ニセ首相の顔新しい政策遂行の方法について

新しい政策遂行の方法について


 思いもかけぬ展開から平成13年4月26日に首相に指名され、身も引き締まる思いであります。総裁選挙への立候補時では、かなり不利な状況であったにも関わらず、選挙運動開始からの党員、ひいては国民の皆様の熱烈なる支持のおかげで、この栄誉ある責務を引き受けることとなりました。

 この総裁選挙で学んだことは、政治家にとって最も大切なのは何といっても国民の支持を得ることである、ということでした。国民全体の変革を求める声が総裁選挙の熱気の中で吸い上げられ、私への支持となったものだと自負しております。そして総裁選挙における熱気が、低迷気味であった我が党への支持率を押し上げる結果となった事も、誠に喜ばしいことであります。民主主義政治において活気あふれる政治活動の源となるのは、やはり白熱した選挙戦であることを再確認させていただきました。今回の総裁選挙では投票する権利を有するのは自民党員のみであったにもかかわらず、各種報道では「民意による後押しで大逆転が起きた」という論調も見られたたことが、この自負を裏付けてくれていると思っております。党内に限定された選挙であったのに、この総裁選に関しては国民の意思が反映されていたと見なされたのであります。

 考えてみれば、国民の声を国政に吸い上げる制度が、必ずしも衆院選挙と参院選挙だけでないことが明らかになったのは画期的な事です。今回の総裁選挙のように、政権与党党員による選挙によって国民全体の民意をくみ取る事ができるならば、わざわざ法を改正して「首相公選制」を制定しなくとも、政権与党内の選挙さえ実施すれば実質国民の総意を得たと見なしうる筈です。さらに、なにかしら国政で政策を実行する際にも国民投票をせずとも、政権与党党員によるその政策の可否についての選挙さえ行えば、国民全体の意思を問うたことになります。国政における意思決定で、最も重要な事は国民全体の意思を問うことです。言いかえれば、「国民全体が、自らの意志によって国政の判断がなされたということを、はっきり自覚させること」が重要なのです。誰だかわからないけれど、「お上」の人が判断してくれているだろう、といった他人まかせな態度で国民が国政にあたっている限り、どのような良策を以てしても国勢を向上させることはできないでしょう。良策がいくらあろうとも、国民全体が主体的に国政に参加しようという意志を持たない限り、その策が機能することはあり得ないのです。もし、党員選挙によって国民全体の国政に対する意識を覚醒させることができるならば、これほど革命的な事はありません。

 もちろん、選挙さえすればいいという訳ではありません。今回の党選挙でも、何の波瀾もなく国会議員の多数派たる派閥の推す候補がすんなり首相に決まっていれば、国民全体の関心事にはならなかったでしょう。先にも述べたように、「白熱した選挙戦」でなければ、そもそも国民の関心を呼ぶ事はありませんし、選挙の結果も民意を反映したとはいわれないでしょう。とにもかくにも、選挙自体をもりあげて「国民の関心事」にしなければならないのです。

 では、どのようにすれば選挙を盛り上げることができるのでしょうか。ここで、注目に値するのは「悪役」の存在です。今回の党選挙では、最大派閥の橋本派の動きが、国民の目には「なにやらいかがわしい陰謀のうごめき」とみなされていたようです。とくに派閥の重鎮野中氏は見事な黒幕ぶりを発揮されていました。元来、人は誰でも「ヒーローが最後には悪を倒す」というストーリーを好むものですが、判官びいきな傾向の強い我が国ではとくに、「最初は虐げられいじめられながらも堪え忍んでいた主人公が、ついに立ち上がって悪を倒す」というストーリーを好みます。有名なところでは「忠臣蔵」がそうですし、「東映のヤクザ映画」や、「ヒーロー物のアニメ」等も多くはこの形式をふんでいます。吉良上野之介のイジメが憎たらしければ憎たらしいほど、また高倉健が悪役のヤクザに理不尽な仕打ちを受ければ受けるほど、それに対する復讐シーンが盛り上がることはご経験の方も多いことでしょう。「ドラゴンボール」でも、敵が強ければ強いほど、そして悟空が痛めつけられれば痛めつけれるほど、その後の逆転戦闘シーンに興奮する筈です(余談になりますが、今回の総裁選挙において圧倒的不利が伝えられていた時、各都道府県の自民党員の皆様に対して、私は心の中で「地方の自民党員のみんな、オラに票をわけてくれ」と念じたものです)。

 今回の総裁選挙でも、「悪役」たる橋本派、とくに野中氏による派閥を単位にした票固めに、選挙前は圧倒的に不利とされた弱小候補者が都道府県の党員による投票によって逆転をする、という日本好みのストーリーに上手くハマったためにこれほどの国民的熱狂を呼んだのでありましょう。泥沼化しつつあるデフレ経済の中、問題解決の為には「苦い薬」も必要となり、国民の皆様に様々な負担をおかけすることになるかもしれません。その時に、必要となるのは国民からの支持です。この支持を得るために、「苦い薬」政策を行うに当たっては今回の総裁選挙のような形で政策に対する可否を党選挙にかけ国民の意思を問うて行きたいと思っております。党選挙のしくみは以下の通りです。


  1. 自民党の役職に、新たに「悪役」ポストを設ける

  2. 政策を策定し国民に発表

  3. 「悪役」による卑劣な反対(買収、マスコミ工作、怪文書、拉致拘束など)

  4. ほぼ悪役の思惑通りに事が運び、政策が捨て去られようとする

  5. 一発逆転を狙って党総裁(首相)が政策に関する党員投票を提案、実行される

  6. 悪役による多数派工作が功を奏し、選挙でも優勢

  7. 党総裁(首相)による党員への印象的な演説。流れが変わる。国民全体からの関心も盛り上がる

  8. 地方党員による予備投票の結果、悪役が劇的に敗れさる

  9. 国民の政策に対する支持率が向上する


 何といっても重要なのは、「悪役」です。当面は先の総裁選挙で見事な悪役を演じた野中氏が大役を引き受けられることになるでしょうが、引退が噂されている氏の後継者を一刻も早く育成しなければなりません。「仁義なき戦い」の金子信雄さんのイヤらしさや、「WWF(World Wrestling Federation)」オーナーであるビンス・マクマンの傲慢さ、「宇宙戦艦ヤマト」のデスラー総統の冷酷さ等を体現できるような素晴らしい悪役を育てることができるかどうかがこれからの国政を左右すると思われます。映画でも演劇でも、「悪役が上手ければ芝居が映える」、といいますが、政治の世界でも同じ事が言えるでしょう。

 国民の政治参加熱を向上させる施策の実現の為、国民の皆様の御理解と御支持をよろしくお願いいたします。

******************************
戻る