俺は知らんがね。
リンの指図が良かったのか、数時間後に火は消し止められた。生存者はほぼゼロ。ほぼ、ってのは俺が助けた奴がいるからだ。名はラディン。怪我と火傷がひどくて口を利くことは出来ないようだ。代わりにドリムスビーが「感謝の意」とか言う奴を、しめした。リンも同じように感謝されていたようだ。仕切り上手ってのはこう使えばいいんだな。んーでも、感謝の気持ちは目に見える形の方がいい。メシとかサケとか。
数日後、宿屋にそのドリムスビーから手紙が届いた。何か助けて欲しいことがあるようだ。大体見当はついていたが、とりあえず皆で行ってみることにする。
依頼の内容は「クリムゾン・ドーン」の護衛をしていたドラッカーのうち一隻が戻ってきていないので、その捜索を手伝って欲しい、だと。ちょっと期待はずれだったが、仕方なく引き受ける。ドリムスビーからは、フライング・パトロールに入隊しないか、という誘いがあったが、断る。メシつき部屋つき給料ありでそれほど悪い条件じゃないが、人に命令されるのは性に合わんからな。その上こいつ、空兵だろ? 規律がどうとか煩いに違いないしな。そういう訳で「自由契約」ってことにする。一人50spで前金5sp。まぁ仕方ないな。
装備をそろえるために一度街に出る。そこでマーティンとかいう男にからまれ、泥(…ということにしておこう)を投げつけられる。カチンと来たが、どうも頭がイカレてるようなので放っておく。後で聞いた話だが、奴は以前理論魔術師で、ホラーと関わったせいでああなっちまったらしい。ううむ、理論魔術師か。リンと同じだな。あいつは大丈夫なのか?
厄介事は俺だけかと思ったら、そうでもなかったらしい。最初の店にいたウェイトレス…確かカスリーンとか言ったか…がトーラスのところに来たらしい。何でもクリムゾン・ドーンにはフィアンセが乗っていたのだそうで、敵を討ちたいとか。トーラスが思いとどまるように説得したが、口下手なあいつがそんな器用な真似が出来るわけが無い。逆に言いくるめられそうになったあたりで、リンが理屈で、シャランがあの良く分からない調子でまくし立て、なんとか追っ払ったらしい。けど、絶対に納得してないと思うぞ。
捜索と言ったって、出せる船はドラッカー一隻こっきりだった。ドリムスビーに言わせると「都市防衛の観点から、捜索に避けるのはこの一隻が精一杯」なのだそうだ。まぁ仕方ないか。
ドラッカーには船長と舵手がついてきた。ヒューマンのカールとオークのヨルク。身の程知らずにも俺に命令しやがったが、度量の広い俺のことだ。勘弁しておいてやる。船の主はチームの主だ。ここは顔を立てといてやろう。
捜索は思ったより早く済んだ。トラヴァーから二日ほどいったところで、大き目の木に引っかかっているのを見つけたからだ。面倒ではあったが、空を飛べるシャランがいたおかげで、割と手早く生存者を回収した。たった一名だったが。
そしてトラヴァーへ帰還。50spを手に入れる。まぁ、楽な仕事だったな。
で、トラヴァーに着くなり、人使いの荒い長官様から次の仕事が舞い込んだ。今度は、トラヴァーに向けて飛んで来る輸送船「オブシディアン・フライヤー」の護衛だそうだ。よっぽど人材がないんだな。まぁ、なんてことは無い仕事だと思ったら、一つだけ条件が違っていた。荷主の都合で、「夜間」に飛んで来るらしい。
エアシップは大抵、昼間だけ飛ぶ。それは、(空賊の俺が言うのもなんだが)空賊とかが接近してくるのを出来るだけ早く見つけるためだ。特に今は例のラッケンとかいう奴が近くにいるわけで、リスクはかなり高い。その護衛だというのだ。
