"TOTO 90th anniversary Yuming spectacle SHANGRILAV" Live Report 
    (Update '07.09.22)


Ilustration (c) Soujirou Fujitani

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**念のため**
*いちおう代々木最終公演(2007年9月17日19時開演)をベースにしていますが、
 横浜初演からこれまでに至る公演の感想も混ざっています。
*メモと記憶によっています(違法な録音はしていない、ということです)ので
 誤り、勘違いなどはご容赦下さい。
*「Virginie Dedieu」さんの表記はパンフレットの通りデデューとしています。
*サーカス団員は性別問わずアクターと書いております。
*曲名をクリックすると収録アルバム、発売日、歌いだしがフレーム下側に表示されます。
*↓をクリックすると「ご参考情報」が同様に表示されます。
*サーカスアクトの説明は公式サイトより転載させていただきました。


「The Last Wednesday Tour」大阪公演で「来年はシャングリラVをやります」と 公式に宣言があってから約1年。 前々から「次はウォーターワールド」と言われていた公演が、 「ドルフィンの夢」との副題がついて2007年6月30日(土)横浜アリーナでついに開幕。

1999年、2003年に続く3回目にして初のセンターステージ。 会場に入るとアリーナ中央にデンとそびえるトラスの大きさにまず驚かされます。 魚群やイルカが泳ぐ映像や、ボコボコというアワが立つ時のような効果音が流れ、 会場内は水中にいるような雰囲気に満ちています。
ステージにスモークが立ちこめ、客電がゆっくり落ちて、 ブルーの照明も暗くなり、19時18分頃いよいよ最終公演の開幕です。

おごそかな雰囲気のメロディーと共に、礼服を着た4名の男性がゆっくりと ピアノが載った台をステージ中央へ運んできます。 (初日には気づきませんでしたが、4名はバンドのギタリストと今井君) このシーン、最初の頃は照明が暗く良く見えませんでしたが 途中からスモークへの照明が明るくなったように思います。 大きな拍手と共にユーミンが花輪を持って登場。
衣装はユーミンご本人がシャングリラVを象徴すると言う()欧州中世の貴婦人風。
花輪をピアノの上に置き着席、イントロを奏で始めます。

グレイス・スリックの肖像

こんな暗い地味な曲がオープニングとは実に意外。 先行き不安になるものの、周到に考えられた結果だった事に最後に気づかされます。 1コーラス目中盤になるとピアノとユーミンが回り始め、 2コーラスに入るとピアノが載った台ごとゆらゆらと移動を始めます。 丸いセンターステージが遊園地の遊戯具のコーヒーカップのようです。 歌い終え、台を降りるユーミン。 ピアノの調べはまだ続いています。台はするすると控えの方へ滑って行きます。 一度だけ正面から見たのですが、この時、ピアノの鍵盤が自動ピアノのように動いていました。 照明が暗くなります。

コーン、コーンと響くおなじみの効果音が流れ、次第に気分を盛り上げるイントロ。 パッと明るくなりユーミンが両手を広げると、上着が真っ二つに割れて上空へ(*服飛ばし)。
オオッというどよめきと共に始まる
Happy Birthday to You 〜ヴィーナスの誕生


(c) 中國新聞社
衣装はレザーパンツに変身。
「ドラムロールね」の歌詞で村石さんを指差します。
1コーラス終わった頃、スモークの間からスイマーが飛び出し、客席はもう一度どよめき。
いつの間にかステージがプールに
変わっていたのです。水量350トン。
間奏になり、輪につかまったデデューがステージ上から下降開始。
シンクロの女王が空中から降りてくる意外性が新鮮、そして驚き。 足を輪にかけて逆さまにそり返るなど、危険な技を見せてくれます()。 彼女に当たるスポットライトの影が会場周囲の壁に投影されます。 プールに着水し、水中に入りスイマーと合流。 リズミカルな曲調とリフトなど華麗な団体技がマッチして快調なオープニング。
終盤、小さなフロートがポッカリ現われ、スイマーに伴われ フロートに乗ったユーミンは控えサイドに移動、衣装替えへと退場。

