AERA惹句大全集
2000年版



「心が沸きタツ年にしたいね。」
2000年(平成12年)1月3日(月)朝刊 AERA 1.10号 広告

 干支にちなんだ新年早々の惹句。干支ものといえば、1994年1月10日の「イヌ年に忠犬8党 いがみ合う。」以来の作品。 上記惹句は「沸き立つ」と「辰年」の洒落。
「国債乱発、Y2Kより こワイツケ。」
2000年(平成12年)1月10日(月)朝刊 AERA 1.17号 広告

 「Y2K」とは言わずと知れた「2000年問題」のこと。「Year 2000」→「Year 2 Kilo」→「Y2K」とアメリカで略しだしたものが流布したものらしい。2000年問題も前宣伝が効いたのか、幸いなことに大きな障害も起きることなく済んだようだ。で一方の国債乱発問題だが、これは1999年12月24日の閣議で決定された2000年度政府予算案に端を発する。一般会計の総額は84兆9871億円で、前年度比で4%ほどの増。増額したのはいいけれど、低迷する景気の為に税金を上げるわけにもいかず赤字国債の発行額は23兆4600億円で、当初予算では過去最高。予算が増えたはいいけれど、国債は借金に過ぎないわけで早かれ遅かれ返済しなければならない。そんな中でできたのがこの惹句。「Y2K」と「こわいつけ」の洒落。
「タコの次はイカす知事がええなァ。」
2000年(平成12年)1月17日(月)朝刊 AERA 1.24号 広告

 アエラ見出しに「ポスト・ノック? 太田房江は酒豪アネゴ」とあり。ノック元知事のセクハラ事件については、既に1999年(平成11年)11月14日(日)朝刊のAERA 11.22号 広告惹句で「知事のセクハラ、タコついたで。」というものがあった。ノック氏は1999年12月21日に辞職したが、これにともなって2000年2月に府知事選挙が行われることになった。この候補者選びで大モメのモメたのが自民党。当初は自民党府連が推す中山正暉建設相(当時)が検討されたが、民主、公明各党などとの相乗り候補としてはクセが強すぎたようで自民党本部は断念。12月28日になって通産省審議官で元岡山県副知事の太田房江女史が急浮上した。しかし、独自候補擁立を目指す自民党府連は納得せず、中馬弘毅衆院議員を押し立てて反乱のノロシ。しかし、2000年1月7日小渕首相直々の出馬による説得で中馬氏は男泣きに泣きつつ出馬断念したという。この悲劇といっていいのか喜劇といっていいのかよく分からない幕引きで、自民党は太田候補に一本化された。上記惹句は「タコ=横山ノック」と「イカ」の縁語。
「アレフ思議、まだ「尊師」とは。」
2000年(平成12年)1月24日(月)朝刊 AERA 1.31号 広告

 アエラ見出しに「オウム変装 アレフは上祐教か」とあり。地下鉄サリン事件など未曽有の事件を引き起こしたオウム真理教は2000年1月18日に教団の名称を「アレフ」に変更して新団体を設立し、代表に現在の村岡達子代表代行が就くなどとする見解を出した。2000年1月18日の朝日新聞夕刊によると、この見解で

前代表・松本智津夫被告(四四)については「観想の対象、霊的存在」とし、新団体の教祖とはしないとしている。また、昨年末に広島刑務所を出所した上祐史浩氏(三七)はこの中で、一連の事件について「断定はできないが、教団執行部の見解として、開祖(松本被告)が関与したのではないかと思われるという認識で一致した」
と述べたという。また、この時期にオウムがらみの事件として「松本智津夫被告の長男連れ去り事件」が起こった。この事件は、2000年1月21日茨城県旭村箕輪のオウム真理教教団施設で、別の施設から来たと思われる信徒六人が、松本智津夫被告の長男(当時7歳)を連れ去り、信徒一人が住居侵入と暴力法違反の疑いで逮捕されたもの。行方不明になっていた長男は、1月23日神奈川県箱根町のホテルで保護された。その後の捜査で、茨城県警は、松本被告の次女(当時18歳)と三女(当時16歳)について住居侵入容疑で逮捕状を用意し、2000年2月20日茨城県警鉾田署に出頭してきたところを逮捕した。また、次女三女と対立関係にあると目されていた長女は4月22日に刃渡り九・三センチの果物ナイフを所持していた疑いで銃刀法違反で現行犯逮捕された。このような殺伐とした中で出来たのが上記惹句。「あれ不思議」と「アレフ」の洒落。

 ちなみに、「アレフ」から「アーレフ」に改称したのは、2003年2月6日のこと。教団のWebサイトhttp://www.aleph.to/によると、  

2月6日付で、「宗教団体・アレフ」は、ヘブライ語における「aleph」本来の正確な発音に従って、表記および発音を「宗教団体アーレフ」と変更することになりました。
zakzakのページhttp://www.zakzak.co.jp/top/t-2003_02/2t2003020815.htmlでは

