潤徳堂存稿(己日~癸日) - hirotoの見方


■ 己日4例


為張先生推

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1853年7月1日生と推定
【袁氏鑑定】
 土が木の疎通を得て、富貴にして長寿。納音で年日が木、月時が火で、火勢は激しく燥土となる。挫折や艱難辛苦が多い。水が衰え土が盛んであり、妻は賢淑でも長くはない。二度目の妻は命の強いものを娶るとよい。七殺が時柱に一つあるので、子は優秀だが一人である。
 火運はあまりよくなく辰運は比較的よい。乙卯甲運はよい。寅運は火局となりよくない。癸運は戊と干合して化火となるのでよくない。丑運は困難なことが多く疲れきる。壬運は丁と合して木化し、栄達が早い。子運は丑と合して土となる。辛運は心配ごとがあるがそれほどではない。辛酉年は時柱が太歳を犯すが、難関は過ぎているので害はない。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:火土金水木  化火格  喜神:火土(木金)  忌神:水
 戊癸化火、巳午南方
【hirotoの見方】
 戊は癸と合して、月令は火で全般に火土が強いので化火すると考えます。すなわち化火格となります。すなわち印の強い命式であり、これは官殺木が閑神もしくは喜神となります。袁樹珊師は火土忌神、木喜神とみているようですが、火は喜神、土や木は喜神もしくは閑神です。水は火を剋して化合を解こうとしますから、明らかに忌神でしょう。
 官殺が忌神ではないので、世間的には成功しやすい命です。ただし火炎土燥命ですから、身体的に弱かったり、持病があったりします。財である水は忌神となり、また命中に水が少ないので、結婚は生活はあまりうまくないでしょう。
 行運でいえば、癸運以降がよくありません。辛酉年は時柱との天剋地冲で、犯太歳でありますから、やはりよくないことがありそうです。



為某君之子推

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1901年5月31日生と推定
【袁氏鑑定】
 木が欠けており、また巳酉丑の金局がある。幼年時代は災いが多いが、一人立ちはできるだろう。名利を争うのはよくない。癸卯年は驚きがある。9歳から壬運に入り、肝臓や肺の病気を生じやすいので予防に努めるべきである。10歳の後半から辰辛運となり、運は厳しい。24歳から卯運に入り、運が開ける。その後の庚寅巳の三運は非常によい運である。43歳から丑運に入り、健康に気をつけること。妻とは剋であり、子供はない。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:金土水火、木はなし  印綬格  喜神:水木(火)  忌神:金土
 巳酉丑金局
【hirotoの見方】
 食神が強く財もあるので従児格といえそうですが、夏生まれであり日主も十分強いので、内格でしょう。この命式の場合、五行の平均化を目指すべきで、水木が喜神、火は微妙、金土は忌神でしょう。この喜忌の取り方は私独自の取り方です。
 壬運は水が強くなり肝臓や肺を痛めるとありますが、私はそれほどのことはないと思います。肺が弱くなるのはわかりますが、肝臓は少し?です。水あふれて木がないことからの判断でしょうか?辰辛運は忌神で、卯は酉を冲して辛を弱めますので喜神、庚は辛を弱め、土を洩らし、水を生じますが、原則は忌神でしょう。寅は喜神です。丑運は土金の根となりますからはっきり忌神です。
 日支酉は忌神辛へ透干し、また双方から巳との会を受け、さらに忌神の比肩もあるので、関係はあまりよくありません。食神が強すぎ、官殺が全くなく、時柱も忌神なので、子供は少なく、仮にいても力になりません。



為某先生推

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1854年11月23日生と推定
【袁氏鑑定】
 志を奮い家を興して、人の上を行く。合官留殺、濁而転清の命で、剛強にして屈せず。ただ金が欠けるため、外ではえらそうではないが、内面は葛藤が多い。
 寅卯運はよくないが、庚運からはよくなる。51歳辰運からは、木局となり日元を傷めるので病災に気をつけるべきである。56歳辛運から10年は健康である。妻は先に亡くなり、子供は一人である。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:木火土水、金はなし  財帛格  喜神:土火(金)  忌神:木水
 寅亥合、亥卯半会
【hirotoの見方】
 木が極端に強い命式ですが、己は丁の生を受けるため従旺格とはいえません。
 袁樹珊師は合官留殺と言っていますが、甲と己は合の関係といっても、ほとんど合とはなりません。ですからこれはやはり官殺混合の命式で濁の命式です。庚運は乙を合して、去殺留官となりますので、最高の運であるといえます。
 辰運は木を強めますが、同時に土の根ともなりますので、命を落とすようなことはないでしょう。辛巳運は月柱と天剋地冲ですが、忌神を弱めますから一概に悪いとはいえません。ただし、事故とかちょっとした災禍はありえます。日支とも冲ですから、妻に問題が生じるかもしれません。
 官殺が多いので子供が多いように思いますが、忌神で強すぎですからかえって少ないでしょう。
 壬運は丁と合して木化しますから、この運中に命を落とす可能性が高いです。



