AERA惹句大全集
1998年版



「アンハッピー、もうイヤー。」
1998年(平成10年)1月5日(月)朝刊 AERA 1.12 No.2広告
何の疑いもなく"A happy new year"の洒落。不況、金融不安に酒鬼薔薇事件と、陰々滅々たる1997年であったので、まあ言いたくなる気持ちも分かるが、新年早々、朝の通勤ラッシュの中吊り広告で「アンハッピー、もうイヤー。」とこられては、陰々滅々さも、いや増すというもの。
「じゃあ、どんな政党がいいの。」
1998年(平成10年)1月12日(月)朝刊 AERA 1.19 No.3広告
 通信販売のカタログ「通販生活」のTVCFのコピー「もういやだ、こんな生活」「じゃあどんな生活がいいの」のパクり。今や懐かしさも漂う「新進党」が政党助成法にもとづいて解散届を自治省に提出したのが、1月5日。旧新進党議員たちはいったん全員無所属となった。その後、自民党や民主党に合流するもの、新党をつくるものなどがあらわれ、一時政界周辺がにぎやかになった。その状況を歌いあげたのが上記惹句。しかし、なんとひねりのないパクりであることか。
「雪やコンコン、電車は来ん来ん」
1998年(平成10年)1月19日(月)朝刊 AERA 1.26 No.4広告
 1月8日午後から、関東甲信越で大雪となった。この為、雪慣れしていない首都圏の交通網は大混乱におちいり、JR東日本のダイヤの乱れの影響を史上最多の194万人が被った。家についたら翌日の朝だた、という人もいたらしい。横浜駅では駅長室に数十人の客が居座って、「駅長を出せ」といきまいていたという。しまいには、机の引き出しを勝手にあげて駅長の名刺を探したり、職員録を見つけてきて駅長の自宅に電話をしようとするヤカラも出現。そりゃやりすぎだって。大体、もし自宅に駅長がいたとしてどうやって雪の中駅まで呼びつけるんでしょうか。電車止まってるのに。ま、相手は雪なんだからしょうがないじゃないの?怒るなら雪に怒りなさい。
「セッタイやってません。」
1998年(平成10年)1月26日(月)朝刊 AERA 2.2 No.5広告
 アエラ見出しに「井坂容疑者、中島義雄氏らが転落した理由 大蔵省「花の41年」が陥った驕り」とあり。1月18日には道路公団理事井坂武彦(元大蔵省幹部)を収賄罪で逮捕。26日には、大蔵検査官2人が収賄容疑で逮捕された。中島義雄氏とは、破たんした東京の信用組合の元理事からゴルフや飲食の接待をうけ、その手の不明朗な金銭授受や過剰接待を方々から追求され、ついに1997年12月に 大蔵省を辞職した元主計局次長のこと。惹句は「接待」と「絶対」の洒落。
「ピチピチしゃぶしゃぶランランラン。」
1998年(平成10年)2月1日(日)朝刊 AERA 2.9 No.6広告
 アエラ見出しに「大蔵汚職 ノンキャリアに渦巻く不満と怨嗟」とあり。惹句の「しゃぶしゃぶ」は、言わずとしれたノーパンしゃぶしゃぶ。朝日新聞夕刊1月27日11面にこのノーパンしゃぶしゃぶ事件についての報道がある。それによると、
「収賄容疑で逮捕された大蔵省の金融証券検査官室長・宮川宏一容疑者(五三)が第一勧業銀行の大蔵省担当行員(通称・MOF担)に対し、下着をつけない女性従業員の接客を売り物にする東京・新宿の会員制しゃぶしゃぶ料理店につれていくよう要求し、接待をうけていたことが東京地検特捜部の調べであきらかになった。」
ノーパンしゃぶしゃぶを新聞用語では、「下着をつけない女性従業員の接客を売り物にする会員制しゃぶしゃぶ料理店」と呼ぶんですな。ノーパンしゃぶしゃぶ以外の接待については朝日新聞朝刊2月1日1面にこんな記事があった。
「第一勧業銀行から接待を受けた金融検査部の幹部が昨年七月に戒告処分を受けた後も、谷内補佐(東京地検が収賄容疑で逮捕。引用者注)は接待を要求し、三和銀行から高額なフラメンコショーのチケットを受け取り、部下も交えた飲食の費用を支払わせたという。(中略)谷内補佐は、昨年八月中旬、今回の汚職事件で贈賄側とされる三和銀行のMOF担に対し、「フラメンコを見に行こう」と持ちかけ、接待の場を設定させ(後略)」
しかし、きょうびフラメンコショーって、君。この幹部は、いてもたってもいられない程に、「フラメンコショー」なるものが見たかったのだろうか。もしかして、ご自身もかつては東京大学フラメンコ部に在籍していて、実はかなり踊れたりして。そんな上司にフラメンコショーに連れて行かれる部下の姿というのも、えも言われぬ哀しさを感じますなぁ。つれていかれても全然嬉しくないだろうし。俺だったら仮病をつかってでも断るが。出世の為には、上司の好きなフラメンコショーのご相伴にあずかって、「課長、あの二番目に踊ったダンサーの腰つきがたまりませんな、エヘエヘ」とやらにゃならんのか。アエラ惹句的にこの「フラメンコショー」で、「欲しいの、フラメンコ。」てのはいかがで。表題の惹句は「ちゃぷちゃぷ」と「しゃぶしゃぶ」の洒落。
「サダム君は持ち物検査が嫌いです。」
1998年(平成10年)2月9日(月)朝刊 AERA 2.16 No.7広告
 サダム君は、イラクのサダム・フセインのこと。1月13日と14日、イラクは国連大量破壊兵器廃棄特別委員会による査察を拒否、米国はこれに対し武力行使を辞さずと対決姿勢を強めた。その後、部分的に譲歩をちらつかせたりとのらりくらりの交渉を続けたが、2月23日イラクのアジズ副首相は国連総長と査察受け入れについて合意文書に署名、武力行使は当面回避されることになった(この後、すったもんだがあったが、結局1998年12月16日に米英軍は再びイラクを空爆)。

