★概要
夢の暗示で助けを求めていた少女。彼女を救わなくてはならないという思いにかられて集まったPCたちを待っていたのは、ベッドに横たわり眠り続ける夢の少女と、見たこともない機械群。そして身体のほとんどを機械で補った異様な風体の、車椅子の男だった。(注:ただしスティーブンではない)
男は彼らを「彼女が招いた者」と呼び、少女が精神的なトラウマによりみずから心を閉ざして眠り続けていること、少女の招いたものだけが彼女の持つサイコ・ダイブの力を利用して彼女自身の精神世界に入り込み、彼女を救うことができること、そして自分はそれを補助する装置「サイコ・バーチャル・システム」を作ったことを明かす。
いざなわれるままに少女の精神世界にダイブするPCたち。しかしそこには悪魔たちが入り込み、少女のトラウマを悪用して彼女を支配し、その力を得ようと企んでいた。悪魔たちを排除しつつ、擬似的ダンジョン化した少女の精神世界をさまよううち、ついにたどりついた深奥部で彼らを迎えた光景は、氷の彫像と化した少女の両親と、自らをいばらの鎖で戒めた少女の姿だった……
覚醒篇を使用した初めてのマスタリングで使用したシナリオである。使用した悪魔は以下の通りであるが、「業魔殿」の悪魔作成ルールを用いて、レベルを調整(同時に使用する特技もレベル相応に)して使用した。
★冒頭(夢の暗示)での戦闘
SFC第1作「真・女神転生」をやったことのある人には、お馴染みといってもよいシーン。新宿都庁で公開処刑されそうになるヒロインを救いに行くシーンを、「前世の夢の暗示」として。
- 登場悪魔:ゾンビコップ(LV5)×4、ゾンビアーミー(LV9)×4
★少女を化け物呼ばわりして暴力を振るう父親
この時いじめられていた少女は、妖精ターニア(妖精ティターニアをLV15にレベルダウン)に姿を変え、仲魔のようにPCたちに付き従う。ターニアは、「生き続けたいと思う少女の心」が具現化したものである。
- 登場悪魔:邪鬼オーガ(LV12)
「超能力を持つ少女を化け物呼ばわりする父親」というトラウマに、邪鬼オーガが棲みついたもの。誕生篇で使用する場合には、堕天使アンドラスか幽鬼グールなどが適当か?
★少女の憧れの「先生(青年)」とえっちをする母親
この際に用意した真相は、「娘を不憫に思うあまり泣き崩れた母親を、先生が抱き止めていた」シーンを少女が誤解し、その後(悪魔の影響を受けて)妄想が膨らんだ、というものだったが、もっとどろどろしたものがお好みの場合は、そのように置き換えても構わない。
- 登場悪魔:幽鬼チュレル(LV16)
少女が思春期の頃あこがれていた「先生」と母親が抱き合っているシーンを目撃したことがトラウマ化している。
この場面を目撃したターニアは目を伏せて戦闘不能になるが、PCの誰かが「あれは本当の母親ではなく悪魔である」ことを告げて励ますなどすれば、戦闘に参加できるようになる。
なお、誕生篇の場合はチュレルの代わりに、当「悪魔学概論」の追加データの中から適当なレベルの女型悪魔(鬼女ハッグか妖精ルサールカあたりか?)を使用するとよいだろう。
チュレルを倒すと、幽霊のような存在の「先生」が現われて、PCたちに真相を告げて去って行く。
★ボス戦:いばらの鎖に縛られた少女自身
精神世界の最奥部には、少女の両親と「先生」が氷の彫像となっている。少女は、「お父さんもお母さんも先生も、あたしが殺しちゃったの。もうあたしのことはほっといて」とPCたちに告げる。
(事実そのとおりで、不安定な思春期の心ゆえに彼女の超能力「サイコ・ブリザード」が暴走した結果、彼女は両親を死に至らしめている。しかし、それは必ずしも彼女だけの力というわけではなく、彼女の心の隙に入り込んだ悪魔の助力があって為し得たことなのである。したがって、彼女一人が責められるべきことではない。)
しかしPCたちは彼女に「助けて」と呼ばれてきた存在である。PCたちが少女にそのような内容のことを告げると、少女は目を吊り上げ、「みんなきらいよ! みんな死んじゃえ!!」と叫んで戦闘に突入する。
- 登場悪魔:妖樹アルラウネ(マイナー)、他
業魔殿の悪魔作成ルールを使用して、妖樹アルラウネ(LV40)をLV20にまで引き下げて使用した。なお、誕生篇の場合にはログアウトに掲載された追加データに21レベルのアルラウネがいる。
他に配下として、上記チュレル・オーガの2体に加え、以上、ボスを含めて6体を用意した。
- 天使エンジェル(LV14):己の罪を裁こうとする、自身の罪の意識
- 凶鳥モー・ショボー(LV15):死の世界へ向かおうとする絶望の意識
- 妖樹マンドレイク(LV18):土の中(=自分の世界)に閉じこもっていたいという意識
アルラウネを倒すと、少女は実際よりも幼い姿になって泣き崩れてしまう。すると再び実体の希薄な「先生」が現われ、PCたちに真相を告げる。しかし「先生」の声は、なぜか少女には届いていない(少女が「招いた者」ではないためである)。
真相を知ったPCたちによって少女の説得が成功すれば、少女はターニアと一体化して「妖精ティターニア」の転生体としての実体を一瞬かいま見せ、PCたちに礼を述べると同時に、彼らを元の世界に送り返す。
★裏設定
- 車椅子の男の正体
実は彼こそが、少女が「先生」と呼んでいた青年である。
少女の超能力が悪魔の影響により暴走した際、生き延びたのは彼一人だった。しかし、その際に肉体に大きなダメージを受け、各所をサイバーパーツで補う羽目になる。また、少女はその際のショックで心を閉ざしてしまった。彼女を救うため、彼はその後の数年を費やして「サイコ・バーチャル・システム」を完成させたのである。