為某和尚推

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1884年7月8日生と推定
【袁氏鑑定】
 甲己は合して土化するが、月令は火であり土としての力は弱い。辛金の洩もある。時は空亡で貴人であるので僧としては成功する。20歳以前は困難に遭うが、21歳以後は癸運に入り運がよくなってくる。26歳から酉運だが外円内欠である。それ以後37歳で災いに驚くほかは大体よい。41歳から乙運であるが、貪欲憤怒を取り去り慎むべきである。46歳亥運から15年間はよい。60歳からの丁運はよくない。弟子は一人二人で寿命は60歳は超えるだろう。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:土木金火水  化土格  喜神:木水(金)  忌神:土火
 甲己化土、子未害
【hirotoの見方】
 甲己が合して土に化するかどうかが判断の分かれ目です。月令は土ではなく火でありますが、火は土を生じますし、未が2つありますから、化土するとします。すると、土が強くなります。辛金は土を洩らし木を剋します。幸い辛は甲を剋す力が弱いので、甲はそれほど害を受けません。食神、正官喜神ですから、聡明です。
 癸水は辛金の生を受け甲木を生じます。ですから運がよくなります。木運は喜神。乙運は基本的に忌神なのですが、七殺ですので官殺混合となり、濁となります。貪欲はともかく憤怒は取り去るべきでしょう。
 丁は土を生じて忌神であるのですが、それ以上に食神辛を傷めます。まして甲は丁を生じるので、かなり強い剋です。食神喜神で偏印が巡るのは大凶です。丁運がよくないとはそういうことです。
 仏教で弟子が何にあたるのかわかりません。もし食傷だとすれば、辛と申にあるので二人といえますが・・・。

■ 庚日5例


為某先生推

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1870年11月30日生と推定
【袁氏鑑定】
 学問では身が立たず、商売方面で成功を期待する。成功するところは東南であり、西北に行き新奇なことを競ってはならない。若い妻と結婚すればよい。子供は一人二人で楽しみがある。28歳以前は異彩を放つことはない。29歳以降もよくなったり落ち込んだりである。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:金火木水、土はなし  食神格  喜神:木火  忌神:金土水
 巳午南方
【hirotoの見方】
 原文にはいろいろと書かれているのですが、それは原文を見ていただくとしましょう。庚金日主で冬生まれなのですが、庚辛金は3干1支、丁火が3支に通根しており、数としては金木同じです。しかし、丁火も季節は冬で、丁火は通根よりも甲印を必要としますからそれほど強くはありません。袁樹珊師は金が強いとみて木火を喜神とみているようで、私もそれはそれでいいのですが、庚辛とも地支が火であるので、それほど強いわけでもありません。
 28歳までは忌神運ですし、それ以降も喜忌が交互に来るので、よくなったり落ち込んだりということでしょう。木火運になるのは晩年です。
 なお若い妻がよいというのは、日支午が年支と刑、子供が少ないのは時支巳が月支亥との冲になっていることからのようです。このへんの理屈は正直よくわかりません。晩婚の方がよいというのはわかりますが。



為呉君推

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1874年11月9日生と推定
【袁氏鑑定】
 庚金と乙木が干合して金化するが、真ではない。丙があるので、化水盗金の忌を犯し、名をなすということはない。幸い甲は己と暗合で金を生じるので、父親は亡くなっても母親は健在である。自ら富を築くことができる。労苦をいとわなければ利がある。日時の冲により妻は早く亡くなり、後妻は命のしっかりした人をもらうべきである。子は遅く育った2,3人がよい。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:木火金水土  食神格  喜神:金土  忌神:木水火
 乙庚干合、子午冲
【hirotoの見方】
 乙庚は合しますが、金が強い命式とはいえず、普通の合でしょう。袁師がいうように丙が化水するので盗金ではなく、そもそも庚金が戌にしか通根しておらず弱いこと、冬生まれで水が強いこと、また丙甲乙が庚を弱めることから、日主庚そのものが弱いことで、なかなか貴命にならないといえます。幸い25歳から丑運で、戊己と続きますので、日主を強めて財を使うことができるようになり、生活基盤ができてきます。上にも書かれているように、日支時支の冲は配偶者との生別死別を暗示します。



