ニセ首相の顔首相公選制度について

首相公選制度について


 平成十三年五月七日の首相所信表明演説でも申し上げましたが、我々は現在首相公選制度の導入を真剣に検討しております。今月(2001年6月)上旬には、首相公選制についての私的懇談会を発足させる予定であります。

さて、先日の所信表明演説において、私は首相公選制についてこのように申し上げました。

「抜本的な改革を進めるに当たっては、様々な形で国民との対話を強化することを約束します。対話を通じて、政策検討の過程そのものを国民に明らかにし、広く理解と問題意識の共有を求めていく「信頼の政治」を実現してまいります。(中略)さらに、国民の政治参加の途を広げることが極めて重要であります。首相公選制について、早急に懇談会を立ち上げ、国民に具体案を提示します。」
国民の政治参加の途を広げるための手段として、我々は第一に首相公選制の導入を目指すこととしました。昨今では国政選挙の度に投票率の低さが話題となり、決まり文句のように「政党への不信感」が新聞記事の見出しに躍り、「無党派層」をいかに取り込むかが選挙の結果を左右すると叫ばれています。このように国民の間に政治不信が蔓延している現在の情況で、果たして抜本的な構造改革の断行などできるでしょうか。既得権益を守ろうとする反対勢力から改革者を守るのは国民広範囲からの支持以外にはあり得ません。しかし、国政に対する無関心が行き渡っている中では、そういった国民全般からの支持など得られる筈はありません。ではいかにして国民の政治に対する関心を高め、支持を得るのか。その方法として第一に検討をしているものが「首相公選制」なのです。

 現行の首相選出のプロセスの問題とされている主な点は以下の通りです。


  1. 首相選出に際して、必ずしも民意が反映されているとはいえない。

  2. 国民一般の間で、かなりの不人気となっても衆議院選挙がない限り首相の任期について国民の手ではどうすることもできない

  3. 上記1,2により、国民の政治に対する無力感が蔓延し、ひいては興味も失われてしまう。
こういった問題をクリアし、国政に対する閉塞感を打破する方策が首相公選制なのです。国家の最高権力者たり総理大臣を国民自らの手で選出できるようになれば、自然に国政全体に対する関心も高まることでしょう。首相選出選挙にあたっては高投票率が見込まれますし、また、現在の地方公共団体の首長に対するようなリコールを国政にも導入することとなれば、上記2の問題も解決されます。こうして国民の間に国政への関心が高まり、その中の選挙で首相が選ばれれば自然「総理大臣」という地位の権威が増し、長期的な国益を見据えた抜本的改革を為す上で大きな力となること間違いありません。

 しかし、この「首相公選制」とは言わば「劇薬」と言うべきものであり、また多くの問題を抱えていることも事実です。以下のようなデメリットがよく喧伝されていることを述べておかなければ公平を欠くこととなるでしょう。

  1. 必ずしも政治的な能力を持っている人物が選ばれるとは限らない。知名度が高い人物が能力に関係なく選ばれることになりかねない

  2. 中長期的な国家のビジョンによるのではなく、近視眼的で財政に無理な負担を強いるような、所謂「バラマキ政策」が選択される恐れがある。

  3. 衆参議院選挙に加えて首相選出選挙が行われれば、さらに選挙に用いられる政治資金が増す。

  4. 首相の所属する政党と与党が異なる場合、スムーズな公務執行が困難になる場合があり得る。

  5. 閣僚任命権等の権限が首相に集中し、独裁色が強くなる可能性がある。
 これら5つの欠点は非常に重要な問題点であります。何といっても事は国家の舵取りをする「首相」職に関わり、あまりな短兵急の改革によって、後に大きな問題が生じたとすれば、取り返しのつかないことになってしまうのです。これらの欠点は見過ごしてしまうにはあまりに大きな問題を含んでおり、最悪の場合には民主主義の崩壊を招きかねないことも確かなのです。

 しかし同時に国民の政治に対する不信感を払拭する根元的な改革が必要とされていることも明かです。「制度」とはあくまで人間が考えるものですから、どこかに欠点はあるものです。どのような制度であっても「完璧」ということはありません。あまりに新制度に対する欠点に過敏になってしまうならば、制度改革はいつまでたっても実現できないでしょう。

