ちょっと偶然の産物なのだが、町田の玉川大学教育博物館で行われている、「鈴木コレクション おもちゃ絵の世界」を見る機会があった。「おもちゃ絵」とは聞きなれない概念だが、江戸時代から明治にかけて、子供のおもちゃとして作られていた錦絵であり、錦絵が印刷された紙を厚紙で裏打ちし、切り抜くことで、今でいうペーパークラフトのオモチャや、カルタ等の遊具が作れるキットになっている。「学年誌の付録」といえば、イメージが湧くかもしれない。明治時代には、おもちゃ絵専門の店舗もあったというほどポピュラーなものであった。味の素の鈴木三郎助氏が集めたコレクションは、遊ばれれば散逸してしまう運命にあった「おもちゃ絵」を今に伝える貴重な資産といえる。で、その中には、歌舞伎の名場面や、動物園、観光名所などを数枚セットで組み立てるものもあり、まさにその発想が、ジオラマなのだ。詳しいレポートは、「Gallery of the Week」で紹介したいと思うが、車輛模型は広がりがないのに、ジオラマはなんで老若男女を問わず惹き込む魅力があるのか、という問いに対して、重要な答えを見つけたといえるだろう。