為某女士推

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1896年4月7日生と推定
【袁氏鑑定】
 夫が賢で子が孝で円満な家庭を望むことはできない。むしろ独立して超然とし、質素な生活の中でも志を失わないことである。
 31歳以前はここでは述べない。32歳から戊運であり、善をなせば徐々に運がよくなる。33歳戊辰年には心配ごとがあるが、その他は悠悠である。子運庚申年は不慮の災難を防ぐ必要がある。丁運後は位や行いをもとに心の欲するところに従えば以前よりもずいぶんとよいであろう。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:金水火木土  財帛格  喜神:木火(水)  忌神:金土
 巳寅(申)三刑、申辰半会
【hirotoの見方】
 庚辛金が最も強いといえますが、壬丙ともそれなりに強く、比較的バランスのとれた好命だと思います。ただし女性にはちょっと強いかもしれません。適度な食神制殺であり、また七殺は純ですから、高い地位に上る命です。おそらく占った時点でも結構地位の高い女性だったのでしょう。
 丙巳は七殺でこの命式においては夫星であり、巳は日支寅と刑ですから、あまりいい結婚生活は望めないという判断でしょう。一応年支に申があり三刑が曲がりなりにも成立しますし。辰を挟むので厳密に三刑とは言いがたいですが。
 ところが庚申年はまさしく三刑が成立し、また庚は忌神で、さらに子運では申子辰の水局で水が強くなりすぎますから、庚申年は災難ありと判断できるでしょう。



為某先生推

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1898年5月27日生と推定
【袁氏鑑定】
 火が強く金が弱い。愚かで頑固でなければ傲慢であり、立志は難しい。命宮は辛酉で日主を強める。大運申から壬までは火を精することができる。庚運より前はよくない。庚運は急に運が好転する。申運は最目の丙寅丁卯年を除けば、一躍有名になる。辛酉壬運は、正学を伝えて着実な人生を歩む。戌運では勇退すれば災難を免れる。癸亥運は老年にさしかかり衰えるが、失望せずに滅私を心がければ志をとげる。甲運は晩年を楽しむ。再婚をしないように心がけ、立派な子供をもつことになる。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:火土金木、水はなし  印綬格  喜神:金土(水)  忌神:木火
 巳寅刑
【hirotoの見方】
 庚日主は巳戌に通根していますが、丁火は夏生まれで全支に通根していますから非常に強いです。幸い戊土が丁の強さを調節しつつ、金を生じていますので、比較的よい命だと判断します。命式中水がないので、頑迷である傾向はありそうです。官印が強いので愚鈍とまではいかないでしょう。
 行運は中年期は金水運ですから、まずまずでありましょう。おおむね袁樹珊師の書かれているとおりかと。
 申運は一応喜神運ですが、日支、月支を含めて寅申巳の三刑となりますので、再婚や災難のおそれがあります。



為某女推

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1903年3月13日生と推定
【袁氏鑑定】
 正官がなく傷官が強くて印があるので、時干の印を夫とする。夫が土厚金剛であれば夫婦仲はよいと判断する。癸水、子水をもって子星とする。また「滴天髄」に傷官が旺じれば印を子とするという論がある。行運に印が多いので、立派な子を持つと思われる。もし化金となれば、令を失い、性格はよくても長寿とはいかないので、健康に注意し徳を積むことができてはじめて福を受ける。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:木水金土、火はなし  偏印格  喜神:金土  忌神:木水火
 子卯刑
【hirotoの見方】
 袁樹珊師は、とにかく合は化すると判断しているので、乙は辛劫財に化すると考えているはずです。私は化金とは判断せず、庚金は弱く乙木の強い命式と判断します。干合ですから、その影響は大です。癸傷官は子に通じていますが、それほど強いとは思いません。むしろ乙木を生じ、乙木の強さの片棒を担いでいる形です。
 私は、この命は女命としてはあまりよくない命だと考えます。印があること、官殺忌神が命中にないことはよいのですが、忌神の財と合していること、傷官があること、日支に年支からの桃花があること、それが卯との刑になっていることです。中年期からは土金運になるので、運はよくなりますが、当時の女性としての幸福は難しいでしょう。現代であれば、それなりに活躍する女性だと思います。日主は弱く極端に木が強いので、金木系の病気に注意する必要があります。