「オウム」→「アレフ」→「アーレフ」に変更
「本来の正確な発音に従った」

 オウム真理教は7日、これまで「アレフ」としてきた教団の改称名の表記を「アーレフ」に変更した、と発表した。ヘブライ語のアルファベットの一文字目を指す言葉だが、教団は「本来の正確な発音に従った」としている。
ZAKZAK 2003/02/08

ZAKZAKの日付を見ると、マスコミで「アーレフ」と言い換えたのは2003年2月8日らしい。
「株高の真相はヤフーの中。」
2000年(平成12年)1月31日(月)朝刊 AERA 2.7号 広告

 アエラ見出しに「ヤフー株1億円の真相 最高3億5千万円説も。誰にもわからないカラクリ」とあり。朝日新聞2000年1月19日夕刊2面によると、

ヤフー株価が1億円台達成 急成長、ほぼ1年で10倍 日本初

 店頭登録しているインターネット検索最大手、ヤフーの株価(額面五万円)は十九日午前、前日比二〇〇万円高の一億一四〇万円のストップ高で取引が成立し、日本の株式市場では初めて一億円台の株価を達成した。
とのこと。ITバブル真っ盛りという感じ。ちなみに2003年8月5日の終値は1,970,000円。まあ、ITバブル崩壊下としては健闘している株価。とはいえ、孫氏系列の親元ソフトバンクはというと、2003年8月5日の終値は3,310円。2003年7月には、ソフトバンクの持つあおぞら銀の全株式48.7%の売却が正式決定し、売却額1011億円の大半をYahooBB事業に投入して捲土重来を目指すとのこと。yahooを含めたソフトバンクグループの正念場がいよいよ来たという感じだ。そうそう順風満帆とはいかないですわな。上記惹句は「ヤフー」と「薮」の洒落。
「ハッカーらずも侵入されました。」
2000年(平成12年)2月7日(月)朝刊 AERA 2.14号 広告

 アエラ見出しに「ハッカー激震 日本叩けの指令」とあり。この年、1月末から2月初頭まで省庁や地方公共団体、大学や研究期間のWebサイトの改竄事件が頻発した。一連の騒ぎの発端は1月24日の科技庁ページの改竄。朝日新聞2000年1月25日朝刊30面によると、

 科学技術庁のホームページが二十四日午後、外部の何者かに書き換えられていることが分かり、同庁はサーバーコンピューターを停止させた。英語でわいせつな言葉などが書かれ、そこから米国のアダルト系ホームページにつながるようになっていた。同庁で被害の程度を調べている。

 書き換えられたホームページには、黒い画面に赤い字でわいせつな言葉や日本人を差別する表現が並べられ、意味の分からない言葉もあった。また、文字の一カ所をクリックすると、米国の雑誌「プレイボーイ」が主宰するホームページにリンクするようになっていた。
その他の主な改竄被害は以下の通り。 上記惹句は「図らずも」と「ハッカー」の洒落。

 この改竄事件については、当時ニセ首相のネタの一つとして使ったのだが、その際に、報道されていた24日の科技庁サイトの改竄被害ページの複製をこしらえた。たまたまこの複製ページをまだ手元に保存していたので、当時の改竄騒動を偲ぶ意味で、このページを公開しておきます。

科技庁改竄ページ(複製)へのリンク

(補足)
複製のページでは、「Pseudo-PM」となっているが、本物の改竄ページでは別の言葉(それが何だったのかは失念)になっていた。また、「here」のリンク先が、この複製ページではネタで作った「ニセクラッキング」ページに飛ぶが、本物ではプレイボーイのページに行くようになっていた。
「東京では銀行カゼーが流行っています。」
2000年(平成12年)2月13日(日)朝刊 AERA 2.21日増大号 広告

 アエラ見出しに「慎太郎の銀行税 文句あるか」とあり。2000年2月8日朝日新聞朝刊1面によると、

東京都、大手銀に独自課税案 不良債権処理で納税免れ…見過ごせず

 法人からの税収急減で財政難に苦しむ東京都の石原慎太郎知事は7日、大手銀行に法人事業税をかける際に、最終的な利益ではなく事業規模に応じて課税する外形標準課税を新年度から導入する方針を発表した。不良債権を処理するために多額の損失を計上して赤字の銀行に対しても、事業活動に伴う利益全体を示す業務粗利益に2-3%課税する考えで、30行程度を対象に約1100億円の税収増を見込む。
とのこと。強気で臨んだ都知事だったが、17の銀行が東京都の外形標準課税条例は違法だとして都に税金の返還などを求めていた訴訟では、一審(2002年3月)・二審(2003年1月)ともに都の敗訴という結果がでている。しかし、これにもめげず、石原慎太郎都知事は上告する方針を表明。銀行側では、「勝てる」と踏み、勝訴の際に受け取ることができるであろう金額を算段して、「かなり利率のいい預金だ」と言っているとか言っていないとか。果たして都民の血税の行方や如何に。上記惹句は「課税」と「風邪」の洒落。

