松任谷由実選集五七五
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2000年4月4日〜2000年9月22日の採用作品
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9月25日(月)〜29日(金)の週の放送はお休み
この週の題目「チェックする」
9月22日(金)
*優秀作品発表!
愛しい人の犬が私を嗅いでいる (荻野さちこ 36才 コピーライター)
*選評
もうツボに入ってしまいました。
ね、チェックするっていうのは、なんか考えてやっていることじゃなくて、
自然とその、そういう行動をとらせてしまうっていうような
生理的なこれまたスピード感があって、ものすごく良く出来ている作品だと思いました。
*挿入曲 「最後の嘘」
9月21日(木)
何回も 荷を詰めかえす 初遠足 (松本千鶴 36才 主婦)
今日もまた あげたネクタイしてこない君 (北信子 43才 会社員)
半年前 わかれた君の 水瓶座 (上村浩史 29才 自営業)
*挿入曲 「サファイアの9月の夕方」
9月20日(水)
マル付けの 響く音に ドキドキし (島田 16才 高校生)
歓迎会 二歳(ふたつ)下ねと 目尻みる (早川信子 49才 主婦)
落書きが 僕とだれかを つないでる (松村一成 17才 高校生)
*挿入曲 「9月には帰らない」
9月19日(火)
浴室の 水音聞きつつ リダイヤル (高橋律子 42才 主婦)
リダイヤルは今日もまた天気予報 (川本あゆみ 35才 主婦)
愛しい人の犬が私を嗅いでいる (荻野さちこ 36才 コピーライター)
*挿入曲 「最後の嘘」
9月18日(月)
新郎側 見わたし2次会決める (柴坂紀美江 36才 主婦)
時間割 揃えたカバン そっと開け (杉山英子 34才 会社員)
朝顔の芽は 朝毎に丈を増し (高木芳子 66才 無職)
*挿入曲 「サンドキャッスル」
この週の題目「恥ずかしい」
9月15日(金)
*優秀作品発表!
本能の儘(まま)の視線を悟られる (安元文紀 48才 調理師)
*選評
この言い切りがたの勢いが、とても恥ずかしさを払拭するんだっていう力もありますし、
まあ深く考えても、人間というのはその本能をね、文明や文化やら色んなことで武装して
隠して隠して暮らしているのに、ふと見られちゃったなぁっていう
これまたものすごい本質な作品だったと思います。
*挿入曲 「川景色」
9月14日(木)
女房が まだ持っている ラブレター (増田正 18才 靴小売業)
若者の街で 他人になる息子 (安田稔 65才 無職)
思い出に 好きでもないのに 告白す (西川文彦 35才 会社員)
*挿入曲 「9月の蝉しぐれ」
9月13日(水)
きみのその おおへいな態度に 他人顔 (川本あゆみ 35才 主婦)
本能の儘(まま)の視線を悟られる (安元文紀 48才 調理師)
どうどうと あいさつしたら ちがう人 (川原龍典 12才 小学生)
*挿入曲 「Lost Highway」
9月12日(火)
一人だけ 制服で来た 体育祭 (小倉裕輝 15才 中学生)
剃(そ)り込みの入った写真 子に見られ (こだま岳人 42才 柔道整復師)
夜も更(ふ)けて BGMは猫の恋 (南村香里 36才 コピーライター)
*挿入曲 「September Blue Moon」
9月11日(月)
ドライヤー ルーズソックス 父乾かす (植村律子 41才 主婦)
ふと見たら 私だけしか 残ってない (池田菜摘 19才 短大生)
母の背に 隠れて覗く 紅ほっぺ (千明美映子 33才 会社員)
*挿入曲 「川景色」
この週の題目「遠距離」
9月8日(金)
*優秀作品発表!
*選評
どの作品が一番遠く感じるのかなっていうことを考えたときに
これになりました。
家出犬 恋を求めて 四日ぶり (伊藤ゆき子 59才 無職)
「ゾウの時間、ネズミの時間」っていう本がありますけれど、
この犬にとってはね、本当に遠い遠い旅をしてきたんだなあという
おかしみと哀しさと心あたたまるものが全部感じられて、とても好きでした。
*挿入曲 「VOYAGER〜日付のない墓標」
9月7日(木)
若き日は 近き故郷(ふるさと) 今遠く (米山寿美子 77才 無職)
光速で 届くことばに ぬくもり探す (久保田裕子 44才 派遣社員)
海を隔てて 銀の声 手繰り寄せる (下城範子 30才 会社員)
*挿入曲 「晩夏(ひとりの季節)」
9月6日(水)
会える日へ 近況ばかり ため込んで (滝澤朋子 29才 エンジニア)
家出犬 恋を求めて 四日ぶり (伊藤ゆき子 59才 無職)
お別れの バスが定刻通り来る (安田稔 65才 無職)
*挿入曲 「水平線にグレナディン」
9月5日(火)
一番に 君の街の 天気予報 (小川幸枝 21才 事務員)
携帯が 出て行く船を 離さない (河合文代 46才 主婦)
受話器越し 同じTV(テレビ)を 見て過ごす (山下倫実 21才 大学生)
*挿入曲 「VOYAGER〜日付のない墓標」
9月4日(月)
雨降りて 遠くへ嫁(ゆ)きし 友へ文 (安部トシ 73才 主婦)
出てきても 会わずに帰る ホントの距離 (難波直子 37才 公証役場書記)
時間差のある夕焼けで 想いつながる (江野澤浩子 39才 主婦)
*挿入曲 「稲妻の少女」
この週の題目「緊張」
9月1日(金)
*優秀作品発表!