 ではどうすればよいでしょうか。

 ここで発想の転換が必要です。これまでの「首相公選制」に関する議論においては、「首相は必ず一人でなければならない」という前提を当然の事としてきました。このために、首相選出の制度もただ一つに決定しなければならなかったわけです。しかし、この前提こそを疑うべきなのではないでしょうか。現在の議論では、首相公選制の是非について結論を出せない状態です。ならば、いっそのこと現行の首相選考制度と新しい選考制度を並行して試行し、両者のメリット・デメリットをきちんと見極めてみるというのが自然な考え方の筈です。このまま机上の空論を重ね、ああでもないこうでもないと頭をひねるだけでは抜本的な改革などできる訳もありません。

具体的には以下の通りです。
 当面は両制度を試行し、評価することとなりますが、実際に運営してみて、どちらかの優位性が明らかになれば、その制度に一本化することになるでしょう。また、両制度を並行して行うほうが一本化するよりも機能的であると分かれば、二首相制度をそのまま本採用することになるでしょう。ともかく、何事も実際に動かして見なければ本当のメリット・デメリットは顕にならないものです。あらゆる経済活動の中で、競争を通じた合理化を推し進めるべきだという声が高まっている昨今、首相選考制度においても、まずは二つの制度を争わせてみることこそが、理にかなった選択であると思われます。

 国民の政治参加熱を向上させる施策の実現の為、国民の皆様の御理解と御支持をよろしくお願いいたします。



********** 参 考 **********

「NRJ・NDJ統一総理級大臣戦(2004年5月)」実況中継(想定例)

アナウンサー「さあ、いよいよ本日のメインイベント、「NRJ・NDJ統一総理級大臣戦」が始まろうとしています。「NRJ日本総理級大臣」の小泉純一郎と「NDJ日本総理級大臣」の橋本龍太郎の一戦。ここ満員の東京ドーム、つめかけた観客のボルテージも最高潮に達しています。解説は加藤紘一さんです。さて、今日の試合の展望、お聞かせいただけますか」

加藤紘一「そうですね、なんといってもこれまでの両者の泥沼の抗争を見れば、激しい試合になることは火を見るよりも明かですね。かつて総理大臣であった小泉を、権謀術数の限りをつくし派閥の数の力で首相を辞めさせた本人が橋本ですからね。」

「ええ、そのあと小泉は初代の「NRJ日本総理級大臣」に就任したんですよね」

「とにかく、第一回目ののNRJ日本総理級大臣選挙における小泉氏の得票率はスゴかったですよ。何しろ85%も取っちゃったんですから」

「試合前のインタビューでも、小泉氏は『首相を辞めさせられた時の悔しさは忘れられない。今日こそその恨みを清算する日だ。この東京ドームで橋本をツブしてやる』と気勢を上げていました。まさに、「遺恨凄惨」といった様相です。」

「うーん、『東京ドーム』、『橋本』、『遺恨凄惨』と聞くと何かイヤな予感がしますね。まさか、藤波元官房長官が乱入して、無理矢理「引き分け裁定」するなんてことは無いでしょうが......。」