「持ち物検査」は、イラクに対する査察を指すと同時に、中学生に対する持ち物検査をも指している。アエラ惹句に「キレる中学 女性教師がかたる恐怖の体験 ナイフでしか守れない幼い自我」とある。1月28日、栃木県黒磯市埼玉(不思議な地名だ)の市立黒磯北中学で休み時間中、中一の男子生徒がナイフで女性教師を刺し殺した。この事件をきっかけに、キョウビの中学生どもが、何故かナイフを肌身はなさず持っていることが露見し、世間は騒然となった。とりあえず、持ち物検査でナイフを持っていないかどうか調べようということになったという次第。この頃の子供ってのは恐いやね。その上、少年法で守られているとあっては、まさに恐いものなし。ずっと、出生率の低下がいわれているが、「子供は恐い」という印象が最近とみに強くなっているのも原因の一つではないかしら。せっかく汗水垂らして働いて子育てしても、結果人殺しになるんじゃやりきれない。下手すりゃ、自分が殺しの標的なりかねんとあっては子供なんか欲しくない、と思う人間が増えるのもうなずける。
「シミズスマシは黄金虫。」
1998年(平成10年)2月16日(月)朝刊 AERA 2.23 No.8広告
 長野オリンピックで、10日、スピードスケート男子500mで、清水宏保選手が金メダルを獲得した。この出来事とと、1997年の長野県知事の「みずすまし」発言にからめて出来上がったのが上記惹句。ちなみに、長野県知事の「ミズスマシ」発言は1997年1月13日広告のアエラ惹句「長野より日本海のミズスマシたい。」でもとりあげられているので御参照のほど。
「この風がいいね、ハラダ記念日。」
1998年(平成10年)2月23日(月)朝刊 AERA 3.2 No.9広告
 アエラ見出しに「総括涙の五輪 「笑顔の仮面、やっぱりつらかった」 特別インタビュー 原田がかたった「天国と地獄」」とあり。前週と同じく、長野オリンピック関連。2月17日、ジャンプ団体で日本が優勝した。上記惹句は、ノルディックスキージャンプの原田選手と、「サラダ記念日」をかけた洒落。1994年のリレハンメルオリンピックのスキー団体の最後、金メダル絶対確実という場面での、あのまさかの大失敗ジャンプが、4年後のネタふりだったとは......。長野での団体戦でも一回目はやっぱり、「まさかの失敗ジャンプ」を見せておいて、その上で2回目に馬鹿みたいな長距離飛行。いくらなんでも出来すぎ。絶対、誰か演出しとるぞ。大映ドラマのようだ。おかげで、原田選手も他の現地観戦&テレビ観戦日本人も号泣の嵐。
「賃下げは給与の一策。」
1998年(平成10年)3月2日(月)朝刊 AERA 3.9 No.10広告
 アエラ見出しに「銀行員の給料 安田信託15%賃下げの衝撃」とあり。2月23日の朝日新聞夕刊によると、
「安田信託銀行は1988年度から一般工員の給与を平均一割引き下げる方針を固め、二十三日までに労働組合に提示した。賞与も平均三割減らす方向。これらの削減策で、行員の年収は現行より15%前後、下がるという。」
とのこと。不景気なのに、給料が減るというだけでニュースになってしまうというところが逆にスゴイ。経営の安定の為と称して結構俺らの税金つぎこんでんだから減給ぐらいは当然のような気がするのだが。でも、あんまり待遇が悪いと、落語「千両みかん」のオチみたいに、札束持って銀行をドロンする人間が続出するのかも。上記惹句は「窮余」と「給与」の洒落。
「こんな官僚ばっキャリア。」
1998年(平成10年)3月8日(日)朝刊 AERA 3.16 No.11広告
 3月5日、高額接待などの収賄容疑で、東京地検特捜部は大蔵省のキャリア官僚、榊原隆証券局総務課長補佐を逮捕した。榊原容疑者は、野村証券などに便宜をはかる見返りとして、繰り返し接待を受けていたという。この状況から生まれたアエラ惹句がこれ。「ばっかりや」という関西風の語尾と「キャリア」の洒落。そういえば、当時「大蔵殺しの酒鬼薔薇」なんて言ってたなー。
「通貨よりツーカーの話をしよう。」
1998年(平成10年)3月16日(月)朝刊 AERA 3.23 No.12広告
 この惹句には困った。正直意味がよく分からない。この時期の通貨関連の話題というと、3月25日にEUの欧州委員会が11カ国で通貨ユーロを導入するように勧告書を発表した件か、あるいは、円安がすすみ3月18日には1ドル130円台に突入した件だろうか。それと、「ツーカー」がどう関係しているのかが読めない。大蔵の接待汚職とからめて、役人が「通貨なんて面倒な話はやめて、今夜もフラメンコショーでお互いの親睦を深めましょー」と言っている姿を想像して風刺しているのだろうか。はたまた、「ツーカー」はPHSのことをさしていて、3月18日にNTTの宮津社長がPHS撤退を表明したので、「円安の話よりもPHSの苦境について話をしよう」ということなのか。うーん、分からん。読者からの御教示を待つ。
「捜査調査も彼岸まで?」
1998年(平成10年)3月23日(月)朝刊 AERA 3.30 No.13広告
 アエラ見出しに「大蔵接待疑惑 生保にも飛び火か」や「大蔵官僚にやさしい「ヤメ検」松永蔵相」などとあり。一連の大蔵省や道路公団の不祥事で三塚氏が蔵相を辞任したのが1月28日。公認は検事出身の松永光氏。収賄で逮捕されたキャリア官僚、榊原容疑者は、キャリアとはいえまだ下っ端の課長補佐であった。捜査対象が大蔵の幹部まで伸びるのかが注目されたが、またもや職務権限の壁にはばまれたのか、榊原事件で疑惑捜査は打ち切りとなる。ここで出てきたのが上記アエラ惹句。言うまでもなく、「暑さ寒さも彼岸まで」の洒落。
「ミルミル大損、ジョアのかね。」
1998年(平成10年)3月30日(月)朝刊 AERA 4.6 No.14広告
 アエラ見出しに「ヤクルト熊谷副社長過信の罰と罪 ・「財テクのプロ」有頂天の単独暴走」とあり。3月20日の朝日新聞朝刊一面に「ヤクルト、巨額損失 デリバティブ取り引き失敗 副社長辞任へ」とあり。1998年三月期決算に計上する特別損失は数百億から一千億円に達するとのこと。もう、この金額になると私の想像力を越えているので、金額の意味はよく分からんが、とにかくすごい損失だ。この熊谷副社長というのが、国税庁の金沢国税局間税部長あがりの元役人。これで、1998年3月のアエラ惹句はすべて金融関係ネタとなった。見事。上記惹句は、ヤクルトの製品「ミルミル」と「ジョア」をそれぞれ、「みるみるうちに」の意の「みるみる」と「除夜の鐘」にかけたもの。ぱっと見ると、全体が洒落になっているようだが、よく考えると洒落の元の「除夜の鐘」のほうは、文意には何の関係もない。
「ナイフよりフォークで勝負です。」
1998年(平成10年)4月6日(月)朝刊 AERA 4.13 No.15広告
 アエラ表紙が横浜ベイスターズの佐々木投手。惹句の「フォーク」は、佐々木投手の決め球だが、「ナイフ」は、中学生たちのナイフ事件に引っかけているらしい。2月9日の「サダム君は持ち物検査が嫌いです。」でも触れた栃木県黒磯市の中学生による教師殺害や、2月2日の東京・江東のピストル欲しさの警官襲撃事件などで「中学生」と「ナイフ」が強烈に結び付けられ、1998年前半の巷間の話題を独占した感がある。しかし、「フォークで勝負」の佐々木投手だが、かつては「拳で勝負」(1997年1月サイパン)に出たこともあるのだった。この時はテキの酒瓶攻撃によって額に11針も縫うケガを追ってしまった。よって結論「ナイフよりフォークより酒瓶で勝負です。」
「離婚届に郷サイン。」
1998年(平成10年)4月12日(日)朝刊 AERA 4.20 No.16広告
 アエラ見出しに「初版50万部で大勝負の幻冬舎社長に聞く 郷ひろみ「仮面夫婦」を読みとく」とあり。4月9日の朝日新聞朝刊社会面にも「「愛される理由」終章 歌手の郷ひろみさん、友里恵さんと離婚へ」とあり。9日の離婚届提出とあわせて発売された離婚顛末本「ダディ」(普通、離婚のその日に顛末本出すか?それも自分で)によると、原因は「私の女性問題だが、たくさんの問題が重なっている」なんですと。しかし、幻冬舎の思惑は見事に大当たり。なんと発売5日で百万部突破。小生は買わなかったけど。でも、売れた割には印象薄いな。「ヒロミ郷の離婚本」というのはなんとなく覚えてたけど、書名なんかすっかり忘れてたもんな。ま、読んでないから当然か。ここなんかに読んだ人の印象が載ってます。惹句は「Goサイン」と「郷がサインする」の洒落。
「長くやりまスト、アナがあきます。」
1998年(平成10年)4月20日(月)朝刊 AERA 4.27 No.17広告
 アエラ見出しに「GWもストか全日空労使「存亡の戦い」」とあり。4月6日午前零時からストに突入した全日空の国際線だが、ゴールデンウィーク期間中などの中断をはさんで続けられ、結局完全に終結したのは6月21日だった。国際線では過去最高の欠航数だという。全日空は、この後もサッカークラブ横浜フリューゲルス合併問題や、狂人による乗っ取りなどニュースのネタとなる割合が他よりも多い気がする。なんか呪われているのだろうか。ロッキードの怨念か、はたまた若狭の妄執か。説明するまでもないが、惹句は「やりますと」の「すと」と「スト」、「穴」と「ANA」の洒落。
「連休だ、そレジャー行くか。」
1998年(平成10年)4月27日(月)朝刊 AERA 5.4-11 No.18広告
..........。ゴールデンウィークなんで「それじゃあ」と「レジャー」の洒落なんでしょう、きっと。
「場カズで選びました。」
1998年(平成10年)5月11日(月)朝刊 AERA 5.18 No.19広告
特にAERA見出しでは触れられていないが、サッカー日本代表の話題であろう。5月7日にワールドカップの欧州帯同メンバーとして25人が選ばれた。実際の大会の出場登録可能選手数は22人。つまり、ヨーロッパに行くことは行けても登録から外れる選手が3人いるのである。W杯アジア予選のときからケガの為に本調子でなかったカズこと三浦知良選手がこの25人に選ばれるのかどうかが注目されていたのだが、代表の岡田監督は「経験」と「チームプレーへの期待」からカズを選んだのだという。それで、できたのが上記惹句。「場カズ」とは「場数」と「カズ(三浦知良)」の洒落。ま、その後どうなったかは当時かなり話題になったから知っている人も多いと思うが、4つ下参照のこと。
「日本は十年一日、世界は十年一昔。」
1998年(平成10年)5月18日(月)朝刊 AERA 5.25 No.20広告
 アエラの表紙に「創刊10周年」とあり。それで、10年にかけて標語風にまとめてみたのだろう。しかし、「十年一日」日本の最たるものがAERA惹句なんじゃないの?えぇ?どうなの?
「居スハルト、大変だったかも。」
1998年(平成10年)5月25日(月)朝刊 AERA 6.1 No.21広告
 アエラ見出しに「スハルト辞任 学生、市民 収まらない怒り」とあり。通貨危機の後、援助とひきかえにIMFの提示する経済改革実行することを合意したが、それを実行しなかったためIMF側の反発をまねき、インドネシア経済はきわめて不安定な状態におかれた。1998年初頭から、この経済混乱が大規模な反政府デモを引き起こしていたが、ついに5月にはいって首都ジャカルタで治安部隊とデモ隊との大規模な衝突が起き、5月12日には治安部隊が発砲、6人の使者を出した。それ以降も反政府暴動は続き、結局5月21日スハルト大統領は辞任することとなった。後任は副大統領のハビビ氏。上記は、これを惹句にしたもの。「居すわる」と「スハルト」の洒落。前から不思議に思っていたんだけど、「スハルト」ってのは名字?それとも名前?はたまた、「スターリン」みたいにペンネームか何かで姓も名もないものなのか?あるいは、「ス」が名字で「ハルト」が名前か。御教示を乞う。
「ハビビもビビビも大丈ビ?」
1998年(平成10年)6月1日(月)朝刊 AERA 6.8 No.22広告
 アエラ見出しに「インドネシア民主化とイスラムの復権」、「聖子再婚 決め手は「歯の美容整形」 もっときれいに、もっとパワーを。30代後半、膨らむ欲望に導かれ」とあり。「ハビビ」は一つ上の惹句でも触れたように、スハルトの後任のインドネシア大統領。「ビビビ」のほうは、歌手松田聖子の再婚記者会見の時の言葉。再婚相手は、 東京在住の歯科医師、波多野浩之(三〇)。身長178センチで スポーツマンタイプ。かなりハンサムな人なのだという。朝日新聞1998年5月26日朝刊30面によると、
「交際は今年四月から。初めて会ったとき、ビビビッときました。人の気持ちをなごませてくれる、すてきな人」などと話し、三カラット余りのダイヤの指輪をかざし、時に涙ぐんだ。
とのこと。「ハビビ」と「ビビビ」を、語尾を「ビ」に変えた「大丈夫」でまとめることで脚韻を踏ませて出来た惹句がこれ。現在(1999年8月末)のところは、AERA惹句担当者の心配をよそに、ハビビ大統領も在職中で、松田夫婦も存続しているようだ。

