うるふ的1999年度ゲームレビュー(3)
三位 ONE〜輝く季節へ〜
次点 とらいあんぐるハート
次点 こみっくパーティ
次点 ルーキーズ
うるふ「さて、次は年間ゲームレビューの三位であるが」
なぎさ「あー、はいはい」
うるふ「なんか、非常に投げやりな態度だな」
なぎさ「だって、何を言ってもハリセンではたかれると思うと…」
うるふ「ハリセンくらいで人生を投げちゃいかん!父さんはおまえをそんな風に育てた覚えはないぞ!!」
なぎさ「人生を投げてなんかいません!それにわたしもご主人様に育てられた覚えはありませんっ!!」
うるふ「いや、つい癖で」
なぎさ「いつもお嬢様たちにそんなことばかりおっしゃっているんですか?」
うるふ「うむ、最近反抗期での」
なぎさ「でも、反抗期はあった方がよいそうですよ」
うるふ「それはよく言われるけどな、CCさくらのキャラなんか反抗期とまるで無縁のいい子たちばっかりじゃないか」
なぎさ「漫画と現実をごっちゃにしたらお嬢様たちがかわいそうですわ」
うるふ「うう、ゲームキャラに説教されてしまった(泣)」
なぎさ「それはともかく、三位の『ONE〜輝く季節へ』って、どういう設定だかわからないっていう声をよく聞くんですけど」
うるふ「わしもわからん」
なぎさ「はあ?」
うるふ「一応、自分の存在価値を見いだせなくなった主人公をヒロインが助けるという話と解釈しておるが、なんで本当に消えてしまうのか今をもってわからん」
なぎさ「でも、なんでそんなよくわからないゲームが年間三位なんですか」
うるふ「そういえばそうだな、なんでかな」
なぎさ「ずりっ」(服のずれる音)
うるふ「おっ、肩をはだけて今度は色仕掛けか」
なぎさ「どこが色仕掛けですかっ!もうちょっとまともな回答があるかと思っていたらあまりにも拍子ぬける答えでずっこけただけですっ」
うるふ「だって本当にそうだから」
なぎさ「…ご主人様」
うるふ「なんだ?」
なぎさ「そのハリセンちょっと貸していただけません」
うるふ「これか?」
ばしっ!!
うるふ「痛ぇ!メイドがご主人様をぶったりしていいと思っているのか〜」
なぎさ「いいんですっ!」
うるふ「今日はやけに機嫌が悪いな、さてはあの日だな」
なぎさ「違いますっ!」
うるふ「隠さんでもいい。うちのKamiさんもあの日は機嫌悪くてすぐ怒るし、怒ったらハリセンどころじゃないから、全然平気だぞ」
なぎさ「ハリセンどころじゃないって、どんな風なんですか」
うるふ「うむ、あの日は味覚もおかしくなっとるからそのせいと思うんだが、Kamiさんの得意料理のハンバーグがいつもよりにちょっと不味くて、ついケチつけたらな…」
なぎさ「どうなったんですか」
うるふ「その後、一年半ハンバーグを作ってくれなかった」
なぎさ「一年半も…でも、ご主人様も料理はお得意ですからハンバーグくらい作れるんじゃないですか?」
うるふ「そりゃそうだ。職場が前は新宿、今は渋谷だから旨いハンバーグの店なんか選り取りみどりだし」
なぎさ「だったら…」
うるふ「問題は娘たちだ」
なぎさ「あ…」
うるふ「ハンバーグを作ってもらえなかった一年半、娘たちからめっちゃ恨まれたぞ。代わりに作れとか、食べに連れて行けとか…」
なぎさ「ご主人様はお嬢様たちに弱いですから…奥様が一枚上手だったということですね」
うるふ「ところで、わしらは何の話をしていたんだっけ」
なぎさ「あ、『ONE〜輝く季節へ』の話でしたわね」
うるふ「全く…とっととハリセンを返せ」
なぎさ「それで、三位に入った理由って、結局なんなのですか」
うるふ「そうだな、まず、一目見たら忘れられないあの特徴のある絵かな」
なぎさ「なんか、引っかかる言い方なんですけど」
うるふ「最初は、ちょっと、アレだな、なんというかこう、まったりとしない感じがあってだな…」
なぎさ「あの、おっしゃる意味がよくわからないんですけど」
うるふ「だから、いわゆる第一印象のだな、それがわしの感覚にアンチテーゼ的な…」
なぎさ「奥歯にものが挟まったような言い方なんて、なんかご主人様らしくありませんわ」
うるふ「言えるか!最初は『絵が下手だな』とか思っていただなんて!!」
なぎさ「はあ?」
うるふ「そんなこと言ったら『おね崇拝者』が黙ってるわけない!○教授は殺人犬にカスタマイズした『マーダーライセンス・あいぼ』を送り込んでくるだろうし、く○っちなんかは、まだ築一年に満たない我が家に向かって対艦レーザーをぶっ放してくるに違いない」
なぎさ「ご主人様のお知り合いって、なんか凄そうな方ばっかりですね」
うるふ「ということで、今の発言はオフレコにするように」
なぎさ「あのう、一応このレビューは生放送ということになっているんですけど」
うるふ「なんと!HPに生放送なんかあるのか」
なぎさ「だって、その日のうちにとおっしゃっていたでしょう。ということは生放送じゃないんですか」
うるふ「あわわわ、またやばい発言をしてしまった。フォローせねばっ」
なぎさ「…フォローのしようがないと思うけど」
