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シナリオ「アルゴン・ソフトの陰謀」

(2000/07/11 追加)
対象PC:
覚醒篇対応。18レベルのPCを4〜5人程度+GP以下の仲魔2体。単発セッションでしたので、基本的にPC同士は「以前に悪魔絡みの事件を協力して解決したことがある」ということにしました。COMP使いには、クズノハに宿命を割り振ってもらっておくのがよいでしょう。

★概要

 都内某所の小さな工場の火事。某教授(笑)の推測によれば、出火原因は「高周波の電磁波」だという報告が為されていた。しかし、工場に勤めていた「矢島 哲郎」は、火事の夜、現場で「化け物を見た」と証言した。この証言は、無論、誰にも相手にされなかった。
 そして、矢島は変死体となって発見された。その死に様は、「火の気のないところで焼け死ぬ」という、明らかに不自然なものであった。

 PCたちは、矢島の娘・由希からの依頼を受けるか、あるいはその友人であるなどの関係で事件のことを知る。
 パソコン通信やコネなどを使用して調査すると、工場のあった場所にはかなり強力な国津神の眷族が封印されているらしいことや、近くの工事現場で巨大な石が撤去された後、工事に事故が頻発するようになったこと、ところがここしばらくはその怪現象が急に収まったことなどが判明する。
 さらに、半焼した工場を破格の値段で買い取ったのが「アルゴン・ソフト」であることも判明。クズノハに宿命を割り振っているキャラクターの知識では、ファントムソサエティとのつながりも噂される、最近きな臭い会社だということが分かる。

 その後も調査を続けた結果、工場の跡地を利用して作られたアルゴンの「研究所」に間違いなく核心があるとにらんだPCたちは、夜陰に紛れて研究所に乗り込む。そこで彼らを待ち受けていたものは……

★真相

 工事現場から撤去された「巨大な石」は、結界を構成する「要石(かなめいし)」であり、工場の真北にあります。これは、見立ての「玄武」になっていました。(ちなみに東には川が流れており「青龍」に、西には旧街道があって「白虎」に、南には大きな鳥居があって「朱雀」に、という四神相応の結界が構成されていたのです。ところが、この結界の一部が壊れたことで、次第にゲートパワーが上昇し、周辺では異常現象が頻発し始めていました。
 アルゴンはここに「電脳的結界」を張り、頻発していた異常現象を抑えつけます。その目的は、一般人の目を逸らすことと同時に、封印されている国津神をコントロールし、ソウル回収に役立てる手法を研究することでした。
 しかし、マニトウネットを通じて侵入した「ムーウィス」が誤算でした。ムーウィスはマニトウの完全復活とネミッサ消去のために、まずその場にいた研究員に次々と憑依し、次いで彼らを操りつつ機械の身体を得て、活動を開始しようとしていたのです。

★研究所

 研究所の地上部は2階建てで、1階は応接室兼事務室と、コンピュータが何台か置いてある研究室になっています。2階は、研究員の仮宿泊施設になっています。
 外部から見た時に、巨大な空調ダクトが目につきます。ハイテク技能の持ち主が知力チェックに成功すれば、明らかに建物のサイズに不釣り合いな大きさであり、大型コンピュータをどこかで使用しているのではないかという疑いを持つに充分です。

 実際、研究所には地下1階があり、ここがアルゴンの陰謀の核心になります。

★研究所の地下メインルーム入口前

 地下メインルームの警護を請け負った、雇われサマナーの放つ悪魔たちとの戦闘です。
 PCの人数が多く、戦力が充分であるならば、召喚士ウラベ(LV20)相当や、妖獣カクエン(LV17)などを適宜戦闘に参加させて下さい。逆にPCの人数が少なく、戦力が足りないと思う場合は、悪魔たちがすべて倒されるか、あるいはPCの勝ちが明白になったあたりでサマナーに降伏させ、命を助ける代わりに悪魔データを譲るなどの処理をしてもよいでしょう。

★メインルーム

 憑依状態のムーウィスは、操られた研究員です。ムーウィスは、入ってきたPCを「自分の目的遂行を妨害する存在」と認識し、マニトウ神族の僕であるウェンディゴを召喚して、PCたちに戦いを挑みます。
 バリエーションとしては、同じくマニトウ神族の妖魔シワンナなどを使用する手もあるでしょう。

 ムーウィスを倒すと、ムーウィスは「コノ肉体デハ、ダメカ……」と呟き、電異界に逃亡します。とどめを刺すには電異界へのダイブ能力が必要ですので、今のPCには無理です。
 さらに、地の底から声が響きます。

「我の眠りを妨げし、小さく愚かしき者どもの眷族よ。うぬらの眷族の愚かしさ、許し難きところなれど、さらに小賢しき者どもの企みを阻み、我が安息を取り戻せしは天晴なり。その功に免じて、我は地上にいずるを思いとどまり、今しばらくの眠りにつかん。再び我が封印の解かれるは、うぬら眷族の愚かしさゆえか、はたまた我が力を貸し与えるに値するほどの力をうぬらが身に付けし時か、今は知るに及ばず。とまれ、今は我が眷族の僕をうぬらに遣わそう」

(訳:「結界をぶっ壊したバカな人間の同族ども。おめえら人間のバカさ加減には呆れるが、おれの力を利用しようとしやがった小賢しい連中の企みを阻止してくれたのは、まあ誉めてやる。おめえらの功績に免じて、今すぐ地上に出てって人間の世界をぶっ壊すのは思いとどまってやらあ。おれがもっぺん地上に出る時は、またどっかのバカが結界を壊した時か、それともおめえらのレベルがおれより高くなって、合体でおれを作った時か知らねえが、今は代わりにおれの舎弟を貸しといてやらあ」)
 COMP使いは仲魔「地霊ツチグモ」を得ます。

 これで、アルゴンの計画は未遂に終わり、ムーウィスもまたかりそめの肉体を失って、電異界へと逃亡します。
 しかし、事件の真相については、おそらく公表されないでしょう。(悪魔の存在を語らずに、真相を説明するのは困難です)
 父を殺された由希さんは、PCから真相を聞こうとします。PCたちは彼女に「悪魔」の存在を理解させようとするでしょうか? しかし、今はそれはかなり困難でしょう。
 あるいは、何か方便を駆使するでしょうか?由希さんは聡明な女性です。生半可な嘘は、見抜かれるでしょう。
 しかし、やがて彼女も真実を否応無しに理解する日が訪れることになります。日本を震撼させる、天海市での事件が起こるのは、そう遠くありません……


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