ニセ首相の顔FIFA WORLD CUPの審判問題について

FIFA WORLD CUPの審判問題について


 2002年5月30日に開幕した「2002 FIFA WORLD CUP Korea Japan」も6月30日に盛況のうちに無事フィナーレを迎えることができました。この大会の運営に携わった全ての方々の尽力に対して感謝の言葉を捧げたいと思います。また、様々な国を代表してやってきた選手たち、そしてそのサポーターの方々に対し、私たち国民全体が惜しみなく温かい声援をあげられたことをホスト国として大変誇りに思っております。

 さて、盛況に終わったとはいえ、今大会はこれからのワールドカップ運営に大きな宿題を残したことも事実であります。チケット問題、会場設営などの大会開催に関わる巨額の費用、高騰する放映権問題、試合数の増加による選手の負担の増加。こういった数多ある問題の中でも今大会の焦点となったのは、審判と判定に関わる問題でしょう。この問題は、試合の質に直結しているだけに、大会の意義をも左右しかねない深刻かつ重大なものです。FIFAとしても、この問題を重視しているのは間違いないようで、6月22日の韓国−スペイン戦(延長で2度ゴールネットを揺らしたスペインに対し、審判は2度ともその直前のプレーに対し、ボールアウトとオフサイドと判定)の後、ブラッターFIFA会長は「明らかな得点というケースが2度あった」と審判の判定を批判しています。また、エルジクFIFA審判委員長は6月23日、ワールドカップ中の審判の判定に関するコメントを発表し「懸念される審判のミスが1つ2つあった」と誤審を認めています。

 この問題の解決の為、我々は積極的に提案をしていくべきだと考えています。確かに、スポーツの一競技のルールや運営方法に一国が関わるのは異例なことではありますが、誤審問題がクローズアップされた大会の開催国として、この問題の最終的な解決まで関与を続けるのは当然の責務と言えましょう。また、フットボールの世界的な普及度を考えればこの競技の公明正大さを維持し高めることは、非常に大きな国際貢献になることも明らかであります。

 さて、現在のところ誤審防止の対策としてどのような案が考えられているのでしょうか。巷間で最も話題になっているのはビデオ判定の導入です。メジャーなスポーツでビデオ判定が導入されているものといえば、アメリカンフットボールをあげることができるでしょう。また、わが国では大相撲の判定に導入されています。今回の大会での誤審のいくつかは、ビデオ判定を導入できれば回避できたでしょう(例えば韓国-スペイン戦でのホアキン選手のクロスボールについて)。しかし、ビデオ判定導入についてはFIFAは否定的です。元フランス代表主将で、ワールドカップ98フランス大会の運営委員長も務めたミシェル・プラティニ氏は、FIFAのウェブサイトで、「私には、ビデオ判定が解決策になるとは思えない。ボールがラインを割ったかどうかを判断するためにビデオを導入すれば、ファウルやオフサイドや警告の判定のたびに使わざるを得なくなる。不可能だ」と語っています。確かに、短いプレーの積み重ねで競技が進行するアメリカンフットボールや、長くとも5分で決着がつく大相撲と異なり、フットボールにおいては45分ハーフ内でのプレーの連続性に醍醐味があります。競技中にビデオ再生の為に時間が割かれると、著しく興趣をそぐ結果になることは否定できません。判定の正確性とゲームの面白さのバランスを考えると、FIFAのこの判断も間違いであるとは言えないでしょう。ではどのようにすればよいのか。再び、プラティニ氏の意見に耳を傾けてみましょう。氏はまた、このようなことを述べています。

「ゴール裏に予備審判を置く案に賛成だ。特に審判員不足の問題がない主要大会では、ゴール裏の予備審判がライン際の判定をするのが理想的だ」
氏は現行制度よりも審判の人数を増やすことを提案しているのです。これは、考慮に値するアイデアです。

