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2000.02.29
『銀河英雄伝説』第11巻を読んだ。

 まず小説があってビデオアニメがあっての『銀英伝』だけれど、私には道原かつみさん絵によるマンガ版が一番肌に合う。
 この壮大なスペースオペラの最後の最後のエンドマークまで、描き続けてほしいな、道原さん。
 

CHARA COMICS『銀河英雄伝説』第11巻
原作/田中芳樹 作画/道原かつみ 発行/徳間書店
2000年3月25日初版発行 ¥562 ISBN4-19-960122-8


2000.02.18
『モオツァルト・無常という事』を読み終えた。

 文字を目で追っただけ。
 私、いまメモリ不足なんだ、きっと。頭に入らなかった。
 

新潮文庫『モオツァルト・無常という事』
著/小林秀雄 発行/新潮社
1961年5月15日発行 ¥400 ISBN4-10-100704-7


2000.02.15
『うずまき』を読んだ。

 うずまきに呪われた町の恐怖。
 風が、草木が、煙が、髪が、身体が渦を巻く。

 すてき!
 

BIG COMICS WIDE『うずまき』
著/伊藤潤二 発行/小学館
2000年3月1日初版第1刷発行 ¥1143 ISBN4-09-185816-3


2000.02.10
『セックスはなぜ楽しいか』を読み終えた。

 他の動物と比べてあまりにも奇妙なヒトの性を「進化生物学」的見地から考察した一冊。

 これが「生理学」的観点とか「心理学」的観点とかだったらもっと楽しかっただろうに、と思った。
 「進化生物学」って、どうも苦手。

 進化の「理由」? 「必然性」?
 どうしてそれが「ある」と言い切れるのだろう。
 

サイエンス・マスターズ12『セックスはなぜ楽しいか』
著/ジャレド・ダイアモンド 訳/長谷川寿一 発行/草思社
1999年4月8日第1刷発行 ¥1600 ISBN4-7942-0876-6


2000.02.06
『うるさい日本の私』を読み終えた。

 「スピーカー音恐怖症」である著者は、否応なく耳に飛び込んでくるスピーカーによる騒音が我慢ならない。そこでそれらの「発音源者」──交通機関、企業、商店、自治体、省庁など──に抗議に出向いては議論また議論の日々……。
 この本は、そんな著者の戦闘の記録であり、また「音漬け社会」を許す日本人へ向けての提言の書でもある。

 確かに、日本はうるさい。
 駅で、電車やバスの中で、デパートで、銀行で、商店街で、その他いたるところで、お礼やら注意やら禁止事項やらご案内やらBGMやらが絶えまなく流され続けている。
 著者の言うとおり、それらのほとんどは不要なものだと、私も思う。

 しかし残念ながら、私は著者の味方ではない。むしろ対極に位置する者のひとりである。
 疑いようなく(著者の言うところの)マジョリティである私は、垂れ流しの音の中を毎日平気で歩けるのだ。選挙カーや布教活動や竿だけ屋など、ほんの一部の例外を除いては、あまり気にならない。へたすると、耳にすら入っていない。
 どのみち聞こえちゃいないものなのだから、あってもなくてもいいよ。
 世に溢れるお礼やら注意やら禁止事項やらご案内やらBGMやらを不要だと思ったのは、つまりそういうわけである。

 こうした私のような鈍感な耳を持つマジョリティに対しても、著者は厳しい目を向ける。
 日本が「音漬け社会」から脱出できないのは、音を流す側と同等もしくはそれ以上に、受け取る側に問題があるからなのだ、と。

 電車の中で鳴る他人の携帯電話には神経質なくせに、「携帯電話は御遠慮ください」という車内アナウンスには寛容でいられる私は、言われてみればなるほど、我ながら充分おかしい。
 そして、この歪みは日本人が美徳とする「語らず察する」態度から生じたもので、パブリックな場で「自分自身の個人的立場」から何かを「語る」ことができないことこそが無駄なアナウンスの氾濫に繋がっているのだとする著者の意見にも、一理ありと正直思った。

 だが、著者の未来はこの先も当分暗澹たるものだろうことは想像するに難くない。
 「音漬け社会」から脱するために“日本人は「察する」美学から「語る」美学への変換を遂げるべきだ”“日本古来の礼儀や美徳をかなぐり捨てよ”と著者は言う。“それが実行できぬならあなたは「音漬け社会」の加害者だ”とも。
 けどなぁ。
 何にせよ、意識の変革って難しいよ。仮に日本人が「語る」美学への変換を遂げられたとして、それっていったい今から何年後の話だろ? よほどの起爆剤がないかぎり、突如一斉の変化なんて無理だよなぁ……。