■ 辛日4例


為某先生推

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1874年10月21日生と推定
【袁氏鑑定】
 辛金が埋金となっている。甲木が土を剋して金を興しており、商業界や郷土の人物にはなる。ただし秋の木であり、水が十分でないので、力が弱い。苦労の上に成功する。羊刃が重ねてあり、妻は刑剋され、子供は少ない。もし配偶者が木気強く水が盛んならば、長く一緒に暮らし、二人の子を得る。丁運以前は平平の運。丑戊運は喜びも憂いもあり大いに気力を消費してしまう。寅運はすばらしい運になり、46歳になれば局面は一新して家名は上がる。己運ははじめは煩わしいこともあるが、51歳からは凶は吉と化す。卯運はますますすばらしいが、庚運は根本が乱れており、よろしくない。善事を積めば間違いはない。辰運では肉親を失う。動揺せず淡々としていれば67歳辛巳年までは生きるだろう。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:土金木火水  印綬格  喜神:木水  忌神:金土火
 亥卯未木局
【hirotoの見方】
 辛は戌に通根していますが、土が厚く、これを埋金というのはそのとおりです。甲木が戊を抑えるのもそのとおりなのですが、一方、五行から原則的にみても、印と日主が強いので、木水を喜神、土金火を忌神ということができ、埋金云々の論議は必要ないとも思います。
 これは「窮通宝鑑」にある「若二甲出干以制多戊、富大貴小、刀筆更利」とある命にあたるでしょう。理財で稼ぐ命です。幸いにして寅運からは東方運で喜神運です。己土は甲木によって合され、化土しても辛には直接的な作用はあまりありません。辰運は戌と冲して墓を開き、庚辰、辛巳は大運との天同地同で凶が倍加します。



為某先生推

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1883年2月16日生と推定
【袁氏鑑定】
 一見棄命従財格のようだが、寅未中に土がある。また、棄命従財格というのは早くから心配事や肉親を喪うことが多く、兄弟も少ないものだが、兄弟は立派で親孝行であるのに、棄命従財格といえるだろうか。そうすれば金は用神である。命宮は庚申であり、性格は慈しみがあり家は裕福である。金融界で成功する。妻は先にいき後妻と長く過ごす。子供は2,3人。34歳以前は心配事はない。辛運はましだが、亥運は面白みがない。庚運では発展するが、戊午年は驚くことがきる。己運から酉戊運は財も増え伸び伸びとする時期である。申運は恬然として静かに過ごすのがよい。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:木水金火土  従財格  喜神:木水(火)  忌神:金土
 卯未半会、寅卯東方
【hirotoの見方】
 この命式は、私は従財格とします。従財格は財が印を剋すので親を早く喪うというのですが、純粋な従財格ではそういうことはありません。これは比較的きれいな従財格であり、しいて欠点をいえば、方(寅卯)と局(卯未)が混じっているところでしょう。
 で、従財格だとすると、年月柱が喜神ですから、いい家柄の出身で親も健在、また忌神の比劫はありませんから、兄弟も悪くないと判断できます。しかし、行運は24歳から金土運が続きますのであまりよくありません。しかし、幸いなことに、辛は甲を剋したり辛と党したりする力はありません。庚運も乙に合されるので、甲財は壊されずにすみます。すなわち、辛庚運の害は比較的軽くすみます。ただし、戊午年は年柱と天合地合であり、ちょっとしたことがあるでしょう。むしろ悪いのは己酉運です。甲を合し、また卯との冲となるので、この大運は悪いでしょう。日支の冲ですから、妻との別離、再婚というのはありえる話です。戊運は食神と合してあまりよくありませんが、致命的ではありません。申運も寅を冲するのであまりよくありません。
 この命式が仮に丙申時生まれだとすれば通常の正財格となり、土金を喜神としますので、袁樹珊師のいうような行運となります。しかしそうだとすると、年月柱は忌神だらけとなり、家は裕福だが心配事が絶えないということになりそうです。



為黄先生之子推

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1813年1月30日生と推定
【袁氏鑑定】
 金水相涵格であり、聡明で沈着毅然としている。五行で火が欠けており、火のつく名前をつけるのがよい。6歳の丁巳年は少々の挫折があり、辛酉年には災いがある。それ以降は知識が開けて、普通よりもすぐれた人になる。戊運からは内政外交で困難が生じるが、公務に勉めるべきである。己運からは身を退くのがよい。妻は遅く娶るのがよく、子供は3人。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:水金木土、火はなし  偏印格  喜神:土金(火)  忌神:水(木)
 子丑合、亥卯半会
【hirotoの見方】
 明らかに食傷が強い命式です。亥卯の木局もあり従児格に近いといえますが、月支に通根し月令は偏印ですから、普通の食傷の強い内格としてよいでしょう。
 冬の土用生まれで、水が溢れていますから、金寒水冷あるいは沈金の恐れがあります。こういう命式は夭折する命が多く、火土を必要とします。また日主が弱いので財は通常忌神なのですが、私の経験では、食傷が強いときには財で食傷を洩らすのが意外とよいように思います。幸いにして、合されているとはいえ月支に金土があり、木火土東南運と続くので大いに発展が期待できます。丙は辛と合して水化するので、この時期は注意が必要です。



