松任谷由実選集五七五(Update '00.4.8 00:35)

1999年10月4日〜2000年3月31日の採用作品

(もっと前の採用作品はこちらです。)


この週の題目「春」

3月31日(金)

*優秀作品発表!

ひかりあび かおがゆがむ ゆきだるま (吉田真梨絵 13才 中学生)

*選評
なんかスノーマンのようなね擬人的な。
「顔がゆがむ」は春の明るさを、逆に際立たせているような言葉を真中にはさんでいただき
情景がものすごくいきいきと伝わってきました。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

3月30日(木)

五分咲きで 前線先(せん)じ 座敷(せき)確保 (臼井孝治 21才 大学生)
ゆきどけの どろみちにおう はるきたり (江連雅代 24才 幼稚園教諭)
愛しさも 絶えない涙も 春は許さず (古谷昌彦 26才 自営業)

*挿入曲 「花紀行」

3月29日(水)

はるさかせ はなのようせい きれいかな (つしまひろき 6才 園児)
寒き郷(くに) 嫁いで焦(こ)がれる 春を知る (河村千喜子 29才 主婦)
わたしのこと 「せんぱい」とよぶ しんにゅうせい (喜多朱美 13才 中学生)

*挿入曲 「SUGAR TOWNはさよならの町」

3月28日(火)

ひかりあび かおがゆがむ ゆきだるま (吉田真梨絵 13才 中学生)
眞白な 呪縛が解けた 猫柳 (大石浮石 65才 自営業)
手を振った 君の時計に 陽がはねる (滝澤朋子 29才 エンジニア)

*挿入曲 「ダンデライオン〜遅咲きのタンポポ」

3月27日(月)

光差す 雪間(ゆきま)広がり 春近し (辻美津子 40才 主婦)
花なりと 今宵を急ぐ ルージュかな (松田眞造 33才 酒造業)
きらきらと セーラー服に 花あかり (森千晶 37才 主婦)

*挿入曲 「2人のストリート」

この週の題目「離れる」

3月24日(金)

*優秀作品発表!

相槌を 打つ君の瞳(め)に 映らない (安元文紀 47才 調理師)

*選評
「君の瞳に映らない」と続くところが、余韻を残す淋しさが漂っていて
リリカルな作品だったように思います。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

3月23日(木)

君の追う 夢にわが夢 交わらず (林美千代 41才 主婦)
あっち行って! もうちょっとだけ こっち来て (竹田さと子 37才 主婦)
流し雛(びな) 祈りの岸を 離れゆき (西沢智香子 40才 看護婦)

*挿入曲 「春よ、来い」

3月22日(水)

寄せて上げ はずして離れる 胸の山 (柳井和代 39才 主婦)
相槌を 打つ君の瞳(め)に 映らない (安元文紀 47才 調理師)
伏せる娘(こ)に 添い寝するのは ケータイなり (宮崎絹代 46才 主婦)

*挿入曲 「何もなかったように」

3月21日(火)

来た人と 見合い写真が 違いすぎ (水野タケシ 34才 コピーライター)
あの信号 越えたら彼は パパの顔 (三ヶ尻さと子 42才 自営業)
富士山(ふじやま)を 眺めし感ずる ふるさとの距離 (小池みのり 33才 主婦)

*挿入曲 「たぶんあなたはむかえに来ない」

3月20日(月)

「ただいまあ」の声と 置いてくランドセル (石垣智子 37才 主婦)
思春期の 深きひとみに こごと呑む (岸章子 46才 主婦)
退きて エールを送る 恋もあり (高木芳子 66才 無職)

*挿入曲 「あの日にかえりたい」

この週の題目「卒業」

3月17日(金)

*優秀作品発表!

深々と 礼をする背に 広き未来(さき) (石澤きよ子 75才 無職)

*選評
若い者の謙虚さにいろんな選択肢があって、それをこう暖かく見守るような
さすがに年長者の愛のようなものを感じる作品でした。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

3月16日(木)

失恋の ワックス香る 旧校舎 (斎藤美和子 36才 主婦)
なんとなく 毎日みんなの 写真とりまくる (青山友理 15才 中学生)
最後まで あなたを好きでよかった・・・ (藤本明日香 15才 中学生)

*挿入曲 「ハートブレイク」

3月15日(水)

くつ箱の 名前はがして 春休み (林実千代 41才 主婦)
鉛(くもり)空 西は晴れだが なぜかこわい (山口園未 15才 中学生)
いくつもの 卒業をして 君に届く (古谷昌彦 26才 自営業)

*挿入曲 「心ほどいて」

3月14日(火)

コクコクと 刻む時刻(とき)に ため息つく (高山恵実 11才 小学生)
謝恩会 鮨屋の顔も はれがまし (安田稔 65才 無職)
なぜだろう わたしの為に 泣いている (志野りな 17才 高校生)

*挿入曲 「最後の春休み」

3月13日(月)

しが溶けて カバンのひもの ほころびる (高橋妙子 35才 ビューティーアドバイザー)
(* しが・・・東北地方で氷またはつららのこと)
第二ボタン 「おとうとが着る」と ことわられ (玉手桜子 13才 中学生)
深々と 礼をする背に 広き未来(さき) (石澤きよ子 75才 無職)

*挿入曲 「卒業写真」

この週の題目「誘惑」
3月10日(金)

*優秀作品発表!