不思議な会話のような声が聞こえ始め、会場のあちらこちらに箱人間が登場。 通路際から手を差し出すお客さんも。 スタンド席最上部からは大きなゴム風船が客席に次々と降ってきます。 (名古屋公演以降、福岡公演除く)風船タッチに沸く客席。 ステージでは次のアクトの準備が進んでいます。

← 代々木のスタンド席に置いてあったご案内

ようこそ輝く時間へ
ステージの床が小さく開いて、水玉模様の衣装を着たクラウンがあちらこちらから飛び出します。 箱人間が箱を脱いでいます。 ズラッと揃ったシャングリラの住人が思い思いに鉄棒で遊び始めます。 ユーミンは控え側に座っていて、何やら目が覚めた時のようなポーズをとりステージへ。 その直前、住人の動きはストップ。 歌いながら鉄棒の周囲やステージ外周を歩くユーミン、その後ろをコッソリついて行きます。
(c) 幻冬舎
ユーミンが振り向くと動きを止める彼ら。 ステージ上は「ダルマさんが転んだ」状態(笑)。
ユーミンはそんな仕草を初めから知っていたというオチがついてます。 (不意打ちで行列の方を向くと、「ギャッ」と叫ぶ) ステージへの照明も衣装に合わせた水玉模様がくるくると回っています。 後半は大回転や飛び移りなど鉄棒アクトのパレード。 地上2メートルの(?)のシンクロのようなもので、 ちょっとでもタイミングがズレたら大変なことに。 終盤はユーミンも鉄棒の上にお立ちになります。 するすると地上に降りて曲は終了。住人も動きを止めて一休み。

そして最初のMC。
「4年がかりで作ってきたショーもついにこれが最後のステージになりました。
 長かったようであっという間のシーズンでした。
 これはコンサートでもあり、サーカスでもあり、シンクロでもあり、
 そのどれでもないという摩訶不思議なショー。
 シャングリラの一員として、ここに立てて最高でした。
 全員、残りの力を振り絞ってお送りします。
 シャングリラの世界を見守ってください」

じっとしていたクラウン達に「どうぞ続けて」(「もう動いていいよ」「ラクにしていいよ」の時も)と言い、コミカルなサウンドが流れ、せっせと鉄棒の片付け開始。 アッという間に片付いてしまうのにビックリ。 最終公演ではステージに小さな風船があり、破裂する音が何回か聞こえました。 客席に手を振りながらアクター退場。
ステージ上への歯車の映像が外側へ散って消えます。
この曲にはサーカス、遊園地、ワンダーランドといったイメージが似合います。
確か「カウガールツアー」のこの曲では、ユーミンはクラウンの衣装でブランコに乗っていたように思います(違っていたら大恥)。

ハルジョオン・ヒメジョオン


(c)幻冬舎
雷鳴がして、スタンド席にある魚の化石に雷光が光ります。
雨の映像が流れて、照明は夕焼けの雲を照らすような橙色に変わります。
3人娘が乗った二重の輪が、上から降りてきます。
ぶらさがったり重なったりのあでやかな演技と、哀しげな曲調がマッチして 派手さはないものの、自分としては好きなシーン。
命綱なしでの演技に思わずため息が出てしまいます。
間奏部ではユーミンが輪に座り、アクターが左右に大きく揺らした後に、ス〜ッと上昇。 けっこうなスピードと回転に、三半規管が弱いユーミンの頑張りを見せると大きな拍手が巻き起こる。 間奏の終わりに合わせるように輪は地上へ。
降りて何歩か歩いて終盤を歌うユーミン。
インカの花嫁

少しだけせり上がった中央に立つユーミン。 コーラスは武部さんの前に移動。 東京公演から演出変更。 中盤に松明(たいまつ)を持った男が登場。 ローカル色あふれる衣装をまとったダンサーが現われ、男から火を分けてもらいます。 歌詞に合わせるように、何となく呪術行事的な感じが漂ってきます。 このあたりから先のアクトのためにロープが張られます。 曲の流れを止めずにアクトの仕込みに入るという今回のやり方は、 前2作よりスマートになった印象を与えます。