 松田の結婚会見といえば、こんな話もあった。1998年6月4日朝日新聞朝刊第34面によると、結婚会見の翌日26日の午後に、松田サイドから報道各局に、
「(結婚報道に際して)今後、松田聖子及び家族に関する映像、肖像を無断で使用することはお断りします」
というファックスが届いたのだという。日テレとフジは、通常の報道素材であることから、結婚会見の静止画像をオンエアしたところ、松田側から、
「映像、肖像を無断で 使用されていることは大変遺憾。貴社放送局のすべての番組に出演することを控えさせていただきます」というファクスが幹部あてに流された。「映像、肖像を使用された時には使用料を請求させていただきます」との一文もそえられていた。
とのこと。この後、どういう決着になったかよく知らないが、「映像使うな」っちゅうなら、記者会見しなきゃいいのに。がめついっちゅうのか、なんちゅうのか。旦那は知らんが、嫁は「人の気持ちをなごませてくれる、すてきな人」ではなさそう。
「涙のカズだけ強くなれるよ。」
1998年(平成10年)6月8日(月)朝刊 AERA 6.15 No.23広告
 アエラ見出しに「W杯前夜 カズ 最後に切られた男 神話は終わった。時代に追い越された日本のキング」とあり。4つ上の惹句でも触れたが、サッカーワールドカップ出場の日本代表の最終選考で、長らく日本サッカー界の顔だった三浦知良選手が外された。最終段階で代表から外されたのは、三浦選手の他は、北沢選手と市川選手。市川選手は代表を外れた後もチームに帯同したが、三浦選手と北沢選手はすぐ帰国した。岡田代表監督によると、
「予想以上に落ち込みが激しく、チームへの影響力が強いこともあって、カズと北沢は帰した。市川に関しては残します」(1999年6月3日朝日新聞朝刊31面)
とのこと。帰国したとき、三浦選手の頭髪はスーパーサイヤ人のごとく、プラチナブロンドになっていたことを覚えていらっしゃる方も多いであろう。上記惹句は、三浦選手のニックネーム「カズ」と「数」をかけたもの。カズの涙にも関わらず、日本代表は予選リーグで呆けなく3タテを食らってしまったのだった。合掌。
「チケットないぞ、フマンタレブー。」
1998年(平成10年)6月14日(日)朝刊 AERA 6.22 No.24広告
 アエラ見出しには特に触れられていないが、サッカーフランスワールドカップのチケット分配の不手際事件を扱ったもの。上記惹句は、フランス語の挨拶「Comment allez vous?」と「不満をたれる」の洒落。今回のワールドカップでは、チケット総数約二百五十万枚の分配は、六五%がフランス国内発売分、二〇%がFIFAと各国協会の取り分、一〇%がFIFA公認の旅行代理店十七社、残りの五%が大会スポンサー分となっていた。割合を見れば分かるように、フランス国内分が非常に多い。一次リーグでのフランスとは関係のない国同士の対戦などではそんなに国内に実需要がある筈もなく、多くがダフ屋に買い占められたらしい。しかも、そのダフ屋が高額で売り出すだけならともかく、チケットを確保もしていないのに、各国の旅行代理店に空売りするものだからえらい騒ぎになった。お人好しというのか物慣れていないというのか、日本の旅行代理店は見事にこれにひっかかってしまって、6月14日の日本-アルゼンチン戦では1万枚以上もチケットが不足してしまったという。チケットを持たずに現地入りして、レイテ島の敗残兵のように試合当日スタジアムの周囲を足取り重くさまよい歩いていた日本人観戦客の姿は記憶に新しい。