 それと、私が思うに、「察する」美学ってこれからどんどん消えていくんじゃないかな。でもって「語る」美学も築かれないまま、世の中には「対話」も「議論」もない「自己主張」だけがはびこっていくんだ。他人の話なんてますます聞かれなくなるから、いたるところのスピーカーは今以上に声を張り上げる方法で気を引こうとするに違いない。
 あ、でもそうなったら、さすがにマジョリティからも「うるさい!」という苦情の声があがるかも。おおっ、もしかしたらそれが、脱「音漬け社会」に繋がったりして。いや、繋がらないか……。

 ……なぁ〜んてことを仕事の帰りにつらつら考えながら歩いた。気が付いたら家だった。
 その間の──改札口の、ホームの、車内の、駅前広場の、商店街の、スピーカーから流れていたはずの音を、案の定、私は何ひとつたりとも覚えてなかった。
 

新潮文庫『うるさい日本の私』
著/中島義道 発行/新潮社
1999年12月1日発行 ¥438 ISBN4-10-146721-8


2000.01.31
『そどむ』第1巻を読んだ。

 「CUTiE COMIC」で連載中の作品。

 彼と彼女の間に割り込む男あり。男の狙いは彼女ではなく彼のほう。そういう三角関係。

 なぜだろう。
 こんな場合、私は例外なく「女は負けろ!」と願ってしまう。
 

Wonderland COMICS『そどむ』第1巻
著/小野塚カホリ 発行/宝島社
2000年2月21日第1刷発行 ¥838 ISBN4-7966-1716-7


2000.01.29
『芸術新潮』2月号を読んだ。

 これまでまったく縁のなかったこのような雑誌を手に取る気になったのには理由がある。
 表紙にでんと据えられていた文字に呼び寄せられてしまったからだ。

 「デロリ」。

 これって一体、何ーっ?! めちゃくちゃ気になるぞ、くそっ。
 というわけで、特集『仰天日本美術史「デロリ」の血脈』を読んでみた。

 「デロリ」とはすなわち、日本美術の中にあって“濃厚で奇っ怪、卑近にして一見下品、猥雑で脂ぎっていて、血なまぐさくもグロテスク、苦いような甘いような、気味悪いほど生きものの感じを持ったもの”、だそーだ。

 不気味に微笑むお歯黒の花魁(甲斐庄楠音「春宵(花びら)」)だとか、極彩色のド派手な天女の彫刻(佐藤玄々「天女像」)だとか、放尿シーンを描いた鎌倉時代の絵(『病草子』より「霍乱の女」)だとか、罪人の死に様をあしらった羽織(河鍋暁斎「処刑場跡描絵羽織」)だとか、人皮剥ぎの様子をリアルに伝える無惨絵(月岡芳年「英名二十八衆句 直助権兵衛」)だとか、はたまた、ダンシングベイビーなどよりずっとキモカワイイ明治石版画の赤ん坊たちだとか、明治の来日外国人が土産用に注文したヘンテコなコスプレ肖像画だとか……が、この雑誌の中では「デロリ」の見本として紹介されている。
 う〜ん、どれもこれもスゲェ。

 どれもこれもスゲェけど、なんといっても私が一番スゲェと感じたものは、それらさまざまなスゲェ作品をひと括りにできる「デロリ」という言葉それ自体、だな。
 “濃厚で奇っ怪、卑近にして一見下品、猥雑で脂ぎっていて、血なまぐさくもグロテスク、苦いような甘いような、気味悪いほど生きものの感じを持ったもの”を指し示すのに、「デロリ」、これ以上相応しい言葉が他に見つけられるだろうか。
 簡素にして饒舌。申し分なしの、最高のネーミングじゃないかい、これ。
 デロリスト、デロリズム……と軽やかに変化させられる点もマルだよね。

 なんでも、「デロリ」なる言葉を生みそこに概念を植え付けたのは、「麗子像」で知られる画家・岸田劉生 (なるほど、「麗子像」のあの不気味さの正体は「デロリ」だったのか!)なのだそうだが、それを知った私は今、猛烈に、この岸田さんに対して「ブラボー!」と拍手を送りたい気分である。

 「デロリ」。
 うむ。書いてよし。眺めてよし。音にして発してもよし。完璧。

 「でろり」。
 おおっ、ひらがなもイケるじゃん!