 ここで、今大会で誤審問題がここまで大きくクローズアップされた原因について考える必要があります。確かに、判定の誤りが問題とされているのですが、その中でも、ある特定のチームに関して継続的に不利な判定がされているようにみえたり(例えばイタリアチームの対クロアチア戦から韓国戦まで)、またある特定のチームに関して継続的に有利な判定がされているようにみえる(例えば韓国チームの対ポルトガル戦からスペイン戦まで)点こそが、誤審問題がここまで大きくなった原因だと思われます。となれば、この問題の焦点は、判定の絶対的な「正確さ」というよりも、判定の「公平さ」にあるというべきなのです。もちろん、完全に正確な判定が常になされていれば公平さも同時に実現できるのですが、上記のようにフットボールの面白さをスポイルすることなくスピーディーなゲームを実現しようとすると、判定の正確さだけを極めることは難しそうです。ならば、正確性には少し目をつぶっても周囲から「公平である」と認められるジャッジを実現することで、問題を(完全とはいわないまでも)解決できるのではないでしょうか。この公平性の実現に対して、プラティニ氏の提案は大きな示唆となりました。我々の改革案では、氏の提案から、さらに審判の数を増やすことで公平性を実現しようというものです。骨子は以下の通り。 このように大陸別加盟協会ごとに審判をそろえることで、今回の大会において遺憾ながら噴出してしまったような審判買収疑惑が沸き起こることを避けられるでしょう。これまでは、ゲーム内の個別のジャッジは主として一個人によってなされてきました(ライン際のボールのイン/アウトとオフサイド判定は第2審判、それ以外の判定は主審)。この場合、今大会のようにミスジャッジが立て続けにおこった場合、周囲からは審判の技量に対する不審の念を越えて、買収等によって故意に不公平なジャッジがなされたのではないかという疑念が生じやすくなってしまいます。我々のこの提案が実現できたとしても「審判の判断」という人間の行為が介在する限りミスジャッジを根絶することはできないでしょうが、少なくとも「故意に不公平なジャッジがあった」という周囲からの疑念を抑えることはできる筈です。ビデオ判定のようにスピーディーさを損なうこともありません。

 我々は、上記のようにまず公平性の確保の方策として審判の増員というアイデアを創出しました。そして、増員された審判を利用する、さらなる改革案を用意しました。その改革の焦点とは「PK戦の破棄」です。トーナメントの大会では、勝ち残りチームを決定しなければならないために同点時間切れの場合PK戦が行われていますが、90分間+延長戦30分の技術と体力を使い切っての死闘を、ほとんどくじ引きと変わることのないPK戦によって白黒を定めてしまうのは、フットボールの本質に背く行為とすら言えます。このことは、公式記録上、PK戦は「引き分け」として扱われることでも明らかです。あくまでPK戦は勝ち残りチームを決める手続きに過ぎず、言わば必要悪なのです。また、PK戦にいたるまでに行われる30分の延長戦も、選手の体力を必要以上に奪っているように思われます。例え、PK戦にいたって勝ち残ったとしても、短い期間に行われるトーナメント大会においては次の試合におけるハンディキャップは大変大きなものとなります。世界的にフットボール選手の過密日程が続く中、選手の負担をなるべく減らすことがワールドカップの質を維持するためにも必要なことではないでしょうか。それには、なによりも90分間で決着をつける工夫が必要なのです。

 ではどのようにしてこの改革を実現するのか。ここで、審判の増員が大きな意味を持ちます。改革案の骨子をご覧下さい。 この芸術点導入によって、超人的な美しいゴールが増加し、汚いファールが減少することでしょう。フットボールの原点に立ち返り、その真髄を称揚するこの改革に、国民の皆様の御理解と御支持をよろしくお願いいたします。

********** 参 考 **********

2002 FIFA WORLD CUP Korea Japan決勝戦 (2002年6月)
ドイツvsブラジル
実況中継(想定例)

アナウンサー「横浜、国際総合競技場の曇り空の向こうに、次回開催国ドイツの青い空が近づいてきているような気がします。「2002 FIFA WORLD CUP Korea Japan」も、いよいよフィナーレを迎えようとしています。今日の実況はわたくし、山本浩。解説はおなじみ加茂周さんです。よろしくお願いします。」

加茂周「よろしくお願いします」

「さて、加茂さん。今日のゲームの見所についてお聞かせ下さい」

「そうですねぇ、なんといっても今大会で白組が勝ちあがってきたのは、何といってもゴールキーパーのカーンの堅守が光ってたからですよね。わたくしも下馬評通り、黄色組の攻撃力のほうが一枚上と見てるんで、カーンと黄色組の前3人との対決というのがゲームの軸になるでしょう。」