報酬は前と同じ。確かにリンやマロージャの言うとおり、リスクから考えるとあんまり割の良い仕事じゃない。だが、俺は引き受けた。久しぶりに戦の予感がする。それも空の戦だ。血が騒ぐ。
船はこの間と同じドラッカーで、おまけの二人も一緒だ。早速船で離陸し、オブシディアン・フライヤーとの合流地点まで行ってみて驚いた。物凄く大きな、石の船だった。セラの様式のものだ。船主がオブシディマンなのだそうだが、船まで石で作るのはどうかと思うぞ。
フライヤーを迎えに行き、合流した直後にそいつらが現れた。ドラッカーとほぼ同サイズの筒状の体にコウモリのような羽、両腕の先からは炎を噴き出している怪物。ラッケンだ。三匹。
ドラッカーの小ささを見て取ったのか、二匹のラッケンがフライヤーに、残る一匹がドラッカーに襲い掛かってきた。フライヤーは石造りの船だが、帆が燃えやすいのは一緒だ。連中の戦術はまず、帆を狙って燃やし、動きが鈍ったところで袋叩きにする、というところか。
フライヤーはその重さが災いして、ラッケンの動きに全く対応できない。あっという間に帆が燃やされ、空中に静止してしまった。ここまでは連中の作戦どおりだった。
しかし、こっちは違っていた。間抜けにも近づいてきた一匹に、マロージャ、俺、トーラスの渾身の一撃が連続して叩き込まれ、最後にシャランの≪炎の矢≫が駄目押しとなった。止めこそさせなかったものの、そいつはあっという間に逃走していった。
リンはフライヤーに取り付いた二匹に向けてなにやら呪文を飛ばしていたが、やがて警戒の声をあげた。どうやら新手らしい。リンが指差す方を見ると、さっきより一回り大きなラッケンが三匹、こちらに向かってくる。フライヤーは既に帆の殆どをやられ、動くことが出来なくなっていた。高度は徐々に下がっている。
そして、残るラッケン全部、都合五匹がこちらに向かってきた。連中は小生意気にもリン、シャラン、そして操舵手のヨルクを狙ってきた。飛び道具と舵を潰すつもりらしい。連中、小さ目の洞窟程度の大きさの円筒形の胴体の先が開いて、薄気味悪い口を出した。歯がずらりと並んでいる。
…さすがに旗色が悪い。何とか逃げるようにヨルクに指示しようとしたが、すでに奴はラッケンに倒されていた。操舵手を失ったドラッカーがぐらりと揺らぐ。誰かが舵を取らなければ、と焦るが、五匹のラッケン相手ではそんな余裕はなかった。
やがて制御を失ったドラッカーは空中でもんどりうって転覆した。天地がひっくりかえり、眼下にあったはずの森が自分の頭上に見えたところで、俺の記憶は途切れた。くそ。
次に俺たちが目を覚ましたのは、一週間後だった。完全な敗北。せめてもの救いは、ラッケンのうち一匹に手傷を負わせたことぐらいか。後で聞いた話だが、フライヤーとドラッカー、両方とも墜落したらしい。
体が動くようになったころ、また長官殿から手紙が来た。呼び出しだ。事態に重大な進展がある、ってなんだ?とりあえず皆で行ってみることにする。
ティラニシスだかいう魔法使いからの手紙が長官に届いた、と長官は言った。その手紙によれば、ラッケンを倒すための魔法だかなんだかが書いてあるものが、雷鳴山脈の鈎爪ヶ峰のケーアの中にあるのだそうだ。「放逐の書」だとか。
ふむ。そういうことなら引き受けよう。奴らに俺たちの流儀ってものを教えてやる。師匠に教わったとおり。「右の頬を打たれたら」「そいつの首根っこをへし折ってやれ」だ。
[ 第二回に続く ]
名前 | 伝説点 |
---|---|
マロージャ | 950 |
シャラン | 800 |
トーラス | 700 |
リン | 750 |
インプルス | 950 |
セッション関連
ロールプレイ方面