AI着色は昭和時代の夢を見るか(その35)旭川機関区1


PhotoshopのAIカラー化のニューロフィルターのプラグインの鉄道写真への利用を実験するこのシリーズ。最初の北海道撮影旅行で1972年7月17日に行った苗穂機関区で撮影したカットも前回の第八回で幕。今回からは同じ日の午前中に行った旭川機関区で撮影したカットのカラー化をお届けします。まあ、変わり映えがしないと言ったらそれまでなのですが、旭川機関区の方がより開拓地然とした風情が強く、カラー化には厳しい絵面が多いので、AI君がこれをどう処理するのかが見ものです。おまけにこの日は旭川も蝦夷梅雨で雨が降ったり止んだり。なかなか難しい光線状態でもあり、ここは一つ頑張ってもらいましょう。



今回最初は旭川ではなく、泊まっていた苫小牧から朝方旭川に向かう行き掛けのお駄賃。苫小牧駅を出てすぐに目に入った、苫小牧の機関支区に佇んでいる岩見沢第一機関区のD5153号機。鉄道写真としては「単にシャッターを押しただけ」ですが、記録やジオラマの資料としてはけっこう見るべきものがあります。この時期まだ皿付きのクルパーを装着していたカマは、かなり減ってはいたものの残ってはいました。53号機も皿付きですね。一次型には、ワリと皿が残っているカマがいました。カラー化は例によって彩度を下げてきていますが、まあ自然な感じに仕上がっています。ジオラマ作りの資料としても充分使えます。雨上がりの水溜りの感じもいい具合ですね。


旭川に到着すると早々に機関区へ。今回の北海道旅行の目玉の一つだったC5530号機がお出迎え。北海道のパシフィックをできるだけ撮るのがこの旅の目的である以上、旭川機関区と苗穂機関区とで一日使うプランの意味がある。撮りたかった30号機が今日の稚内行きの本務機とは運がいい。まずは給砂塔のまえに佇む同機の姿を、引きのカットで。バックにはキハ22と711系がいるが、このAI君はなかなかのファインプレイ。気動車標準色も交流電車色もそれっぽく塗ってきている。それも今までのように彩度を落としてそれとなくではなく、キッチリと濃く塗ってる。これはちゃんと理解しているな。もっというと国鉄の交流電車はこの時代北海道にしかいなかったので、どこかで北海道の国鉄電車を学習したのだろうな。


当時は旭川機関区にはC55形式は3輌配置2輌使用という運用で、昼間の旭川−稚内間の321・324列車に充当されていました。このため夜間は旭川機関区に2輌、稚内機関区に1輌が駐泊することになります。ということは稚内行きの321列車が発車する前の午前中に旭川機関区に行けば、3輌中2輌をモノにできることになります。とにかく限られた日数の中、1輌でも多くの機番を撮るというのがこの時の目的である以上、これは絶好のプラン。宗谷本線は走行シーンは旭川市内での321列車だけにとどめ、機関区に集中するプランにしたわけです。狙いはやはり流改の30号機でしたから、今日の321列車に30号機が充当されているというのは大ラッキーなタイミングだったわけです。


さらに30号機に寄って撮ります。乗務員の方が出発前の仕業点検中です。今回はナッパ服も兵装ではなく国鉄らしい色になっています。前のカットではブドウ色2号みたいになっちゃってた711系も、今回はちゃんと赤みが入っています。毎回点数を稼ぐ「架線注意」は、今回はかなりリアルですね。輪郭のゼブラ模様の黄色も文字の赤も、きちんと色を入れてきました。前照灯が減光で点灯しているような描写と赤ナンバーは、頻発してしまうのでこれはもうAI君のクセなんでしょうね。それにしても北海道は幹線の大機関区といってもバラストは土に埋もれ、線路もよれよれです。まあ旭川自体が、何もないところにまず鉄道が敷かれ、それから第7師団の移駐などで出来上がった町ですからね。


さてさらに近づいて30号機の非公式側のサイドビューを撮影します。模型資料的な意味も含めて、30号機は会えた喜びからこの時撮りまくっていますので、このシリーズではこれからしばしお付き合い願います。給砂塔と被る部分のみ、ウェザリングが効き過ぎた感じになっていますが、これは給砂塔のトラス支柱との分離がうまくできず、まとめて支柱の方にひかれて錆色に仕上げてしまったものと思われます。同じ理由で向こう側の支柱と被っているキハ22は、独立した車輌と認識されず、支柱と同じような仕上げになってしまいました。これは写っている物体の認識・分離のほうにまだ問題があるということなのでしょう。今後の学習に期待したいところです。


振り返って給炭ホッパ越しに機関区の様子を眺めます。旭川機関区のD51738号機と29669号機、そして電化線には岩見沢第二機関区のED76521号機が泊まっています。ED76形式を交流電気機関車と認識して、交流機関車の色で塗ってきています。これはちゃんと学習して認識していますね。「それらしく」ではなく正解です。なかなかあっぱれ。さらに9600形式のテンダ背面のゼブラ模様にはしっかり黄色が入っています。全体の雰囲気も、雨の道央の夏という感じが出ていて、なかなか雰囲気があります。このカットはAI君の今回最大のヒットではないでしょうか。というよりこれができればカラー化としては充分合格だと言えるレベルでしょう。


今回最後は、線路上真正面からのC5530号機のカット。下だけナッパ服の整備係の職員も登場していますが、この位置で線路上から撮影しても、基本的に全然OKで何も言われなかったのが、この時期の北海道の機関区見学です。テストのためか前照灯の主灯が点灯しています。こうなっていると、副灯のLP405は点灯状態とは見えず、反射鏡の反射という感じに見えます。ナンバーはやはりほのかに赤みがありますね。711は色がついてるんだかなんだかわからないような彩度です。さて30号機の後ろにいたD51はけっこう特徴があるので機番の特定が可能です。戦時型船底テンダーですが、ドームは標準形に改装してあるカマはそう多くはありません。その中で旭川機関区に入区する運用があるのは、旭川機関区のD511090号機のみです。こういうのは比定しやすくていいですね。




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