「は?.....。いや、それは「藤波」違いかと.....。ま、それはともかく、いよいよ選手の入場のようですよ。リングアナのコールです」

リングアナ「ただいまから、60分一本勝負「NRJ・NDJ統一総理級大臣戦」を行います。赤コーナー、140パウンド衆議院神奈川11区、小泉純一郎!」

「オペラ好きの小泉氏、登場テーマはワグナーのワルキューレという分かりやすい選曲です。セコンドには盟友田中真紀子女史が控えています」

リングアナ「青コーナー、150パウンド衆議院岡山4区、橋本龍太郎!」

「一方、橋本の入場曲は「銭形平次のテーマ」です。なんと橋本、三度笠スタイルで入場です。『龍さま』と呼ばれるだけあって、なかなか股旅姿が似合いますね。」

「往年のガッツ石松を思い出させますよ。こちらのセコンドの野中広務も眼光鋭く周囲を見渡しています。迫力ありますね。」

「さあ、いよいよ注目の一戦、第一回NRJ・NDJ統一総理級大臣戦、今まさにゴングが鳴らされようとしています。」

ゴング「カーン」

「加藤さん、序盤戦ですがどのようになるとお考えですか?」

「そうですね、何といっても両者政治生命をかけた大一番ですから、序盤はお互いまず様子を見て慎重にいくと思いますね」

「加藤さんのお言葉通り、両者静かな立ち上がり。まずを手を取り合って隙をうかがっています。」

「持久戦となってしまえば、どうしても派閥所属の議員数で勝る橋本に分があるでしょうから、小泉は勢いよく攻めたいところでしょう」

「まずは、橋本が仕掛けた。「橋龍流し目攻撃」だ。もう一回「橋龍流し目攻撃」、さらに「橋龍流し目攻撃」。小泉、ちょっといやがっています。」

「「橋龍流し目攻撃」、5年前ならフィニッシュ技だったんですがねぇ....。」

「今度は逆に小泉が、「バロック風パーマ責め」を見せた。観衆どっと沸きます。」

「うーん、ここらへんに技のキレの違いが見られますね。今、ホントに伸び盛りの小泉、「バロック風パーマ責め」は比較的軽い技ですが、これだけで観客をうならせますからねぇ。」

「おっと、ここでセコンド野中、なにやら動きを見せています。あ、誰かをリングサイドに呼び寄せましたね。これは?なんと、森喜朗氏だ。野中、なにやら森氏に耳打ちしています。」

「小泉君、ちょっとこっちに来なさい」

「ん?森氏、小泉をリングサイドに呼び寄せた。」

「何といっても、森氏は派閥の領袖ですから、小泉も従わざるを得ないでしょう。」

「小泉、リングアウトして森氏のもとへ。と、野中、小泉の背後へ回った。あっゴルフクラブで小泉の側頭部を殴った!これは汚い、汚いぞ!。」

「いやぁ、野中、ヒールの面目躍如といったところですね。」

「森氏をオトリに使うとは、さすがに小泉も油断しましたか?」

「しかし、「森と言えばゴルフ、ゴルフと言えば森」ですからね。ゴルフクラブでの凶器攻撃に思いをいたさなかったのは、小泉のミスでしょうね。」

「小泉、場外でダウンです。これを見て橋本もリングアウトしてさらに攻めようというところ。おっと、小泉のセコンド田中がリングインです。」

「そうですね。ここで、田中が時間を稼いで小泉を休ませることが必要ですね。素晴らしいコンビネーションです。」

「田中、まずは橋本に平手打ち、一発、二発。橋本、膝をついた。そして、田中、トップロープに登って大きくジャンプ、得意の「ダイビング外務官僚バッシング」だ。橋本ダウン!」

「しかし、このワザは諸刃の剣ですね。田中も立てないようだ」

「田中、「外務官僚バッシング」は自分へのダメージもかなり大きいようです。一方橋本もダウンしたまま。両者リング上で、身動きできません。お、野中がなにか大きな身ぶり。誰かを呼んでいるんでしょうか?」

「呼ばれたのは鈴木宗男ですか。橋本派の情報収集能力はすさまじいですからね。何か小泉・田中組の急所を調べさせていたんじゃないでしょうか」

「そうですねぇ。野中、満を持してリング上に登場。田中に対して、何を見せてくるのか?おっと、まずは、「アーミテージすっぽかされてご立腹攻撃」、さらに、「税金追徴攻撃」。セコンド田中袋叩きだ。小泉はまだ場外で倒れている。小泉組ピンチ!さらに、今度は立ち上がった橋本が、見せるか?見せるか?、出た!「ダウナー豪外相へ問い合わせ攻撃」だ!これは効いた、これは効いた。橋本組猛攻!橋本組猛攻! 相手のセコンドをまずは責め立てています。」

「将を射んとすればまずウマを射よ、といったところでしょうか」

「田中なんとか立ち上がって場外に逃げる。「事実無根だ」とレフェリーにアピールしています。」

「小泉側とすれば、ここでちょっとインターバルをおきたいところですね。流れを断ち切らなければなりません。」

「野中がリングアウトして、リング上にはただいま橋本選手一人だけです。ああ、ここでようやく小泉が立ち上がった。」

「頭への攻撃でしたからね。ちょっと足がまだフラついているようですが..。」

「小泉なんとかリングイン。大丈夫でしょうか?」

「小泉側として、ここしばらくは、のらりくらりと相手の攻めをかわして仕切り直したいところですね。」

「加藤さんの予想通り、小泉、体を預けて相手に攻めさせません。おっと、小泉が寝技に持ち込んだ。」

「小泉のこの攻め、いいですよ。体力を温存しつつ、少しずつでいいからダメージを与えたいところですね。」

「橋本の古傷、「1997年消費税率アップによる景気低迷」と「1998年参院選惨敗」をしつこくじっくりついていきます。橋本、かなりのダメージだ!苦しそうな表情です。ここで、小泉がフォール。おっと野中がカットに入った。これに怒った小泉、野中に対して、「特定郵便局長攻撃」、場外に放り出した! 振り返りざま、立ち上がった橋本に「道路公団解体ラリアット」。流れるような展開です。」

