■◇■僕のおしゃべり   Vol.38     東から西へ
    
 新幹線で大阪に行く途中、窓から外を眺めていると、桜があちこちで咲いていた。はじめはきれいだなぁと思ってただ眺めていたのだが、しばらくして気がついた。東京ではもう散っている桜が大阪に向かっていくとたくさん咲いている。桜前線は西から東へと移動するものではなかったか?

 最近はメンコがブームだそうだ。ところがそのメンコもかつての単なるメンコではなく、メンコスタジアムなるメンコをやる野球盤を一回り大きくしたような専用の盤が発売になるのだという。ベエゴマが機械化されて発売されたときにも違和感があったが、今回のメンコスタジアムもかなり違和感を感じる。子供は遊びを作り出すものだ。ボールがひとつあったら、それを使って新しい遊びを考える。メンコがあったら、ビー玉があったら、おはじきがあったら、もともと作られたルールに多少の工夫をしてその地方独特のルールを生み出していく。だから地方によって同じような遊びでもところどころ違ってくる。地方の違う子供たちが一緒になって遊ぼうとするとそこにコミュニケーションが生まれ、遊びをさらに豊かにしてくれる。

 ところがベエゴマの機械化も、メンコスタジアムも、商売ありきでスタートする。ルールは全国的に統一され、それを発売する会社が企画して全国トーナメントをやったりする。もちんそれはそれで面白い部分もあるだろう。でも、子供の創作性を伸ばすという観点からはあまりいいことだとは言えない。遊ぶためにはお金が必要と言うことにもなってしまう。

 遊びは子供がコミュニケーションを学ぶ場だ。そこに商売が介入すると、コミュニケーションすら商売の一端となってしまう。かつては遊びを通してコミュニケーションを学んだが、いまは商売を通してコミュニケーションを学ぶのか?

 その昔、子供のおもちゃは安い物だった。僕が子供の頃からおもちゃが高額になり始めた。大人がお金を使って遊んでいるのを子供は憧れて見ていたものだが、現代は子供を遊ばせるために親がお金の苦労をするという、桜が東から西へと咲いていくような状態が日本中に蔓延している。子供が大人になんかなりたくないと思うのは当然だ。

    

僕のおしゃべり

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