為呉先生推

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1866年3月17日生と推定
【袁氏鑑定】
 丙辛が水化して、金火の相剋はない。西北運で発達する。丙運は辛と合して金を傷つけることはない。甲寅年はすばらしいが、乙卯年は明哲であればよい。二月四月はわずらわしいことがあり、八月十月は障害がある。丙辰年は視野が広がり、五月七月は決して怒ってはいけない。申運は寅と冲だが平穏である。丁運は辛を剋するので凶であるが、流年は壬癸なのでなんとか維持できるだろう。59歳からは引退の準備をすべきである。酉運丁卯年は健康に注意し、それ以降は戊運に引き継がれて心地よい時期を送ることになる。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:金木火、土水はなし  仮従旺格  喜神:金水土  忌神:木火
【hirotoの見方】
 丙辛が干合して作用がないので、天干に剋がありません。しかし地支にも金を支える根がありません。これは従旺格ととるにはちょっときついのですが、一応仮の従旺格といえるかと思います。文面からして役人でしょうが、あまり地位の高い人ではなさそうです。申運からは西北運になり徐々によくなるというのは袁師のいうとおりですが、丙運甲寅年乙卯年は私はあまりよくないと判断します。甲寅、乙卯とも財が強くなり、割ときれいな従財格となります。すなわち破格です。したがって財的には恵まれますが、急に財を持つことで逆に身を持ち崩しかねません。また甲寅年は甲が辛を弱めるので健康には注意が必要でしょう。酉運丁卯は運歳が天同地冲であり、また丁が辛日主を剋すのでよくありません。戊運は辛を生じて喜神運です。この時期が人生の中でもっともよいと思います。

■ 壬日4例


為李先生推

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1862年3月9日生と推定
【袁氏鑑定】
 水が強いので土で抑えることを必要とする。火は用神である。丙午丁運はよく、また経過した流年は辛卯から乙巳まで干支が金水に逢っていないのでよい。戊運はよいはずだが、辛亥、壬子、癸丑と金水であり、戊がなかったら大変だったろう。申運は金であるが、流年が丙辰、丁巳、戊午、己未で火土年なのでそれほどではない。庚申年は煩悩がある。己運は壬戌、癸亥年以外は順調であり、酉運からは晩年を楽しむべきである。以上は五行の生剋を述べたまで、あえて固執する気はない。高明なる人に正してほしい。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:水金木土火  従旺格  喜神:水金木  忌神:土(火)
 卯戌合
【hirotoの見方】
 最後の句はえらくまた謙虚なものです。どういう意味なのでしょうか?
 さて、水が強いことには異論がありませんが、私は水が強い従旺格だとみます。というのは、やはり卯戌の合で戌土の作用は弱くなると考えるからです。ではなぜ丙午丁運がよかったのでしょうか。丙運は辛と合して水化します。季節は冬ではありませんが、命式自体が水が強いので、それに引きずられると見るのが私の見方です。午運は命式の水を弱めるほどの作用はないとみます。もちろん印を弱める作用があるのですが、地支は天干をおびやかす程度です。丁運は壬と合して季節が春ですから木化します。すなわち食傷となり従旺格では忌神とはなりません。戊運は癸と合してあまりよくないのですが、流年運が金水ですので助かったわけです。申運は金水の根となりますから喜神です。己運は悪いでしょう。またこの大運は月柱の天剋地冲ですし。