「加茂さんのおしゃっる白組・黄色組というのは、ユニフォームの色からきてまして、白→ドイツ 黄色→ブラジルということです」

「黄色組の前3人は、すんばらしいテクニシャンですから、もし得点したらゴールの芸術点も高得点になると思うんですよね。となると、白組の監督さんの戦術としては、とにかく相手に点を与えないことを第一に考えてくると思います。もう、得点を与えたら逆転しないと勝ち目はないと。たとえドイツが追いついて同点にしたとしても、芸術点争いとなるとかなり不利になることは目に見えてますから。とにかく90分間点を与えないことを第一に堅く堅く守ってくると思います。」

「一方ブラジルの戦術はどうなるとお考えですか?」

「これまでの戦い方でみると中盤の底とセンターバックは、比較的専守防衛という形で、前3人とサイドバックのあがりで攻撃してきたようです。今日も先に相手に点を取らさないように立ち上がりは慎重に来るでしょうが、勝負どころと見れば、バァーッと押し上げて一気にくるでしょう」

※   ※(前半10分)※   ※

「・・・パスをカットしたクレベルソンが、ロナウジーニョに渡す。前を向いたロナウジーニョ、ちょっとつっかけて...、スルーパス!ロナウドが爆発的なスピードでドイツDFを置き去りにした!。カーンと1対1です。一つシュートフェイントを入れて....ループシュート狙ってきたーっ!カーン必死の背走だ!どうか?!なんと手で掻き出した....。しかし、ボールは無情にも再びロナウドの前へ。ロナウド、落ち着いてこれを決めました。ブラジル先制点です!」

「いやぁ、カーンのスーパーセーブだったんです。カーンが触った時、もうホントにライン上だったですよ。よく追いつきましたが、いや惜しい...」

「ゴール採点の用意ができたようです。

-----------------------
AFC(アジア)6.1
CAF(アフリカ)6.3
CONCACAF(北中米)6.3
CONMEBOL(南米)7.3
OFC(オセアニア)6.2
UEFA(ヨーロッパ)5.8
日本(開催国)6.3

芸術点

6.2
-----------------------
ちょっと解説させていただきますと、この採点では最高点のCONMEBOLの7.3点と、最低点のUEFAの5.8点を除いた5つの採点の平均を出して、これが芸術点となります。加茂さん、この芸術点を、どうご覧になりますか。」

「いや、ロナウドの点としては、6.2は低いですよ。最初の芸術的なループシュートがすんなりきまっていたら8点はいってたんじゃないですかね。そういう意味では、カーンのスーパーセーブが利いてます。ドイツとしては、この芸術点ならば1点取れば芸術点でブラジルを抜ける可能性がありますからね。カーンの神懸かり状態はまだ続いていると言えると思います」

※   ※(前半45分)※   ※

「...ハマンが中盤でボールを持った。右サイドにオーバーラップしてくるフリングス、そこへパスを通す。フリングス、ロベルト・カルロスと競争だ!フリングスが何とかクロスをあげるが、ロベルト・カルロスがブロックして、ボールがゴールラインを越えました。」

「いや、よくロベルト・カルロス追いつきましたねえ」

「あれ?副審がコーナーキックのジャッジを決めていません。どうしたんでしょうか。」

「なにか、副審同士がエキサイトしているようですね。」

「おっと、2人の副審がつかみ合いだ。他の副審が間に割って入っています。何があったんでしょうか。リプレイで確認してみましょう。フリングスとロベルト・カルロスが全力疾走しているのを、ライン際で7人の副審が追いかけていきます。」

「狹いところで7人走るのは窮屈そうですね。」

「ここで、あーっと、一人の副審が転んでいます。AFCの韓国代表審判のようです。うーん、どうも先行するCONCACAFの米国代表審判の進路妨害があったようですね」

「なるほど、その2国ならソルトレーク以来の遺恨がありますから、ここまでエキサイトするのもしょうがないですかねぇ...。」

「ここで、主審が間に入って、2人を落ち着かせます。最後に2人を握手させて、ようやくゲーム再開です。」

「で、結局判定はどうなったんですか。」

「結局ですね、米国代表審判と韓国代表審判を除いた5人がコーナーキックのジャッジで、過半数を越えたということでドイツのコーナーキックです。」

「前半最後のチャンスですね。」

「シュナイダーがコーナーキックに向かいます。ボールをあげた。ニアに蹴ってきたっ!クローゼがバックヘッドで擦らして、ゴール正面のボーデ、ヘディングシュート!GKマルコスパンチングだ、こぼれだまをイェレミースがミドルシュートに行く!DFにかかって、ゴール前の密集地帯へ。」