木蓮を 抱く我を 盗め五月 (中原由紀子 35才 教諭)

*選評
リズムがとてもいいですね。季節感と色彩、誘惑というトーンにぴったりおさまって
とても心地よい句だと思いました。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

3月9日(木)

初氷 鳥に誘われ 床(とこ)を出る (松川博子 43才 地方公務員)
話題から 逸れて睡魔に 口説かれり (滝澤朋子 29才 エンジニア)
その線を 今夜も越えず 星を抱く (小林康江 38才 会社員)

*挿入曲 「恋の一時間は孤独の千年」

3月8日(水)

突き指に 包帯巻いて コーヒー渡す (中原由紀子 36才 教諭)
ダイエット 五感冴えてる 帰り道 (後藤ゆかり 36才 劇団員)
色付いて 酸っぱきみかん 所在告げ (伊藤ゆき子 59才 主婦)

*挿入曲 「時のカンツォーネ」

3月7日(火)

春風に 授業抜け出す 川辺かな (今井真由美 35才 主婦)
親友を 二人失う 覚悟して (米倉美佐緒 30才 主婦)
煌煌(こうこう)と ダイヤを誘う 蛍草 (大日川雅宣 27才 医療商社)

*挿入曲 「恋人と来ないで」

3月6日(月)

「限定」の 文字に引かれて 無駄遣い (志水信彦 37才 高校教諭)
怪談を 怖がりながら 聞きたがり (滝澤朋子 29才 エンジニア)
木蓮を 抱く我を 盗め五月 (中原由紀子 35才 教諭)

*挿入曲 「まちぶせ」

この週の題目「紙」

3月3日(金)

*優秀作品発表!

もう少し 破れないでと 金魚追う (佐藤友昴 12才 小学生)

*選評
20代の女性が書いたとしても、50代の男性が書いたとしても、
なるほどなと思うような、すごく深い広がりがある、
「もう少し破れないで」という感情からスタートして
その後に金魚とかの映像が美しくかぶさってくることで、
何かすごく普遍的な作品になったような気がします。
とても良い、パチパチという、これが今週の優秀作品です。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

3月2日(木)

教科書の 匂ひを運ぶ 新学期 (斎藤美和子 36才 主婦)
白い闇に 黒い閃光 放つ筆 (森大衛 34才 書家)
文字をのせ 心映して 鏡となる (服部公江 35才 主婦)

*挿入曲 「クロームの太陽」

3月1日(水)

参観日 プリント見せず 鶴を折る (岩間星美 15才 中学生)
徹夜明け 書類の淵で 指を切り (大貫綾子 27才 会社員)
書き初めの 夢は半紙を はみ出して (岡本恵 43才 主婦)

*挿入曲 「あなただけのもの」

2月29日(火)

待ち人は 紙風船の 薬売り (山下和恵 47才 主婦)
見合い後の あぶら取り紙 嘘も吸い (南村香里 35才 コピーライター)
やわらかな 黄金色の冬 障子の間 (大木裕子 38才 家事手伝い)

*挿入曲 「少しだけ片想い」

2月28日(月)

こより縒(よ)り 祖母は優しく 孫の耳 (原田つとむ 51才 プランナー)
初孫の 破る障子に 苦笑い (鈴木常治 60才 無職)
もう少し 破れないでと 金魚追う (佐藤友昴 12才 小学生)

*挿入曲 「きっと言える」

この週の題目「長い」

2月25日(金)

*優秀作品発表!

ばっさりと 髪を切っても 片思い (東優希 15才 中学生)

*選評
やはり15才にとっての片思いなんかは、大人になっての片思いよりも
もうほんとにほんとうに一生片思いしているような、長さがあるんじゃないかなと思います。
何故かシンプルな作品なんですけれども、感じることができて優秀作品にさせていただきました。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

2月24日(木)

追伸に やっと本音が出る手紙 (藤林正則 45才 公務員)
秋の夜 義母(はは)の昔話につきあって・・・ (高橋結花 38才 主婦)
眠ってる 君を見ていただけの夜 (前川佐千子 33才 POPライター)

*挿入曲 「紙ヒコーキ」

2月23日(水)

5時間目 教師の声が遠ざかる (朝倉千陽 26才 自由業)
ロングブーツが リングシューズに見える女(ひと)(南村香里 35才 コピーライター)
切り過ぎた 髪をのぞいている鏡 (藤林郁甫 44才 主婦)

*挿入曲 「魔法の鏡」

2月22日(火)

短編を 読み終えてなお 雨模様 (滝澤朋子 29才 エンジニア)
キャッチ中 保留のメロディくちずさむ (鈴木陽子 23才 主婦)
還暦の はんてん預け 長風呂かな (道上能亘 23才)

*挿入曲 「夢の中で〜We are not alone,forever〜」

2月21日(月)

ひこうきぐも 川の一本できあがり (五十嵐歌菜 6才 小学生)
主人待つ 姑と座る 時(いす)長し (小川みゆき 27才 主婦)
ばっさりと 髪を切っても 片思い (東優希 15才 中学生)

*挿入曲 「雪だより」

この週の題目「KISS」

2月18日(金)

*優秀作品発表!

一度目の 愛しさは未(ま)だ 一度目のまま (古谷昌彦 26才 自営業)

*選評
一度を重ねることで、とても雰囲気のある、五七五らしいきれいなまとまりで
KISSを言い当ててたと思います。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

2月17日(木)

”シッ”指立てつぐんだ隙に 小さな”ッ!” (十川由佳 32才 書店勤務)
カーテンを 閉じて星にも隠しごと (森葉子 60才 主婦)
一度目の 愛しさは未(ま)だ 一度目のまま (古谷昌彦 26才 自営業)

*挿入曲 「Saint of Love」

2月16日(水)

初デート 枕相手にリハーサル (菅野良枝 28才 会社員)
じっとして ちゃんと伝わらないから (小寺裕子 26才 理容師)
優しさと 「好き」が伝わり 目を閉じる (平恵子 17才 高校生)

*挿入曲 「吹雪の中を」

2月15日(火)

お父さん たばこくさくて おことわり (工藤弓奈 8才 小学生)
ルージュ代 奴(かれ)のくちびるに 請求書 (城名景琳 39才 秘書)
おぼろ月 1+1が1となる (安田稔 64才 無職)

*挿入曲 「手のひらの東京タワー」

2月14日(月)

「飲むかい?」と 缶渡されて 胸高鳴る (竹優子 29才 OL)
口元は 見せずに女の 背伸びだけ (新田しほ 17才 高校生)
吐息たつ 明日(あした)からまた 頑張ろうと思う (三村優子 23才 会社員)

*挿入曲 「Valentine's RADIO」

この週の題目「打ち明ける」

2月11日(金)

*優秀作品発表!