「橋本組一気に劣勢ですよ。注意しないと。」

「場外では、野中に対して、田中が「派内若手焚き付けアタック」だ。野中、足下があぶない。勢いをかって田中もリングイン、橋本をロープに振った!小泉・田中のツープラトンで、「地方交付税交付金大幅カットスープレックス」! 小泉がフォール、1、2、...、カウントツー。橋本なんとか逃れた。橋本なんとか逃れた。いや、危ないところでした」

「今、大技の「地方交付税交付金大幅カットスープレックス」が出ましたが、観客席の地方公共団体の首長からはブーイングが出ていたようですね。」

「まだ攻める小泉、橋本を抱えてロープ際へ。そして、場外にほうり出した。小泉も橋本を追ってリングアウトです。」

「お、野中と田中がリング上でにらみあってますよ。」

「小泉と橋本が場外で争っている間に、リング内では、セコンド野中と田中が激しい争い。互いに平手打ち連打だ。」

「いやあ、田中にとって野中は言わば親父のカタキですからねえ、気合の入り方が違うと思いますよ。なんと言っても元は父の作った田中派。それが乗っ取られて現橋本派になったわけですからね。その橋本派の重鎮野中への対抗意識はすさまじいものがあるでしょう。」

「しかし、ここでは野中の攻勢。田中に何をしかけていくか。足を取って、おー、ここで伝家の宝刀「派閥固め」だ。アキレス腱にがっちり入った!田中、顔をゆがめています」

「「派閥固め」は、田中真紀子女史の父、角栄氏の得意技でしたが、これは歴史の皮肉を感じますねえ。」

「あ?がっちり入ったように見えた「派閥固め」ですが、田中、腕の力で体勢をなんとか持ち直しています。そして、そのまま何と技を返してしまいました。」

「うーん。全盛時の野中の「派閥固め」ならこんなことは考えられないですよ。いかな野中選手といっても、さすがに衰えは隠せないのかもしれませんね」

「ここで、田中・野中がリングアウトするのと入れ替わりに、場外から小泉が、そして橋本もリングインだ。」

「さあて、いよいよ正念場という雰囲気ですね。勝負所だと思いますよ。」

「加藤さんの言葉通り、両者気合いの入れ直しといった様相だ。まず橋本が小泉の足をとって、「郵便事業公社化固め」に行こうかというところ、おっと小泉見事な反転から、橋本の腕をとって、どうする、来た!「小泉メールマガジンホールド」だ!橋本動けないぞ、そのままレフェリーカウントを取る、1、2、なんとか橋本、肩を上げた。しかし、強烈な「小泉メールマガジンホールド」、まだ立てません。」

「まだ腕が痺れてますね。小泉はここで一気に決めたい。」

「小泉、リング中央で仁王立ち。あ、ニーパッドを外して、観客席に投げ入れた!」

「ついに出るか!ポリティカルエンタテインメント最高の美技が出るのか?!」

「小泉、ついにフィニッシュ技「ピープルズハイポピュラリティー」を見舞った!!小泉、フォール!これは決まっただろう!これは決まっただろう!レフェリーカウント、1、2、あーっと、野中がレフェリーの足をリングの外から引っ張ったぞ、カウント2!、カウント2!ここでゴング、ここでゴングです。レフェリー、橋本の反則負けを宣言だ。小泉勝利です。しかし、反則勝ちではタイトルは移動しない!!反則勝ちではタイトルは移動しない!!無念小泉、勝ったとはいえ、おしいところでNRJ・NDJ統一ならず、小泉悔しがってます。」

「衰えたりとはいえ、さすが野中。名は捨てたとはいえ実は取ったというところでしょうか。」

「解説は加藤紘一さんでした。物凄いブーイングで騒然とする東京ドームから、この辺で失礼いたします!」

******************************
戻る