水のダンス

ギタリストもギターを打楽器に持ち替えて、激しいリズムを奏でる中、 衣装をアマゾネスふうに替えたダンサーがステージに勢ぞろい。 床に寝そべって腕で床をたたく時、わずかに下降したステージに現われた 水をバシャバシャと巻き上げます。 ロングヘアで水を撒き散らし、水を蹴ったりと、今回のセットを活かしたステージング。 照明により踊る姿が会場の壁に投影され、ワイルド感をアピール。

朝陽の中で微笑んで

静かなイントロと共に、まずは2名の小柄なアクターが ロープにつかまって上昇、続いて長い棒を持った2名のアクターが上方へと バランスを取りつつ上ってゆきます。 歌の進行と共に、ハイワイヤー上の宙返り、 ミラーボールを間にはさんでの二階建ての演技と続きます。 後半、ワイヤーに傾斜がつき、扇を持ったアクターが滑り戻りしつつも 少しずつ目標地点へ上ってゆきます。 最後は武部さんの前あたりに移動したユーミンの歌唱に合わせ 2人乗り3階建てのクライマックス。無事に演技は終了。 ユーミンは螺旋階段に設置されたエレベータでステージ下へ。 小さな幸せに満ちた思いを描いたこの曲。 このアクトは、困難を乗り越えて手にする喜びを描いていたような気がします。 この時の衣装は何とも形容できないもので、右の画像をご参照下さい。
(c) 朝日新聞東京本社
時のないホテル

暗転するステージ、ハイワイヤーを片付けるスタッフ。 カチカチと響く時計の音。それとも時限爆弾のタイマーか?? ラジオの音か、秘密無線の音か、音声が流れ出し、 ニュースのような映像が客席に投影され、 客席のあちらこちらに、ユーミンを探し出そうとランプを持つ捜査員が現われます。 その中にプロデューサーも混じっていたとか。 手にするトランシーバーからは何語か分かりませんが、指令が流れています(芸が細かい!)。 四方八方に伸びるスポットライトが音楽の高まりと共にセンターステージに集合。 いきなり始まるイントロと共に、トラス上方からはロープをつたって 黒服のスパイが降下。 赤いコートをまとったユーミンが連行されてきて 中央のプレートへと囚われの身に。プレートはスイングしつつ上昇。 プレートの両側から黒服の男が飛び乗り、飛び降り。 ジャンプする男が、ちょっと腰をかがめたユーミンの頭上を乗り越えて行きます。 ステージが暗くなると、ユーミンは白いターバン衣装に変身()。

なおも取り押さえようとジャンプしては振り払われて落下する諜報員。 空から舞い降りるのはアジビラか新聞か()。 太いライフルのようなエアー噴出しでそれを払いのける諜報員。 赤い大きな布を振り回す一団も。 中空にいるユーミンが上へ向かってサインを送ると 降りてくるのは縄梯子。かなり横に揺れながら上昇開始。 アッという間にユーミンはヘリに救われ視界の外へ。 一人の男がプレートに乗り上昇、下ではクッションを構える二人の男。 ブ〜ンという効果音が流れ、プレートに乗る男は宙返りでクッションへと落下。 同時に空中では花火があがり、ステージ周囲数箇所からおびただしい火炎が。

どこの会場でも、暗転と共に巻き起こる大歓声と拍手。 ちょっとしたスパイアクションアドベンチャー。 黒スーツ姿の男たちは、メイキング特番ではトレーニングウェアを着ていました。 本番では全くイメージが違い、生の舞台は迫力が違うものだと痛感。 基本は3名2組のアクト。多種多様な演技を見せてくれました。 周りのメンバーがより派手なシーンにしており、 配役の妙が生んだ今回のショーのクライマックスと言えましょう。

BABYLON

螺旋階段上方にデデュー登場、アスリート的なボディラインが照明に映えます。 エレベータへと消えた後、入れ替わるようにユーミンがトラス最上部から降りて来ます。 スソが赤くグラデーションされた白いドレス姿。 プールに変わったステージ中央に、ほどなくデデュー嬢が。 水面には半透明の翼を持つ水鳥のようなスイマーが浮かんできます。 ゆらゆらと羽を動かし、デデューさんを浮かび上がらせようとする演出。