何気なく問うて 沈黙で返される (宗田友美 27才 家事手伝い)

*選評
打ち明けたことに対する答えが、答えになってなくても、答えたのと同じこと、
っていう意味ですね、これは。
ということで、今週の題目、ちょっと難しかったですが「打ち明ける」でした。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

2月10日(木)

曇り窓 返事の来ない Eメール (小藤晶子 37才 主婦)
最悪の テストをもって きもだめし (小林真友 12才 小学生)
クラス会 時効の想い 笑い合う (滝澤朋子 29才 エンジニア)

*挿入曲 「SAVE OUR SHIP」

2月9日(水)

「だったの」と 初恋の君 指キラリ (北條貴美恵 34才 主婦)
友だちを 見てたら聞けぬ 妻の過去 (増田正 48才 靴小売業)
幕のない 舞台にスポット 持ち込んで (十川由佳 32才 書店勤務)

*挿入曲 「LOVE WARS」

2月8日(火)

冬の朝 顔洗うたび 覚悟決め (藤野嵩大 16才 高校生)
何気なく問うて 沈黙で返される (宗田友美 27才 家事手伝い)
待ちわびて 部屋の暖気に とろける夢(チョコ) (高田保子 28才 薬剤師)

*挿入曲 「心のまま」

2月7日(月)

決め台詞(セリフ) 受け売り過ぎて 腑に落ちぬ・・・ (臼井孝治 21才 大学生)
出身が 秋田で下戸と 言いにくく (南村香里 35才 コピーライター)
唐突に 横顔だけで「好き」と言う (遠藤里美 29才 会社員)

*挿入曲 「Good-bye Goes by」

この週の題目「神秘」

2月4日(金)

*優秀作品発表!(エジプト・スフィンクス前より)

そばにいるだけで 元気がわいてくる (岡本恵 43才 主婦)

*選評
こういう単刀直入な何かその逆に、シンプルさが神秘に直結するような気がしました。
ので、この極めてストレートな作品を今週の優秀作品に選ばせていただきました。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

2月3日(木)

知らぬ間に 母の面影 見について (田野佳代 24才 主婦)
転換キー 叩いて待っている神話 (安田稔 64才 主婦)
あなたが生きていることが一番ステキ (高橋めぐみ 18才 高校生)

*挿入曲 「砂の惑星」

2月2日(水)

記憶無い 身体(からだ)が家に辿り着く (増田正 48才 靴小売業)
虚像だと わからぬままに 人すがる (内山哲夫 17才 高校生)
秋の光(ひ)に ティンカーベル飛ぶと 君の言う (味岡和子 51才 自営業)

*挿入曲 「Misty China Town」

2月1日(火)

黄金の 稲穂を刈る母 卑弥呼なり (中原由紀子 36才 教諭)
山路行く 木々の霊気 我むせぶ (戸塚恵子 39才 主婦)
そばにいるだけで 元気がわいてくる (岡本恵 43才 主婦)

*挿入曲 「千一夜物語」

1月31日(月)

「おんぎゃあ」に じじの顔有り DNA (安元文紀 47才 調理師)
流星の いづこに果つや 闇沈黙(しじま) (高木芳子 66才 無職)
雪の朝 小鹿に会いし 冬天城 (伊藤ゆき子 59才 無職)

*挿入曲 「KATHMANDU」

この週の題目「旅」

1月28日(金)

*優秀作品発表!

床につき 架空の街の人となる (指田隆行 46才 イラストレーター)

*選評
とてもこう、おしゃれな気がしました。イマジネイティブで(?良く聞き取れず)
雰囲気がいっぱいある旅の作品でした。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

1月27日(木)

懐しい風の吹く街に来た・・・ (平賀雄 15才 中学生)
傷心の友に 気遣いながらも ラブコール (竹内みやこ 32才 主婦)
女五人 ゆかた姿の 卒業旅行 (平恵子 17才 高校生)

*挿入曲 「空と海の輝きに向けて」

1月26日(水)

昼は海 夜は空だけ 船の上 (山崎比奈子 32才 主婦)
絵ハガキを あなたに出すためだけの旅 (岡本恵 43才 主婦)
住む街の 路地裏歩く 小旅行 (増田正 48才 靴小売業)

*挿入曲 「大連慕情」

1月25日(火)

借りものの 蛇の目くるくる 雨の宿 (井上幸彦 51才 製造業)
失業中ですが 旅には参ります (安田稔 64才 無職)
無人駅 ドアあく間 海だより (斎藤美和子 36才 主婦)

*挿入曲 「Holiday in Acapulco」

1月24日(月)

ガイド本ながめ 故郷の評を知る (滝澤朋子 28才 エンジニア)

別れむと 湯けむる君に 心ゆらぐ (大澤寛治 59才 会社役員)

床につき 架空の街の人となる (指田隆行 46才 イラストレーター)

*挿入曲 「HONG KONG NIGHT SIGHT」


この週の題目「白」

1月21日(金)

*優秀作品発表!

追伸の 余白で遊ぶ 小春かな (松田真澄 33才 酒造業)

*選評
いい温度で余裕で、粋な感じでまとまって、風情があるなと思いました。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

1月20日(木)

新しき 半紙に墨汁 滲みわたる (井上幸彦 51才 製造業)
あなた色に 染められ 今はグレーなり (後藤ゆかり 36才 劇団員)
部活行く 制服ひかる夏休み (滝澤朋子 28才 エンジニア)

*挿入曲 「青いエアメイル」

1月19日(水)

画用紙に 雪の世界を 児(こ)は描(か)けり (安元文紀 47才 調理師)
着る機会 失いしまま 黄ばみたり (白石聡子 32才 主婦)
白き霜 畑の青菜 もり上がり (佐藤愛子 47才 主婦)

*挿入曲 「雨に消えたジョガー」

1月18日(火)

暖囲み また格別の バニラ味 (川上晴代 44才 主婦)
光るこめ 色つややかに 湯気を立て (鈴木常治 60才 無職)
冴え冴えと タイルに映える 夜半の月 (伊藤ゆき子 59才 無職)

*挿入曲 「街角のペシミスト」

1月17日(月)

「父さんのタバコ」 と息子 息を吐き (石垣智子 37才 主婦)
白は雪 とけたら水に 色きえる (藤本倫正 12才 小学生)
追伸の 余白で遊ぶ 小春かな (松田真澄 33才 酒造業)

*挿入曲 「BLIZZARD」

この週の題目「新」

1月14日(金)

*優秀作品発表!