会いたくなき人見かけ 背景になる (戸塚恵子 40才 主婦)
*選評
もう私は相当好きです、この作品。
「ちびまる子ちゃん」のようにサ〜っと斜線が入るような
スピード感もとてもあって好きでした。
*挿入曲 「残暑」
8月31日(木)
十秒前 放送直前 ナレ原(*)待ち (森功至 55才 ナレーター)
(* ナレーション原稿)
行進で 右手右足 揃い出る (原田つとむ 51才 プランナー)
君の横 花火咲く間が 息苦し (山下倫実 21才 大学生)
*挿入曲 「ようこそ輝く時間へ」
8月30日(水)
電話鳴り、息を整え、受話器とる (江口景子 13才 中学生)
一年生 はじめてハイと 返事する (出波幸枝 40才 主婦)
扉前(ドアの前)腰に手をあて ひと呼吸 (田間寛之 24才 会社員)
*挿入曲 「LATE SUMMER LAKE」
8月29日(火)
見つめられ こんなにパスタが 大変なんて (宗田友美 28才 自動車博物館勤務)
気が付けば 白きハンカチ 熱を持ち (安田稔 65才 無職)
月走る 風人となり 恋急ぐ (柾木真理 40才 主婦)
*挿入曲 「残暑」
8月28日(月)
前の子が 上手に弾いた ピアノに座り (小路口可奈子 17才 高校生)
会いたくなき人見かけ 背景になる (戸塚恵子 40才 主婦)
崖っ淵に立った あなたの顔が好き (及川久仁夫 71才 農業)
*挿入曲 「月夜のロケット花火」
この週の題目「涼しい」
8月25日(金)
*優秀作品発表!
猫がいるところは 風の通り道 (折田美幸 32才 家事手伝い)
*選評
この猫、風、道というのが寓話的な詩とメルヘンチックなというか
宮沢賢治なんかを思い出しながら、北国の短い夏の照り返すような昼、
短い夏の中の涼しさっていうのかな、何かそんなようなものも
ふと感じてしまいました。
シンプルですけれども、とても心地よい断続的な涼しさが訪れてきて
とても涼しい気持ちになりました。
*挿入曲 「8月の日時計」
8月24日(木)
山上(さんじょう)に 着いてそよ風 胸に入れ (松山巌 55才 地方公務員)
そうめんの 上にあぐらかく 氷ひとつ (奥野喜久雄 60才 会社員)
流れる汗は 一瞬の風を 待っている (菱沼真紀子 52才 スイミングインストラクター)
*挿入曲 「ノーサイド・夏〜空耳のホイッスル」
8月23日(水)
鉄瓶の 煮え滾(たぎ)る湯注ぎ 涼香(かおり)漂ふ (藤井英子 33才 主婦)
柳見て 何を感じて 涼むのか (佐野雄一 15才 中学生)
二の腕の 涼しく伸びて 竹刀(しない)舞う (佐野通子 50才 主婦)
*挿入曲 「TROPIC OF CAPRICORN」
8月22日(火)
宙を舞う ホースを舞わして 追い風シャワー (古谷昌彦 27才 自営業)
ベランダに 白い影見た 避暑地の夜 (藤井英子 33才 主婦)
猫がいるところは 風の通り道 (折田美幸 32才 家事手伝い)
*挿入曲 「8月の日時計」
8月21日(月)
麦わら帽子 木陰(こかげ)ではずし ひとやすみ (竹優子 29才 会社員)
狼藉(ろうぜき)の限りの夕立 置き土産 (安元文紀 48才 調理師)
自転車で 坂をすべると 気持ちイイ (下田恵子 17才 高校生)
*挿入曲 「COBALT HOUR」
この週の題目「汗」
8月18日(金)
*優秀作品発表!
汗ながれ 平安時代に あともどり (葛巻梨奈 14才 中学生)
*選評
もとしていたメイクの近未来性が見えるような(笑)、
本当に、でも平安時代に後戻りっていうことに、
大汗をかくとなる時があります。
これも思わず笑ってしまってあまりのストレートさ、素直さに
優秀作品にしてしまいました。
*挿入曲 「避暑地の出来事」
8月17日(木)
扇風機を 友達に過ごす 熱帯夜 (市川真理子 14才 中学生)
二度三度 電話に向かっておじぎする (野田福子 33才 会社員)
友達の 笑顔が並ぶグラウンドは ポツパツたれる (石長なつき 12才 中学生)
*挿入曲 「時はかげろう」
8月16日(水)
汗かきは "エッチ"とはやした 小学3年生 (畠山恵美 36才 自営業)
汗ながれ 平安時代に あともどり (葛巻梨奈 14才 中学生)
缶ビール 水滴つけて 君を待つ (源長美砂子 38才 主婦)
*挿入曲 「夕涼み」
8月15日(火)
正直な子に 冷や汗を掻(か)かされる (増田正 48才 靴小売業)
お見舞いの 西瓜(すいか)坂道 老母の顔 (中島つね子 46才 主婦)
畦道(あぜみち)を 犬に引かれて 草いきれ (及川久仁夫 72歳 農業)
*挿入曲 「避暑地の出来事」
8月14日(月)
緊張で 汗ばむ手を 握らないで (梅木さやか 19才 大学生)
身体に張り付くワイシャツにみとれる (正木朋子 35才 主婦)
太陽と 一緒に回る 鍬(くわ)を振る (安田稔 65才 無職)
*挿入曲 「灼けたアイドル」
この週の題目「海」
8月11日(金)
*優秀作品発表!
