その他のプロジェクトの曲




「Chain Reaction」のための曲


「Chain Reaction」は、Seventh Heavenの別働隊のような感じですが、それもそのはず、Seventh Heavenでヴォーカルを取る岡本さんと、Chain Reactionでヴォーカルを取る岸野さん、そして山下さん、藤井の四人は、90年代半ばに一緒のバンドをやっていました。そこからの流れですから、ふたごの様なモノでしょうか。

甘い罠 (c)2002 作詞江幡育子・作曲藤井良彦
これは、実はルーツをたどると相当に古い曲です。まだ猫屋とかやってたバブル期、猫屋向きでない曲も作ってみよう、ということで、いくつか江幡さんにトライして書いてもらった歌詞の中の一曲です。この時書いた中からは、「愛してる」に代表されるように、猫屋の中期の新路線に繋がったモノもありますから、その歴史的重みがわかろうというもの。それがストックになっていたのを、90年代後半になって曲をつけ録音していたのが、21世紀になって陽の目を見た、という曰くの深い曲です。まあ、サウンドを効いてもらえば、いつごろの録音か、スグにわかっちゃいますね。UAとか出てきたけど、宇多田はまだ、という第一次ディーバブームの頃の音です。白状しちゃいます。岸野さんのヴォーカルは、ともするとムード歌謡になってしまうこの曲を、サラリとまとめて持ち味が出ています。使用ギターは、アコギがタコマ、エレクトリックが61年のES-335です。

「極楽娘」のための曲


「極楽娘」は、当時としては珍しいコンセプト先行のバンドで、ヴォーカルの花谷真澄嬢(当時)を形容する言葉として、「極楽娘」というフレーズが思い浮かんでしまったことからすべてが始まったのでした。しかし、結局ライブはわずか一回だけ。それも彼女の結婚式の2次会のライブパーティーでというスゴい状況(かなりテレながらやってたけどね)ながら、そのインパクトは恐ろしく、極楽娘のナンバーは、手を変え品を変え色々なところでその後も息づいています。これがなければ、あの猫屋もなかったとさえいえるでしょう(色物ナンバーを書く才能にめざめた記念すべきプロジェクトですな)。

極楽娘 (c)1986 作詞・作曲藤井良彦
ある同じことを皆感じているのに、それを形容する言葉がないばっかりに、感覚を共有できないことは良くある。言葉ができると状況は一変する。「ストーカー」なんていい例だろう。ストークする人は昔からいて、「困ったちゃん」とか「変なヤツ」とか(「オランダ人」はちょっと違うか)それぞれ呼んでたけど、「ストーカー」って言葉ができたゆえに社会問題になった。「極楽娘」もその例だ。もともとは皆を能天気にさせるぶっとんだ某嬢のあだ名。しかしその言葉ができた途端、「ウルトラマン」が色々な場面で色々な怪獣と闘うように、彼女が色々な場面に現れたら世界中が能天気になるだろうというストーリーまでアイディアが広がり、唄になったという次第。「嵐のように現れて、みんなで騒げば能天気、人呼んでその名も『極楽娘』」というリフレインを思いつくや、京都のホテルで5分間で一気に書き上げた曲。書いたのは5分だが、その後1時間以上一人で抱腹絶倒、悶絶していた(笑)。某電気メーカ(「電気」だとかなり特定される)の某電飾バンドで、柴多先生がカバーしたバージョンもある。

Hanamiのどうぶつづくし (c)1986 作詞・作曲藤井良彦
クルマを運転中にカーオーディオで「ドンタンドンタンドンタドーントタ」という、例のゲートエコーの効いたリズムを聞いたら、突如頭の中に象が突進する映像が現れ閃いた曲。全く、アイディアというのはどこで湧いてくるかわからない(笑)。それだけに、自分でもまた創れといわれてもできないほどユニークな曲。鬼っ子だけにぼくとしては思い入れのある曲です。タイトルは「圭子の夢は夜開く」のもじり。個人名が入ったタイトルって、一回使いたかったから。その後猫屋で、アップグレードバージョンとして「Nekoyoのどうぶつづくし」としてリメイクされたのは皆様ご承知の通り。オリジナルバージョンは、「白いワニ」がない代わりに、「サイ、サイ、サイ、サイの角は一本」の連があり、パンダで終わる。

スキャンダラスでなくっちゃ (c)1986 作詞・作曲藤井良彦
極楽娘のナンバーとしては、比較的ノーマルな曲(笑)。サビのところの、これでもかというぐらいの掛詞から思いついた曲。そこから曲想も、ジャズとブルースが未分化の頃の、1940年代のストンプナンバーみたいな感じを思いつきました。その後猫屋でセルフカバーしたので、そっちで知っている人が多いのでは。猫屋バージョンは、珍しくもほぼオリジナル版に忠実なカバーになってます。

恋のハッカー (c)1986 作詞・作曲藤井良彦
以上三曲はまがりなりにもたった一度のライブでやったけど、この曲はデモテープレベルでしか残ってません。最初の3曲は、どちらかというとR&Bベースだったけど、これはハードロックナンバー。第二次の新曲はハードロック路線でと思ってたなごりです。他人の恋仲をハックする女性の唄で、ロック版「まちぶせ」というところでしょうか。ところで、このデモテープのギターソロはかなり凝って作ったものです。きれいな流れでライトハンドフレーズが入っているなど自分では気に入っていて、手癖で今でも良く奏いてたりします。日の目をみなかったのが惜しいですね。


(03/01/17)



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