為前清常鎮道栄心荘観察推

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1850年3月22日生と推定
【袁氏鑑定】
 土と水では土が強い。大運が金水では人を飛び越えて昇進したといっても富貴とは言い難い。金白水清なので性格は慈祥廉潔でも争いや損失が続くのである。寅申は衝であるから妻は刑剋をうけて、子息も早くはできない。後妻をもらえば長く過ごし子供も多くなるだろう。文昌貴人が命宮に合するので子は一人が偉くなる。
 50歳以前は否泰が半々であり、清にして苦である。申運は寅との衝であり、危機がありそのあと福を得る。徐々によくなる。乙運は金化して崇高な地位に上る。戊申己酉年は災難にあう。酉運は申酉戌の金局となり、月支卯との冲は害にならない。いわゆる貪合忘衝である。将来を過度に恐れる必要はない。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:水金土木火  傷官格  喜神:土火  忌神:木金水
 卯戌合、寅申冲
【hirotoの見方】
 卯戌の合、寅申の冲があり、地支の通根の作用は弱いといえます。やはり土よりも水の方が強いと私は思います。ただ地支は申にしか通根していませんから強いといってもそれほど強いわけではありません。
 水が強く土が弱いので喜神は土火となり、正官が喜神です。ですから昇進が早かったのもむべなるかなと思います。早年は南方運ですからさほど悪くないと思います。しかし甲運は己と合してよくないでしょう。申運もよくありません。乙運は庚と合して取り去ります。袁師は金化すると言っていますが、特別金の強い命式ではないと思いますので、合去するだけでしょう。戊申年は時柱の天剋地冲ですので、若干の凶意はあります。己酉年は卯戌の合を解きますので、それほど悪くはないと思いますが、己と壬はあまりよい関係ではありませんから、凶事が起きる可能性はあります。酉は卯戌の合を解くのみで卯酉の冲はあまり気にする必要はありません。ただ合冲入り乱れるのは多少の凶意はあります。
 日時の冲は妻子に対してよくないというのは七割方は正しく、この場合も例外ではありません。



為某和尚推

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1871年9月8日生と推定
【袁氏鑑定】
 丁壬は木化する。秋の木なので令を失い貴ではない。35歳以前は困難が多い。この10年は苦しみは少ない。45歳は壬運の終わりで乙卯年は子午卯酉で冲刑多く空にして染まることがない。2,5,8,11月は気をつけるべきである。辰運丙辰年は動く象がある。丁巳年は安泰、戊午は困難がある。己未、庚申年は幸福である。辛運は法を施すのに有為であり、枯花自ずから笑うときである。卯運は弟子に法を伝えて最後を迎えることが肝要である。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:火金水土木  偏印格  喜神:水金  忌神:木火土
 丁壬干合、子午冲
【hirotoの見方】
 丁と壬は合しますが、命式で木が強い状況でもありませんから、木化はしないと判断します。子午が冲して作用が弱いので、むしろ火が強い命式といえそうです。日主が弱くなるので金水を喜神とします。日主を支えるべき地支の子が冲されて、印によって生じられている形です。月干時干支が忌神ですので、家庭的には恵まれないというべきでしょう。壬運は喜神運ですが乙卯年はあまりよくありません。卯酉の冲、子卯の刑で、一般庶民にはあまりよくないのですが、壬が喜神であることと宗教家であるということから、世俗的な災いはあまり生じないのかもしれません。辰運は酉と合しますが、一応壬の根となります。丁巳年は巳酉の金の半会となり喜神年、戊午は午未の合ですが、壬を剋すので忌神年です。己未は未が子午の冲を解き、庚申は金年ですから当然喜神年です。辛運は丙を合して取り去り喜神、卯運は四仲そろい、刑冲が乱れますので忌神運です。先に宗教家は刑冲の作用を受けにくいといいましたが、忌神であることには違いなく、年齢的にはこの大運中に亡くなってもおかしくありません。



為某君推

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1907年11月9日生と推定
【袁氏鑑定】
 人材は大雅にして福沢は余りある。立志は堅剛で俗に流されない。庚運は災いがある。戌運は大体安穏。己運は知識が徐々に開き、壬戌年は自重すべきである。酉運は積極的に主張すべきである。学問を早くやめて結婚するなどは好くない。戊運は学識がすぐれ、喜びは窮まりなし。申運は傲慢不遜にならなければよい。丁運はひとたび登竜門にいたれば声価十倍となる。そのごは丙運で流言蜚語などの困難を受ける。甲運ではさらに徳、位、禄、名が期待できる。妻は遅く娶り、子供は高い地位に上る。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:金火水土木  財帛格  喜神:木火(土)  忌神:金水
 亥未半会
【hirotoの見方】
 日主、印が強く財もそれなりに強いので、火木を喜神とします。土は金を生じるので微妙なところです。財が未と戌に通根しており、それなりに強いので富命です。年干支にあるので、祖先の財でしょう。日支は戌土で基調は喜神なのですが印にも通根しており、妻は吉凶相半ばというところでしょうか。己戊運は官殺運であり学問が上がる、酉申は印の子となり甘えが生じやすいといえます。それをすぎると火運南方運となり財を得ることになります。ただ丙運は丙辛が水化して財を剋すので気をつける必要があります。それ以降は木東方運なので引き続き好運が続きます。