遠浅の 背まがりたる 夕涼み (斎藤美和子 37才 主婦)
*選評
これをそのまま英訳したり、もしフランス語訳したりすれば、
マリブでもコートダジュールでもいいのかもしれないけれど、
やはり遠浅という言葉、背という言葉、夕涼みという言葉、
日本語で書いていることによって、夕方のシルエットと
淡いトーンの日本の海が浮かんできました。
*挿入曲 「悲しいほどお天気」
8月10日(木)
海にはね いろんな色が あるんだよ (岩下聡子 11才 小学生)
海底では 臼(うす)が回っているのだろうか (佐藤陽子 39才 会社員)
波に乗る ちいさき君と 青い空 (石井千尋 36才 会社員)
*挿入曲 「まぶしい草野球」
8月9日(水)
磯場にて 遊ぶひととき 古代人 (永野恵美子 47才 主婦)
君の背に 僕の知らない 水着跡 (毛利由美 40才 主婦)
遠浅の 背まがりたる 夕涼み (斎藤美和子 37才 主婦)
*挿入曲 「人魚になりたい」
8月8日(火)
水玉の 浮輪に塩の 夏光る (倉橋芳香 41才 主婦)
抱(いだ)かれて 進化をたどる 10か月 (松本千鶴 36才 主婦)
磯の香(か)と 干した魚の 通学路 (高木久江 38才 主婦)
*挿入曲 「悲しいほどお天気」
8月7日(月)
今夏(ことし)こそ 浜辺の花になりたいな (木下衣里奈 16才 高校生)
くだける波の勇気が 私にもあったらいいのに (亀卦川拓美 17才 高校生)
錆(さび)の音 潮の香りの 停留所 (滝澤朋子 29才 エンジニア)
*挿入曲 「ホタルと流れ星」
この週の題目「駆け引き」
8月4日(金)
(石川県金沢市「ゴルフ倶楽部 金沢リンクス」より)
*優秀作品発表!
何気(なにげ)なく 話す妻は 誘い水 (細見護 55才 製薬会社)
*選評
サッとこう読み飛ばしてしまいそうなんですけれど、
心のどこかに重いものがひっかかるというか、
妻、誘い、っていう単語が妙にバッティングしていて、
不協和音なんだけどそこで調和がとれているような、
ある手触りがとても良く出ていて、題目にピッタリだったと思います。
*挿入曲 「何もきかないで」
8月3日(木)
日曜日 お見合いなのと 瞳(め)をのぞく (夏目由香 25才 専門学校生)
「可能性残しておいて・・・」と 男ともだち (坂田智 29才 事務員)
香水の においに気づき 我(われ)香水変える (小林裕子 37才 主婦)
*挿入曲 「真夏の夜の夢」
8月2日(水)
ハンカチを 落とせばカレは踏んで行き (あそあつこ 39才 主婦)
凍る夜 壊(こわ)しておいた ドアチャイム (村松佐知子 37才 主婦)
言葉の実(じつ) まさぐる女性(ひと)よ 傷もまさぐる (古谷昌彦 27才 自営業)
*挿入曲 「遠雷」
8月1日(火)
何気(なにげ)なく 話す妻は 誘い水 (細見護 55才 製薬会社)
両親を 急に紹介されちまい (増田正 48才 靴小売業)
仕掛ケレバ 近キ人ヨリ 電話アリ (蔭山淳子 45才 パタンナー)
*挿入曲 「何もきかないで」
7月31日(月)
近づくため 解(わ)からぬふりして 教卓へ (濱田沙織 18才 高校生)
2番目の 男をほめる 友のワザ (桜井美穂 32才 主婦)
北風に 手招きをする 易行灯(えきあんどん) (大木裕子 38才 家事手伝い)
*挿入曲 「July」
この週の題目「夏」
7月28日(金)
(石川県金沢市「ゴルフ倶楽部 金沢リンクス」より)
*優秀作品発表!
仏像や 炎中(えんちゅう)の中 涼し顔 (長沼晴樹 15才 中学生)
*選評
もううまい。夏のたちのぼる暑さと日陰の静寂。
見事なコントラストをかもし出していて、まあほんとに感心いたしました。
*挿入曲 「静かなまぼろし」
7月27日(木)
そうめんと 重なるラジオ 昼下がり (中村美沙子 18才 大学生)
来年も やってくるのに いつも切ない (志野りな 17才 高校生)
背泳ぎで 太陽相手に競争する (福島千佳 31才 主婦)
*挿入曲 「星空の誘惑」
7月26日(水)
夏祭り とうもろこしのしょうゆ 口がかゆい (佐藤いず美 17才 高校生)
君といる 波の音も消える海辺 (鈴木やよい 14才 中学生)
水はべり 月あかりして 逆天地 (永沼和枝 17才 高校生)
*挿入曲 「So high」
7月25日(火)
電柱に 体あわせる 夏日かな (松川博子 43才 公務員)
初浴衣(ゆかた) きみに笑われ 頬を染め (香川沙織 15才 中学生)
短夜(みじかよ)を 待ちきれなくて 浜に出る (大木裕子 38才 家事手伝い)
*挿入曲 「静かなまぼろし」
7月24日(月)
校庭に 子供の声なし 夏本番 (金田公徳 36才 会社員)
仏像や 炎中(えんちゅう)の中 涼し顔 (長沼晴樹 15才 中学生)
銀輪(ぎんりん)の まぶしさ増して 白き帽 (菅原泰子 65才 主婦)
*挿入曲 「天気雨」
この週の題目「リフレッシュ」
7月21日(金)
(石川県金沢市「ゴルフ倶楽部 金沢リンクス」より)
◎題目にちなんで、もうこ〜〜んなオープンな所に来てしまいました。
*優秀作品発表!
