ニセ首相の顔イラク問題への対応について

イラク問題への対応について


 イラクの武装解除をめぐって中東での切迫した事態が続いております。1990年のクウェート侵攻以来、数々の国連安保理決議によって大量破壊兵器の放棄を要求されていたイラクですが、これまでこれらの要求に対して不十分な対応しかとってきませんでした。この問題に対し、同時多発テロ発生以来、国際テロ組織の暗躍と大量破壊兵器の拡散を押さえこもうとする米国が武力制裁も辞さない強い態度をとり始めたことで一気に緊張の度合いが高まってきたのです。

 イギリスとともにイラクに対して強硬路線をとる米国ですが、しかし仏・独を中心として査察継続を求める国際世論の声も根強く、湾岸戦争や対タリバン戦争の際のように、磐石の支持基盤を得るには程遠い状態です。2003年3月1日にはトルコ国会において、対イラク攻撃に備えた米軍の国内駐留などを求めた政府案が否決され、米・英のイラク攻撃計画に大きな影響を与えかねない事態にいたり、ブッシュ政権に衝撃を与えました。

 冷戦後の世界で生じた主要な国際紛争である湾岸戦争とアフガニスタンでの戦闘において、米国は国連や国際世論の承認(あるいは黙認)を受けて主導的な役割を果たしてきました。現在のイラクを巡る問題では、かつての二つの紛争においてはみられない程の国際世論の激しい反発を米国は受けています。何故にこのような事態になってしまったのでしょうか。

これには2つの原因があると思われます
  1. 武力制裁実施の決め手となるほどのイラクの軍事的脅威の大きな証拠(核兵器や生物化学兵器の大量貯蔵など)が明示されていない点。

  2. 米国が危険なテロ国家と名指ししているもう一つの国である北朝鮮に対する対応と、イラクに対する対応が異なっているという点。
国際社会の焦点となっている2人
サダム・フセイン氏金正日氏
北朝鮮についてみると、核開発について北朝鮮自身がこれを認めています(2002年10月、ケリーアジア太平洋担当米国務省次官補との会談で、KEDOプロジェクトに関する協定を破って秘密裏に核兵器開発を行っていたことを認める)。未だに大量破壊兵器の大量貯蔵の明白な証拠が明らかにされていないイラクに対しては武力制裁を急ぎ、自ら核兵器開発を進めていたことを認めた北朝鮮に対しては当面の武力制裁を見送っているのです。このような矛盾が存在するために、制裁慎重派の武力行使に対する疑念が高まってきていると言えるでしょう。

 このような状況下で我が国がとるべき方策は何でしょうか。何よりも優先されるべきは武力によらず平和的にイラクの武装解除が実現されることでありましょう。そのためには、国際社会が足並みを揃え連帯して、イラクに対して圧力をかけていかなかればばなりません。しかし、現在のところイラクに対する武力制裁に関して、強硬派と慎重派の鍔迫り合いが激しくなってきております。残念ながらこのような国際世論の分裂した状態では対イラクの交渉が順調に進展するとは思えません。国際的な紛争の解決のやむを得ない最終的な手段として、武力制裁も選択肢として排除するものではありませんが、武力制裁は国際世論の了承があって初めて有効となるものです。たとえ、現在の状態で武力制裁が行われてもイラク問題が本当に解決されるとは思われません。我が国は、各国間の分裂を早急に修復した上で、国際社会が一致団結してイラク問題に当たることができるように環境を整えるように努めるべきです。

 これは、国際平和への貢献という面からだけでなく、国際情勢の緊張化から生じるであろう世界経済の停滞を防ぐことが、デフレ下の不況に悩む我が国にとって極めて重要である点を鑑みても、是とされるべき戦略であります。

 では、どのようにすればこの国際政治の難しい局面を打開できるのでしょうか。

 ここで注目すべきことは、武力制裁慎重派といえど、イラクが安保理決議を守っていないことに対して何らかの対処をしなければならない点ではほぼ同意している点です。この点で、目下のイラク問題は、冷戦下の数々の紛争とは大きく様相を異にしています。かつての朝鮮戦争やベトナム戦争 では、米ソ二大強国がそれぞれのサイドをバックアップする代理戦争という性格を帯びていました。しかし、現在ではイラクを攻撃する米国に対して、無条件でイラクを防衛しようとする強国はありません。あくまでイラクが国際協定を守らないことに対して軍事的に強硬に出るか慎重にあたるかの違いだけです。冷戦下の対立であれば、そもそも対決姿勢をとること自体が前提だったのですから、解決は難しかったでしょうが、現在の状況下では、上に述べた武力制裁強行派と慎重派の争点となっている問題さえクリアされれば、自ずと対立も解消される筈です。