東風(こち)による 足音により 香る季節(はる)(奥田真由美 18才 高校生)

*選評
シンプルですけれどとてもさわやかな、18才高校生からなんですけれど。
何か学生の、ここの句に書かれていないけれど、白いソックスとか、
期待に胸をふくらます、何か難関を突破した後の風が吹いてくる、
正に「新」という題目にぴったりな作品でした。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

1月13日(木)

かぜひいた 彼初のおかゆ ”チン”の音 (内山和子 22才 看護学生)
いつからか 靴を下ろすと 雨が降る (神尾淳子 36才 主婦)
まっ白な ノートカバンに 入れし朝 (林実千代 40才 主婦)

*挿入曲 「真冬のサーファー」

1月12日(水)

地味な服 選んで今日は 公園デビュー (青山佳世子 30才 主婦)
カプセルを 埋めた辺りに 新校舎 (井上ひろき 35才 印刷会社勤務)
おにぎりと ショートヘア乗せ 新車行く (小林康江 38才 会社員)

*挿入曲 「白い朝まで」

1月11日(火)

靴ずれに 気付かぬ程に 緊張する (市丸由美子 25才 OL)
新札(ピンさつ)を 折って使う 罪悪感 (松田千代 35才 主婦)
義母(はは)と新父(ちち) ガラスの前に へばりつき (吉田純子 32才 主婦)

*挿入曲 「Home Town へようこそ」

1月10日(月)

姿見の 前で時経る 初めての恋 (川村有香 24才 飲料メーカー)
先生と 生徒に戻り 新学期 (水野タケシ 34才 コピーライター)
東風(こち)による 足音により 香る季節(はる)(奥田真由美 18才 高校生)

*挿入曲 「A HAPPY NEW YEAR」


1月5日(水)、6日(木)、7日(金)はお休みでした(哀)。

2000年1月4日(火)完全攻略!「松任谷由実選集五七五」

おはようございます。そして、明けましておめでとうございます。
今年もこの「松任谷由実選集五七五」に応募していただく作品が本当に楽しみです。
来週からはいつも通りにお送りしますけれども、それに先立って今日は
「完全攻略!松任谷由実選集五七五」と題して、五七五の傾向と対策をお話ししていきます。

こんな作品がうれしいという方向性としては、題目をストレートに入れ込まないもの、
それはなるべくですけれど、リアリティのあるもの、そしてあんまりみんなが寄せて
こないんじゃないかな、というような抽象的な題目、そういった時に力を発揮していただくと
とても目立つんじゃないかと思います。

といってもですね、やっぱり恋愛がらみ、みんなが感じるような色々なことを織り込めそうな題目、
の時にもですね、これは恋愛物でいっけんシンプル、いっけん古今東西いろんな人がやっている
言い回しだというものが、本の一振りのスパイスでですね、たとえばちょっとしたアイテムとか、
ちょっとした言い回し、言葉の並びの変化というワンポイントで、戸板がえしに斬新なものになったりすると
本当に読んでいて楽しいなと思います。

さて昨年は苗場からもお送りしましたけれど、更に今年は海外からもお送りしたいなって思っています。
楽しみにしていて下さい。今年もみなさんからのビビッドで感性豊かな五七五をお待ちしています。
それじゃ、どうぞよろしく。

*挿入曲 「Spinning Wheel」


年末特別企画「別冊!松任谷由実選集五七五」(先先週以前の作品はこちらです。)

12月29日(水)

おはようございます。今年最後の放送になりました。
今日は51題目、612作品の中から最優秀作品を、難しいんですけれども
選んでみたいと思います。

★ユーミンの選句基準 'YUMING'S LINE'

その題目が作品の中に織り込まれていないにもかかわらず、ものすごくそれを言い表されていると
ベターかなっと。
作品のリズム感、それから現代っていうことでのスピード感、アイテムが何か入っていることでも、
言い回しでもいいんですけれど、そのアップトゥーデイト感も大きなポイントになったと思います。
そして心がこもったものは、短い時間でも心に残っていたような気がします。

《題目「月、星」》うさぎつく おもちを祖母が 月で食べ (中村知代 14才 中学生)
《題目「引越し」》お元気ですか こっちは富士山が見えません (中村知代 14才 中学生)

もうこのアプローチの妙ですね。心も心理もすごく映し込まれていると思います。

《題目「変わる」》妹の おくれ毛を見た 初夏の夕暮れ (諸星明子 18才 大学生)

におい立つようなトーンが伝わってきます。

《題目「晩」》暮れ早し 猫に明りを 灯しおく (林葉子 60才 主婦)

優しいのと明り、灯すというような言葉から、ぼんやりと温かく美しく見えてきます。

★1999年最優秀作品発表!

《題目「バレンタインデー」》夜の街 檀家廻(まわ)りの 和尚かな (照井茂人 73才 無職)

*選評

粋なね、時間を過ごしている人だなァということも伝わってきて、
何かみんなに奨励したいような気持ちになりました。
まあ、はなはだあのこのレベルになると個人的な趣味も入ってきますけれど、
本当に私自身もインプットの場になっています。
楽しみにしているので、来年もみなさんからのビビッドで感性豊かな
五・七・五を大ウェルカム、お待ちしております。
あて先は「めざましテレビ」まで。それでは良い年をお迎えください。

12月28日(火)

★1999年ついつい笑ってしまった五・七・五

昨日に続いておはようございます。
私が笑ってしまったということで思い出すのが、幼稚園の学芸会かなんかで
一所懸命ウサギの役をやっていたんですね。
そしたらあの父兄が観に来ると、笑うじゃないですか。今だったら分かるんですけれど、
子供が何か一生懸命やっている時に、思わず笑ってしまうという。
で私はプライドがすごく傷つきまして、ヒトが真剣にやってんのに、何故大人たちは笑うんだと
思った体験があるんですね。
でも今ふとあの考えてみるとその大人たち、自分のテンポ感と違うものを急に見せられた時に
思わずヒザがカックンとなってゆるんでしまって、ほほえましいやら可愛いやら何かそういうことで
笑ってしまうという。
そんな感覚がいろんな作品を見せていただいて、感じた感情なんですけれども。

