■◇■僕のおしゃべり   Vol.33     Aの話
     
 浜崎あゆみのデザインしたAのマークがやけに東洋的で、いったいこれは何だろうと思っていた。<http://www.avexnet.or.jp/ayu/> まるで鳥居か ひげのおじさんかなんとも形容しがたいAの文字だ。ちょっと離れて見ると手を広げて誰かが踊っているようにも見える。とにかく意味はわからない。こんなAの文字は確かに浜崎あゆみしか書かないだろうから、それだけでサインとしての意味はある。

 地下鉄に乗っていたら目の前にfrom Aの広告があった。コピーには「Aをくぐろう」とある。ビジュアルは大きなAの文字に隠れるようにして若い女の子が映っていた。これは成人への通過儀礼だなと思った。アルバイトすることがあたかも大人になるための通らなければならない試練ということだ。そして「Aをくぐろう」というコピーがAの文字を鳥居のように見せてくれる。これを見て浜崎あゆみのAの文字を思い出した。

 成人への通過儀礼は必要か不必要か。まぁ、いろんな意見があるだろうけど、なんでもありの現代にはきっと不必要なものだろう。でも、そういう時代だからこそ、それをあえてやることに意味が生まれてくると思う。成人式が毎年のように大騒ぎになるが、騒いでいるのは一部の馬鹿で、多くの若者は自分が大人になる確かな手応えを求めているのではなかろうか。浜崎あゆみのAのマークやfrom Aの広告に人気があるのは、そのことの暗示に思える。Adultの入り口として、人生のABCを学ぶ入り口として、それらは作用しているのではなかろうか。

    

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