 武力制裁強硬派・慎重派両者の主な対立点の2つを上に述べましたが、それぞれに焦点を当てて問題をほぐすこととしましょう。まずは、「イラクへの武力制裁実施の決め手となるほどの明白な証拠の有無」の問題から。これについては、イラクがここから逸脱すれば武力攻撃し、逸脱しなければ武力攻撃しない、という確固たる基準が、現在のとこでは分かりにくいために強行派・慎重派の間の緊張が高まってきているように思われます。逆に言えば、この基準さえはっきりすれば、結果として武力制裁を行うにせよ行わないにせよ、武力制裁強行派と慎重派がギクシャクした関係を続けていくことは防げるに違いありません。

 この「明白な証拠の有無」問題に関しては、昨年11月8日に採択された国連安全保障理事会決議1441で、大きな潮流の変化が生じています。この決議の第3項には、
Decides that, in order to begin to comply with its disarmament obligations, in addition to submitting the required biannual declarations, the Government of Iraq shall provide to UNMOVIC, the IAEA, and the Council, not later than 30 days from the date of this resolution, a currently accurate, full, and complete declaration of all aspects of its programmes to develop chemical, biological, and nuclear weapons, ballistic missiles, and other delivery systems such as unmanned aerial vehicles and dispersal systems designed for use on aircraft, including any holdings and precise locations of such weapons, components, sub-components, stocks of agents, and related material and equipment, the locations and work of its research, development and production facilities, as well as all other chemical, biological, and nuclear programmes, including any which it claims are for purposes not related to weapon production or material
と書かれています。ここに、「決議から30日以内に各種大量破壊兵器開発の完全なる報告書を提出しなければならない」とありますが、これは大量破壊兵器開発の有無に関して、イラク側が証明しなければならない、と定めるものです。これまでは、米国を中心とする国連側が査察団を派遣して調査しようと試みてきたのですが、それを逆転させてイラク側に何らかの行動を要求しようという変化があったわけです。これは、湾岸戦争終結以来、イラクとそれに対する国々の非難の応酬だけで実質上はほとんど進まなかったイラクの武装解除問題を一歩進めることになったと言えるでしょう。

 しかし、残念ながらこの決議によっても平和的な問題解決までには至りませんでした。現在のところ、この決議に対するイラクの対応を巡って武力制裁強硬派と慎重派の対立が生じていることは、ご存知の通りです。上記の決議の第3項は大量破壊兵器に関してかなり詳細な項目を挙げていますが、この定義によっても、イラクの現在の状態が武力制裁に値するかどうかは判断が分かれているのです。これは、「大量破壊兵器開発の疑惑の有無」を制裁開始の焦点にした場合、「軍事的脅威」とは飽くまで受け取る側の主観的な判断に拠らざるを得ない点を考えれば仕方のないことだったかもしれません。イラクは確かに武器を開発し貯蔵していましたが、現在までに明らかになった証拠を見る限りでは、それを「通常兵器」の範疇と見るか、「大量破壊兵器」と見るかは、それぞれの立場によって異なる程度のものです。結果としてイラク問題の解決を欲している国々の足並みを、武力制裁強硬派と慎重派というかたちで乱れさせてしまうという結果に終わってしまいました。

 こうしてみれば、「大量破壊兵器開発による他国への軍事的脅威の存在」の証明の難しさが問題をこじらせていることが明らかになります。となれば、大量破壊兵器開発による軍事的脅威の有無を直接証明しようとするのではなく、イラクが大量破壊兵器の放棄・他国への侵略意志の放棄を本気で考えていることを示すことができる何らかのアクションを迫るべきなのではないでしょうか。このアクションが、実行後に検証可能な具体的なものであれば、現在見られるような武力制裁強行派と慎重派の現在のイラクの軍事的状態に関する見解の不一致により生じている国際緊張を防ぐことができる筈です。

 一方、「武力制裁強硬派のイラクに対する態度と北朝鮮への態度との間にある矛盾」は、より解決が難しい問題です。武力制裁強硬派の中心である米国の現在の戦略では、対処すべき国の緊急度が、「1.イラク 2.北朝鮮」とされているようです。核開発を現在押し進めつつあることが明白な北朝鮮と、昨年後半からの度重なる査察でも明確な大量破壊兵器の証拠が明らかにされないイラクで、一体どちらがより危険なのか?、と米国のこの戦略に疑問を持つ人は多いことでしょう。これらの人々はこの米国のダブルスダンダードとも言うべき二国に対する態度の違いから、この戦略の陰にある米国の石油戦略などの政治・経済政策に関わる思惑を感じ取り、結果として武力制裁について慎重になっているように思われます。

