ニセ前首相の顔新聞販売制度の抜本的改革について

新聞販売制度の抜本的改革について

 かねてより「インテリが作ってゴロツキが売ると揶揄されていた新聞販売でありますが、訪問販売法等による対策にも関わらず、未だに問題は根絶されていないようです。インターネット上でも、悪質な新聞販売による被害の告発ページが散見されます(例えばこちら)。

 新聞社においても、さすがに危機感を持っていたようで、1998年にはこのような記事が書かれています。この記事によれば、悪質なセールススタッフを排除するなど新聞社としても努力はしているようですが、しかし、このような改革にも関わらず最初に掲げたページのような被害の話が途絶えることはないようです。

 民主主義社会にとっては、憲法、選挙制度や三権分立といった制度の確立とともに、世論を導いていく役割を担う「マスコミ」が、きちんと機能することが極めて重要です。しかし、その一翼を担う新聞社の経営基盤にこのような問題があることは、ちょっと大げさに言えば民主主義社会の危機といってもよいでしょう。掲載されている記事や論説によって消費者が購入する新聞を選択するのが本来あるべき姿であります。悪質な押しつけによって購入する新聞が決められるのでは、公正な世論の喚起を期待することは難しいと言わざるを得ません。

 一体、このような悪質な販売法が跋扈する原因はどこにあるのでしょうか。勿論、訪問販売法等の法律の厳正な適用によって個々の事例について対処することは可能ではありましょうが、それはあくまで対症療法であるに過ぎません。根本的な問題は2つあると思われます。まず1つは、現在の宅配制度です。駅売りやコンビニエンスストアでの販売では、消費者は自らその日に購入する新聞を見出しをみた上で内容を推し量り、購入するかどうか判断する事ができます。ところが、現在の宅配制度において、1ヶ月なり、半年なり長期に渡って新聞販売店と契約を結んだ場合、その契約期間内では、決まった新聞しか読むことができません。もう1つは再販制度が新聞に適用されている点です。この為に商品を売り込む際に、値引きを販売促進の手段にすることができません。

 新聞を売る側に立ってみれば、経営の安定のため、長期に渡って決まった収入が得られる宅配の契約をなるべく多くとることを考えることでしょう。その際、上に述べた2つの条件(1.顧客は日々の紙面を見て購入を決めるのではない事 2.新聞という商品は、値引きをしない一律の価格のものである事)をあてはめてみれば、販売促進活動において、商品であるところの新聞の中身とは直接関係のない洗剤やトイレットペーパーといった景品をばらまいたり、悪質な場合には押し売りめいた行為にまで至ってしまうのも理解できるというものです。他商品との差別化に際して、その商品の中身自体の質と、付けられる価格を用いることができないというのは、他の分野ではなかなかみられない事であります。

 新聞を再販制度の指定商品から外そうという動きは、かつて公正取引委員会が「再販問題検討小委員会」で問題とされたことがありますが、新聞業界側の強硬な反対にあって潰えてしまいました。その経緯については、同委員会のメンバーであった三輪芳朗東京大学教授のサイトに詳しいですが、このサイトの中の「「進歩的」で「民主的」な新聞こそが、 規制緩和を阻む最大の反動勢力である! 」というページ(初出:2001年が見える本 : あと5年で、すべてが変わる!?. -- 宝島社, 1996. -- (別冊宝島 ; 282))によれば、平成8年6月5日、衆議院「規制緩和に関する特別委員会」において、当時日本新聞協会の再販対策特別委員長であった、渡辺恒雄読売新聞社長は、

「国家行政組織法三条委員会の中で(中略)国家公安委員長は国務大臣でありますから内閣に責任を 負っております。公取委員長というのは、そのような意味で内閣に責任を負わず独立して権限を行使 するという団体であり、私はそのこと自体が憲法違反だと思うのであります(後略)」
と、公正取引委員会自体が憲法違反であるとまで言い切って、新聞再販制度を守ろうとしたといいます。

 しかし、民主主義の危機にあたって、このまま新聞販売制度の悪弊の根本を改革せずには、21世紀の明るい日本を築くことはできません。一度は、失敗した改革ですが、この失敗をむしろ好機とみなし、より深い点にまで立ち入って改革を断交せねばならないのです。我々が掲げる改革案は以下の通りです。

  1. 新聞を再販制度の指定商品から外す。また、新聞販売所が特定の新聞のみを販売することを禁じる

  2. 日本各地の野菜や青果、水産物などを扱う公設地方卸売市場にあらたに新聞市場を設ける

  3. 各新聞販売所は、この新聞市場で販売する新聞を仕入れることとする

  4. 新聞販売所は顧客と宅配契約を結ぶことを禁じる。ただし、訪問販売自体は禁止しない。
要するに、現在の野菜や魚介類の流通のあり方を当てはめてみようとするものです。新聞販売店は、新聞市場でその日の新聞を見、中身を判断した上でセリに参加する。そこで、購入した価格をもとに各販売店が独自に販売価格を定め、販売する。宅配制度についてはこれを廃止し、店頭売り以外に訪問販売する場合には、必ず複数のタイトルの新聞を持っていくこととします。ちょうど、鮮魚商が、いくつか魚を見つくろって顧客の家庭を訪れ、顧客はその中から必要な魚を購入する様子を想像していただければおおよそ御理解いただけると思います。参考として、我々がシミュレーションした、新聞市場の様子と新聞訪問販売の様子を以下に掲載いたします。