《題目「オトナ」》愛犬が 娘より早く 女になる (小林ゆり 42才 主婦)

これは正にそうで、読んだ途端、こちらもゆるんでしまったという不思議なテンポ感があって
思わず笑ってしまいました。

大激論 かつらが ズレてしまうほど (水野タケシ 34才 コピーライター)
手をかざす事なく雨知るハゲ頭 (渡辺正 45才 会社員)
ワンレンが風になびかれ中年オヤジ (千古恵美 23才 薬局店員)
ユラユラと近づく隣のはげ頭 (渡辺れい子 30才 パソコンオペレーター)

私はカツラ物、そういう話しに弱かったり、すぐ笑ってしまうところがあって、
なるべくあの抑えようかなとは思ったんですけど、ついついそういう方向の可笑しい作品は
たくさん入れてしまっていました。

《題目「危機一髪」》突風に 叔父のカツラが はためいて (あそあつこ 39才 主婦)

カツラというのを使えばいいというのじゃなく、はためいてで終わるリズム感も何かツボに入った気がします。

シニカルな笑いっていうのもいろいろありました。
こう普通に暮らしているヒトたちの過激さなんかが、そこここにあって、

《題目「見栄」》建て売りを買ったと言わずに 建てたと言う (松岡ひとみ 37才 主婦)
《題目「見栄」》あの女が売り場にいたから和牛肉 (荻野さちこ 35才 コピーライター)

もうずっと思い出し笑いできる作品でした。

《題目「引越し」》土地(ここ)から離れられないから整形する (今吉裕子 42才 主婦)

笑いも色々な方向があるなっていうふうに思えて。
さて明日は「松任谷由実選集五七五」最優秀作品を紹介します。お楽しみに。


12月27日(月)

おはようございます。
え〜この「松任谷由実選集五七五」では、今日から3日間に渡ってですね、
「別冊松任谷由実選集五七五」と題して、今年紹介させていただいた作品を
あらゆる方向から、いろんな事言って行きたいと思います。

・1999年応募作品総数=37,238作品(12月9日到着分迄)
・題目別応募作品数ベスト5
(1)クリスマス(作品数760)
(2)夏(759)
(3)バレンタインデー(641)
(4)手(547)
(5)カミナリ(488)

題目が恋愛に結びつきがちなものには、あのすごくたくさん作品が寄せられます。
個人的にはもっとこう抽象名詞のような、アプローチの仕方が難しい題目の方が
倍率は低いけれど、一つ一つにすごくこう高度な感性のきらめきがあってですね、
どれも紹介してしまいたいようなレベルで。

★職業から見えてくる「五・七・五」

それから作者の職業、これがキーになっていまして

《題目「匂い」》そよ風の かおり運んで 新芽の傘 (藤岡常蔵 70才 農業)

70才の農業の方ですけれど、やはり長くこう農業を通して自然と向き合って来られた方
ならではの、まさに香りが封じ込められているような気がしました。

《題目「音」》「父(パパ)さん!」と しっぽを振って ハイヒール (志野弘祀 28才 添乗員)

この添乗員の方というのが、このパパさんというルビとかが
活き活きとね、あの正に現場にいる感じがします。

《題目「音」》振り子と靴音が かけっこする中 鼓動は世界一周 (永田富子 41才 看護婦)

看護婦さんからお寄せいただきました。ものすごくライブ感があるし、
職場の臨場感があるし、優れた作品だったと思います。

大塚さんからも
《題目「世代」》年の差婚 放送(つた)える笑顔 ひき算で歪む (大塚範一 51才 キャスター)

すごく現場の息遣いが伝わってくるようです。

最年少・最年長の方のほうは

《題目「カミナリ」》おかあさん おそらもおなかこわしとる? (中村友香 2才)
《題目「春」》縁側で 子の白髪抜く老婆桜(うばざくら) (上原フジ 88才)

最年少と最年長の双方のさりげなさっていうのが興味深かったです。
明日はこんな笑える五七五もあった、と題してついつい笑ってしまった作品を
紹介していこうと思います。お楽しみに。

この週の題目「クリスマス」

12月24日(金)

*優秀作品発表!

裸木の飾らぬ幹に触れて立つ (阿部奈津紀 31才 主婦)

*選評(聞き取り)

最初目立たないかなと思ったんですが、しばらくするうちに
街の一こまがうかんでくるようで心に残りました。

*挿入曲 「恋人がサンタクロース」

12月23日(木)

お茶菓子を 用意して待つ サンタさん (水野タケシ 34才 コピーライター)
鼻メガネ 三角帽で 不倫冷め (長谷川明美 40才 主婦)
あふれるほど 両手にのせた こんぺいとう (中村友美 15才 中学生)

*挿入曲 「忘れかけたあなたへのメリークリスマス」

12月22日(水)

クリスマス マックに行こう 彼氏に言う (山賀和枝 26才 会社員)
柊(ひいらぎ)に 触れて楽しき 痛みかな (滝澤朋子 28才 エンジニア)
モミの木の 最後の星を 父がのせ (石井美香 35才 主婦)

*挿入曲 「ロッヂで待つクリスマス」

12月21日(火)

リボンほどく 笑顔が一番のプレゼント (望月佐恵子 38才 主婦)
三角形(さんかく)の問題(とい)に 三角形(さんかく)たしてツリー (中村知代 15才 中学生)
裸木の飾らぬ幹に触れて立つ (阿部奈津紀 31才 主婦)

*挿入曲 「3-Dのクリスマスカード」

12月20日(月)

トナカイの たづな引いてる 山の神 (鈴木常治 60才 無職)
盆栽に ツリー見立てたら 般若顔 (城名景琳 39才 秘書)
年の瀬の 急(せ)く街並みに 降りし聖夜(よる) (星美月 38才 主婦)

*挿入曲 「恋人がサンタクロース」


この週の題目「飾る」

12月17日(金)

*優秀作品発表!