 ちくしょー、まったく素敵だよ。
 まいったね、「デロリ」。
 

『芸術新潮』2000年2月号
発行/新潮社
2000年2月1日発行 ¥1143


2000.01.29
『カラー版 ハッブル望遠鏡が見た宇宙』を読み終えた。

 地球周回軌道を回る「ハッブル宇宙望遠鏡」と、そのハッブルが撮影した数々の写真を紹介する一冊。

 アワーグラス星雲、エッグ星雲、りゅうこつ座イータ星、ワシ星雲、オリオン星雲、らせん星雲、猫の目星雲、網状星雲、車輪銀河……。

 複雑で神秘的な色と形。
 何万光年、何億光年という、およそ現実味のない距離と時間。

 眺めながら読みながら、時おりクラクラしたよ。
 トリップできるんじゃないかと思った。

 今の自分、今の生活がヤになって逃避したくなったとき、これからは宇宙を想うことにしようっと。
 

岩波新書『カラー版 ハッブル望遠鏡が見た宇宙』
著/野本陽代、ロバート・ウィリアムズ 発行/岩波書店
1997年4月21日第1刷発行 ¥940 ISBN4-00-430499-7


2000.01.28
『武士沢レシーブ』第2巻を読んだ。

 あ。終わってる……。
 

ジャンプ・コミックス『武士沢レシーブ』第2巻(はじめての秘密工作)
著/うすた京介 発行/集英社
1999年11月9日第1刷発行 ¥390 ISBN4-08-872790-8


2000.01.25
SHIBUYA PARCO PART3 SQUARE7で『デビルマンイラストレーションズ展』を観た。

 53人のクリエイターたちによる「デビルマン」のイラスト原画展。
 いずれもデビルマン限定BOX「ARK」、または雑誌・新マグナム増刊のために描かれたもの。

 イラストの世界でも今やデジタルが主流のようで、半数以上はCG仕上げだった。
 コンピュータ使えば、確かに綺麗に色塗れるし、手描きよりはるかにいろんな効果出せるしね。実際、CG作品はどれもこれも凝りに凝っててすごいなぁ、と思ったよ。
 けど間近で見れば見るほどに、味気ないもんだなぁ、という気もした。
 多分、あのツルツルノッペリの出力紙がいけない。
 ツルツルノッペリ以外に質感がないんだもん。

 そんな中にあって、だからだろうか、一番印象に残ったは横尾忠則氏の作品。
 切手を用いたコラージュ。その、これでもかってくらいにアナログな作業ぶりと質感が、なんだかとても愛おしく感じられた。
 

『デビルマンイラストレーションズ展』
2000年1月13日〜1月30日 SHIBUYA PARCO PART3 SQUARE7
主催/GoFa 特別協力/ダイナミックプロダクション・モーニング編集部 協力/渋谷パルコ 企画・制作/MAT
出展/永井 豪、横尾忠則、天野善孝、田島照久、今井トゥーンズ、萩尾望都、高田明美、村田蓮爾、草なぎ琢仁、桂 正和、萩原一至、田島昭宇、浅田弘幸、伊藤明弘、司 淳、岩明 均、岸 啓介、米村孝一郎、小畑 健、鈴木 朗、飯田馬之介、前田真宏、ヒロモト森一、多田由美、トニーたけざき、大本海図、丸山功一、錦貫 透、唐沢なをき、鶴田謙二、ヒラマツ・ミノル、木葉功一+貴 光士、あさりよしとお、丹地陽子、今野恵美、もりおかしんいち、沓澤龍一郎、ヨコタカツミ、工藤 稜、秋山晃一、立石章三郎、高橋けんじ、○統ひろし、籬讒贓、おおしまひろゆき、イゴルト、ベブ・デオム、アンドレア・ドメスティッチ、加園 誠、佐藤 肇、山崎 浩、あびゅうきょ、寺田克也、ウェス・ベンスコーター


2000.01.25
渋谷松竹セントラルで『御法度』を観た。

 ミョーなキャスティング。ミョーな演出。
 けっこう笑えた。

 あ、でも、浅野忠信さんの細長い指と、伊武雅刀さんのよく通るいい声と、田口トモロヲさんの特異な存在感には文句なしに惹かれたよ。
 

『御法度』
1999年 日本映画 100分
監督・脚本/大島 渚 撮影/栗田豊通 衣装/ワダエミ 音楽/坂本龍一 原作/司馬遼太郎 企画・製作/大島渚プロダクション 製作・配給/松竹
出演/ビートたけし、松田龍平、武田真治、浅野忠信、崔 洋一、トミーズ雅、坂上二郎、田口トモロヲ、神田うの ほか