「ブラジルDF陣、きちんとクリアしとかないと危ないですよ」

「おっと、DFとGKの間のボールが、ノイヴィルの足下へ、シュートだ!ゴール!!ドイツ追いついた!追いつきました」

「今は、ブラジルのGKマルコスとDFルシオでしたか、間に来たボールをお見合いしてしまいましたねえ。」

「前半ロスタイムでの同点弾、ブラジルとしては悔やまれる失点でしたね」

「明らかにDFとGKの連携ミスでした。いや、ブラジルとしては審判の小競り合いでゲームが中断したために集中力が切れてしまったんでしょう。ちょっと不運ですねぇ。また、そこにつけこむのも、さすがにドイツといった感じを受けます。」

「ゴール採点の用意ができたようです。
-----------------------
AFC(アジア)4.0
CAF(アフリカ)4.5
CONCACAF(北中米)4.1
CONMEBOL(南米)3.0
OFC(オセアニア)4.2
UEFA(ヨーロッパ)4.6
日本(開催国)3.9

芸術点

4.1
-----------------------
加茂さん、この芸術点、いかがですか。」

「混戦の中の相手ミスによる得点ですから、こんなもんでしょう。」

「なるほど。あ、ここで前半終了です。さて、加茂さん、前半戦終わって一言お願いします。」

「さすが、決勝戦という締まった試合ですね。開始すぐに失点したとはいえ、ドイツが上手く守っているという印象があります。で、終了直前にワンチャンスをものにするという、いかにもドイツらしい戦い方ですね。今のところ、ブラジルが芸術点で上回ってはいますが、それほど高芸術点ではないですから、ドイツも自信をもって戦えるでしょう。この芸術点差なら、ドイツはたとえゴールがなくとも、ブラジルがイエローカードを食らって芸術点で逆転する可能性もありますからね。」

※   ※(後半開始)※   ※

「...ブラジル、後半開始から猛攻を見せています。」

「ロッカールームで、監督さんがかなりハッパをかけたようですね。後半の頭で決めようというゲームプランなんでしょう。」

「リバウド、得意の左足でボールを持って、ミドルシュート!カーンリフティングで逃れました。コーナーキックです。」

「しかし、すごいシュートでしたね。渾身の力を込めたという感じのシュート。そして、シュート後もきれいなテレマーク姿勢をとってました。リバウドは、前半からちょっと消えてたんですが、ここぞという時には出てきますね。」

「ロベルト・カルロスのコーナーキックから、ホッキ・ジュニオールがへディングシュート!カーン、パンチング。こぼれだまをロナウジーニョがシュート、カーン右足一本で防いだ!ペナルティエリア内でふらふらっと嫌なボールが上に上がって、イエレミースが競りに行くも、エジミウンソンが上手くからだを入れてヘディングシュート!おーっとクロスバー直撃だ!跳ね返ったボールをペナルティエリアの外からジウベルト・シルバがミドルシュートに行く。カーンが横っ飛びでキャッチ!決定的なチャンス、ブラジル4連続シュートもカーン防ぎました。見事なセービング。ブラジルとしては大変惜しいチャンスでした。」

「いや、でもピッチ上を見てください。今シュートを撃った黄色組の四人を。みんな撃った後でテレマーク姿勢をとってましたよ。」

「そうですね、外したショックからか、未だに四人ともテレマーク姿勢のまま首をうなだれています。いささか空しいテレマーク姿勢だ。」

「でも、ああいう局面でも貪欲に芸術点を狙っていく姿勢がですね、王国ブラジルを支えているんですよ。あの貪欲さが、日本にはちょっと欠けているんですね。ぜひ、Jリーグの選手のもあのプレーを見て、どんな態勢からもテレマーク姿勢に持っていけるように、普段から意識して練習して欲しい。」

