ニュピについて

 バリ島は「祭りと芸能の島」と呼ばれるほど毎日のように島のどこかで祭りや儀式がおこなわれている。多くの祭りではきらびやかな衣装をまとった踊り手による伝統舞踏が披露されたり、独特な音色のガムランが演奏されたり、色華やかな供物が捧げられたりするのだが、そのなかでニュピはバリ島で唯一の静寂に包まれる祭りだ。

 その日はバリ島の全島民が「火や電気を使わない」「外出しない」「仕事をしない」「食事をしない」。それは心の火を一日だけ消す日だ。欲望や願いで熱くなりすぎている心を冷却し、日々の暮らしにバランスを取り戻すための日だ。

 ニュピの三日前からニュピの準備のための儀式が始まる。三日前の儀式はムラスティと呼ばれ島中の人たちが海へと行進する。大きな一族は長い行列を作り、太鼓や銅鑼を打ち鳴らしながら歩いていく。海では寺院や各家で祭ってある神々の祭器などを清める。

 ニュピには前夜祭がある。それがオゴオゴだ。ムラスティでは善なる神を祭るための準備をするが、オゴオゴでは悪を祭る。それぞれの村で大きな鬼の像を作り、それを男たちが引き回す。オゴオゴによって善と悪のバランスを取る。暗闇の中を疾走する鬼を見たあと、午前一時からニュピが始まる。

 ニュピの当日、私たちはアナック・アグン・グデ・ラーマ・ダラム氏に同席していただく。ラーマ氏の王家プリ・カレラン家はグヌン・サリとティルタ・サリと呼ばれるバリ随一のガムラン楽団を運営している有名な一族である。その一族には1986年に亡くなったアナック・アグン・グデ・ングラ・マンダラ氏がいた。マンダラ氏は1931年パリの博覧会にグヌン・サリのリーダーとして参加、これが世界ではじめてのバリ島外でのガムラン演奏となった。もちろん今でも楽団の運営は続けられている。

 ニュピの一日をラーマ氏と過ごし、一日半瞑想する。そこでの瞑想はすばらしい体験となる。瞑想をしたことのない人には前日に簡単なガイダンスをおこなう。人の喧噪が一切消え、鳥の声や風の音など自然の音だけで奏でられる音の曼陀羅を堪能できる。

 ニュピの断食は一日だけでさほど苦しいものではない。一日たつとからだが軽くなり、清々しい気分になる。

バリでのこと

 バリ島ニュピツアーではバリの雰囲気を堪能していただきたい。

 バリの人たちはのんびりしている。欧米での高級リゾートの対応は今回のツアーに関しては望まないでいただきたい。最適なできごとが最適なときに起こる。その様を楽しんでいただければ幸いである。特にニュピの前後であるから催し物などの予定も現地に行かなければわからない。自然のイルカと泳ぐドルフィン・スウィムをするには運が頼りだ。それと同様、バリの人たちと出会うためにも多少の運が必要である。偶然の出会いや体験をぜひ楽しんでいただきたい。

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2013年ニュピツアー

バリの写真

200枚ほどを8分で見ていただきます。

  

バリのお葬式(ウブド・プリアタン)

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