僕と彼女はカウアイ島の空港でランドローバーを借りた。
草木の緑も土の赤も不思議なくらい鮮やかだった。
色の遠近感を失わせるほど乾いた風を切って、
ポイプまで走った。
ポイプ・ビーチはカウアイ島の南端にある。
目的地は、オアフ島から苦手の英語で予約したB&B。
借りた部屋はエアコンがなく暑かったが、
シーリング・ファンを回し窓を開けると、
通り過ぎていく風が気持ちよかった。
翌朝、小鳥たちの声で目を覚ました。
細く開けた窓の隙間からたくさんの鳥の声が流れ込んでくる。
鳥の声で目を覚ますのがこんなに気持ちいいとは知らなかった。
せっかく起きたのだからと外に出ると、まだ空は薄暗かった。
ビーチまで散歩し、波打ち際を歩く頃、朝日が昇ってきた。
リゾートホテルが林立するあたりから昇った太陽は、
たくさんの椰子の木を影絵のように照らし出す。
岩場では波の砕ける音がBGMになった。
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