金魚鉢 取り換え出目金 赤くなり (坂垣茂 46才 ボイラーマン)
*選評
ね、こういう事実をまの当たりにして、リフレッシュという、
え〜軽い言葉ではありますが、本当に生命にとって大切なんだなということを、
痛感できるような作品でありました。
*挿入曲 「中央フリーウェイ」
7月20日(木)
金魚鉢 取り換え出目金 赤くなり (坂垣茂 46才 ボイラーマン)
「無理すんな」 小突きとミントの ガムひとつ (菅井かおる 30才 会社員)
晴れた空 元気になるよと とびだした (戸出真理 7才 小学生)
*挿入曲 「Man In The Moon」
7月19日(水)
湯沸かしは 南部鉄瓶 ジャスミン茶(ティー) (照井茂人 74才 無職)
「久しぶり」 マカデミアチョコ片手に 焼けた君 (福島千佳 31才 主婦)
換気する 窓の向こうに オリオン座 (こだま缶人 42才 柔道整復師)
*挿入曲 「タワー・サイド・メモリー」
7月18日(火)
家族(いえ)忘れ あだ名呼び合う 昼下がり (杉原由紀子 37才 主婦)
「おきるまで おこさないでね」 (中村知代 15才 高校生)
雨上がり 空に捧げる 深呼吸 (生田目薫 39才 アルバイト)
*挿入曲 「中央フリーウェイ」
7月17日(月)
流し水 やまめにいわな すきとおる (鹿糖登美子 44才 主婦)
風呂上がり 扇風機の前で 宇宙人 (大垣陽子 18才 高校生)
乾きたてのTシャツ 夏の風を着る (山本裕美子 31才 無職)
*挿入曲 「ワゴンに乗ってでかけよう」
この週の題目「平凡」
7月14日(金)
*優秀作品発表!
肩書きも 賞罰もない 父の汗 (大石浮石 65才 自営業)
*選評
平凡な汗、でも尊い、なんかゆってくと全然尊くなくなってゆくんですが、
でも本当にぱっと読んだ瞬間、ハ〜という声が出るような感じがしました。
*挿入曲 「DOWNTOWN BOY」
7月13日(木)
かれしいない 手帳に今日もよていなし (佐々木ののか 10才 小学生)
平凡がいいと 笑顔に修羅の過去 (大石浮石 65才 自営業)
胸を突く その言葉の実(じつ) 微笑みがあり (古谷昌彦 27才 自営業)
*挿入曲 「TYPHOON」
7月12日(水)
平凡な名も 彼に呼ばれて 好きになり (足立美代子 35才 会社員)
へそくりに 一枚隠す 余裕かな (安部奈津紀 31才 家事手伝い)
肩書きも 賞罰もない 父の汗 (大石浮石 65才 自営業)
*挿入曲 「雨の街を」
7月11日(火)
孫を得て 平凡(ナミ)の暮しも 集大成 (稲岡八重子 56才 主婦)
目が覚めて いつもの朝に ほっとする (木津浩史 16才 高校生)
踏切を 待つのも楽し 小さな春 (水野タケシ 34才 コピーライター)
*挿入曲 「DOWNTOWN BOY」
7月10日(月)
枠の中 不満は言うが とび越えず (島本雅己 29才 建築業)
将棋さす 互いに待ったの 繰り返し (納谷光男 55才 会社員)
たん・たんと 実はリズムを とっていた毎日(ひび) (飯泉真理子 24才 OL)
*挿入曲 「ハルジョオン・ヒメジョオン」
この週の題目「ケンカ」
7月7日(金)
*優秀作品発表!
真夜中のキッチン ねずみは湯を沸かす (島本雅己 29才 建築業)
*選評
だんなさんがねずみ色に、あの見えて、こそこそっと何か夜中にやっている姿が
ユーモラスでわびしくて、けんかのその時点のことではないんだけれど
色々な情景や心理がつめこまれていて、いい作品だと思いました。
*挿入曲 「ルージュの伝言」
7月6日(木)
巣立ち後(あと) 暇にたえかね たわむれる (田之上由利子 39才 主婦)
ケンカして 言葉のめいろを 迷うきみ (渡辺美穂 14才 中学生)
真夜中のキッチン ねずみは湯を沸かす (島本雅己 29才 建築業)
*挿入曲 「78」
7月5日(水)
手加減が できるくらいの 大人(ひと)になり (志水信彦 37才 教諭)
ひとことを まだのみこめる・・・未練なり (甲斐幸子 38才 オペレーター)
どちらかが 本気じゃないと 意味ないの (磐城美幸 24才 主婦)
*挿入曲 「パジャマとレインコート」
7月4日(火)
切符二枚 離れ離れの 席にいる (安田稔 65才 無職)
冷静な口調が語る根の深さ (毛利由美 40才 主婦)
老いて咲き けんかばかりと春の果て (松長順子 52才 主婦)
*挿入曲 「ルージュの伝言」
7月3日(月)
般若顔(はんにゃがお) ピントがずれて 大洪水 (中野香織 27才 会社員)
耐え切れず 「反応なし?」と mail打つ (保坂達典 24才 会計士補)
泥ん子に なった分だけ成長(つよく)なり (桑野亜希香 24才 会社員)
*挿入曲 「霧雨で見えない」
この週の題目「かわく」
6月30日(金)
*優秀作品発表!
