「腐敗した日本社会に正義の鉄槌を下す! 〜ある新人活動家の日々〜」

 

1999年も残りわずかとなった12月吉日、一人の男が立ち上がった!

彼の名は飯田賢冶(26)、先日会社をリストラされた。

大不況の世の中で、いまだ再就職出来ずにいる。

日々溜まりつづけるストレスはついに彼を活動家へと走らせたのであった!

 

「で、活動家って何するの?」

 

学歴至上主義社会の一部として生活してきた者にはまさに未知の世界である。

彼は、このために買った作業服とヘルメットの前で一人悩み、うめいた。

しかし、自己陶酔的自己嫌悪も近所の大学から垂れ流される無秩序かつ腹立たしい騒音によって現実に引き

戻された。

その時、彼は体の中から湧き上がる怒りを感じた。

 

「これだ! これこそ俺の求めていたものだ!」

 

某工業大学クラブ棟。

深夜だと言うのにギター片手に“ゆず”気取りで歌う致命的音痴な学生がいる。

”ゆず”気取りで歌う破壊的音痴な学生

 

ありふれた日本の大学の風景である。

しかし、堕落した若者に今、正義の鉄槌が下されようといていた!

すわ!正義の鉄槌を振るう時は今ぞ!!

 

ガッシャーーーン。

ガラスの割れる音が始まりの合図である。

作業服にヘルメット、タオルで顔を覆った姿はまさに活動家であった。

彼はクラブ棟廊下に陣取る“ゆず”気取りの学生に襲いかかった。

 

「うるせーんだよ、このバカがぁ!!」

活動家、活動中。

 

激しく抵抗する“ゆず”気取りな学生であった。

しかし、リストラされる前までプレス作業員だった飯田賢冶とでは力の差は歴然である。

1分としない間に学生は意識を失い廊下に倒れた。

制裁が完了し、勝利の歓びを噛締める活動家

 

制裁完了である。

だが、勝利の余韻もほどほどに彼は近くに置かれていたイベントパンフレットを手に取った。

 

「なっ、なんて猥褻なんだ! こんなモノが巷にあふれているのか!」

 

彼はポケットから取り出したモノをパンフレットに押しつけた。

青少年の健全な育成の為、猥褻書画を切刻む活動家

 

ギィィィィィィィ。

カッターで切り裂いたのであった。

 

「こういうものが日本の若者を駄目にしているんだ! 見ていろ、俺がこんなイベント粉砕してやる!」

 

そう言い残して彼は去っていった。

 

彼の活躍により、つかの間の平和が訪れた。

しかし、本当の戦いはこれからだ!

戦え、新人活動家。

腐敗した日本社会に正義の鉄槌を下すんだ!

失業保険の続く限り…

 

 

情報部へ突入