 次のワールドカップの決勝は日本で行われるが、是非ともフランスの失敗を踏まえてチケット問題などおこらないようにして欲しいものだ。私案だが、ここは一つ日本のゼネコンの力を結集して、超弩級の巨大スタジアムを作ってはどうだろうか。現在、決勝が行われる予定の横浜国立でも収容力は5-6万ぐらいだろうが、そんなチマチマしたことは言わず、その10倍、50万人収容の日本スタジアムを作ればよろしい。場所は、横浜なんて町中でなく、もっと山奥か、あるいは島につくるべき。もし決勝の対戦がイングランドー-ドイツとなって、スタジアムがフーリガンvsネオナチになった場合、横浜なんかでやったら無辜の一般市民が巻き込まれる恐れがある。少し人里から離れた場所で、心ゆくまで対決を楽しんでもらったほうが、お互いのためだろう。しかし、25万人のイングランドフーリガンと25万人のゲルマンネオナチの闘争ってサッカーの試合より視聴率とれそう。
「日米の円助交際、ていうか。」
1998年(平成10年)6月22日(月)朝刊 AERA 6.29 No.25広告
 アエラ見出しには特に記述はないが、円安に対する日米の協調介入を扱ったもの。一向に好転しない景気動向から円が売られ、6月16日の東京外国為替市場では、一時は1ドル=146円75銭まで下落した。この行き過ぎた円安を是正するために、6月17日、日米の金融当局はニューヨーク、ロンドン外国為替市場で円を買ってドルを売る円安是正の協調介入を実施した。この結果、円は一気に6円強円高にふれた。この協調介入を、当事流行りの「援助交際」にかけて、ついでに語尾に、これも流行りの「ていうか」を加えてできたのが上記惹句。援助交際ってのもしぶとく生き残っている言葉だが、この言葉は誰が使い始めたのだろうか。女子高生サイドが使いはじめたのか、おっさんサイドなのか。はたまた、それを取り締まる警察・PTAサイドの言葉だったのだろうか。ちょっと気になる。感じとして、客であるおっさんサイドが、「売春」という生々しさを消すために、漢字4文字の言葉を作ったのかな、と思うのだが。御教示を乞う。
「7月12日、投票だよおっ母さん。」
1998年(平成10年)6月29日(月)朝刊 AERA 7.6 No.26広告
 アエラ見出しに「参院選100人調査 「棄権な人々」の危険な言い分」とあり。7月12日は参院選の選挙日。島倉千代子の歌、「東京だよおっかさん」の「東京」と「投票」をかけたのが上記惹句。この参院選は、公職選挙法の改定後、初の選挙で、投票時間が2時間のびて午後8時までとなる。まあ、今まで投票に行かない人が2時間延長になったからといって投票に行くとは思えないのだがいかがなものであろうか。
「時間のロス裁判だったの?」
1998年(平成10年)7月6日(月)朝刊 AERA 7.13 No.28広告
 アエラ見出しには特に記述なし。週刊文春の記事から火がついた、ロス疑惑事件であるが、この疑惑の中心事件である、ロサンゼルス市内で妻の一美さん襲撃事件について、殺人や詐欺などの罪に問われた元雑貨輸入販売会社社長・ 三浦和義被告(五〇)に対し、東京高裁は1998年7月1日午後、一審の無期懲役判決を破棄して、保険金殺人について逆転無罪を言い渡した。この裁判について、「時間のロス」のロスと「ロス疑惑」のロスをかけてできたのが上記惹句。
「恒久減税は高給減税です。」
1998年(平成10年)7月13日(月)朝刊 AERA 7.20 No.29広告
 ちょっと分かりにくい惹句である。アエラ見出しには「自民無策 橋本流どんでん返し演出の失敗 ・減税、為替介入、普天間みんな見え透く」とあり。橋本総理(当時)は、参院選のドサまわりで訪れた熊本で、7月3日「 (自民党や政府の税制調査会の)結論として出てくるのは、特別減税ではなく、恒久的な税制改革として打ち出されることは、私自身期待しているし、そういう方向になるだろう」と語ったという。惹句にある「高給」のほうはもう一つ何を指しているのか判然としないが、おそらく、日銀職員の高給批判ではないだろうか。4月には、日銀が職員数を水増しして申請し、差額をちょろまかしているのでは、という報道がなされた。また、5月6日には、衆院行政改革特別委員会の理事会に対して、これまで明らかにしていなかった給与の詳細な資料を提出したりしている。おそらく、この惹句は、「恒久減税の財源には、バブル後の不況になんら有効な手を打てなかった日銀マンたちの給料を減らしてそれをあてろ」というようなことを述べたいのではないだろうか。まあ、意味がわかったところで、とりたてて面白い惹句ではないが。
「地味ン党総裁、だっちゅうの」
1998年(平成10年)7月20日(月)朝刊 AERA 7.21 No.30広告
 アエラ見出しに「デフレ政治 自民党はもうダメだ ・小渕にも梶山にも・・・期待できない現実」とあり。ついに出たな、「だっちゅうの」ネタ。いかにも、アエラ惹句が飛びつきそうなネタだもんな。7月12日に開票された、第十八回参議院通常選挙で、自民党は追加公認を含めても、改選議席六十一を大きく下回る四十五議席にとどまり、惨敗した。この結果、橋本龍太郎首相は退陣し、新総裁を選ぶこととなった。議席も減って影響力も落ちたから、「自民党」でなく「地味ン党」だ、というのが上記惹起である。それはともかく、売れてた時から常に一抹の寂しさを予感させていたパイレーツだが、予感どおり通り過ぎて消え去ってしまった。次の焦点は、いつ「あの人は今」系統の番組で取り上げられるか、というところだろう。私の予想は、片一方は、一度離婚の後、中古車のブローカーと再婚、もう一人は未だに独身でスナック経営という形で登場する、というもの。インチキマルチ商売の黒幕の愛人、とかもいいな。