2000.01.23
『バトル・ロワイアル』を読み終えた。

 全体主義国家、大東亜共和国。その政府によって修学旅行の途中で拉致された、香川県城岩町立城岩中学校3年B組の生徒42人は、高松市沖の小さな島に連行される。
 始まったのは“プログラム”。生徒どうしを互いに殺し合わせ、最後に生き残ったただひとりだけを家に帰すという、例年、国が実施している殺人ゲームである。
 手に手に武器を持たされ、ひとりひとりバラバラに“戦場”へと放り出された3年B組の生徒たち。
 恐怖と絶望の中、ある者は殺し、ある者は殺され、ある者は自殺し、ある者は発狂し……そうしてひとり、またひとりと消えていく。

 一部で「不愉快」などと評されたのは、殺人がゲーム化されているからだろうか。殺し、殺されるのが少年・少女たちだからだろうか。殺人シーンにおける描写に遠慮がなく、ことごとく生々しいからだろうか。
 よくわからない。わからないけれど、何であれ、私にはちっとも「不愉快」なんかではなかったよ。

 だって引き込まれちゃったもん。
 気がつけば私自身も“戦場”にいて、生徒たちに寄り添い、死に怯えながら逃げまどってたんだ。
 ああ、その恐怖といったら!
 しかも怖いだけじゃなく、時おりホロホロと泣かされちゃったりもして。あちこちに青春チックなドラマが転がっていたからね。

 一旦ページをめくったら最後、止まらなくなり、かなりのヴォリュームだったにもかかわらず、夢中のうちに読み終えてた。
 物語に没頭する感覚は、私にとってはむしろ「快楽」に近い。だから、それを与えてくれた作品に対し「不愉快」だなんて、とても言えない。

 もしかしたら、この作品を「不愉快」とは思えない私のような存在そのものが、一部の方々にとっては「不愉快」なのかも知れないな。
 でも、じゃあどうしたらいいのか、それも私にはよくわからない。
 「不愉快だ」と言われたら、「はあ、そうですか…」としか、今のところ答えられそうにないんだ、ごめんね。
 

『バトル・ロワイアル』
著/高見広春 発行/太田出版
1999年4月21日第1刷発行 ¥1480 ISBN4-87233-452-3


2000.01.21
中野武蔵野ホールで『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』を観た。

 ドイツ産のアクション・ロード・ムービー。
 “ドイツのタランティーノ”と呼ばれているらしい監督トーマス・ヤーンのデビュー作。

 片や脳腫瘍。片や骨髄腫。末期のガンと告げられたふたりの男が、死を待つだけの病室から逃走し「海を見に行こう!」とハチャメチャな旅に出る。
 車を盗み、金を盗み、警察やギャングに追われながらの珍道中。

 乾いてて脳天気。だけど泣きどころもきちんと用意してあって……。

 平日の昼間にガラ空きの小さな映画館で気ままに観るにはもってこいの、なかなか小粋ないい映画だったよ。
 

『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』
1997年 ドイツ映画 90分
監督/トーマス・ヤーン 脚本/トーマス・ヤーン、ティル・シュヴァイガー 製作/ティル・シュヴァイガー、アンドレ・ヘンニッケ、トム・ツィックラー
出演/ティル・シュヴァイガー、ヤン・ヨーゼフ・リーファース、ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ、モーリッツ・ブライプトロイ、ルドガー・ハウアーほか


2000.01.17
『HUNTER×HUNTER』第7巻を読んだ。

 キルアが好き。大好き。
 

ジャンプ・コミックス『HUNTER×HUNTER』第7巻(NO.7 これから)
著/冨樫義博 発行/集英社
1999年12月27日第1刷発行 ¥390 ISBN4-08-872788-6


2000.01.16
『何が性格を作るか[性格学講議]』を読み終えた。

 20年も前の本。褪せている、という印象。

 まぁそれは致し方なしとして。
 読んでる途中から、ここで「性格」学についてレクチャーしてくださっている医学博士・宮城氏その人の「性格」が、妙に気になりだした。

 「性格」を語る者の「性格」。
 これって、「脳」を考える者の「脳」、とか、「心理」を思う者の「心理」、とかと似てる? 似てないか…。
 

『何が性格を作るか[性格学講議]』
著/宮城音弥+津島佑子 発行/朝日出版社
1979年5月25日発行 0314-179166-0039(古書店にて購入)