※   ※(後半20分)※   ※

「...ボールを持ったロベルト・カルロスが左サイドを駆け抜けていく。左に流れてきたロナウドにパス。」

「ロナウドが持つとドイツのDFの寄せが早いですね」

「ロナウド、まだボールを持つ。ディフェンス陣を引きつけて...。右サイドのカフーに出した、いいボールだ!」

「おー、素晴らしいサイドチェンジです。」

「カフー前にスペースがある、一気にあがって折り返した!中央で待つのはリバウド。胸でトラップして、そのままダイレクトでバイシクルシュート!!ゴール!素晴らしいシュートだ。カーン、シュートに反応するも届かず。しかし、なんというゴールでしょうか」

「もう、言葉を失ってしまいますね。ワールドカップの決勝という最高の舞台で、最高のシュート。なにより、その精神力に脱帽です。」

「ゴール採点の用意ができたようです。
-----------------------
AFC(アジア)8.7
CAF(アフリカ)9.0
CONCACAF(北中米)8.8
CONMEBOL(南米)9.2
OFC(オセアニア)8.9
UEFA(ヨーロッパ)8.7
日本(開催国)8.8

芸術点

8.8
-----------------------
加茂さん、この芸術点、いかがですか。」

「バイシクルシュートで、テレマーク姿勢がとれなかったんで8.8点でしたが、もし着地直後にテレマーク姿勢をとっていたら9.5点を越えてたんじゃないでしょうか。スペインリーグでも、UEFAチャンピオンズリーグでも、重要な試合でリバウドはバイシクルシュートを見せていましたが、まさか今日見られるとは思いもしませんでした。」

「得点は、2-1でブラジルがリード。芸術点でも、15.0対4.1と大きくリードしています。」

「ドイツは苦しくなりましたねぇ。」

※   ※(後半25分)※   ※

「...中盤まで下がってボールを受けにきたロナウジーニョにボールが渡って、ちょっとボールを持った。」

「ちょっとボールの出しどころがないですね。」

「左右を見て、右サイドにいるカフーにグラウンダーのパス...。おっと、そのパスを読んだイェレミースが横パスをカット!そのままドリブルに持ち込む。ロナウジーニョ必死のディフェンスだ。激しくあたりにいく。たまらずイェレミースが倒れました。おっ、イエローカードだ。ロナウジーニョにイエローカード!」

「今はロナウジーニョのミスでとられたボールですからね、責任を感じて最後まで引っ付いていったんでしょう。」

「ファールの決まり手が場内アナウンスされます。『只今の決まり手は、ユニフォーム掴み、ユニフォーム掴みでロナウジーニョにイエローカード』ああ、ユニフォーム掴みをとられたようですね。」

「得点したすぐ後にイエローカードは痛いですね。芸術点が何点減点されるかでゲームは大きく動いてきますよ。」

「さあ、注目の審査結果がでました。
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AFC(アジア)-5.5
CAF(アフリカ)-5.1
CONCACAF(北中米)-5.3
CONMEBOL(南米)-5.0
OFC(オセアニア)-5.3
UEFA(ヨーロッパ)-5.7
日本(開催国)-5.3

芸術点

-5.3
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加茂さん、いかがですか。」

「そうですね、ユニフォーム掴みということで、『悪質ファール採点基準書』では、-6.5から-4.0という採点範囲なんで、-5.3というのは標準的な点でしょうね。まあ、あまり危険なプレーという訳ではなかったですから。ただし、ドイツとしてはちょっと元気が出てくるでしょうね。リバウドのスーパープレーでシュンとしたところだったんで。」

※   ※(後半29分)※   ※

「...ロベルト・カルロスが左サイドでドリブル。ボールをロナウドに出して、壁パスでロベルト・カルロスに返した!」

「見事なワンツーだ。」

「ロベルト・カルロス、ペナルティエリアに入ってくる。ロベルト・カルロス、ロベルト・カルロス、どうするか...。低くて速いクロスボールを入れてきたっ!あっと、ゴールだ。ゴールです。ブラジル3点目!」