それと、この広告だと、「AERA 7.21 NO.30」と書いてあるが、「7.27」の間違いじゃないの?先週号は「7.20」だったぞ。週刊誌が翌日に次号発行しちゃまずいな。(間違いだとは思うが、この記事の冒頭の情報は新聞紙上の日付を記載しておいた)

「ミーンミーン、岩にしみ入る民の声。」
1998年(平成10年)7月27日(月)朝刊 AERA 8.3 No.31広告
 アエラ見出しに「民主支持急上昇 菅直人「自民今年限り」の強気」とあり。7月の参院選で、民主党は、9議席アップの47議席を獲得した。この追い風に反自民の旗手朝日新聞社が放った惹句がこれ。セミの鳴き声と民主党の民をかけている。しかし、その後の自自連立や、菅党首の人気の低落とともに党も低迷気味(1999年10月現在)。あんまり「しみ入」ってなかったみたい。
「「ピザの斜塔」は修復中です。」
1998年(平成10年)8月3日(月)朝刊 AERA 8.10 No.32広告
 アエラ見出しに「しゃべる力 雄弁会出身小渕首相の言語能力 ・メリハリなく意味不明 名通訳もお手上げ」とあり。7月24日の自民党総裁選挙に向けて立候補の意向を表明した小渕さんだったが、7月13日付けのNew York Timesに、「小渕総裁候補は冷めたピザ」という紹介があった。これに対し小渕さんは17日の記者会見で、「どなたか、財界人が言っていたが、『冷めたピザ』はレンジに入れれば温まるそうだから」(1998年7月25日朝日新聞朝刊1面)とかなり気弱な反論したという。 しかし、New York Timesが「冷めたピザ」と言うからには、かつて小渕さんが「焼き立てのピザ」だったことがあると思っているということなのだろうか。かつて小渕さんが「焼き立てピザ」だった」ことが果たしてあったのだろうか?もしかして、「平成」の紙を持っていたときが「焼き立て」だったのか?ならば、今の天皇が死んで元号が変わると、小渕さんは「レンジでチンしたピザ」になれるのかもしれない。
「日本の夏 ドームの夏 丸刈りの夏。」
1998年(平成10年)8月9日(日)朝刊 AERA 8.17-24 No.33広告
 アエラ見出しには特に記述なし。最初は、原爆ドームと高校野球ネタか、とも思ったが違うらしい。中年族のアイドル巨人の長島監督が8月4日、丸刈り姿で東京ドームに姿を見せたのである。原因は、7月31日甲子園で行われた阪神-巨人戦にあった。この試合で、球審の判定に怒った巨人の投手ガルベスが、なんと審判に球を投げつけたのだ。このためグランドは一時騒然となった。当然ガルベスは退場。8月1日にリーグは、今季終了までの出場停止処分を発表した。この騒動のみそぎのため、長島監督が坊主頭となった次第。選手同士の乱闘ならともかく、審判にボール投げつけたらやっぱりまずいだろう。で出来たのが上記惹句。しかし、優勝できないとはいえ長島さんは長期政権である。前回の解任で読売新聞の部数が減ったのがよっぽどこたえているんだろう。それにしてもこんだけ結果のでない団体競技の責任者ってのも世界的に珍しいんじゃないだろうか。一時、西武の森監督などが「管理野球でバント、バントとちまちました野球したって面白くない」「プロ野球は興行なんだから、勝つだけじゃダメ」なんぞと非難されていたけど、昨今の巨人軍のようにこうまで選手獲得に金をかけつつ、結果を出せず、しかも驚異的な人気を得てしまうとなると、もうこれスポーツじゃないんじゃないか?プロ野球って確かに「興行」ではあるけど、同時に「勝負」でもあると思うのだが。
「反省ですか、ニッコージャル軍団。」
1998年(平成10年)8月24日(月)朝刊 AERA 8.31 No.34広告
 アエラ見出しに「日航「強きに弱い」役所体質の証拠」とあり。8月17日、警視庁は、日航より鉢植えリースの名目で、二千数百万もの資金提供をうけたとして、総会屋の幹部二人を逮捕した。この事件を踏まえて出来たのが上記惹句。「日光サル軍団」と「日航」「JAL」をかけている。しかし、この惹句には重大な事実誤認がある。「反省」ネタは「次郎」の名でしられた猿の持ち芸だが、彼は日光サル軍団所属ではないのだ。「次郎」君は現在、伊東市の「次郎おさるランド」で活躍中とのこと。朝日新聞社は次郎君に対して謝罪の必要があるといえよう。
「犯人は誰でしょう、ヒソヒソ。」
1998年(平成10年)8月31日(月)朝刊 AERA 9.7 No.35広告
 アエラ見出しに「「ヒ素中毒」保険金疑惑の奇々怪々」とあり。和歌山市園部の住民から「子どもたちが吐き気をもよおしている」との119番通報が和歌山市消防局に入ったのが7月25日の夜。自治会が空き地で開いていた夏祭りで出された、カレーライスなどを食べた約六十人がおう吐などの症状を訴えていたという。小学生や女子高校生など4人が毒物中毒で亡くなるという大惨事となった。事件直後の報道では、「青酸中毒」とのことであったが、その後の調べでこの毒物は砒素であることが明らかとなった。動機が見えず、迷宮入りかとも思われたが、この地区で保険金を巡ってなにやらきな臭い事件が起こっていたことが報道され出したのが、ちょうどこの惹句の出た8月の末であった。お分かりとは思うが、「砒素」と「ひそひそ」をかけてできたのがこの惹句である。結局、10月5日に、殺人事件とは別の保険金詐欺容疑で逮捕されるまで、ワイドショーなどで顔にモザイク処理がされた容疑者林真須美の映像が垂れ流しに垂れ流されたのは記憶に新しい。林容疑者が報道陣にホースで水をかけたり、林容疑者が好んで着ていたミキハウスのTシャツにモザイクがかかったり(三起商行から文句がいったのだろうか?)、逮捕後は林容疑者の自宅に野次馬が落書きしまくったりと、いろんな騒動が持ち上がった。結局、もっとも重大なカレーへの砒素混入事件で林容疑者が逮捕されたのは、事件から半年近くたった12月9日であった。
「空からきた挑戦。」
1998年(平成10年)9月7日(月)朝刊 AERA 9.14 No.36広告
 アエラ見出しに「北朝鮮 テポドン 本当の危険度」とあり。8月31日、在日米軍司令部(東京)から防衛庁に入った連絡によると、この日の正午すぎ、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の東部沿岸から弾道ミサイル一発が発射され、日本を飛び越えて三陸沖に着弾したらしいとのこと。この件で大騒動が持ち上がった。。北朝鮮は、「そりゃミサイルでなくて、人工衛星の打ち上げじゃ!!」といって上空から「金日成将軍の歌」「金正日将軍の歌」を放送しているとふれまわるし(他国からは受信できたという報告はついぞ聞かれなかった)、日本は日本で独自の偵察衛星打ち上げをぶち上げるし、そのために日米関係までギクシャクするし。とにかくたった一発のミサイルで凄いインパクトであった。惹句は「朝鮮」と「挑戦」をかけたもの。日本本土には直接着弾しなかったから、正確には「空を通り過ぎた挑戦」というほうが事実に近いが。
「ホームラン、62号でマクはイヤ。」
1998年(平成10年)9月13日(日)朝刊 AERA 9.21 No.38広告
 アエラ見出しに「マグワイア・フィーバーに沸く米社会」とあり。カージナルスのマーク・マグワイアとカブスのサミー・ソーサが熾烈なホームラン争いを行った1998年のメジャーリーグ、これまでの1シーズンの最多ホームラン記録を破る62本目を先に打ったのはマーク・マグワイアだった。9月8日のこと。これに続き、13日にはソーサも62本目のホームランを放った。この騒動で出来た惹句がこれ。「マグワイア」と「幕はイヤ」をかけたもの。結局、シーズン終了時には、ソーサは66本、マグワイアは70本を打ち、マグワイアがこの年のホームラン王となった。
「ダンガイ絶壁、ヒラリーと身をかわす。」
1998年(平成10年)9月21日(月)朝刊 AERA 9.28 No.39広告
 アエラ見出しに「クリントン不倫でヒラリーが抱く野心」とあり。クリントンの下半身がいささかユルいものであることはかねてから知られていたが、スター独立検察官が大統領周辺の疑惑調査がうまくいかないことに業を煮やしたのか、モニカ・ルインスキーとの不倫行為に捜査の重点をおいたことから、一気に米国政界の話題の焦点となってしまった。10/3は中間選挙の投票日であることから、下院で与党の座を握っている共和党はこの事件をうまく利用しようと、弾劾調査の開始を投票日のすぐ後にもてきたから、民主党はさあ大変。一方、巷間ではクリントンの不倫疑惑の中で、「むしろ現ファーストレディーのほうが大統領に相応しいのでは?」という声もあがる始末。こんな状況下でできた惹句がこれ。「ダンガイ」は「断崖」と「弾劾」の洒落、「ヒラリー」は擬音「ひらり」とクリントンの妻「ヒラリー」の洒落である。

