わたしには1才半になる娘がいます。この娘がお腹にやってきたときの、ちょっと可笑しな話を聞いてください。
わたしは夢の中で、水槽を眺めていました。その中には骨が透き通っている魚が数匹泳いでいて、この魚たちに長い間餌をやってないことに気づきました。
餌をあげると、魚たちがものすごい勢いで飛び掛かってきたので、わたしはなんだか人間に襲いかかるピラニアみたいだと少し恐ろしい気持ちになりました。水槽の中でバチャバチャと水しぶきをあげる魚を見ていると、その中の一匹が、なんと水槽の側面のガラスを頭から突き抜けてきたのです。わたしは驚いて目を覚ましました。
夢から醒めると、瞬間、自分が妊娠してしまったことを察知しました。あの夢は「受精」を表していたに違いないと。
しかし、結婚して6年目のはじめての妊娠であったし、避妊をしていたこともあったので、心では「解っていた」のに、頭は「そんなはずはない」と否定しつづけていました。
ただおもしろいことに、行動は心に従ってしまうのです。例えば、この夢を見た数日後からトレーニングジムに通う予定があり、楽しみにしていたにも関わらず、ジムに行く初日になって、なぜだか行こうと言う気持ちにならず、ついでに雨も降っていたのでバイクで主人と行くつもりでいたわたしは、ますます邪魔臭くなって断りの電話をいれたとたんに雨が止みました。思わずお腹に手をおいて「あんたか?」と言ってしまった…。実際、あの段階でトレーニングマシンやバイクに乗っていたとしたら、たぶんこの子が生まれることはなかったと思います。
同じ頃、ペンキの塗り替えがあって、その時も「お腹に子供がいるから、この匂いを嗅がない方がいい」と心が訴えるのです。わたしは「まさかまさか…」と思いながらも、ペンキの匂いがしている間はできるだけ家にいないように動いていました。
他にも細やかなことが重なって、わたしはいつのまにか妊娠しているという前提で生活するようになっていて、産院の検査で陽性反応を見たときにはすっかり腑に落ちると言うか、次元の違うモードに入ってしまったことを改めて認識することになりました。
そう、まさに妊娠中というのは、普段とは違う次元にいるのですね。自分だけじゃない、他人のバイブレーションも持ってしまうので、あたりまえのことなんですが。だから、お腹の子供の意志みたいなものも母親は感じてしまうのです。
それからは、夢でたびたび「娘」に会いました。おもしろいことに娘はいつも海に住む動物として出てくるのです。はじめは、前述のように小さな魚でした。
妊娠五ヶ月のとき、夢で海が出てきました。「海は精神性を表すんだ。飛び込もう」と思い、夢の海にさっさと飛び込みました。わたしは夢日記を長年付けているせいか、こんなふうに夢の中でどうすれば良いか知っている時もあって、とにかく今までの経験から「海=飛び込め!」という公式を体得していました。
ドボンと飛び込むと、すぐにこれはお腹の赤ちゃんに会えるぞと確信してどんどん潜ってゆきました。海底になぜだか水槽がありました。そして水槽のなかに、「フグ」がいたのです。フグと正面から向き合いました。まんまるお目々のかわいいフグでした。わたしはあの魚が、ここまで大きくなって順調に育ってくれていることがわかって、うれしくなりました。
最後は、出産の2週間前の夢です。出産のために里帰りをしていました。朝方、実家の壁をうつらうつらしながら見ていると、エメラルドグリーンの海中に意識が入ってしまいました。わたしは、またここで娘に会えると思い、グルグルと海を周りながら彼女を探しますと、やっぱりいました。「アシカ」の姿で。
「『まりん』か?」と、この時までにあらかじめ付けていた名前で訊ねると、アシカは首をピョコンと動かして返事をしてくれました。小魚モフグモアシカと、まるで出世魚のようですね。わたしはこの一連の夢で出てきた魚たちは、別次元での「娘」に違いないと思っています。
夢は現実と繋がっている別次元の世界です。そこを通じて、お腹の赤ちゃんと交流をすることができるのです。わたしは羊水=海と言うように変換して出てきました。これは妊娠をどんなイメージで捉えているかによって変わってくると思うので、人によって違うでしょう。
この現実で、母親が大きくなりつつあるお腹をさすり、「かわいいねえ、大好きだよ」と話し掛けてあげるように、夢(他次元)で子供と触れ合ったり、その子のパターンを知ってあげるのもいいと思います。
しかし、わたしはたまたま夢を覚えやすい質なので、こんな夢を覚えているのですが、妊娠中に子供に関する夢を何も見なかったと言う人が、もしいらっしゃったとしても、ただそれを覚えていなかっただけで、必ず他次元でお腹の赤ちゃんと交流されているものだと思うのです。別次元でちゃんと子供と交流をしているんだと知るだけでも、プレママにはロマンがあって励みになるのではないでしようか?