EPSON FS-1300 ART




 近所の電気屋で発掘、捕獲したフィルムスキャナ。
発見した時点で\9,980なるもパッケージはMachintosh用だったので、下調べをして
翌日捕獲しに行ったら・・・・値札が\14,800に書き変わってました(泣)。   
・・・が、ダメモトで店員さんに聞いてみたら、「\9,980でいい」とのことなので、
一も二もなく購入。ホントにラッキーでした。                




<FS-1300ART 仕様>
CCD解像度     1200*2400dpi
入出力階調    R・G・B各色10bit入力/同8bit出力
インターフェース SCSI フルピッチ50pin/25pin端子 各一(ターミネータ内蔵)


<テスト環境>
MACHINE :PC9821 Xa10/K8改
SCSI I/F:I/O DATA SC-UPCI (symbios 53C875 chip 搭載)
OS      :Windows 95 OSR1 で動作を確認。


Windows 2000 では、VueScan(シェアウェア。)という汎用スキャナドライバで認識・動作が可能。


カラーネガの読み取りに非常に強く、下の作例のようなヒストグラムが極端なケースでも現行のCoolscanとそれほど遜色ない精度で読み取りが可能。おすすめです。
Vuescan Web site

< ドライバ概観 >



基本的にプリンタの周辺機器として設計されているためか、インターフェースは
よく言えば極めてシンプルで初心者に分かり易い。はっきり言えば機能不足


ドライバの段階での補正は露出とガンマ値、ピントのみで、極めつけにマニュアルでの色調整機能を全く搭載していないため、ひたすら自動モードにお任せ仕様になっています。よほどドライバの出来に自信があったのでしょう。実際普通のスナップ写真の範囲なら驚くほど手間いらずです。
6コマの連続プレビュー・取り込みに対応しているのは、当時としては画期的だったらしいです。




<Sample1 Konica Centuria 400 使用 1200dpi >

 SAAB91 各務原航空博物館 約135kB

クリックすると、縮小前の未加工の画像(約135kB)が表示されます。

 撮影データ
Title      : 高揚力研究機 X1G(SAAB Saphir91B kai)
Date&Place : かがみがはら航空宇宙博物館 98年9月初旬
             Kagamihara AeroSpace Museum at Sep 1998
Camera     : Nikon F301 + SIGMA 24-50mm Zoom
Scanner    : EPSON FS1300WINS相当 1200dpi(Maximum)
Retouch    : ImageFilter v5.9 & StudioMap JTrim Ver.1.20
Copyright  : Taken and edited by Albatros
             (albatros@t3.rim.or.jp)
Source     : Contrail http://www.t3.rim.or.jp/~albatros/
Comment    : 防衛庁技術研究本部のSTOL技術研究に使用された機体。
             原型はSAAB-SAPHIR91Bという初等練習機で、日本には
             この1機のみ研究用に輸入された。


ヒストグラム


 開発元であろうコニカのISO400・ネガのフィルムを使い、ヒストグラムがRGB
共に比較的なだらかな画像だと、ほぼ補正要らずの絵を出力してくれます。
解像力に関しても、天井の鉄骨や飛行機の細部を見た限り、CoolscanIIIを1350dpi
で使用したときと比較してもそれほど気になりません。



<Sample2 ヒストグラムが偏っている場合>

1200dpi 全パラメータをデフォルトで取り込み・縮小。  NAL Fokker50 未修整

※ 画像中の黒い帯は、スキャナ内蔵のターミネータを使用していて載ったノイズで、外付けのターミネータに切り替えるとこの現象は止まった。
ヒストグラム

狭い範囲にR/G/Bそれぞれのヒストグラムの山が集中している (ドライバのアルゴリズムで、山の位置やピークをそろえているのか?) 影響なのか、カラーバランスが崩れて全体に茶色がかぶっています。
空の色が全くでていないので、主にB(青)チャネルのトーンカーブ修正で対処します。

Bトーンカーブの修正


2倍拡大図


 トーンカーブをS字型(鮮やかな青はより強調され、地味な青はより地味に)に修正し、青系統のコントラストを上げる。同時にヒストグラムで青のレンジを右に詰める。 赤・緑については多少直線の中心点をくぼませる・ごくわずかに逆S字(効果はS字型と逆)にする程度の微調整を行う。
修正後のトーンカーブ・ヒストグラム"

修正後の画像


 ↑が修正後の画像。CoolscanIIIでスキャンされた同一ネガの画像より若干地味ではあるものの、色に関してはそれほど遜色のない画像が出来上がる。



修正後のヒストグラム。元画像のそれと比較して、赤(R)が左に、青(B)が右にずれていることが見て取れる。


<他機種との比較>
CANON D660U(前回のテストレポート)及びNikon CoolscanIII
Coming soon ?
・・・現在ゆっくりとテスト中
フラットベッドスキャナ+FAU(Canon D660U)との比較
D660U+FAU

サムネイルの段階で輪郭がかなり甘いのが見て取れる。   
色は14bit入力な分、FS-1300より多少階調豊か
FS-1300

さすがにフィルムスキャナだけあって輪郭は綺麗。   
d660uでは読めなかったノーズギアのディテールが判別できる。
色はトーンカーブの調整でよくなったものの多少痩せている。






<総評>  手間をかければ十分に現在でも使える

・解像度

 いままで使用していたフラットベッドスキャナ+FAUの構成とは、当然ながら一見して分かる大きな差が存在します。やはりフィルムをスキャンする場合は、明らかに餅は餅屋のことわざは正しいようです。CoolscanIIIと比較した場合でも、最大解像度を使わず1350dpiでスキャンしたものとFS-1300の限界性能とは気になるほどの差はないようです。

・発色

  やはり10bit入力というスペック上のハンディ(CoolscanIIIは12bit・D660Uは14bit)を負っていること(ヒストグラムが櫛の歯のように飛びやすい)と、ドライバレベルでの調整が一切効かないことの2点で、ドライバの自動調整がこけるとそれなりに痛いところはあります。トーンカーブをいじれば、ある程度(だいたいサービス版プリント程度の色)のまでの補正はできるので、撮影時に露出を厳密に調整する・フィルムを相性のよいコニカ製にする等の対策でどうにかはなりそうです。

・結論   価格以上のコストパフォーマンスはありますし、ドライバの不備はImageFilterなりPhotoshopなりを使いこなせればカバーできないことはない範囲です。6コマ連続スキャンも可能で、フォーカスの精度や輪郭線のシャープさは間違いなくフィルムスキャナのものなので、現在売れている2400dpiのフラットベッドスキャナ+FAUや、1コマしかスキャンできない代わりに低価格なフィルムスキャナ(PrimeFilm1800i)よりは格段によい選択だったようです。じっくり機械とつきあえる人向きです。


ヤフオクでの中古相場が\6k〜\12k程度なので、このくらいの値段で見つけられれば、買って損はないでしょう。中古屋で\20k強だったら、もう\10k弱足してCoolscanIIIをオークションで狙う方が良さそうです。あれにはフィルムのゴミ取りスキャン機能(DegitalICE)という強力な武器が搭載してあるので、手間をかけたくない人・過去の全ネガをデジタル化するという人はそちらがお薦めです。



Return to Top page of Contrail