 恰好の民主党追い落としネタを得た共和党は勇んで不倫問題で現職大統領に総攻撃をしかけたが、あにはからんや微増ながら民主党が議席数を上乗せ。大統領を出している与党が中間選挙下院で議席数を伸ばしたのは1936年以来64年ぶりというから共和党惨敗といっていいだろう。少々下半身がユルくても絶好調の経済を担う大統領は変えられないというところか。共和党はレーガンが大統領だった頃の絶好調時にキリスト教保守派と過度に結びついてしまったのが、今や足枷になってしまったのではないか、という気がする。主張があまりに抹香臭さすぎる。1998年9月22日の朝日新聞朝刊8面によると、9月12日フランスのル・モンド紙は社説で、
スター独立検察官の捜査や米国の政治的風潮について「新たなマッカーシズムだ」と批判した。「セックスを罪悪に近く、成人同士の合意の上での性的関係さえ嫌悪すべきだという、とんでもない道徳観の主張だ」として捜査を酷評した。
と、いかにもフランス的な論調で述べていたらしいが、選挙の結果をみればこの心配は杞憂だったようである。私自身も政治家に過度の道徳性を求めるのはいかがなものか、と思っていたので、この選挙結果は「悪くないな」と感じたことをつけ加えさせていただく。
「はっけよい、残った、しこりが。」
1998年(平成10年)9月28日(月)朝刊 AERA 10.5 No.40広告
 アエラ見出しに「貴乃花だけが悪いのか ▼精神的成長が追いつかない「サラブレッド力士」」とあり。5月に貴乃花に続いて若乃花が横綱になり、順風満帆の様子だった二子山部屋だったが、秋場所を前に、貴乃花が親方や若乃花と仲違いしているという報道がスポーツ紙やワイドショーでなされて一騒動に。なんでも、かかりつけの整体師の洗脳で、今まで柔順かつ素直な好青年だった貴乃花が、親や兄弟に反抗するようになったのだという。貴乃花は報道陣に、若乃花について「基礎ができていない。横綱という地位をどう守るつもりなのか」と語ったが、それに対し若乃花は「直接話もしていないのに、けんかはできない」と困惑気味だったというから、どうも貴乃花の一人相撲であったことは間違いないようだ。この状況を詠んだのが上記惹句。ちょうどこの時期に、元X-JAPANのボーカルTOSHIにも洗脳疑惑が盛んに報道されていた。マインドコントロールネタ豊作の時期だったといえる。
「慶喜さん、ケイキはどうなるの?」
1998年(平成10年)10月5日(月)朝刊 AERA 10.12 No.41広告
 アエラ見出しに特に記述はないが、表紙写真が、1998年NHK大河ドラマ「徳川慶喜」の主役本木雅弘。1998年9月11日、経済企画庁の発表によると、この年4-6月期の国内総生産は前期の1-3月期に比べ0.8%減少、3・四半期続けてマイナス成長になった。コレには経企庁長官(当時)の堺屋太一氏もビックリ。早速、年度通算での経済成長率の政府見通しを下方修正することにした。惹句は「慶喜」の音読み「ケイキ」と景気の洒落。徳川最後の将軍に現在の景気動向を聞いて何がどうするのかはよく分からないが。
「カレーやないで、ハヤシやで。」
1998年(平成10年)10月11日(日)朝刊 AERA 10.19 No.42広告
 アエラ見出しに「林真須美容疑者 女37歳「欲望バブル」崩壊」とあり。上述したように、林容疑者が、カレー砒素混入事件で逮捕されるのは12月に入ってからだが、10月4日に、まず砒素を用いた保険金詐欺事件で逮捕された。「ハヤシライス」のハヤシと林容疑者の名字をかけたのが上記惹句。報道関係者には逮捕前から容疑者の名前は分かっていただろうから、結構前からこの惹句は思い付いていて、逮捕され実名報道になるタイミングをイライラしながら待ってたんでしょうな。「ああ、もうはやく逮捕してくれないとこのネタ他でも使われちゃうよ」とか一人で気をモンでたんでしょう、きっと。
「こんなに円高で、えーんかい?」
1998年(平成10年)10月19日(月)朝刊 AERA 10.26 No.43広告
  アエラ見出しに「シティバンクがお詫び「円高騒動」の顛末」とあり。9月に入って円高圧力が強まり、10月8日のNY市場では1ドル111円台まで上がった。9月1日には、141円台だったから、1月でなんと30円も上がったことになる。一説には、クリントン大統領の不倫疑惑のため、米国政界に対し不透明感が広がったためとも言われた。たった一人のオッサンのオイタで通貨が乱高下したんじゃたまったもんじゃない。米国憲法で、「大統領職につけるのは宦官に限る」と決めてもらわなくては困る。上記惹句は、「円高」のエンと「えーんかい」のエンで韻をふむという、今時珍しい手垢つきの洒落。
「マイクロソフトとにらめっこ、アップルぷ。」
1998年(平成10年)10月26日(月)朝刊 AERA 11.2 No.44広告
    アエラ見出しに「「マック」復活は本物?」とあり。iMacが発売されたのが、米国では8月15日、日本では8月29日から。これにあわせ日本のアップルコンピュータ社は約三年ぶりに製品広告をうった。地を這うような業績低迷のため、しばらく個別の商品については広告をしてなかったのだ。乾坤一滴の大バクチは見事あたってバカ売れ。アップル社は1998年度決算(97年10月--98年9月)は純利益が3億900万ドルとなり、通年決算で三期ぶりに黒字転換した。上記惹句では、いかにもアップル社がマイクロソフトを向こうに回し、威勢良くタンカをきってホエヅラかかせたみたいだが、実際はそんなことはなくて、つぶれかけのアップル社が今や世界一の金持ちビル・ゲイツ氏に泣き付いて「金貸してくれー、ちょっとでいいから融通してくれー」でどうやら持ちこたえ、しのぎきったというほうが実状に近いように思う。しかし、いざ本当ににらめっこで勝負となったら、負けず嫌いのゲイツ先生は意地でも笑わねぇだろうな。惹句は「あっぷっぷ」と「アップル社」の洒落(ってこれ洒落になっているか?)。
「Aクラス入りはハンシン半疑。」
1998年(平成10年)11月2日(月)朝刊 AERA 11.9 No.45広告
  アエラ見出しに「野村ID野球でダメ虎は蘇るか」とあり。10月25日、前ヤクルト監督の野村克也氏は阪神タイガースからの監督就任要請を受諾した。「三年後にはAクラス入り」を目指すとのこと。で結果を見ると、1998年、阪神の成績は、「135試合52勝83敗 勝率.385 最下位」 だったのに対し、野村氏が監督に就任した1999年は「135試合55勝80敗 勝率.407 最下位」。やはり定位置。ま、順位はともかく、勝率で2分2厘上がってはいるが。後2年で果たしてAクラス入りは可能なのだろうか。俗に「災いは下から」というが、野村氏の場合「災いは妻から」って感じがする。惹句は「阪神」と「半信」の洒落。
「宇宙にムカイ、チアキ肉おどる。」
1998年(平成10年)11月8日(日)朝刊 AERA 11.16 No.46広告
 アエラ見出しには特に記述なし。1998年10月29日(日本時間30日)、向井千秋さんはスペースシャトル「ディスカバリー」とともにケネディ宇宙センターの発射場から宇宙にむかって一直線に打ち上げられた。4年目に引き続いて2度目。2度も宇宙に行った日本人はいなかったから、彼女がはじめての日本人宇宙リピーターとなった。同じ機に、1962年に宇宙飛行士だったグレン上院議員も乗っていた。初の老人宇宙飛行士である。帰還してから向井さんは「私も機会がある限りグレンさんのように夢を追い続けたい」と早くも三度目の飛行にやる気マンマン。そんなに行けばさぞかしマイレージも貯まることだろう。