「ホルダーを 外せば鍵の 他人顔」(滝澤朋子 28歳 エンジニア)

*選評(聞き取り)
飾るという題目からよくこういうアプローチをしてきたと、
深い作品だと思いました。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

16日(木)

下宿の息子(こ) 花を飾った人は誰 (あそあつこ 39才 主婦)
歳とともに 野生にかえる アニマルプリント (藤田昌幸 39才 鍼灸士)
さめたから 別れの言葉も 飾れない (後藤ゆかり 36才 劇団員)

*挿入曲 「シンデレラ・エクスプレス」

15日(水)

魔を射よと 一歳の子の握り弓 (秋吉百合 24才 主婦)
修飾語 見当たらなくて 犬を誉め (安田稔 64才 無職)
オクラという呪文を乗せて 星サラダ (中村あまよ 45才 主婦)

*挿入曲 「航海日誌」

14日(火)

野の花を 摘みて一輪 さす独居 (こだま岳人 41才 柔道整復師)
偽物を本物らしく見せる妻 (岡田道博 28才 会社員)
しめ縄の 稲穂をつつく 冬すずめ (西川文彦 35才 会社員)

*挿入曲 「ワゴンに乗ってでかけよう」

13日(月)

「斜に見てる・・・ ドレスアップの 彼、彼女」(臼井孝治 21才 大学生)
「おけいこに 出掛ける米寿の 耳飾り」(室伏陽子 60才 喫茶店経営)
「ホルダーを 外せば鍵の 他人顔」(滝澤朋子 28才 エンジニア)

*挿入曲 「12階のこいびと」

この週の題目「世代」(先先週以前の作品はこちらです。)

12月10日(金)

*優秀作品発表!

サンマの腹(わた) 美味(うま)さわからぬ にぎり箸(ばし) (岡喬子 57才 主婦)

*選評

もう格調もありますし、本当に味のある世代ということが
統一された雰囲気の中に、良く表われている作品だと思いました。

12月9日(木)

ルス電に 無言で3件 たぶん母 (鈴木陽子 22才 主婦)
上司にウケた話 後輩に通じず (今井真由美 34才 主婦)
年の差婚 放送(つた)える笑顔 引き算で歪む (大塚範一 51才 キャスター)

*挿入曲 「出さない手紙」

12月8日(水)

息子には まだ継がせまいと 威厳見せ (うえよしようこ 30才 会社員)
うなずきが いっしょだと ホッとするね (寺田由里穂 26才 フリーター)
私のきんぴらを おいしという母 (奥田薫 25才 主婦)

*挿入曲 「守ってあげたい」

12月7日(火)

無理矢理に 話あわせて 干支(えと)聞かれ (滝澤朋子 28才 エンジニア)
欄外に 祖母の名ひとり はみ出して (飯田由美子 37才 主婦)
サンマの腹(わた) 美味(うま)さわからぬ にぎり箸(ばし) (岡喬子 57才 主婦)

*挿入曲 「オールマイティ」

12月6日(月)

久かたの 便り有しも 横文字多し (竹田ふみ子 64才 主婦)
「わかっているの」と 言いつつ 嫁に言葉たす (杉崎康代 55才 観光協会職員)
家系図の 途中に一箇所 穴がある (安田稔 63才 無職)

*挿入曲 「Josephine」


この週の題目「晩」

12月3日(金)

*優秀作品発表!

暮れ早し 猫に明りを 灯しおく (森葉子 60才 主婦)

*選評

とても格調もある、ささやかな日常の中の明るさ。
晩に帰ってくる私を待つ猫。
晩というとらえ方の豊かさがこもっているような作品だと思いました。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

12月2日(木)

一日の 出来事ネコに 話す夜 (前川佐千子 33才 ポップライター)
花火見て はぐれたような 晩になる (秋吉百合 24才 主婦)
夕顔の 儚(はかな)き艶(いろ)に 晩夏謳(うた)う (木崎渚 25才 マンガ家見習い)

*挿入曲 「さみしさのゆくえ」

1日(水)

夕べ君 ドアノブ戻し 時間(とき)を進めた (古谷昌彦 26才 自営業)
「おかえり」と 迎えてくれる 店のママ (増田正 48才 靴小売業)
満たされて 月あかりと 添い寝する (道下京子 52才 主婦)

*挿入曲 「Sweet Surrender」

11月30日(火)

隣人の 夜勤帰りに 息ひそめ (井上幸彦 51才 製造業)
暮れ早し 猫に明りを 灯しおく (森葉子 60才 主婦)
影法師 近づく闇へ くずおれる (新野久美子 31才 会社員)

*挿入曲 「Hello,my friend」

11月29日(月)

通る度 欠けたネオンの 文字たどり (難波直子 36才 公証役場書記)
お父さん 夜にこっそり 帰ってる (河村隆幸 11才 小学生)
異国から 月にたくして エールおくる (前中依子 31才 主婦)

*挿入曲 「恋は死んでしまった」

この週の題目「変わる」

11月26日(金)

*優秀作品発表

妹の おくれ毛を見た 初夏の夕暮れ (諸星明子 19才 大学生)

*選評

変化に気付いてしまう心、変わっていくつぶつぶ、が何〜となくの、
こう色彩の中に浮かんできて、とても切ない作品だと思いました。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

11月25日(木)

初めての お里帰りの 客布団 (田恭子 31才 主婦)
シングルの 覚悟す40(しじゅう)の誕生日 (古野典子 40才 幼児教室指導員)
変わったねと 云われた自分を 静観せり (井上幸彦 51才 製造業)

*挿入曲 「旅立つ秋」

11月24日(水)

新しい 出会いで君は 押し出され (辻かよ子 33才 受付)
黒髪(くろかみ)と 茶髪の間に ドラマあり (白石聡子 32才 主婦)
脱皮して おいていっちゃえ ぬけがらは (牧野薫 28才 主婦)

*挿入曲 「Now Is On」

11月23日(火)

ガキ大将以外はみんな声変わり (水野タケシ 34才 コピーライター)
移り気を 明細書が ものがたる (坂井弘子 31才 OL)
妹の おくれ毛を見た 初夏の夕暮れ (諸星明子 19才 大学生)

*挿入曲 「WANDERERS」

11月22日(月)

このTシャツ もっとかわいかった はずなのに (浅間宇多子 32才 主婦)
ケイタイを かけてる間は 明るい娘(こ) (まきばひろし)
脱衣所の ドア閉めはじめて 思春期 (中村あまよ 45才 主婦)

*挿入曲 「Blue Rain Blue」

この週の題目「見栄」

11月19日(金)

*優秀作品発表!