 MC

大事なことを言い忘れてました。
もう一人のストーリーテラーをシンクロのデデューがつとめます。
彼女は前人未到のシンクロ3連覇を成し遂げました。
私のみている夢は彼女の夢、そして彼女のみている夢がこのショー。
わけが分からなくなりそうですが、夢は説明のつかないもの。
えてしてそういうものかもしれません。
そろそろシャングリラの住人がしびれをきらせています。
「出てきていいよ」と次の場面へ。

12階のこいびと

コミカルなサウンドが流れクラウンが大きな絨毯を抱えて出てきます。 丸めた物を転がすと出てくるのはピノキオのような人形。 軽々と持ち上げ、丸く広げた絨毯の上に置き(立たせ)腕の位置を調整したりします。 ユーミンが「バイバイ」と手を振り、クラウンが消えて曲が始まると、 手に一輪のバラを持って人形は動き始め、 プールに変わったステージの中央がちょっと上昇。 周囲からは水が流れ出しています。 体全体を動かしつつ、とにかくバラの花を立てたまま 頭に載せたり、足の裏に乗せたりと、絶妙のバランス芸に魅了されます。 ユーミンは椅子に座って歌唱。ステージをほぼ一周して立ち上がり、螺旋階段上方へ。 最後、ユーミンに向かってバラの花を投げると、ユーミンの手にその花が。ショールも受け取る(?)。 この時、ユーミンの背後にはエレベータが。その中にスタッフがいて手渡しするという仕掛けでしょうか? 直前まで暗いですし、この後エレベータは移動していました。
オシャレな感覚もあって、個人芸を味わえるボードビル的で落ち着いた演出だと思います。

別れのビギン

プールはステージに変わり、2名の男女が登場。 トラス上からのベルトを使って上昇、下降をくり返しつつ、 歌詞に合わせるように「くるくると」回ります。 間奏部では先ほどのバラを口にして、ショールをひらめかせながら ユーミンが二人の間を通り抜け、反対側の螺旋階段を上り、歌唱が続きます。 足をからませたり、抱き合ったりと、正に空中でのタンゴ。 アダルティな雰囲気が満ちてきます。

Delphine


(c)日刊スポーツ新聞社
 場内は青い照明で包まれ、水中で見る波の動きのような映像が投影され、 中央に人魚のように横たわるユーミン。
 ステージは水面に変わり、デデューが現れます。
 後半、武田美保さんも登場。
 水際でたたずむデデューが武田さんを見つけ、喜びを身体で表し水中へ。 「泣いて 笑いころげ 追いかけ合った」との歌詞のように、戯れる人魚たち。
 シンクロのソロも、足をクロスさせたりのデュエットも楽しめます。
 このショーのテーマにそった重要なシーンだと思います。

Northern Lights

市川さんはアコースティックギターに持ち替え、イントロを奏でます。 雲の流れる映像が会場を大空の下の大地へと替えてゆきます。 今回のショーの中ではもっともシンプルな演出ゆえ、 観始めの頃は少々退屈に思えるシーンでしたが、次第に克服。

  MC

ショーは最終章に入ります。最終章は夢の結末といいましょうか。
夢はさめてしまうとあっという間。はかなく消えてしまいます。
これ以上はなすのはやめにしましょう。
みなさんの夢がさめてしまわないように。
最後にこれだけは。
みなさんの心の中にシャングリラの世界が消えませんように。。

時はかげろう

ステージ上にスモークが勢い良く流れ始めます。 力強いイントロと共に、黄色みがかった照明がハッとさせます。 「滅びゆく種族のうたを おぼろげに口ずさむ」のところで 両スタンドに登場したダンサーを指差します。。 彼らは消防士が緊急出動の際に使うような棒をつたわってアリーナへ降り、そしてステージへ。 ユーミンがいる中央ステージはせり上がり、噴水が吹き上がります。 愛の強さを表現するユーミンの熱唱が印象的。

