寒い場所であおるウィスキー

雪国に行くとき、鞄にウィスキーの小さな瓶を忍ばせる。

遠い日の悪戯のような、

大人になってからの秘かな楽しみのような、

こそばゆい感覚を宿して。

言葉も凍りそうな寒さの中で、

そっと瓶を取り出し、

秘かな楽しみをぐっとあおる。

ウィスキーの発する熱が喉を通り胃の腑に落ちていく。

フーッと吐く息が、

さっきまではただの冷たい息だったのだが、

今は琥珀の香りを宿した、

熱のこもった息吹となる。

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