 将来的には、地球以外の惑星への植民などもNASAでは考えているのだろうが、問題は宇宙での繁殖活動だろう。そろそろ、「無重力下での性行為実験」など開始しないのだろうか。惹句は、「向井」と「向かい」、「千秋」と「血沸き」の洒落。
「商品券、コウメイ盛大に配ってね。」
1998年(平成10年)11月16日(月)朝刊 AERA 11.23 No.47広告
 アエラ見出しに「商品券「天下の愚策」大合唱 これだけの理由」とあり。11月10日、自民党と公明党は幹事長会談で、個人消費を刺激するため、高齢者・低所得者と15歳以下の子供を対象に、一人当たり2万円の商品券を支給することで正式に合意。支給対象者は全国で約三千五百九万人、支給総額は約七千億円。元々公明党が押していた「商品券」構想だが、連立への色気も手伝ってか自民党も乗り、一挙に実現の運びとなった。実現したはいいが、現在(2000年2月)の時点では、この政策によって経済が上向いたという話しは聞かない。

 筆者も、あの当時公明党と似たような商品券構想をニセ首相ページで考えていたので、この当時の様子は覚えているのだが、問題となっていたのは、いかにして個人消費者を活性化して国内需要を上向かせ、市場に金を出回らさせるかであった。しかし、政府がいくら減税しようとも、
  1. 雇用情勢の悪化
  2. デフレ気味の経済状況
といった中では消費者は、減税分の金は使わずに貯蓄に回すと想定される。これではいくら減税しても市場には金が回らない。では一体どうしたらよいのか。そこで出てきたのが商品券構想だった筈である。要するに、貯蓄することができない不便なお金を作ろうというものだ。別の言葉でいえば、「ムダ使いせざるを得ない金」を消費者に渡すことが本来の目的なのである。おそらく、公明党でも最初に思いついた人間はそのあたりを考えていたのだろうが、常から「福祉の公明党」を標榜しているため、「弱者にやさしく」という味付けを加えてき、全体としての意図が分からない不可解なものになってしまったのだろう。98年3月30日の商品券構想の概要発表で、こんな記述がある。

日常生活に「有効かつ便利に使える」ように、五百円、千円券を単位に支給するとしている。使用範囲は日本国内のモノ、サービスすべてにわたる。スーパーや百貨店はもちろん、タクシーや映画、居酒屋、旅行費など何にでも使用できる。
(公明新聞1998年4月1日)

本来なら、こんなに便利にしてはいけない筈なのだ。500円単位で使えるなら、商品券でコマゴマした生活必需品を買い、浮いた普通のお金を貯蓄に回すようになるからである。小額で使えるようにするより、むしろ、一枚の額面を10万円などと高額にし、しかもお釣はもらえないと定めることで、ムダ使いを促進するべきだったのである。しかも、3月30日時点では、国民全員に一律3万円支給となっていたが、自民との合意の中で、上に述べたように支給対象が「高齢者・低所得者と15歳以下の子供」に変更された。おそらく、高齢者福祉と少子化対策と景気対策の一石三鳥をねらったのだろうが、「二兎を追うものは一兎も得ず」のたとえ通り、この変更によってますます本来の意図が歪められてわけがわからなくなってしまった。高齢者福祉が目的なのなら、わざわざ使いにくい商品券なんかを渡さなくても素直に現金をわたしたほうがいい。使うほうも便利だし、新たに商品券を作る印刷費もいらない。結局、儲かったのは商品券を印刷した印刷屋ぐらいのものだろう。