と、ここまで書いていて都が和解の方針を打ち出してきた。2003年8月15日の朝日新聞のページhttp://www.asahi.com/politics/update/0815/007.htmlによると

石原知事「両者納得の着地ある」 銀行税訴訟

 東京都が導入した外形標準課税に対して大手銀行が税の返還などを求めていた訴訟で、石原慎太郎知事は15日の定例会見で「両者が納得するランディング(着地)の形があってしかるべきだと思った」と語り、和解を検討していることを正式に表明した。

 知事は「金融機関の体力は条例制定時の予測を超えて低下している。両方の弁護団に色々話もあったんでしょう。都財政は逼迫(ひっぱく)しているが、経済全体を考えた」と方向転換の理由を語った。

 条例の意義も強調した。「都の努力が実り、国が外形標準課税をやるようになったことは地方自治体にとってプラス」と述べた。一方で、国の外形標準課税の税率が都の銀行税より低いことを踏まえ、「都としても国の動向をあわせて斟酌(しんしゃく)すべきだと思う」と述べた
果たしてどのような決着をみるのか。刮目して待たねばなるまい。
「お堅い大統領候補ですね、ゴアゴア。」
2000年(平成12年)2月21日(月)朝刊 AERA 2.28号 広告

 アエラ見出しに「米大統領選はe選挙 二番手候補の健闘」とあり。2000年1月24日、アイオワ州で共和党・民主党の党員集会が行われた。これが史上最悪の泥試合となった米大統領の始まりだった。当初は、クリントン前大統領が、民主党大会の中で、

「ブッシュ・テキサス州知事とマケイン上院議員には、多大な同情を禁じ得ない」。クリントン米大統領は十六日の記者会見で、自らの政権の実績を誇るとともに、政権奪還を狙う共和党候補に攻め手はないとの見方を示し、ゴア副大統領による民主党政権の維持に自信をのぞかせた。
(朝日新聞2000年2月18日朝刊1面)
と発言するなど、経済運営の順調さを盾に民主党が有利かと思われたが、その後に接戦に転じ、ゴア対ブッシュの一騎打ちで盛り上がった。だが、そのあまりの接戦さに2000年11月7日の一般投票でも白黒がつかず、果ては法廷闘争にまで持ち込まれる粘着質の争いとなるに至って、「いい加減にしろ」という世間の声しきり。特に勝敗のカギを握るフロリダでは、5週間に渡って法廷闘争と並行してダラダラと再集計が行われた。結局、12月13日夜にゴア氏がホワイトハウスから敗北宣言テレビ演説を行ってブッシュ氏が次期大統領として決着がついた。上記惹句は副大統領候補「ゴア」と固いものの形容語「ゴアゴア」の洒落。

 選挙戦の前のゴアの「固い」イメージというのは、真面目であまり冗談など言いそうにないという意味での「固い」だったが、選挙戦の後では「意固地」の意味での「固い」になってしまったようだ。しかし、この後味が良いとはいえない闘争の中で生まれた大統領が、後に2001年9月の同時多発テロ、2002年のアフガン戦争、2003年イラク戦争で超大国を統治していた点には、なんとも言えない歴史の綾を感じる人も多いだろう。実際、ゴアが大統領になっていたらその後の世界はどのように違ったものになっていたのであろうか。
「正義の味方は居ぬの?お巡りさん。」
2000年(平成12年)2月28日(月)朝刊 AERA 3.6号 広告

 アエラ見出しに「嘘つき警察 ノンキャリの不満 「庭に蛇」「夫婦口論」。こんなの仕事か。上は要領のいいやつばかり」とあり。1999年のアエラ惹句に「かなわん県ケーソツ本部。」という神奈川県警の不祥事を揶揄するものがあったが、今回は新潟県警の警察不祥事ネタ。キッカケになったのは、新潟県枕崎市での9年以上にわたる女性監禁事件の発覚から。2000年1月28日母親の依頼で佐藤宣行(当時37歳)宅を訪れた新潟県柏崎保健所と病院の職員が室内で身元不明の女性(当時19歳)を発見し、想像を絶する監禁事件が明るみにでた。この女性は1990年11月13日に拉致されており、9年2ヶ月ぶりの解放。この事件での県警の不祥事を列挙すると、 これだけのフルコースの不手際を見せつけられるとお腹いっぱいという感じ。しかし、この重大事件の当日に特別監察が行われていて、事件のために手抜き監察が明らかになるというの不思議な因縁だ。天網恢々疎にして漏らさずといったところか。 上記惹句は「犬のお巡りさん」と「居ぬ」の洒落。

I.R. & R.P.(a) Mail: s-muraka@mail.t3.rim.or.jp


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