■ 癸日4例


為某君推

665646362616
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1883年1月19日生と推定
【袁氏鑑定】
 水が多く火がない。季節は土用であり潤下格でもない。羊刃が勢いを得ているので一人の妻で老年までというわけにはいかない。火が多くて命が硬い人ならよい。子供は2,3人。丙運は意気軒昂、辰運では挫折にあう。丁運は喜び多く心配事は少ない。巳運は財が増える。戊運は羽毛豊満で天高く上るようなものである。午運は不幸がある。その他はとくに無事。己未運は思わぬ抜擢があるので、勉めること。庚運以降は平凡な運。自分ではとくになにもできない。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:水土木火金  従旺格  喜神:水金木火  忌神:土
 寅戌半会、子卯刑
【hirotoの見方】
 季節は土用ですが、亥子丑の方局がそろい天干はすべて水ですから、これは従旺格というか潤下格といってもいいでしょう。命中に印がないので財も喜神です。丁運は壬と合しますが、それだけのことでたいしたことはありません。巳運は亥と冲しますので忌神運です。このときに妻と別れて再婚するかもしれません。戊は忌神ですが月干癸と合するので害は少ないです。午も子と冲して悪く、さらに己運は癸を剋してよくありません。
 ということで、ここでは袁樹珊師とは意見が大いに異なります。



為某先生推

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1864年2月28日生と推定
【袁氏鑑定】
 水が弱く火が強い。品行は清高で保守的である。金水の行運で発達する。庚辛は47歳以前では最もよい運であるが、火に剋されるので破綻が多い。未運も土運でよくない。壬運からは西北運になるのでよくなるだろう。乙卯年はまだ未運で満足のいく年ではないが、次の年からは壬運であり、申運に続く。家族に事故がある以外は癸酉運まで老いてますます盛んである。甲運に隠居する。妻は二人、子は一人がすばらしい。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:火木水金、土はなし  傷官格  喜神:金水  忌神:土火木
 寅亥合、巳亥冲
【hirotoの見方】
 巳亥の冲もあって水は確かに弱いのですが寅亥の合が冲を解きますし、子にも通根していますので涸れるというほどではありません。早年は東南運でありよくありません。庚運はまだいいのですが、辛運は丙と合するため、水を生じる力がありません。壬運以降はいいでしょう。甲運は財を生じるので忌神運、戌運は寅と火局をなしやはり忌神運で、まあ年齢が年齢ですから、この時期に亡くなるでしょう。
 巳亥の冲があるので再婚する可能性があります。子供が一人がすばらしいというのはどういう理屈かよくわかりません。



為銭玉成先生推

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1886年8月1日生と推定
【袁氏鑑定】
 金水を用神とする。聡明で立志も高尚である。医学を学べば民衆の病苦を癒し、自分の抱負を発展させて名誉を得る。22歳以前は損益が交錯する。戊運は[ト]合となりよくない。戌運は三刑で悪い噂で苦労する。己運ははじめは悪く終わりはよくなる。亥運は冲と合があり害が少なく利が多い。庚運、子運、辛運は成功するしのびのびとできる。丑運は静観して自ら得るところがある。妻は剋され、後妻をもらう。子は遅くでき1、2人。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:火水木土金  七殺格  喜神:金水  忌神:木火土
 戌未(丑)刑
【hirotoの見方】
 癸水は丑に通根しているだけですが、丙火は巳未戌に通根しており、巳未は午を挟むので強いといえます。また土支が多いのでそれも癸に不利です。よって金水を喜神とします。忌神ではありますが、食神と地支に官殺が多く、聡明です。ただ日主が弱いので意志を堅固に持つ必要があります。
 行運については袁師の言うとおりです。巳は丙の根であり忌神です。あまり力にならないでしょう。時干支は喜神であり、よい子供になるといえます。



為某先生之子推

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1899年4月15日生と推定
【袁氏鑑定】
 戊癸は化火するが弱い。実業関係の学校に出すべきである。父母は長寿で妻は二人となる。申年生まれの妻はよくない。子供は出世する。17歳以前はあまり運はよくない。寅運は身体強健、学問に精を出す時期、乙運は学術名誉があがる。丑運は表に出るときだが心配事もある。甲運は謙譲の心で損失を免れる。子運は大いに活躍する。亥運はあまり手を広げず、保守的になるのがよい。壬運はまだ進取であってもいいが、戌運は隠居するのがよい時期である。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:土水木火金  食神格  喜神:金水(木)  忌神:火土
 戊癸干合、丑未冲
【hirotoの見方】
 癸水は辰亥丑と3支に通根するのですが、土は3干3支あり、土の方が圧倒的に強いといえます。水もそれなりに強いので化火はしないと考えます。金水喜神で火土を忌神とします。木は水を弱めますが、土を抑える作用が期待でき、喜神的な働きが期待されます。
 官殺忌神なので政治家とか役人、将校などは一般的には向いていません。印食傷が喜神ですから実業向きでしょう。ただ実業といっても財をなす命ではありませんから、商業とかではなく鉱工業の方がいいでしょう。
 幸い行運は乙丑運から喜神運に入っていきますから成功するでしょう。戌運に行けば三刑が成立しますから、この時期は動かないのがよく、隠居するのがよいということになります。
 丑未があるので再婚の縁があり、官殺が強いので子供は出世しても力にはなりません。