SAVE OUR SHIP

トラス上方は星がゆらゆらとまたたく感じ。 シューッと音を立ててスモークがトラスの上からも ステージの横からも噴き出し、女声のスキャットが流れます。 無線通信の音が流れ、宇宙空間に漂っているような雰囲気に。 ステージ上では次の演出の準備が進んでいるようです。 パッと明るくなると、ステージ中央にはピアノに向かうユーミンが。 ピアノの上には彫刻のようなアクターがたたずんでいます。 ピアノを囲むように3名のアクターが待機。 歌唱と共に、ハンドスタンドの演技が続きます。 終盤、ピアノの上の彫刻が動き始めます。 ふんわり片手のまま身体が浮き上がり、まるで重力がないかのようです。 後奏に入る頃、トラス上方から逆さまになった8名が下降してきます。 水中から布を引き出し、そのまま上空へ舞い上がってゆきます。 ビートの効いたリズムが流れ出し、水上の3名は水中へ消えてゆきます。
青い照明が消えて、正に夢の結末。人も物もなくなり、果てしない宇宙空間が音もなく 存在しているかのようです。

(c) 中國新聞社

SHANGRILAをめざせ

ギターが激しく響き、場内がパッと明るくなり、本編フィナーレの開幕。
ホットパンツをはいたカーニバルダンサーといった衣装でユーミンが螺旋階段上部に登場。
立ちたかったファンが一斉に立ち始めます。 空中ブランコの準備がまずはトラス上方から始まります。 地上に降りたユーミンは、ギタリストを指差したり、寄り添ったりしながら、 東西南北それぞれのエリアの前にゆき客席の声援を受けます。
曲が終わる頃には次のアクトの準備が完了。

空中ブランコ

下のネットには水中の水のゆらぎのような映像が投影され、 アクターはドルフィンのような衣装を纏(まと)っています。 二人の受け手が並んでいて、空中アクトもシンクロ。 受け手の腕への飛びつき方にも色々な技があるのですね。 中盤からの曲調がどことなくロシア民謡っぽく聞こえます。 だんだんとアクトの難易度があがって行きます。 ホルンのような音がして、曲調が上がりいっそう会場を盛り上げて 最後は空中3回ひねり(?)の大技。 大拍手のあとネットに一人づつ演技を加えながら降りてきます。 7名全員が並んだところで終了。

ドラム & パーカッションソロ

打楽器奏者の乗るミニステージが上昇。 始めに小野かおりさん、次に村石さんのソロのお披露目。 ステージでは空中ブランコのネットの撤収に大忙し。 やがて手に松明(たいまつ)を持ったダンサーが登場。

真夏の夜の夢


(c)産業経済新聞社
松明を持ちながらでは踊れません。 ダンサーは三脚のようなスタンドに置きます。 ステージはプールに変わり、水中からスイマー、武田さん、 デデューも登場。噴水が出ています。 間欠泉のようにピュッと水が飛び出す仕掛けも。 ダンサーは4名づつ、二つの螺旋階段を上り、踊り場3か所でダンシング。
終盤、ステージ上に全員集合。 スイマーもステージ上で座って円陣を組んでのポージング。
おそらくここまでの曲の中ではもっとも世間に認知されている曲で、 客席も総立ちで盛り上がります。

EC1:人魚姫の夢

ステージにはスモークが厚く層をなしてゆらいでいます。 水玉模様が重なってゆらめくような映像が投影され、 イントロが流れ出し、ユーミンがステージの隅から歩いてきます。 衣装は1曲目と同じです。 特に目だった演出もなく淡々と進む中、 これまでのシーンが蘇ってまいります。