水を乞(こ)い 夜明けの空の 月と会い (伊藤ゆき子 59才 無職)
*選評
心のかわきを癒してくれるような
安定したロマンティシズムが漂っていてとても好きでした。
*挿入曲 「Woman」
6月29日(木)
「好きです」と 言いかけてのみこむ つばもなく (堀口修 40才 毛針師)
ひび割れた ダムの底から 蝉の声 (手柴俊光 46才 公務員)
なみだふく ほほに風 空晴れわたり (宮本ちか子 28才 主婦)
*挿入曲 「真珠のピアス」
6月28日(水)
うえきばち はやくはやくと ごはんまつ (福成知子 12才 小学生)
ぬれた恋文(もじ) かわかせどなお にじむ恋文(もじ) (高木久江 38才 主婦)
水を乞(こ)い 夜明けの空の 月と会い (伊藤ゆき子 59才 無職)
*挿入曲 「トランキライザー」
6月27日(火)
「キャンセル」の 電話を知らぬ よそゆきの爪 (今井真由美 35才 主婦)
洗髪後(シャンプー)の かわきが早いと なげく夫 (重岡英子 55才 主婦)
気化熱に プール帰りの 重き足取り (臼井孝治 21才 大学生)
*挿入曲 「Woman」
6月26日(月)
一石を 投ずる話 甘夏乾く (岡田晴秋 52才 自営業)
すれ違う 君にあきらめ ついてきた (梶野照美 30才 主婦)
薫風(くんぷう)に 揺れしむつき(*)を 追いし吾子(あこ) (横井久美子 40才 主婦)
(* おしめ おむつ のこと)
*挿入曲 「月曜日のロボット」
この週の題目「キッチン」
6月23日(金)
*優秀作品発表!
真夜中に アサリ密かに 砂を吐く (林田眞弓 35才 会社員)
*選評
キッチンで、その一日が終わってパチンと電気を消したときに、
いろんなものがね、勝手に会話をしたり、なんか行動を起こしたり
そういうおもちゃ箱になるような気がするんですけれども、
これがとても活き活きしていて、いろんなことが一杯詰まっている
作品のような気がしました。
*挿入曲 「グッド・ラック・アンド・グッドバイ」
6月22日(木)
チャーハンが フライパンの上で おどっている (内野真彦 12才 小学生)
マニキュアに 気を遣ひつつ 鍋磨く (波岐由 35才 主婦)
キッチンへ 差す日の角度で 季節知る (昔思子 51才 主婦)
*挿入曲 「ベルベット・イースター」
6月21日(水)
キッチンに 立てる幸せ かみしめて (高橋敦子 29才 美容師)
あなたの妻になるまで私は何枚お皿を洗うのでしょう (坂之上恵 26才 公務員)
真夜中に アサリ密かに 砂を吐く (林田眞弓 35才 会社員)
*挿入曲 「DAWN PURPLE」
6月20日(火)
キッチンを 改装しても 元の味 (大石牧子 50才 主婦)
縦に割る 玉ねぎの白 みとれおり (高木芳子 66才 無職)
「ゴメンネ」と 言えないから 腕ふるう (藤田加津代 37才 会社員)
*挿入曲 「Carry on」
6月19日(月)
母が描(か)く 動線模様を 娘(こ)がまねて (清田淑子 51才 主婦)
段々と 進歩の見える さんまの焦げ (柴崎歩 20才 大学生)
新しい 女王に城 明け渡す (野口直子 49才 公務員)
*挿入曲 「グッド・ラック・アンド・グッドバイ」
この週の題目「雨」
6月16日(金)
*優秀作品発表!
海の記憶 雲は忘れてく 泣きながら (島本雅己 29才 建築業)
*選評
すごく広〜い地球、広い宇宙とこうつながっているようなね
大きな循環の中に、自分のような存在でもいるんだなァと
とてもロマンティックに表現してもらえた作品だと思いました。
*挿入曲 「冷たい雨」
6月15日(木)
作業衣を 洗い見上げる 空模様 (井上恵吾 35才 飲食業)
音信の とだえし人を かぞえおり (高木芳子 66才 無職)
海の記憶 雲は忘れてく 泣きながら (島本雅己 29才 建築業)
*挿入曲 「Aはここにある」
6月14日(水)
「雨だね」と かえるにささやく 梅雨(つゆ)の午後 (小林みちる 11才 小学生)
そぼぬれて 銀のビーズ 髪紡(つむ)ぐ (藤川展子 33才 主婦)
あこがれの 相合い傘に 入りたかった (梶屋早苗 16才 高校生)
*挿入曲 「この愛にふりむいて」
6月13日(火)
水遣(や)りの すむを待ってたように降り (安田稔 65才 無職)
そこで雨 彼の不実に しゃがみこみ (吉田香織 27才 アルバイト)
泥の手で 穀雨(こくう)の恵み 祈りささぐ (福島千佳 31才 主婦)
*挿入曲 「冷たい雨」
6月12日(月)
打つ度に 球(たま)拭き替える 草野球 (納谷光男 56才 会社員)
長靴は もう履かないと お兄ちゃん (西嶋泰子 44才 主婦)
見上げれば 空色に映える 桜(はな)の跡(あと) (鈴木千秋 27才 看護婦)
*挿入曲 「瞳はどしゃ降り」
この週の題目「名前」
6月9日(金)
*優秀作品発表!