張ってみた たぶんあんたも 張っていた (太田京子 34才 習字教室)

*選評

軽快なリズムですね。張り合いをした場合にはもう相手も自分も
お互いの鏡という感じで、エスカレートしていくものなんでしょうね。
張ってみた たぶんあんたも 張っていた
思いのほか深い作品だったと思います。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

11月18日(木)

矯正の 水着の胸が 恥ずかしい (あそあつこ 39才 主婦)
本当は 好きじゃないの ハイヒール (牧野薫 28才 主婦)
張ってみた たぶんあんたも 張っていた (太田京子 34才 習字教室)

*挿入曲 「別れのビギン」

11月17日(水)

「空いてるわ」 わかっていながら 手帳見る (青木由美子 39才 主婦)
あの女が 売り場にいたから 和牛肉 (荻野さちこ 35才 コピーライター)
蟷螂(かまきり)が 獲物を逃がし 首傾げ (井上ひろき 35才 印刷会社)

*挿入曲 「8月の日時計」

11月16日(火)

見栄はって 選んだ彼に 当たりなし (桜井美穂 31才 会社員)
わざわざね 伝えたかったの しあわせと (牧野薫 28才 主婦)
私より 少し不幸の 幸せでいて (葭岡由美 35才 主婦)

*挿入曲 「DESITNY」

11月15日(月)

建て売りを 買ったと言わず 建てたと言う (松岡ひとみ 37才 主婦)
同窓会 主人を2つ ランク上げ (原智美 33才 主婦)
お互いに ヤキモチ隠して 進まぬ恋 (山形陽子 20才 大学生)

*挿入曲 「Raga#3」

この週の題目「音」

11月12日(金)

*優秀作品発表!

たくあんを 食べればテレビ 音遠く (中村真理子 18才 高校生)

*選評

とってもよくまとまっていて、音が聞こえて、スピード感もあって、
品格みたいなものもある、こう粋な切り口がとても好きな作品でした。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

11月11日(木)

お味噌汁 暖めなおす タイミング (山谷紀代美 31才 OL)
答案を 埋めてくシャーペン お腹のグウゥ (中村真理子 18才 高校生)
引越しの ダンボールの中 オルゴールなり (安岡優美子 30才 会社員)

*挿入曲 「二人のパイレーツ」

11月10日(水)

「父(パパ)さん!」と しっぽを振って ハイヒール (志野弘祀 28才 添乗員)
救急車 我家(うち)の方ではないらしい (井上ひろき 35才 印刷会社)
静かなる 朝を聞きつつ 座禅組む (志水信彦 36才 教諭)

*挿入曲 「流星の夜」

11月9日(火)

たくあんを 食べればテレビ 音遠く (中村真理子 18才 高校生)
音立てず 部屋に入って来る母さん (水野タケシ 34才 コピーライター)
振り子と靴音が かけっこする中 鼓動に世界一周 (永田富子 41才 看護婦)

*挿入曲 「輪舞曲(ロンド)」

11月8日(月)

じょうずにひけないピアノ ないている (政田連実 9才 小学生)
厳粛な 会議に響く 腹時計 (川本あゆみ 33才 主婦)
爺(じい)のくしゃみ 両手上げ固まる 新生児 (高橋結花 37才 主婦)

*挿入曲「巻き戻して思い出を」

この週の題目「怒る」

11月5日(金)

*優秀作品発表!

真顔なる 親の小言と シガレット (城名景琳 39才 秘書)

*選評

断絶も分かる、愛があるのも分かるんだけれど、そのタバコの煙というか
一つのこうスクリーンみたいなのを通して、少しこう遠く思う何か照れとか
せつなさも封じ込められていて洗練されている作品だったと思います。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

11月4日(木)

ゴメンネを 留守電TELで 聞いている (滝澤朋子 28才 エンジニア)
怒りさえ ぶつけられぬ程 遠くなり (市丸由美子 25才 OL)
夫の怒った顔に 二度ほれる (北沢のり子 53才 主婦)

*挿入曲 「時をかける少女」

11月3日(水)

鼻啜(すす)り 電車を5つ 送りけり (門田みつ 32才 主婦)
パソコンに 今日の怒りを 封印す (高橋結花 36才 主婦)
怒ってる? と尋ねる犬(キミ)は ななめ顔 (山崎美和子 22才 フリーター)

*挿入曲 「Lost Highway」

11月2日(火)

言い過ぎて 自分が戻れず 寒い距離 (難波直子 36才 主婦)
ポケットに グーのまんまで 待機中 (山添恵美子 24才 OL)
級友に 逢いてなつかしむ 恩師の激 (松田正道 20才 書店アルバイト)

*挿入曲 「星空の誘惑」

11月1日(月)

お怒りは ごもっともです ビールつぐ (藤林正則 44才 教諭)
黙々と アイロンをかけ 午前2時 (小林康江 38才 税理士事務所)
真顔なる 親の小言と シガレット (城名景琳 39才 秘書)

*挿入曲 「11月のエイプリルフール」

この週の題目「髪」

10月29日(金)

*優秀作品発表!

