四 又木家に累を及ぼすべき
○学資を給せらる-----○遠慮なく申送れ-----○樺太行
 『其當時ヨリ又木キクニ對シ、同家ニ累ヲ及スヘキ辭柄云〃』に就て 私は又木様に對し、辭柄を以て累を及ぼせしにあらず。私の上京に際し、實父は諾せざりしが、又木様が私に上京を勸め、私上京後は、若干の學費を給せんと誓はれたり。而して私は其當時上京を頗る希望しつつありし際故、實父の許をも受けず。即ち實父へは送金を斷じて願はじと廣言して上京したり。其後又木某は約束の送金もせず。只繁く手紙を[石川宅へ]私に送附するのみなりし故、私は非常に困難しつつあるを、石川の老母即ち又木キク様の實母が、其事情を推知せられ、老母より私に教ゆる所あり、且老母よりキク様へ注意せられし結果、少額の補助を受くる事と爲り、而して又木家の家事に付、在阪中に或權限迄委托せられし事あり。其報酬として、若し金錢の入用の際は、遠慮なく申送れとのキク様の御厚情がありましたから、三十六年頃、露領樺太へ渡航を企てし際、金子の借用を申込だのでありますが、又木家の財産傾きし爲め、應ずる事を得ずと、又木様が話されたのでありますが、私は前言を確信して居たから、樺太へ渡航する事を、豫め他の人と相談を定めたのでありますから、其事情を談じつつあつたのです。其所へ又木の兄、即ち惟安と申す方が來られ、終に借用する事が出來なかつたのであります。決して其額云〃の如きは絶對にないのであります。而して又木より小額の補助を受けたのは、三十三年八月の頃であります。此項に付ては猶委しき事情がありますが、必要でありますまいと考へますから、茲で擱筆致します。而して此件に付き始めよりの事情に就ては、石川老母に直接尋ねて下さいますれば、明瞭に致します。
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