「今のは、誰のゴールですか?」

「混戦の中、叩きこんだのは誰でしょうか?リプレイで確認してみましょう。ロベルト・カルロスがクロスをあげて、あ?最後に触ったのはラメロウですか?」

「これはドイツのオウンゴールですね。」

「ドイツ、不運なオウンゴールでブラジル3点目!」

「結果的にはオウンゴールとなりましたが、ロベルト・カルロスの速くて正確なクロスが素晴らしかった。あのボールをゴールの方を向いているDFが処理するのは、ホントに難しいんです。ラメロウのミスはちょっと責められないですよ。」

「ピッチ上では、何やらブラジルチームのパフォーマンスが始まっているようです。ロナウドが学生服を着て、何やら古めかしいマントを羽織っています。ロナウジーニョは浴衣のようなものを着込んでます。一体何が始まるのでしょうか?」


(唄:ロナウド)
熱海の海岸散歩するー

(ロナウジーニョ)
「貫一さん...」

(ロナウド)
「ここへ来たのは、富山と会うためだろう。」

(ロナウジーニョ)
「ひどいわ...」

(ロナウド)
「ダイヤモンドに目がくらみ、みさおを破る奸婦め!」

(ロナウジーニョ)
「あなたを洋行させるためなのよ...」

(ロナウド)
「い……い……いかに貫一は乞食士族のみなしごでも、女房を売った銭で洋行しようとは思わん!」

(貫一、お宮を蹴飛ばす)

(ロナウジーニョ)
「(泣き崩れる)」

(ロナウド)
「宮さん、今日は1月の17日だ。来年の今月今夜のこの月を、再来年の今月今夜のこの月を、10年後の今月今夜のこの月を、僕の涙で曇らせてみせる」
「ほほう、『金色夜叉』で来ましたか。」

「日本開催ということで、この芝居を仕込んできたんですなぁ。」

「これはかつて、Jリーグ柏で活躍したことのあるエジウソンの知恵か?はたまた、ジュビロ磐田の監督をつとめたフェリペ監督のアイデアでしょうか?」

「リバウドのシューズメーカー美津濃のさしがねかもしれませんがね。ま、それはともかく、芸術点は審判が採点するとはいえ、やはり観客の盛り上りに左右されますからね。これは、観客席の日本人のハートをぐっとつかむパフォーマンスでしたよ。」

「ただ今の配役ですが、
間貫一:ロナウド
お宮:ロナウジーニョ
月:カフー
松の木:リバウド
熱海海岸の波:その他のブラジルイレブン

とのことです。さて、注目の芸術点。結果が出たようです。
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AFC(アジア)8.4
CAF(アフリカ)8.4
CONCACAF(北中米)8.2
CONMEBOL(南米)9.4
OFC(オセアニア)8.2
UEFA(ヨーロッパ)8.0
日本(開催国)9.1

芸術点

8.5
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いかがですか、この結果。」

「ドイツのオウンゴールではブラジルとしては芸術点を稼げないですから、ここで奥の手のパフォーマンスを出してきましたね。ロナウジーニョのイエローカードで一気に芸術点を減点されましたから、ここで得点だけでなく芸術点でも引き離しにかかってきたんでしょう。こういった試合の流れを読む点がマリーシアというんでしょうか、ゲームの運び方を知っているオトナのチームという感じを与えますね。日本もこういう点を学んで欲しいです。ドイツは苦しくなりました。」

「今大会を振り返ってみると、いろいろなチームの得点後パフォーマンスも楽しみでした。」

「韓国チームのショートスケート進路妨害パフォーマンスを皮切りに、アメリカチーム得意のパーティージョークや、中国チームの南京玉すだれ、フランス代表のパントマイムもありました。フランスイレブン全員による「エスカレーター降下パントマイム」は見事でしたね。」

「イングランド代表では、得点後に、なんとあのスパイスガールズも加わってのミニコンサート。あれは盛り上りました。特にベッカムがバックスタンド客席内にダイブしたときには、熱烈なベッカムファンの中には失神した方もあったとのことです。」