新聞市場の想定例

(売り手)
「はい、まず最初は地方紙の雄 秋田魁新聞だ、刷りたてのホヤホヤ! とりあえず第1版の1500部だ。上野の旅館なんかにゃ売れることまちがいなし 手始めに1部20円 シメて30,000円から はいどうだ!」

(買い手1)
「3万2千円!」

(買い手2)
「3万5千円!」
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(売り手)
「お次は、世界最多発行部数の讀賣新聞だ。御得意ネタ長島監督インタビューありだよ 松井の自主トレなど巨人情報満載!! ジャイアンツネタのない讀賣なんて、具のない味噌汁とおんなじだ、お立ち会い。巨人ファンにはバカウレ間違いなし。 さて、本日の朝刊第5版の5000部 一部50円 シメて250,000円から はいどうだ!」
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(売り手)
「さて次は好事家の間では垂涎もののレアアイテム、社会民主党の機関紙 社会新報だ! 限定20部刷りの第1版。今買わないと、もう手に入らなくなるよ、近々絶版のウワサ有りだ。 一部500円でシメて1万円から はいどうだ!」
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(売り手)
「さて最後に本日の目玉 朝日新聞だ。今日はスゴいよ、一紙抜きの大スクープだ!これ見てよ、これ。「雅子様御懐妊」の超特ダネ!この記事が読める朝刊は朝日だけだ。本日の朝刊第5版の5000部 一部200円 シメて1,000,000円から はいどうだ!」


* * * * (新聞市場での買い手の会話) * * * *


(A)
「いやぁ、しかし いくらスクープだからって朝日は高すぎだぁ。口明けから百万じゃちょっと手がでねえ。」

(B)
「でも皇室ネタなら、まずハズレはないからねェ。しかも、独占スクープだろ?やっぱり買いだよ。俺ァ、ちょっと第20版ぐらいまで待ってみて、買えるもんなら買ってみる」

(A)
「そうかい。そこまで待つと、配達が大変だがなぁ、大丈夫かい?」

(B)
「住宅地のほうならちょっと辛いが、俺ッちの店はオフィス街に近いから出勤の時ならなんとか大丈夫だ。」

(A)
「なるほどなぁ、鼻がキク奴はやっぱり違うねェ。そういや、おめえとこじゃあ、この間、産経だけが容疑者実名入り報道した時にもだいぶ儲けたらしいじゃねえか」

(B)
「まぁ、あん時はよかったがね。でも、今年も巨人が優勝しなかったから年間を見りゃ、讀賣と報知の損でトントンってとこだ」

(A)
「その損はウチも一緒じゃねえか。それで、得の方は無えんだからこっちは苦しいぜ、全く。」


新聞訪問販売の想定例

(新聞販売員)
「ちわー、新聞屋でーす。」

(主婦)
「あ、新聞屋さん。待ってたのよ、遅かったじゃない。」

(販売員)
「いや、スイマセン。ちょっと仕入れに手間取ったんで。でも、苦労した甲斐あって、今日はスゴいもんが入りましたよ。これ、どうですか奥さん、『雅子様御懐妊』スクープ。これ、朝日だけ。朝日でなきゃ読めません。」

(主婦)
「へぇ、朝日だけなの。で、おいくら?」

(販売員)
「500円、っと言いたいところだけど、奥さんのことだから、勉強させていただいて450円でいかがです?」

(主婦)
「450円!高いわねぇ。それに、ウチ、朝日はダメなのよ。タクが『左翼偏向新聞だ』って嫌うのよ。」

(販売員)
「いや、もうそれはひと昔前の話ですよ、『アカイアサヒ せめて桜色に』なんて言ってたのは。いまじゃ、中道も中道。中道が服を着て歩いているようなもんです。」

(主婦)
「そうなの?でもやっぱりダメよ。いくら何でも高すぎるわ。そっちのイッパイ残ってるの、産経でしょ?その一面の青いヤツ。イッパイあるじゃない。安くしときなさいよ。どうせ、今日は朝日ばっかり売れんだからさぁ。」

(販売員)
「いや、産経は固定ファンがいるんでそんなに余らないんですよ。この青くてイッパイ残っているのは毎日です。ま、これならせいぜい勉強させてもらいますけれども.....。」

(主婦)
「あら、そう。それ、毎日。じゃあダメねぇ。またタクに怒られるわね。」

(販売員)
「じゃあ、讀賣なんてどうです?右左でいうと大丈夫そうですけど。」

(主婦)
「うちアンチ巨人なのよ。」

(販売員)
「うーむ、新聞屋泣かせのご主人ですねぇ。左嫌いでアンチ巨人ですかぁ。やっぱり 産経にしときますか?」

(主婦)
「そうねぇ。あ、ちょっと日経見せて。今「私の履歴書」って池部良さんなのね。私、彼のファンだったのよ。日経にしようかしら。おいくら?」

(販売員)
「今日は一部135円です。」

「ちょっと高いけど、ま朝日よりは安いわね。いただくわ。じゃあ、これ。ちょうど135円ね。ご苦労さま。」



 想定例、いかがだったでしょうか。この改革によって、今までとは違い、家にいながらにして多様な新聞を選択し購入できるようになることを納得していただけたと思います。これにより、内容や価格としった商品の本質面での競争が強まり、我が国の報道機関のさらなる進化発展が期待できるのです。民主主義社会の危機を克服するこの改革に国民の皆様の御理解と御協力をお願いいたします。

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