 惹句は、「公明正大」と「公明党」の公明、盛大の洒落。
「人の不倫見てわが不倫直せ。」
1998年(平成10年)11月23日(月)朝刊 AERA 11.30 No.49広告
  アエラ見出しに「「愛人」で潰れる男 潰れない男 菅直人、松方弘樹、クリントン、船田元の場合・・・/カギは(1)相手の女性が喋るか(2)不潔な印象か否か」とあり。1998年11月20日朝日新聞朝刊六面によると、

 民主党の菅直人代表は19日の記者会見で、一部週刊誌が元テレビキャスターの女性との不倫問題を報じたことについて、初めて釈明した。菅氏は「誤解を招く軽率な行動で申し訳ない」としながらも、「公私混同は思い当たらない」と述べ、法的措置を含めて対応する考えを示した。
 疑惑を報じたのは12日発売の「週刊文春」で、元キャスターと不倫関係にあると受け取れる記事を載せている。
とのこと、また、松方弘樹氏はこのころ不倫騒動が喧伝され、それがもとで12月28日には離婚している。船田元氏については平成8年、写真週刊誌に畑恵女史との交際がスッパ抜かれていた。結局このカップルは、翌1999年にゴールイン。5月に極秘挙式をあげている。クリントンについては、ホワイトハウス研修生という謎の肩書きをもつ、モニカ・ルインスキー嬢との「不適切な関係」が話題をよんだ。まあ、こっちに実害がないんなら不倫してもらっても一向に構いませんがね。上でも書いたが、不倫が原因で不景気になったり治安が悪くなったり、こっちに被害がでるようなら、政治家さんには宦官になって貰うしかないですな。惹句は「フリ」と「不倫」の洒落。

 そういえば、ニュースステーションに出演していていつのまにかいなくなっていた菅沼栄一郎さんて、おたくの記者でしたよね。確か平成8年頃には、貴誌「AERA」の副編集長もやってらっしゃいましたよね。

まさに「人の不倫見てわが不倫直せ。」

「連立は自自、刻々と変わります。」
1998年(平成10年)11月30日(月)朝刊 AERA 12.7 No.50広告
 アエラ見出しに「自自連立で笑っている省庁はどこだ」とあり。11月に入って、野中広務官房長官、森喜朗自民党幹事長が主導する形で自由党との連立政権樹立に向けた動きが加速。 一方、加藤氏、山崎拓前政調会長、小泉純一郎前厚相のYKKはこの動きに激しく反発。結局連立問題は年を越してしまった。かつて、自由党と民主党が一緒になって、銀行合併みたいに二つの名称をくっつければ「自由民主党」になる、などと言われていたが、自自合同となれば、「自由自由民主党」なのだろうか、「自由民主自由党」なのだろうか。後者だと略称が、「自民自党」となって、なんだか「自問自答」みたいでゴロがいいと思うが、どうか。惹句は、「時々刻々」の「時々」と「自自」の洒落。
「スパイしたのは誰ダ、イエー!」
1998年(平成10年)12月7日(月)朝刊 AERA 12.14 No.51広告
  アエラ見出しには特に記述なし。地元の地方紙西日本新聞の12月2日のスッパ抜きから盛り上がったスキャンダル。プロ野球福岡ダイエーホークスの選手と職員が、本拠である福岡ドームで相手投手の球種を事前に盗む という不正行為をを行っていたという疑惑。翌年1月18日にはパ・リーグ特別調査委員会(筧栄一委員長)が「疑惑の存在をうかがわせる心証は得られた」として、スパイ行為を事実上認める最終報告書をパリーグの原野和夫会長に提出した。

 で、根本的な疑問なのだが、「相手の球種を見破ること」ってそんなに悪いことなのか如何?捕手と投手がなにやら不思議なブロックサインで次の投球についてやりとりをしているが、そこに他人では判読できない暗号を使うということ自体「相手に見られても分からないようにする」という意志が働いているのは間違いがない。つまり、敵が球筋を見破ろうとしていることはあらかじめ想定済みなワケだ。本来のルールブックには暗号解読の禁止なんて項目はない。あるのは1984年に日本のプロ野球理事会で決めたスパイ行為の禁止と罰則のみ。言わばローカルルールでの紳士協定があるに過ぎない。しかもこの事件では、ダイエーの関係者が客席から写真に撮って敵のサインを解析した行為が、「スパイ行為」と言えるのかどうかも疑わしいのだ。

 たとえて言うなら、送りバントを警戒して前進守備をしているチームが、それでも敵にまんまと送りバントを決められた後で、「あのチームは汚い。バントなんかしやがった」と怒っているようなもの。

 もし、サインの盗みを警戒して、複雑化し、試合時間が長くなって困るというなら、アメフトでQBとコーチがワイヤレスで話しをするみたいに、捕手と投手が他からは聞かれないように暗号化された音声なり画像なりでコミュニケートできるような装置を作ればいい。そうすればひち面倒くさいブロックサインともおさらばできるだろう。サインを盗まれることもない。上記惹句は「誰だ、言え!」と「ダイエー」の洒落。ナンカイ聞いてもひタカくす。
「ボーナスにカットなる。」
1998年(平成10年)12月13日(日)朝刊 AERA 12.21 No.52広告
 アエラ見出しには特に記述なし。日経連が12月16日に発表したデータによると、調査できた22業種、271社のボーナス妥結平均額は、労働組合員一人あたり834,420円で、前年冬より1.6%減少。1993年以来、5年ぶりに前年比マイナスとなってしまった。この状況下で出来た惹句がこれ。「cut」のカットと「カッとなる」の洒落。なんだかんだ言っても、天下の朝日新聞社だもの。平均より貰ってんでショー?
「フレーフレー、デフレー日本。」
1998年(平成10年)12月21日(月)朝刊 AERA 12.28-1.4 広告
 アエラ見出しには特に記述なし。12月11日に、日本銀行の山口泰副総裁は「現状はデフレ的状態にある」と述べた。これは、初めて日銀自身が、日本経済はデフレ状態にあると判断していると認めたもの。日本銀行の12月7日発表の11月の卸売物価指数では、11月の国内卸売物価が96.6(1995年を100としたもの)と、前月比で2カ月、前年同月比では9カ月連続で下落した。こうなれば一気にデフレスパイラル突入!と叫ばれもしたが、何故か続く米国好景気になんとか支えられたのか破局はなんとか避けられてはいる。問題は、米国バブルがいつまで続くかだよなー。特にネットもの。アマゾンとかヤフーってどうなん?しかし、なんで「アマゾン」っていう名前なんだろうか。南米と深いつながりでもあるのか?そういえばアマゾンの社長って、ケビン・スペイシーに似てるよな。ハゲかたも似ている。ま、そんなことはともかく、上記惹句は「デフレ」と「フレー」の洒落。この洒落って、別にデフレでもインフレでもどっちでもいいんだな。便利な惹句だこと。

I.R. & R.P.(a) Mail: s-muraka@mail.t3.rim.or.jp


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