うるふ「だからだな、最初は、と言っておるだろう。確かに最初はいまいち馴染めない絵だったが、何度も見ているうちに慣れたというか、その魅力に気がついたというか」
なぎさ「確かに個性的な絵ですわね」
うるふ「うむ、真似しようと思っても真似できない、あの微妙に崩れたラインといい、狂っているような狂っていないような顔のデッサンといい、慣れてしまうと何故か魅力的な絵と思えてくるから不思議だ」
なぎさ「また問題発言を」
うるふ「誉めているつもりなんだが」
なぎさ「そうなんですか」
うるふ「まあ、その不思議な魅力の絵が、これまた不可解ではあるがなんか引き込まれるような魅力のある不思議な設定とマッチしてだな、あの独特の雰囲気を醸し出しておる」
なぎさ「それが『ONE』の魅力ということなんですね」
うるふ「設定はおいといて、シナリオは秀逸であったな。特にみさき先輩と澪ちゃんといった障害者のヒロインが出てくるんだが、その扱いには感心した」
なぎさ「どんなふうにですか」
うるふ「なんと言っても明るい。障害はあるが少なくとも表向きにはそれを苦にしておらず、あっけらかんとしている。実際の障害者もこんなもんだ。しかし、何も考えていない訳ではなくて苦しみを乗り越えてきた明るさというのがきちんと表現されておる。これはなかなか書けることではない」
なぎさ「そうなんだ」
うるふ「盲目ということを苦にしていないように見えたみさき先輩が、実は学校の外に出る勇気を持てなかったというあたりは実にリアリティがあった」
なぎさ「澪ちゃんにしても、主人公からスケッチブックをもらうまで友だちをつくれなかったですからね」
うるふ「スケッチブックのような些細なことから障害ゆえに出来ていた壁を乗り越えることができる、実はそういうことはよくあるんだ」
なぎさ「実感こもっていますわね、ご主人様」
うるふ「みさき先輩との出会いの時、主人公がどう話しかけたらいいか戸惑ったときの『普通でいいと思うよ…』のセリフも良かった。障害者と接するときの基本だな、あれは」
なぎさ「普通に接することですか」
うるふ「そう、障害には配慮しながらも普通にというか、構えることなく自然に接する、ということだ」
なぎさ「その障害に配慮っていうのが難しそうなんですけど」
うるふ「難しいことはない。盲目だったら目で見ることについて話すときには解説を加えるとか、聾者だったら筆談するとか、その程度で十分だ。要は障害とは関係なくその人と話そうという心だな」
なぎさ「心というか、姿勢というか、そういうことですわね」
うるふ「そういえば、主人公とみさき先輩と澪ちゃん、三人のやりとりも面白かったな」
なぎさ「ええ、澪ちゃんがスケッチブックで自己紹介したら、盲目のみさき先輩が『ごめん、字が読めない』で、主人公が『ごめん、漢字が読めない』と」
うるふ「その時の澪ちゃんの表情、多分「某日替わり」絵の表情の如きだっただろうな(笑)」
なぎさ「また知っている人しかわからないネタを」
うるふ「しかし、アレは面白いぞ。澪ちゃんが手話、というのはちょっと無理はあるが」
なぎさ「はいはい、ところで他のキャラはどうなんでしょうか」
うるふ「うん、それぞれ暗い過去やら、深い思いを持っていて、シナリオライターの腕はなかなかのもんだと思うんだが…」
なぎさ「だが…?」
うるふ「フラグ立てがどうもわかりにくかった。どの選択肢を選んだらいいのかわからないようなところも多いし、結局、最後には攻略本のお世話になってしまった」
なぎさ「あら」
うるふ「幼なじみやら、ケンカ友だちやら、憂いを含んだはかなげな美少女やら、ちょっとおかしな妹やら、美味しいところを取り揃えているのは良かったんだが」
なぎさ「それだけの条件が揃っているのに、なんで三位なんですか」
うるふ「うん、攻略が難しかったのと、あとはだな…」
なぎさ「はい」
うるふ「Hシーンが気にいらん」
なぎさ「はあ?ご主人様の大好きなはずのHシーンがですか!?」
うるふ「そんなに驚くほどのことか?確かにHは好きだが、必然性のないHはどうも好かん」
なぎさ「必然性とおっしゃられても…無理矢理という鬼畜なゲームだって結構お好きなくせに」
うるふ「鬼畜はいい。鬼畜と言うことだけで必然性はあるから(爆)しかし、『ONE』の場合は、Hシーンに突入する必然性が感じられなかった。なんか無理につけ加えたという感じで。繭とのシーンなんか痛々しくて結局最後までできなかった」
なぎさ「そうか、だから繭ちゃんとのエンディング見ていないんだ」
うるふ「そういうことだ。たから、HシーンをカットしたPS版の『輝く季節へ』が出たときは嬉しかったぞ」
なぎさ「ご主人様にしては珍しいことですわ」
うるふ「……」
なぎさ「……」
うるふ「そういえば今回はまだ一度もハリセンを使ってなかったな…」
なぎさ「びくっ」
うるふ「ふふっ、今宵のハリセンも血に飢えておるぞ…あ、コラ待て、逃げるな〜」
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