なにげなく 空を見ながら よんでみる (荒谷隼人 8才 小学生)
*選評
なんか名前しか知らないときっていうのは、名前自体があこがれですよね。
だんだん歳をとるとともに、あこがれが減っていくような気がしますが、
こんなふうに心を自由に空に飛ばして、心地よい名を連呼してみたいもんです。
*挿入曲 「ANNIVERSARY」
6月8日(木)
「眞理ちゃん」と 呼ばれつづけて 早七十才 (林眞理子 70才 主婦)
さん付けで 呼ばれし吾(われ)に 距離のあり (戸塚恵子 40才 主婦)
相合い傘 初恋刻んでいる校舎 (あそあつこ 39才 主婦)
*挿入曲 「雨のステイション」
6月7日(水)
新入(しんにゅう)の 名を靴箱に 子らを待つ (川入千也 38才 保育士)
オイっっ 名前呼んであげなよ お父さん (塩竈葵 18才 大学生)
あなたの声の 私が一番スキ (川崎昭子 44才 事務員)
*挿入曲 「Miss Lonely」
6月6日(火)
ジョンなのに ポチと呼んでも 飛んで来る (森葉子 60才 主婦)
画数が悪くなること 彼女知らず (野端清 33才 会社員)
宿帳の となりに寄り添う 喜寿の妻 (宮内美代子 45才 自営業)
*挿入曲 「ANNIVERSARY」
6月5日(月)
(括弧)(カッコ)といふ ブランド飾(あ)りし 同窓会 (畠山恵美 36才 自営業)
「ご主人、勉強家ね」と看護婦の声 (畠山朋子 34才 保育士)
なにげなく 空を見ながら よんでみる (荒谷隼人 8才 小学生)
*挿入曲 「キャサリン」
この週の題目「丸」
6月2日(金)
*優秀作品発表!
これはもう「絶妙!」としか言いようがありません。
忙(せわ)しない 人類(ひと)はさておく 眠り猫 (太田博 38才 公務員)
*選評
解説は何もいらないような、丸という言葉を「眠り猫」で
広い範囲、広いこう心の動きを封じ込めたような、
こうあったらいいな、なんていういうあこがれも
すごく強く伝わってきます。
*挿入曲 「無限の中の一度」
6月1日(木)
コンパスの 丸幾重(いくえ)にも 朧月(おぼろづき) (辻桂子 39才 主婦)
定年退職 吊り皮にさへある 感傷 (大石浮石 65才 自営業)
忙(せわ)しない 人類(ひと)はさておく 眠り猫 (太田博 38才 公務員)
*挿入曲 「恋はNo-return」
5月31日(水)
おとなびた 顔に恥じらう 真珠かな (中原由紀子 36才 教諭)
雑踏の 苛立(いらだ)ちを射す 月丸し (藤森直樹 51才 会社員)
浮袋 つぶして夏を 手放せり (滝澤朋子 29才 エンジニア)
*挿入曲 「TUXEDO RAIN」
5月30日(火)
幼な児(ご)の 髪結うほおに うぶ毛のりんかく (川端千恵 39才 主婦)
コンパスの 描いた道で 別れましょう・・・ (菊田陽子 16才 高校生)
瞬(まばたき)きの 残像花火・・・ 刹那の宴 (臼井孝治 21才 大学生)
*挿入曲 「Uptownは灯ともし頃」
5月29日(月)
地球儀を くるくるまわし 旅に出る (宮城勝子 57才 主婦)
悲しみを コトコト煮こみ 丸い味 (鈴木京子 48才 塾教師)
ラーメンを 食べたふたりに まるい月 (山本美穂 26才 OL)
*挿入曲 「無限の中の一度」
この週の題目「包む」
5月26日(金)
*優秀作品発表!
旬の香の 付いた地方紙 読みふけり (こだま岳人 42才 柔道整復師)
*選評
目に浮かぶようです。香りがしてきます。
この行為、こういう地方紙を読みふけってしまうような心が
素晴らしい「五七五」を生むんじゃないかなと。
みなさまも是非、「五七五」に参加されたい方はお心がけあそばして、
また期待してます。
*挿入曲 「ガールフレンズ」
5月25日(木)
旬の香の 付いた地方紙 読みふけり (こだま岳人 42才 柔道整復師)
七十年(ななとせ)に 心の包(つつみ) 知るや日々 (松本勝子 74歳 主婦)
*(注)この作者の「松」の字は、正しいものがみつかりませんでしたので、一般的な「松」としました。by Hide
花ふぶき 白無垢(しろむく)包まれ 宮まいり (渡辺靖子 55才 主婦)
*挿入曲 「Good-bye friend」
5月24日(水)
リボンとく あなたの笑顔 想像す (今井普子 26才 主婦)
ふっくらの 肉まんになれ ひょひょいひょい (安元文紀 47才 調理師)
くるまりて 一つになりし 想い人 (坂本洋子 36才 無職)
*挿入曲 「誰かがあなたを探してる」
5月23日(火)
恋少女 本音が透(す)けて りんご色 (奥村真美 37才 パート)
本当はそうじゃないけどうなずいた (政木政子 32才 主婦)
暖かい気持ちに負けるときがある (谷内美雪 38才 主婦)
*挿入曲 「ハートはもうつぶやかない」
5月22日(月)
季節(とき)の花 新聞紙にくるむ 母の庭 (上石淳子 38才 公務員)
我(わが)背より 廻(まわ)されしうで そっと抱く (藤原佳子 51才 主婦)
愛犬の 気配へ視界 ゼロの霧 (安田稔 65才 無職)
*挿入曲 「ガールフレンズ」
この週の題目「街」
5月19日(金)
*優秀作品発表!
遠きゆえ 電話で築く 君の街 (山下倫実 20才 大学生)
*選評
街っていうのはとらえどころがないわけですけれど、逆に離れている所で、
ああかなあ、こうかなあ、ってこう作り上げたそのイメージの中の街っていうのが
本当は実はとてもリアルなんじゃないかな、と思わせてくれました。
*挿入曲 「よそゆき顔で」
5月18日(木)
かけ声に ジグザグに歩く 商店街 (内山恵美子 39才 会社員)
黄信号 駆け抜けて来た若さ (大石浮石 65才 自営業)
山登り 箱庭の我が街の見ゆ (梅崎友子 52才 主婦)
*挿入曲 「スラバヤ通りの妹へ」
5月17日(水)
お母さん 昔ここまで通ったの (勝田直美 36才 主婦)
脈を打つように シグナル人を吐き (滝澤朋子 29才 エンジニア)
遠きゆえ 電話で築く 君の街 (山下倫実 20才 大学生)
*挿入曲 「LAUNDRY-GATEの想い出」
5月16日(火)
遊び人 交差点降り すぐ消える (戸塚恵子 40才 主婦)
感傷を 小走りで棄(す)てる 繁華街 (和田葉子 38才 主婦)
行春(ゆくはる)に かわりゆく顔 ドキュメント (木村梨沙 15才 高校生)
*挿入曲 「Lonesome Cowboy」
5月15日(月)
隣人に レジで見られた私生活 (毛利由美 40才 主婦)
裏ミチの ショットバーから ブルース (森泉潤 30才 ライター)
雑踏の 無関心にも 安堵あり (林実千代 41才 主婦)
*挿入曲 「よそゆき顔で」
この週の題目「高い」
5月12日(金)
*優秀作品発表!
