花の名前を教わる

     花の名前を僕はあまり知らない。
     興味のない証拠だ。
     しかし、花の名前を教えてもらうのはなぜか嬉しい。
     あれはなんとか、これはなんとか・・・。
     あれがなんと言う名で、これが何という名かを
     二、三日もすれば忘れてしまう。
     昔、大好きだった娘が花の名をたくさん知っていた。
     うん、そうだ、
     その娘に花の名を教えてもらうのが嬉しかった。
     そのときの感覚を思い出しているのだ。
     ドキドキして、ワクワクして、
     ちょっとあがったような感覚。
     その感覚を思い出すためには、
     花の名を知らない方が都合がよい。

 

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