髪が舞い 写真の中に 風写る (伊藤文 30才 コピーライター)

*選評

客観的な作品ですけれど、その客観性を通り越してね、いろんな気持ちが
その写真を通して伝わってくるような、広がりのある作品だったと思います。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

10月28日(木)

ミイラの毛 生きてた証 みつけたり (伊藤文 30才 コピーライター)
頭髪じゃないと 気付いて 赤面し(南村香里 35才 コピーライター)
呼ぶ声に 振り返り際 踊る髪 (湯川かおり 35才 主婦)

*挿入曲 「りんごのにおいと風の国」

10月27日(水)

ワンレンが 風になびかれ 中年オヤジ (千古恵美 23才 薬局店員)
髪ほどく 君の視線を 受けてより (神谷佳江 41才 OL)
爽やかな 風に靡くや 妻の髪 (大村禮二郎 71才 無職)

*挿入曲 「SWEET DREAMS」

10月26日(火)

初恋の 少女の髪の つややかさ (萌原ひろ子 36才 主婦)
抜け毛にも 名を付け 別れ惜しむ父 (あそあつこ 39才 主婦)
日向(ひなた)くさい 少年の髪 抱きしめて (関久美子 35才 飲食店)

*挿入曲 「私のフランソワーズ」

10月25日(月)

きつく編む 朝の光の 宿る髪 (内田亮子 41才 歯科衛生士)
髪留めを はずすとあなたが 本を閉じ (三木景子 41才 主婦)
髪が舞い 写真の中に 風写る (伊藤文 30才 コピーライター)

*挿入曲 「フォーカス」

この週の題目「告白」

10月22日(金)

*優秀作品発表!

一群の 向日葵(ひまわり)連れて 君攻略す (松田眞造 33才 酒造業)

*選評

こうひたむきな感じが向日葵の花束に込められている。
とてもさわやかな作品だったと思います。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

10月21日(木)

波ばかり見ていて次が言い出せず (樋口千晃 26才 コピーライター)
好きだよと 言われ遠くになった男(ひと)(あそあつこ 39才 主婦)
「大好き」と唱え卵白泡立てる (竹優子 28才 OL)

*挿入曲 「Sunny day Holiday」

10月20日(水)

「直にこいっ!」 まるで父親(おやじ)の 背中かな (志野利奈 17才 高校生)
言えぬまま 失いし人の影 蜃(しん)の気(け)に見る (木崎渚 25才 マンガ家見習い)
プロポーズ目に 母校を見せておく (水野タケシ 33才 コピーライター)

*挿入曲 「やさしさに包まれたなら」

10月19日(火)

「実は僕…」 次に出てきた 他人の名 (木内美由紀 36才 主婦)
叩き割った 石橋の脆(もろ)さ 後のまつり (三ケ尻宏志 29才 飲食業)
待ちぶせて 君来ないことさえ 祈る (滝沢朋子 28才 エンジニア)

*挿入曲 「水の影」

10月18日(月)

「知ってたよ」 やっと言えたのに 拍子ぬけ (川西佳見 37才 主婦)
ささやかな 告白で隠す 別の秘密 (松本千鶴 35才 主婦)
一群の 向日葵(ひまわり)連れて 君攻略す (松田眞造 33才 酒造業)

*挿入曲 「結婚ルーレット」

この週の題目「水」

10月15日(金)

*優秀作品発表!

留まらぬ 流れをしばし 手に掬(むす)ぶ (大木裕子 38才 家事手伝い)

*選評

やはり水を全く使っていないですね。でも水というのはこういうものだっていうのを
先ほどの小学生の句にあった感覚、それから風景の句にあった感覚、
全部入っているような気がします。
掬ぶというふうにこの字を詠んで、作品の結びにしたところもシブいなと思いました。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

10月14日(木)

留まらぬ 流れをしばし 手に掬(むす)ぶ (大木裕子 38才 家事手伝い)
待ち合わせ 水のおかわりにも 限度 (坂田直子 41才 主婦)
海原に 空色映す 地球の鏡 (高橋結花 37才 主婦)

*挿入曲 「告白」

10月13日(水)

新しき ゴム長で割る 水たまり (志水信彦 36才 教諭)
水溜り アリが困って 仁王立ち (西浦芳香 30才 主婦)
水落ちる 落ちつづけると 石砕く (篠崎仁志 11才 小学生)

*挿入曲 「Autumn Park」

10月12日(火)

夏霞(なつがすみ) 堰(せき)を越えたる 魚の影 (岩浅明子 29才 教諭)
同窓会 富士の高嶺の 雪も水 (太田博 37才 公務員)
水面に 写った顔は 心なり (柿本裕貴 12才 小学生)

*挿入曲 「Baby Pink」

10月11日(月)

米をとぐ 水の温度に 季節(とき)思い (小川清美 33才 主婦)
浮遊感 貴方への 恋の感じかな (桜沢蘭 17才 高校生)
刻々と 虹は水面に 浮かびけり (前田うさこ 19才 大学生)

*挿入曲 「RIVER」

この週の題目「背」

10月8日(金)

*優秀作品発表!

二度惚れの 後ろ姿を 洗い流し (城名景琳 39才 秘書)

*選評

都都逸(どどいつ)のようでいいですね。二度惚れが効いてますし、
背中っていうのは、やっぱり残るんだなあとしみじみいたしました。

*挿入曲 「彼から手をひいて」

7日(木)

父さんの 背中にたひと まちがえた (坂部心美 12才 小学生)
縁側の ”くの字”の背中の 小ささよ (鈴木身江子 33才 医療事務)
二度惚れの 後ろ姿を 洗い流し (城名景琳 39才 秘書)

*挿入曲 「カンナ8号線」

6日(水)

背がのびて あなたに少し ちかづいた (柏木志乃 14才 中学生)
背筋に 女の意地を 見たドレス (藤村香里 35才 コピーライター)
ほほつけて 語った夢も 一人歩き (清水聡子 34才 教諭)

*挿入曲 「木枯らしのダイアリー」

5日(火)

背後霊のように見てる片想い (福田ひろ子 26才 主婦)
蝉時雨(せみしぐれ) 忙(せわ)しい世間を 背で急(せ)かし (和田葉子 38才 主婦)
桟橋の 釣竿垂らし 影ふたつ (前田とり子 24才 家事手伝い)

*挿入曲 「さよならハリケーン」

4日(月)

「あんたの背くらいの彼がいい」と友 (栄あゆみ 23才 管理栄養士)
謝まれず 背をむけたまま ねむる夜 (室伏陽子 60才 喫茶店)
自転車の 君の背追い越す 車窓から (上田香織 21才 大学生)

*挿入曲 「さざ波」