■ 袁樹珊師命


賎造(袁樹珊師)付

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1881年9月8日生と推定
【袁氏鑑定】
 申運丁亥年に先母をなくす。甲運から学問が徐々に進み、名誉も上がってきた。結婚もした。丙午年父を亡くし、さらに次男を亡くした。午運は一時的な災難はあったがだいたい忙しかった。壬子年に三男が生まれた。癸丑年は長男を亡くした。乙卯年に「新命理探原」(初版)を出版した。巳運午運辰運と来て甲子年四男が生まれた。辛運は負債累々で苦労した。卯運は国難、庚運は煩悩が続き、寅運に入り自活できるようになり、学校を開いて教育を施した。己運は妻も健在であり、息をひそめて貧に安んじ、教えを乞うような生活を送りたいと思う。

【"hiroto"的審査】
 五行強弱:金火木土、水はなし  正官格  喜神:水木(火)  忌神:金土
 巳酉半会、寅巳刑
【hirotoの見方】
 袁樹珊師自身の命です。自分のことですから間違いはないでしょう。
 乙木は秋生まれで寅にしか通根していませんから弱い日主です。巳酉は金の半会であり、辛金が最も強いことになります。したがって喜神は水木であり忌神は土金です。火は本来忌神でしょうが、殺を抑えるので喜神ともとれます。
 丁は巳寅に通根しており本来強いのですが、いわゆる食神制殺の命となっており、これは貴命です。ただ財が忌神ですので貧命に近いです。貴にして富ならず、という命。
 印は喜神なのですが命式中になく、母親とは縁が薄いでしょう。この場合喜神(用神)を父母と考えると、申運は寅を冲ししかも巳と三刑が成立、亥年は巳を冲するのでこれは親を喪ってもしかるべき運であります。甲運は喜神運ですが、丙午年は辛が合され、甲木が丁火を生じて丁火のみが強くなるいわゆる火炎土燥であり不幸が多いはずです。午運も同様。壬子年は丁との合で七殺が強くなりますが、子が乙木を潤すのでそう悪くはありません。癸丑年は戊が合され七殺が強くなるので悪い運です。乙卯年は喜神年。甲子年も喜神年です。
 辰運は木水を含み喜神運のはずですが、酉と合して作用はやや弱くなります。辛運は七殺が旺じて苦労します。卯運は戦争中で個人の運勢などふっとんでしまうでしょう。庚運は官殺混雑で煩悩が続くというのはわかります。寅運は日主の根となり喜神運であり、ようやく身旺運となり財に堪える(すなわち財を使える)命となります。経済的にもよいはずです。己運はよくないのですが、晩年でもあり、隠居して無理をしなければ大丈夫でしょう。
 さて、袁師の没年ははっきりしません。八十代後半で亡くなったようです。Wikiには1968年戊子運戊申年と書かれています。戊財が強く申は寅を冲するのでこの年ならば納得できます。子運というのはちょっとひっかかりますが、もう年齢が年齢ですから三刑で亡くなったのは無理もないという感じがします。

■ あとがき

 ようやく『命理探原』の「潤徳堂存稿」の私的解釈の完成を見ました。後半はちょっと疲れていて、解説がかなりおざなりになってしまいました。もう少し細かく解説すべきだと思いますが、とりあえずUPすることにします。まあ完成度の高いものよりもさっさと公開した方が役に立つでしょうから。
 解説しながら、袁樹珊師と意見の合うところ、違うところがわかってきました。とくに従格や干合については、師とは見解がはっきり異なります。しかし解説を読んでわかっていただけると思いますが、どちらが正しいかどうもはっきりしません。というのは、例で挙げられた人たちのその後がよくわからないからです。ですから、どちらがよい(あるいは合っている)と判断できるには至っていません。
 袁師の鑑定の文章は流麗な文章であり、干支の性質を解きながら鑑定を行っているのですが、抽象的な部分も多く、思いっきり割愛して概要だけを載せています。といっても、なかなか含蓄のある文章ですので、原文にあたるかもしくは中村文聡師の翻訳本で確認してください。


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   作成 2009年 6月28日  
   改訂 2021年 5月30日  HTML5への対応、一部見直し