水無月の 新月ははるか 宇宙(そら)の隅で (古谷昌彦 26才 自営業)
*選評
もう更に高〜い高〜いところがあらわされているというか、
あの本人はどのぐらい意図されたのか分からないんですけれども
とても高い感じがしました。これが今週の優秀作品です。
*挿入曲 「14番目の月」
5月11日(木)
観覧車 だけど空にはとどかない (須田祐子 16才 高校生)
初めての 厚底ぐつは こけまくり (片山郁美 13才 中学生)
ハイヒール 5cm上の 別世界 (小林まりこ 38才 主婦)
*挿入曲 「REINCARNATION」
5月10日(水)
里帰り ただいまでなく コンニチハ (岡本恵 43才 主婦)
英語しゃべるとき 声高くなる女房 (水野タケシ 34才 コピーライター)
水無月の 新月ははるか 宇宙(そら)の隅で (古谷昌彦 26才 自営業)
*挿入曲 「Moonlight Legend」
5月9日(火)
届かない 桜の枝に ジャンプして (福島千佳 31才 主婦)
「これ高い?」「じゃあおいしいね」と聞く息子 (谷内美雪 38才 主婦)
背の高き友 夕焼けを 早く知る (渡辺正 45才 レンタル業)
*挿入曲 「Delphine」
5月8日(月)
プライドが 読めぬメニューを 開かせる (こだま岳人 42才 柔道整復師)
方言に 騙され高い りんご買う (野口直子 48才 公務員)
半袖を 急(せ)かす五月の 高気圧 (滝澤朋子 29才 エンジニア)
*挿入曲 「14番目の月」
この週の題目「せつない」
5月5日(金)
*優秀作品発表!
先輩と 何度呼んでも もういない (萩美里 16才 高校生)
*選評
作品を一回読んだだけで、その作者が何度も何度も心の中で呼んでいるような
リフレインが聞こえてくるような気がしました。
*挿入曲 「Midnight Train」
5月4日(木)
先輩と 何度呼んでも もういない (萩美里 16才 高校生)
懐かしき 君の匂いに 心乱れ (金杉美由紀 31才 保育士)
あの時・・・ 僕の声は 届いたの? (榊田亜美 17才 高校生)
*挿入曲 「天国のドア」
5月3日(水)
見送りの 母の小さき肩に雨 (島本雅己 29才 建設業)
胸のどこに隠すや 君の影 (山下倫実 20才 学生)
聴き慣れし 歌らに蘇ふ この想い (下長根清 30才 会社員)
*挿入曲 「HOZHO GOH(ホジョンゴ)」
5月2日(火)
ぼくの名を 兄の名前で よぶかあさん (長沼大也 13才 中学生)
淡き恋の 幼な馴(な)じみの 家も無く (井上幸彦 52才 自営業)
あなたが運命の女性(ひと)と出会わぬよう願わずにはいられなかった (太田紗都子 18才 高校生)
*挿入曲 「Oh Juliet」
5月1日(月)
温めた 言葉渡せず 発車のベル (島本雅己 28才 建築業)
ビスケット 齧(かじ)るとおんぶした 匂い (森葉子 60才 主婦)
宴果て うす紅の花 降りしきる (大木裕子 38才 家事手伝い)
*挿入曲 「Midnight Train」
この週の題目「あたたかい」
4月28日(金)
*優秀作品発表!
疲れたと 言わない人の 肩をもむ (遠藤里美 30才 会社員)
*選評
温度も心理的なあたたかさも全部盛り込まれて、思わずグッときてしまうような。
グッとくるような作品では本当はないシンプルなはずなのに、
そういったあたたかさが本当に伝わったなあと思って、思わず選んでしまいました。
*挿入曲 「帰愁」
4月27日(木)
雪解けの 香りかぎつつ 春おもう (森下麻菜美 13才 中学生)
背に負いた 吾子(あこ)の寝息 肌につたわり (武田みどり 38才 主婦)
つくしんぼ 背伸びして見る 花霞(はながすみ) (西澤智香子 40才 看護婦)
*挿入曲 「魔法のくすり」
4月26日(水)
チンしてね のメモを外して 遅ゆうげ (木村柴萌 39才 看護婦)
しっぽふり 首かしげる君に 救われて (岡本恵理 39才 主婦)
プランターの 雑草抜く背に 春光(シュンコウ)浴び (外村和美 40才 トール講師)
*挿入曲 「花紀行」
4月25日(火)
横顔に写る 陽差しの模様に ほっとする (太田なお子 30才 OL)
「眠れない」 隣にもぐって 体温ぬすむ (石田幸江 40才 主婦)
疲れたと 言わない人の 肩をもむ (遠藤里美 30才 会社員)
*挿入曲 「命の花」
4月24日(月)
とりこんだ お日様布団に とりこまれ (荻野さちこ 36才 コピーライター)
旧友から 届いた手紙は あの頃の文字(まま)(浜谷順子 33才 主婦)
初デート 並ぶ背中に 日ざしやわらか (加藤まみ 16才 高校生)
*挿入曲 「帰愁」
この週の題目「風」
4月21日(金)
*優秀作品発表!