「でも、なんといっても忘れられないのは、我が日本代表の水芸ですよ。戸田君のトサカの先から水が四方八方に噴き出した時の観客席の反応はすごかったね。」

「確かに。あの時は、プレス席の各国取材陣からも「ビューティフル」という声があがっていました。翌日は、各国の新聞の一面を戸田の写真がかざりましたからね。」

※   ※(後半38分)※   ※

「...アサモア、アサモアがゆっくりとボールを持ってあがっていきます。」

「イェレミースと交代したアサモア、なかなかイイですね。運動量も豊富です。今は、両チームともに、一番しんどい時間帯ですから、こういう選手はイヤでしょうね」

「ここで、急にスピードアップ。するどいドリブルで上がっていく。ペナルティエリアに入って、深い切り返しでDFをかわした!シュートに来た!マルコスパンチング」

「中途半端なパンチングだ、これは危ない」

「ふらふらっと上に上がったボール。エジミウソンがヘディングでクリアに行くが、ちょっとカブった!空振りだ!目測を誤まったか?飛び込んできたフリングスがダイレクトでシュート!入った!ドイツ2点目!」

「うーん、これはブラジルのミスですね。キーパーがきちんとパンチングするか、エジミウソンがきちんとクリアできれば防げた失点ですよ。これはもったいない。」

「後半38分、ドイツ2点目です。芸術点の発表です。
-----------------------
AFC(アジア)5.4
CAF(アフリカ)5.3
CONCACAF(北中米)5.3
CONMEBOL(南米)5.1
OFC(オセアニア)5.2
UEFA(ヨーロッパ)6.0
日本(開催国)5.5

芸術点

5.3
-----------------------


「ドイツいよいよ来ましたよ。伝統の『ゲルマン魂』ですか。時間がなくなるにつれて存在感が増してくるという不思議なチームの本領を出してきましたよ。」

「得点は現在、3対2でブラジルが1点リード。芸術点でも、ブラジルは8.8点のリードです。」

「残り時間はロスタイムも入れて10分しかないですが、ドイツは芸術点が8.9を越えるようなスーパーゴールを叩きこめば、一気に逆転ということですな。」

「その通りです。」

※   ※(後半ロスタイム)※   ※

「...ロスタイムも1分以上経過しました。ドイツ、コーナーキックのチャンス。得点は依然3-2でブラジル1点リード。」

「ドイツは、ここがラストチャンスでしょうか。」

「シュナイダーが、低めの鋭いボールを上げてきた。クローゼがファーサイドから飛び込んでくる、フリーだ!ヘディングシュート決った!ドイツ同点!」

「ゲルマン魂来ましたか!ゴール後のテレマーク姿勢も完璧だ。」

「テレマーク姿勢から、今度はバック転のパフォーマンスです。お、連続バック転に挑んでいます。3回、4回、5回、まだ続けるぞ、6回、7回、8回で、着地はどうか?着地を決めることができるのか?おっと、右足が流れて前方に手をついてしまった!着地は失敗だ!」

「いや、惜しかった。8連続バック転を決めていたらスゴい芸術点になってでしょうね。でも、テレマークも完璧でしたし期待はできますよ!」

「さあ、運命の採点結果発表です。
-----------------------
AFC(アジア)8.8
CAF(アフリカ)8.7
CONCACAF(北中米)8.6
CONMEBOL(南米)8.0
OFC(オセアニア)8.7
UEFA(ヨーロッパ)9.1
日本(開催国)8.8

芸術点

8.7
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なんと、芸術点ブラジルに0.1及ばず!」

「うわ、0.1ですか。これは残酷な採点ですねぇ。」

「クローゼ、その場にうずくまってしまいました。もうほとんど時間がありません。ブラジルのキックオフで試合再開ですが、ブラジルボールをまわして時間をかけています。」

「まあ、当然でしょうね。」

「主審のコリーナさん、時計を見て、笛を吹いた!ここでタイムアップです。ブラジル、ドイツに芸術点差わずかに0.1という薄氷を踏む勝利!」

「ああ、クローゼが泣いてますよ。ベテランのボーデが慰めています。気持ちはわかりますねぇ。勝負事に『タラレバ』は禁句ですが、バック転の着地が決っていたら逆転していたでしょうからねぇ。」

「クローゼのワールドカップは芝についた手とともに終わってしまいました。それにしても、決勝戦にふさわしい、熱いゲームでしたね。それでは、このへんで横浜から失礼します。加茂さん、どうもありがとうございました。」

「ありがとうございました。」



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