夜行列車

   昔、中国を旅行したとき、桂林から西安まで汽車で走った。
   外国人は一等寝台に行けと言われたが、
   学生の貧乏旅行だったので冷房のない二等寝台に寝た。
   夜に出発して、すぐに寝付けなかったので、
   しばらく窓から外を見ていた。
   通り過ぎるポイントには小さな小屋があり、必ずその前に
   カンテラを持った見張り番が、きをつけをして立っていた。
   緩やかなカーブに差し掛かると、長い汽車の全体が見渡せた。
   駅に着くと近所の家の窓がテレビ画面の光でひかっていた。
   みんな同じチャンネルを見ているので、
   まるでネオンサインのようにどの窓も
   同時にチカチカと光っていた。
   西安につくと体中すすだらけで、シャワーをあびたら
   黒い水が流れていった。
   それが中国であり、汽車だった。

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