キヨズ・キッチンで2001年6月23日に食べたもの

豆腐の味噌漬け

 お豆腐を麦味噌に漬け込んだもの。

 味噌の発酵菌が豆腐も発酵させているせいか、豆腐のようで豆腐でない。味はお味噌の味だが、まるでカマンベールチーズを食べているかのような舌触り。これに日本酒があったら、もう最高! 

 添えてあるキュウリとみょうがのピクルスも絶品。

 口に絡んだ豆腐の味噌漬けに、添えてある切っただけのキュウリがよく合う。シャキコリとしたキュウリを噛むと、しょっぱい豆腐の味噌漬けのあと味が、キュウリの甘さと歯ごたえで消えていく。その瞬間になんとも言えない幸せ感がほのぼのと湧いてくる。まるで「シェーン! カムバック!!」と叫びたくなるような、味のうしろ姿です。

 みょうがのピクルスは、みょうがのピリッとした味と漬け込まれた甘いビネガーがマッチし、豆腐の味噌漬けと好対照。豆腐の味噌漬けで口の中が、まったりとしょっぱくなったら、みょうがのピクルスでピリッとあまーくなるのです。

 これらの味の緩急が舌や胃を刺激して、「早く次が食べた〜い」となってしまうのです。うまい前菜を考えたもんだ。

                  

彩り豆と二穀のサラダ

 僕は「いろんなお豆のサラダ」が好きです。ひとつひとつの豆の味がしっかりとわかって、しかもそれぞれが調和しておいしい。この彩り豆と二穀のサラダは、あの「いろんなお豆のサラダ」の発展形といえるでしょう。

 写真の上の部分にかかっているのは黒米と丸麦です。その下に大豆、ブラックアイビーンズ、こまかく角切りにしたキュウリ、にんじん、セロリが入っています。豆のコリコリとした噛み心地と、黒米と丸麦のモチモチとした歯触りが、このサラダの美味しさを倍増させています。お箸でちまちまと食べるのではなく、「スプーン下さい」とみどりちゃん*に頼み、ガツガツと豪快に食べて下さい。歯ごたえも美味しいサラダです。

注*) みどりちゃん
 キヨズ・キッチンのホール係。瓜実顔。注文を取りに来るのはたいてい彼女。

            

金目鯛のモロッコ風ソテー

 僕はモロッコになんか行ったことがないので、「モロッコ風」というのがどんな風なのかまったくわからなかったのですが、エイヤッとばかりに頼んだら、写真のようなのが出てきました。茄子、ズッキーニ、タマネギ、赤ピーマンなどがどっさりと乗っていて金目鯛が行方不明状態でしたが、発掘したら無事発見できました。

 金目鯛にも野菜にもほのかにカレーのような味がついていて、これが「モロッコ風」なのかと思い、「こりゃなんだー」とみどりちゃんに聞いたら「コリアンダーとクミン」だといいました。・・・座布団一枚。

 この「コリアンダーとクミン」の風味が、お皿全体に仄かに漂い、金目鯛の白身の味とそれぞれの野菜の味を優しく包み、「あんっ、どうしてこんなに繊細なんだ!!」と地団駄を踏みたくなります。まるで母親が赤ちゃんの顔をそっとなでるような、そんなタッチの味付けです。

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