EC2:Carry on

「カウガールツアー」の終幕でも使われた歌い上げ系のこの曲。 中盤、大きなミラーボールがステージ上に降りてきます。 トラス周囲とステージ周りにあるスポットがミラーボールに当たり 会場内一杯に光の粒が拡散してゆきます。 そしてサーカスアクトのメンバーが一人づつ登場。 ユーミンが手を差し出しながらアクターの名前を次々と紹介。 サーカス、シンクロ、ミュージシャンと続き、最後に武田美保さん。 シンクロ以外の出演者はゆっくり回転するステージの周囲に並びます。 終盤、出演者は手を胸にあて、上を向き、そしてユーミンの方へ向きを変えます。 最終公演ではアクターは片ヒザをついて、ユーミンへ手を差し出します。
最後の「Carry on」のひとことが胸に染みてきます。
曲が終わり、大拍手がしばらく続き、スイマーは水中に消え、 ステージ上の出演者は客席に手をふりながら控え室へと消えてゆきます。
一人残ったユーミンは、各方向へあいさつをし、控え側へと歩を進めます。

そして

「デデューのテーマ(Au Nom de la Rose)」が流れ始め、 ユーミンは花輪を水辺に浮かべます。 祈るような表情のユーミン。 スモークがうっすらと流れてきます。 花輪に当たっていたスポットがちょっと移動して水面へ。 そこへ現われるデデュー。いっそう大きくなる拍手。 今までつけていたキャップはなく、長い髪を見せています。 ときどき「サヨナラ」とでも言っていそうなポーズをします。 音楽の調べと共に水中へ消えてゆくデデュー。
公演初日には本編の一部に不満を感じていたのですが、 最後にきて「やられた」と思いました。 「泣ける」と言っていた正隆さんの言葉が理解できたように思います。
何と美しくも悲しげで孤独なラストシーンなのでしょう。

最終公演スペシャル

鳴り止まぬ歓声と拍手。
プールの水面がパッとステージに変わり、カーテンコール。 ガウンを着たデデューがユーミンと並んで登場、ユーミンは涙顔。 抱き合うようにしてステージ中央へ進むと、武田美保さん登場。 そして次々とアクターが手に一輪の花を持って現われます。 (昼の部のカーテンコールではお花は持たず、だったとか) 3人がアクターに囲まれているうちに、正隆さんも登場! 数名のアクターが正隆さんを胴上げしています。 ユーミンは正隆さんがいる事に気がつかなかったのか、 退場する時に見つけたようなアクションをされていました。

帰り始める客がわずかにいる中、ユーミン再登場。ステージ中央へ。 ステージとアリーナ席の間の空間に、数人のスタッフの姿が見えます。 歌い始める「ひこうき雲」。
そしてアクターも続々と現われ、ユーミンを囲むように車座に。 嫌な予感通り、手拍子が巻き起こります。
歌が終わっても鳴り止まない拍手と声援。 ユーミンは武部さんの近くへ足を運び、何やら相談。 「今までにもあったと思うけど、ステージでこんなに感動したのは・・・  今夜のことは一生忘れません」と涙声でコメント。 この日、一番盛大な拍手の嵐。 最後の一曲は「春よ、来い」。
客席に手を振り、一同退場して「The END」。終演は22時08分頃。





制作記者会見では「プレッシャーを感じている」、メイキング番組では「今回は泣けます」と 語っていた正隆プロデューサー。 上にも書きましたが最後のデデューの登場に「やられた」と思いました。テーマ曲も素晴らしいです。 昨年の「The Last Wednesday Tour」での「帽子を置いて消えてゆくユーミン」でも 感じましたが、叙情をこめたエンディングが鮮やかな余韻を残します。

シャングリラ1の時に「オモチャを見つけたような喜びよう」とユーミンに言われていましたが、
1と2ではサーカスを本当に満足できる素材として活かしきれていなかったのでしょう。
クラウンアクトでつなぐやり方は評判が良くなかったように思います。
今回は途切れなくステージが進行していくのが心地よかったです。

ユーミンの曲と存在がサーカスの中にうまく溶け込んでいました()。 演者の動きもステージの仕掛けも、そうとう込み入ったもので、 緻密な設計には本当に途方もない手間と時間がかかっていると、素人でも想像できました。
確かに「摩訶不思議なショー」だと思います。比べるモノが1と2しかないのですから。
2007年。暑い夏の記憶と共にシャングリラVはずっと心の中に残ることでしょう。

完。
お読みいただき、ありがとうございました。

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