ニセ元首相の顔ニセ元首相、渾身の所感表明

新選挙制度の導入について

 イギリスにおいて産声をあげた近代的な選挙制度は、今まさに崩壊の危機に瀕しています。投票率の低下は、実は日本だけの問題ではありません。政治への無関心を標榜する層の増加という減少は広く世界的に見られる現象なのであります。冷戦も終結し、世界の構造の大変動が起きつつあるダイナミックな時代に、何故に政治への無関心が世の中を覆いつつあるのでありましょうか。

 それは、おそらく選挙の制度に原因があると思われます。18世紀から現在までのめまぐるしいばかりの科学技術の進展や、それにともなう人間の用いる機械や道具の進化を思い起こす時、それに比して「選挙」という制度がほとんど全くと言って良いほど変化していないことに気づく筈です。人間の移動手段が、徒歩から自動車・鉄道・飛行機へと拡張された時代にあって、選挙制度は全くその姿を変えてはいません。この三世紀の間で生じた最も大きな変化が、「比例代表制の発見」だったというのですから、その保守的な性格は隠しようもありません。

 この保守的な性格が、選挙という制度を運営している我々の想像力の欠如に由来していることには議論の余地はないでしょう。我々はこの制度を腐敗へと押しやっている大きな問題を、それがあまりその制度の根幹に食い込み、いかにも自然なものであるために、選挙にとってそれは不可欠な前提であり、自明なことである、と見逃してしまうのです。その大きな問題とはいったい何か。それは「選挙区が地面によって分割されていること」なのです。

 昔から、選挙における腐敗の極端な例として、「ゲリマンダー」なるものがよく言われてきました。1812年アメリカのマサチューセッツ州の知事ゲリーが、選挙において自党を有利に導くため、選挙区を不自然な形にし、その形がサラマンダーに似ていたためにゲリマンダーという言葉が出来た、という話です。おそらく、国民の皆さんも社会科の授業で聞いたことがあるでしょう。この話が語られる時の前提は「選挙区は公正に区切られねばならない」ということです。本来ならば公正に、自然な形で分割されなければならない選挙区の区割りが、権力によって恣意的に線引きされたことが指弾されているのであります。しかし、我々は大きな事を見逃しています。それは「選挙区は必ずしも投票者が住んでいる場所を基準にして区割りをする必要はない」という点です。先ほどの「ゲリマンダー」の話でいうなら、不公正な区割りに憤る前に、そのように不公正な線引きを生み出す可能性のある「地面による選挙区の区割り」という制度を改善する方法を考えるべきなのです。

 そこで、われわれニセ内閣は新たなる選挙制度を提案します。それは、地面による区割りを廃止し、代わりに投票者の年齢によって区割りをするというものであります。この制度を採用するならば、現在われわれが直面している地域エゴの問題を解決することができるでしょう。全体の事を全く考慮に入れず、地元の利益だけを考えて、赤字が出るのがわかりきっていながら新幹線を通そうとする国会議員など、国会から駆逐されてしまうに違いありません。

 具体的な制度は次の通りです。

  1. 衆議院の定員は400人とする。
  2. 選挙の前に、最新の国勢調査の結果により、選挙権を持つ20歳以上の人口を400等分する。
  3. 一票の格差が大きくならないように、それぞれの選挙区に属する選挙権のある人数がなるべく同じになるように年齢設定をする。
  4. 上記の年齢による選挙区の区割りに基づいて選挙を行う。

 われわれニセ内閣は、この制度を導入する爲に不退転の決意であたる覚悟でおります。国民皆様のご理解とご支援をお願いする次第であります。


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