風鈴の 涼しき音楽(オト)に たそがれる (後藤彌生子14才 中学生)
*選評
ま、14才、中学生が「たそがれる」という言葉を使う新鮮さ。
でも味わって読んでみると、もう忘れてしまったような思春期の切なさが
たくさんこの作品に漂っているなというふうに思いました。
*挿入曲 「セイレーン」
4月20日(木)
初デート 祈る気持ちの ドライヤー (滝澤朋子 29才 エンジニア)
なおざりの 鉢の若芽に 東風(こち)の吹く (安田稔 65才 無職)
風鈴の 涼しき音楽(オト)に たそがれる (後藤彌生子14才 中学生)
*挿入曲 「Happy Birthday to You 〜ヴィーナスの誕生」
4月19日(水)
みのむしが えだでゆらゆら おちそうで (垣見春菜 8才 小学生)
夏なのに 中庭に舞う 枯れ葉一枚 (中村有里 15才 高校生)
一条(ひとすじ)の 蜘蛛糸キラリ 風の色 (手柴俊光 46才 公務員)
*挿入曲 「Corvett 1954」
4月18日(火)
髪なびく かき分ける君に 胸ドキュン (甲斐田恵美 15才 中学生)
都会出て 夕立ち前の 風忘れ (後藤ゆかり 35才 劇団員)
海風に 熱い告白 煽(あお)られる (桜井美穂 31才 会社員)
*挿入曲 「私のロンサム・タウン」
4月17日(月)
制服の ひざもおどろく 春一番 (古賀敏江 35才 公務員)
台風の 空を引き継ぎ 旅終わる (前田真住 25才 フリーター)
青天の 雲形(くもがた)変えて 乱れ髪 (城名景琳 39才 秘書)
*挿入曲 「セイレーン」
この週の題目「始める」
4月14日(金)
*優秀作品発表!
初めての街 初めてのセーラー服 (中村知代 15才 中学生)
*選評
どこということがないのに、ワ〜いいなァというのが、私なんかものを書いていて
うらやましいなと思ってしまうような。
こう何度か口の中でつぶやくと、しみじみまた良さがとふくらんできます。
*挿入曲 「Miss BROADCAST」
4月13日(木)
答案を ひるがえしてまず 自分の名 (荻野さちこ 36才 コピーライター)
愛(いと)しさを 涙と共に 捨てて朝 (茅野祥子 37才 主婦)
絵心は無いが 林檎を置いてみる (安田稔 65才 無職)
*挿入曲 「最後の嘘」
4月12日(水)
電脳の 機嫌如何(いかが)と 立ちあげる (安元文紀 47才 調理師)
挨拶を交わし 罪なき嘘をつく (滝澤朋子 29才 エンジニア)
別れから 産声をあげた想い 握り締め (古谷昌彦 26才 自営業)
*挿入曲 「未来は霧の中に」
4月11日(火)
とりあえず お湯を沸かして 宙を見る (金武恵子 35才 主婦)
カタコトの 会話楽しむ 四月号 (城名景琳 39才 秘書)
落雷の ビートでショーの 幕があき (蔭山淳子 45才 パタンナー)
*挿入曲 「誕生日おめでとう」
4月10日(月)
新婚の 朝をむかえて おみそ汁 (萩原陽子 29才 歯科衛生士)
髪を切り 口紅(ルージュ)を変えて フリージア (野田福子 33才 求職中)
初めての街 初めてのセーラー服 (中村知代 15才 中学生)
*挿入曲 「Miss BROADCAST」
この週の題目「乾杯」
4月7日(金)
*優秀作品発表!
グラスから 見える花嫁 金魚鉢 (新井美恵子 44才 主婦)
*選評
や〜なんかいいですね。
私は、こういうグラスを通して、私事で恐縮ですけど、貨物船が見えるとか、
別の光の屈折の中で何かが動いているっていうのが、とても弱いんですよ。
本当に花嫁衣裳が、ゆらゆらと金魚のように見えて、
何か結婚式の特別な時間の流れがあらわれているような気がしました。
*挿入曲 「DANG DANG」
4月6日(木)
ひそやかに 恋する人に 赤ワイン (安田稔 65才 無職)
果てしない ブラスの嵐 ウォッカの民 (大木裕子 38才 家事手伝い)
比類無き 明日を祝す我(われ) 杯を挙(あ)げる (王家衛 36才 スクリーンディレクター)
*挿入曲 「経る時」
4月5日(水)
グラスより 早く触れた手 熱き顔 (山下倫実 20才 学生)
心のひだが めくれるその都度 眠れぬ乾杯 (古谷昌彦 26才 自営業)
君の手に 海の断面 きらめいて (西川文彦 35才 会社員)
*挿入曲 「DANG DANG」
4月4日(火)
旅の宿 浴衣の姉妹を 待つグラス (小幡フミ子 58才 主婦)
チューリップ 乱れ咲くごと ワイン注(つ)ぐ (滝澤朋子 29才 エンジニア)
いい顔になって帰郷の君に乾杯 (伊藤ゆき子 59才 無職)
*挿入曲 「グレイス・スリックの肖像」
4月3日(月)
グラスから 見える花嫁 金魚鉢 (新井美恵子 44才 主婦)
前口上 長くて杯(さかずき) あげさげす (吉田陽子 57才 押花講師)
シャンパンの 泡の拍手に 耳すます (福島千佳 31才 主婦)
*挿入曲 「海を見ていた午後」