JFK
〜テレビ版吹き替えより 裁判シーン-1〜
   あまり吹き替えに馴染みのない方には「何?」という感じかも知れませんが、逆にそういう方に知って欲しいのです。この映画での最後の裁判シーン、津嘉山さんの吹き替えは最高なんです!
  是非とも見てほしい作品なのですが、惜しむべきはDVDに吹き替えが入っていないこと(特別 編なんか要らないのに)。吹き替え版はビデオやLDならあるのでお薦めします。

 
ジム・ギャリソン : 津嘉山正種
 

ギャリソン:クレイ・ショーが関わった共同謀議を立証するには、複数の人間が暗殺に絡んでいたことを証明する必要があります。
  そのために我々が入手したザプルーダー・フィルムを見ていただきたい。アメリカの市民はまだ―

リズ:パパよ。

ギャリソン:アメリカの市民はまだそれを見ていません。5年間ずっと金庫の中に眠っていたからです。ニューヨークのタイムライフ社のビルで。
 それには訳があります。 見てください。

〜ザプルーダー・フィルムの上映

ギャリソン:多くのことを語っているフィルムです。
  ウォーレン委員会は単純な事件と考えました。弾3発、犯人一人。ところが予期しない不都合なことが二つ出てきたのです。
  そのひとつは、芝生の丘に立ってザプルーダーさんが撮っていたこの8ミリフィルム。もうひとつは3人目の負傷者、テーグさんです。彼は立体交差の近くで飛んできた弾に当たって負傷しました。


 あのフィルムが証明する時間は5.6秒です。4発目の可能性はありません。ですから弾か破片か、テーグさんの頬をかすって傷つけたのは、教科書ビルの窓から撃った3発のうちの1発です。残りはあと2発。1発はケネディの頭に命中し、致命傷となりました。
 さて最後の1発ですが、この1発がケネディとコナリー知事に同時に7つの傷を与えたことになる。共同謀議の線などの捜査を続けるのではなく、ウォーレン委員会はある理論を採用しました。その理論というのは若い弁護士スペクターの立てた説で、このとてつもない嘘が市民に押し付けられたのです。いわゆる魔法の弾理論というやつです。


 魔法の弾は、大統領の背中から入って17度の角度で下へ行き、それから上へ向きを変え、ケネディの首の前部から外へ飛び出した。第二の傷です。
  弾はここで1.6秒待ち、おそらく空中で急に右折してさらに左へ、それから右へ、また左へ。そして今度は知事の右脇後ろから体内へ。第三の傷です。
  その弾は27度の角度で下の方向へ進み、知事の第五肋骨を砕いて、そのあと右の胸から出てきた。第4の傷。
  次に弾は右折して知事の右手首から再突入。第5の傷。手の骨を砕いて、また手首から出てきて、第6の傷。
  そこで劇的なUターンをして知事の左太股にめりこんだ。第7の傷です。そして後ろで落ちた。
  その弾はほとんど無傷の状態で、パークランド病院のストレッチャーの上で見つかりました。


 すごい弾です。戦場に行った経験のある人なら、誰でも知っているでしょう。 こんなおかしな弾はどこにもありません。でも政府は証明できるといいます。核研究所の物理学者がね。そりゃできますよ、象のしっぽを雑草に結んで、崖から吊るすことだって理論的には可能なんですから。
 でも常識で考えましょう。
  陸軍の弾道実験の専門家が、何度か比較実験をやってみたが、無傷の弾はひとつもなかった。
  証拠856を見てください。まったく同じ弾です。人の死体の手首を撃ちました。骨が1本砕けただけでその状態です。でも実際は7個所。丈夫な皮膚や骨を貫通 した。
  この1個の弾の理論が、ウォーレン委員会の単独犯行説のよりどころです。