 確かに、米国のイラクに対する強行姿勢には、中東の石油利権や、同時多発テロ後の過剰反応などが見え隠れし、そのために「国際平和を妨げるテロ国家のイラクを武装解除する」という大義名分が霞んでしまうほどです。もしイラクが本当に大量破壊兵器など全く開発・貯蔵などしていないとすれば、米国の陰謀を各国で非難して阻止しなければならないところでしょう。しかし、かねてからのイラクの行動(自国内のクルド人に対するサリン攻撃、クウェートへの侵攻、湾岸戦争以後の戦争捕虜の扱い)などを見る限り、イラクが中東地域の安定を脅かしている存在であることも、また事実なのです。

 最終的に武力制裁を行うにせよ行わないにせよ、イラクに対しプレッシャーを与え、国連安保理決議を遵守させるためには、米軍のプレゼンスは必要とされるでしょう。既に中東に展開している軍の状態から考えても、事ここに至って北朝鮮問題のために軍を展開しなおすことは現実的には難しい筈です。そうであれば、現実的に見れば当面は(北朝鮮問題はさておき)イラク問題解決に全力を尽くす以外に手は無いと言えるでしょう。現在のところ、米国の強硬姿勢に対する疑念から安保理の常任理事国の間でも意見が割れてしまっていますが、早急に各国の関係を修復し、共同してイラク問題に当たらねばなりません。そのためには、少なくとも大義名分として、北朝鮮に比してイラクがより危険であり、優先して解決しなければならない問題であることを示すような工夫が必要とされるのです。

 この2つの問題の検討の結果、イラク情勢解決のための新提案の骨格が見えてきます。その骨格とは、

イラクに対して次の条件を満たす行動を要求する。
  1. 大量破壊兵器開発・他国への侵略の意志を絶対に持たないことを示す行動

  2. 実行したことが他者から確実に確認できる行動

  3. 実行以前は、イラクが北朝鮮よりも危険であったことを証明できる行動

一見したところ、この3つの条件を満たす行動を見つけだすことはかなり難しそうに思われます。しかし、もしも我が国がこの行動を考え出すことができれば、膠着状態にあるイラク問題の解決に対して大きな役割を果たすことになるでしょう。

 では、一体イラクにどのようなアクションを求めるのか。我々は先に掲げた目下の国際社会の問題の争点となっている二国の国家指導者の肖像からヒントを得ることができました。次の画像を御覧下さい。


先に掲げた画像との違いがお分かりになるでしょうか。そう、髭を生やしている人物が入れ替わっています。独裁者を頂点にした危険な軍事国家という点では、イラクの北朝鮮は共通しているように見えますが、ここに大きな違いがあります。一方の指導者には髭があり、一方の指導者には髭がない。

 「たかが髭ではないか」と、お笑いなる方も多いことでしょう。しかし、歴史を紐解いてみればこれがかなり深刻な問題であることが了解されるはずです。史上名高い侵略者の肖像をいくつか掲げてみましょう。

チンギス・ハーンヒトラーカール大帝
織田信長ピサロ*ティムール*
スターリンスレイマン1世*秦の始皇帝

これらの肖像は氷山の一角ではありますが、髭を生やした侵略者の多さに驚かれた方も多いことでしょう。この明白な歴史的な事実を前提とすれば、髭のある独裁者が率いる軍事国家の存在が周辺国家へ与える脅威は極めて大きいものであると言わざるを得ません。であるならば、国際社会は一致団結して、イラクに対しサダム・フセイン氏の髭を剃ることを声高に要求すべきです。

 この「髭を剃れ」という要求を、先に掲げたイラク情勢解決のための新提案の3つの条件に当てはめて有効性を検討してみましょう。

<1.大量破壊兵器開発・他国への侵略を行わないという意志表明となり得るか>
「髭」のもつ軍事的脅威については上で歴史的事実から検証しましたが、この危険な「髭」を除くことは周辺国にとって、大きな安心感を与えることでしょう。

<2.実行したことが他者から確実に確認できる行動かどうか>
サダム・フセイン氏の顔を見れば一目瞭然です。

<3.イラクが北朝鮮よりも危険であったことを証明できる行動かどうか>
「髭」の危険性を何よりも重視している点を押し出せば、現在のところ髭を生やしていない金正日氏の危険性をサダム・フセイン氏のそれよりも小さく見積もる大義名分が立ちます。

以上の検証から、この「髭の除去」を中心にすえた戦略がイラク問題の解決の為に大きな役割を果たしうると判断した我々は、国連に提示する新提案を策定いたしました。概略は以下の通り。
またこの提案に際し、我が国は以下のものを提供する用意があることをアナウンスする予定です。 大相撲の断髪式では、通常力士の親方が「止めばさみ」と称して最後に大銀杏を切り離しますが、断髭式では、米国のブッシュ大統領に最後に「止めカミソリ」を行っていただく予定です。

 イラン・イラク戦争、湾岸戦争と20年以上に渡ってもつれにもつれたイラク問題を解決するための提案に対し、国民の皆様のご理解と御協力をお願いいたします。



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