イプの音

 古式フラで使うイプという楽器がある。楽器と言ってもひょうたんの上部を切り、乾燥させてニスを塗ったものだ。この楽器を掌の厚い部分でうまく叩くと、トーンという、深い音がする。大きなイプほど低い音を出す。指でコツをつかんでうまく叩くと、カッという音がする。トーンという音とカッという二種類の音を組み合わせてリズムを刻む。

 フラではこの楽器を使って、ウッテー、ウテテーとリズムを刻むのだそうだ。ウッの部分がトーンで、テーの部分がカッにあたる。だからトーンとカッで表現すると、トーンカッ、トンカッカッってな感じになる。ここに楽譜が書けたら簡単なんだけどなぁ。

 まあとにかく良い音なのである。ハワイで民族楽器のお店を探して手に入れた。夜に一人で叩いていると、ハワイのあの雰囲気を思い出してしまう。椰子の木が風に揺れ、太陽の光は暑いのだけど、日影に入れば涼しい風が吹き、どこからともなく花の香りがし、山々は緑に輝き、空は真っ青で、海は輝き、サーフボードをかついだお兄さんがきれいな女性を連れて歩き、花が咲き乱れ、虹がたくさん見られる、夜になればどこからか音楽が聞こえ、星が輝き、場所によっては夜景が美しい、そんなハワイの雰囲気だ。

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