 この魔法の弾が7つの傷をつくることはありえないと結論すれば、当然4発目があったということになる。二人目の犯人も。
  二人目の犯人がいたということはとりもなおさず、共同謀議があったということです。我々はクレイ・ショーがそれに荷担したと信じています。
  現に51人の証人がその時、芝生の丘から銃声が聞こえたと言っています。大統領から見て右前方です。
  カギを握る証人は退役軍人のチャールズ・グレコさん、すぐ後ろにジーン・ヒルとメアリー・モアマンさん。ホランド、ドット、シモンズさんの3人は陸橋の上にいた。J・C・プライスさんは広場が見渡せるところ。ウィリアム・ニューマンさんは2児の父親ですが、エルム通 りの北側にいてとっさに身を伏せた。ザプルーダーさんはここです。
 これらの重要証人の誰もが、間違えなく柵の後ろから何発か発射されたと証言しています。あの時パークランド病院の26人の医師全員がはっきりと見ています、大統領の後頭部がふっ飛んだ跡を。
ピーターズ先生も。

ピーターズ医師:右後頭部に7センチほどぱっくり開いた大きな傷がありました。
  かなりの量の脳が失われていましたね。このあたり。

医師A:後頭部のだいたい5分の1から4分の1ぐらいがふっ飛んでいました。下の脳細胞の一部も一緒にです。 それから頭蓋骨の大きな破片がひとつ、頭皮にこびりついていました。
  後頭部の穴の出口を計ったところ、直径120ミリから125ミリもありました。

ギャリソン:なおこの検死に立ちあったパークランド病院の医師全員が、喉の傷は弾の入り口だと思っていました。
  遺体は奪い取られるようにしてワシントンへ運ばれました。というのもクーデターが起きた場合、民間の医師団の手で解剖されるのと、厳しい統率下で軍の医師団がやるのとでは、大きな違いが出てくるからです。
  金曜日の午後、ダラスを後にした大統領専用機の離陸は、どこかまるで逃亡するようなムードでした。宣誓したばかりの新大統領の…

弁護士:意義あり、裁判長!
裁判長:認めます。

ギャリソン:そして驚いた事にホワイトハウスの通 信室から、リー・ハーヴィー・オズワルドの犯行が専用機に伝えられました。まだ何の捜査も始まっていない時点で。異常者による単独犯行説がもう芽生えていた。

弁護士:意義あり、裁判長!
裁判長:認めます。ギャリソンさん!刺のある表現は避けてください!

ギャリソン:検死解剖には海軍病院から3人の軍医が選ばれました。いずれも銃弾の傷には経験のない医師達です。
  この検死で2発の銃弾による8つの傷が確認されるわけです。ケネディ3個所、知事から5個所。そのほとんどは魔法の弾によるものです。

 病理学者としてあらゆる死因の可能性を調べるのがあなたの義務ではありませんか?

医師B:死因は調べました。

ギャリソン:裁判長!きちんと質問に答えるよう証人に言って下さい。
  なぜ喉の弾傷を切開してよく調べなかったんですか?

医師B:ヒュービル博士に言われたからです。

博士:もういい、充分だ。記録はとった。
医師:背中を撃たれている、酷いことを。

医師B:その時博士が…

博士:この責任者は誰です?
将軍:私だ。

医師B:名前は覚えていない。人が多くてひどく込み合っていたからね。
  あんな状況で呼び出されて、大統領の遺体を調べろと言われたら、周りを見たりいちいち名前を聞いている暇はないよ。

ギャリソン:でもあなたは専門の病理学者だ。 そこにいた将軍も病理学者ですか?

医師B:いいえ。

ギャリソン:それでも命令に従った?

医師B:そうです。

ギャリソン:将軍が検死の指揮を?

医師B:いいえ。

ギャリソン:ちがう?

医師B:他にも大勢いましたから。

ギャリソン:他にも?

医師B:いましたよ、提督たちがね。

ギャリソン:提督もいたんですですね。

医師B:そう、だから陸軍中佐の私は命令に従っただけですよ。

提督:この解剖については話題にしない事。
    この部屋を出たら 一切口にしてはならん。

医師B:たしかあれはキニイ提督だ、海軍の軍医総監の。秘密は絶対守るよう厳重に言い渡されました。

 
     
 
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