2000.01.11
Bunkamura ザ・ミュージアムで『ゴッホ展』を観た。

 オランダのクレラー=ミュラー美術館からの74点。
 なかなか見応えがあった。

 作品、とりわけデッサン群を前にして「誠実」という言葉を思った。
 「誠実」な人というのはきっとゴッホのような人を指して言うに違いない。
 

『クレラー=ミュラー美術館所蔵 ゴッホ展』 (東京展)
1999年11月19日〜2000年1月23日 Bunkamura ザ・ミュージアム
主催/日本テレビ・Bunkamura 後援/外務省・文化庁・オランダ大使館
特別協賛/ABN AMRO 協力/日本航空・日本通運・JR東日本 企画/NTVヨーロッパB.V.


2000.01.11
『自殺死体の叫び』を読み終えた。

 『死体は語る』等で知られる元監察医・上野正彦氏の最新刊。

 首吊り、飛び降り、飛び込み、入水、服毒、ガス……各自殺死体にはそれぞれどのような特徴が残されるか、興味深く拝読した。

 いかなる方法で死んだとて、自殺死体は惨たらしいようだ。
 美しい自殺、なんてきっと幻想なのだろう。

 けれど、「だから自殺はやめなさい」という本書を貫くメッセージの、有効性にはやや疑問。
 死後の醜さや周囲への迷惑を承知の上で、それでも死にたい人はやっぱり死んじゃうんじゃないかな、と私は思うよ。
 

『自殺死体の叫び』
著/上野正彦 発行/ぶんか社
2000年1月10日初版第1刷発行 ¥1500 ISBN4-8211-0694-9


2000.01.07
『子どもを愛せない親への手紙』を読み終えた。

 『日本一醜い親への手紙』(1997年 メディアワークス刊)を改題し文庫化したもの。
 ──と気付く前に買ってしまった。チッ。
 『日本一醜い親への手紙』は持っている。読んだ。
 しかしだからといって今さら本屋に返すわけにもいかないので、同じ内容だけれどまた読んだ。

 親からの虐待や抑圧に苦しむ子供たちがその親宛てに書いた、手紙100通。

 家族って善くも悪くも「いち社会」なんだなぁ、なんてことを考えた。
 

角川文庫『子どもを愛せない親への手紙』
編/Create Media 解説/宮台真司 発行/角川書店
1999年12月25日初版発行 ¥514 ISBN4-04-352701-2


2000.01.06
『虫の目で人の世を見る──構造主義生物学外伝』を読み終えた。

 生物学者である著者がこれまでに発表してきたエッセイの数々。

 昆虫の話から細胞やウィルス、クローン人間についてまで、その語り口はなかなかに辛い。とりわけ「構造主義」的立場から反「機能主義」を説くときなどは、うわっキビシーッ!といった感じ。
 けれど語り口はハードでも、おっしゃられていることの多くに、ごもっとも!と私は頷かされたちゃったぞ。時に目から鱗をボロッとこぼしながら。

 そうだよね。
 人間は交尾のために交尾するんだ。
 普遍はむしろ主観の中にこそあるんだ。
 不変は不変でない私達の脳が産み出した錯覚なんだ。

 虫や動物の世界からふっと目を移したときに見えてくる人の世の姿は、結構滑稽でグロテスク。
 

平凡社新書『虫の目で人の世を見る──構造主義生物学外伝』
著/池田清彦 発行/平凡社
1999年11月17日初版第1刷発行 ¥720 ISBN4-582-85022-7


2000.01.05
『FLAT』を読んだ。

 村田蓮爾さんディレクションによる美麗コミック・アート本。

 多田由美さんの作品が読めて嬉しかった。
 相変わらずスゴイなぁ、多田さん。
 多田さんの絵の構図が好き。アングルが好き。人物の顔や身体の表情が好き。色が好き。
 

『FLAT』
著/浅田寅ヲ、浅田弘幸、安倍吉俊、OKAMA、草なぎ琢仁、沓澤龍一郎、こと、小林 治、佐藤 肇、たかたよしあき、田島昭宇、多田由美、田中達之、寺田克也、トク、トレヴァー・ブラウン、西坂 潤、韮沢 靖、中井幸生、HIMEKO、睦、前田真宏、籬讒贓、松本嵩春、むらかわみちお、森本晃司、山崎貴一、YUG、羊子、村田蓮爾 発行/ワニマガジン社
1999年11月1日第1刷発行 ¥3600 ISBN4-89829-268-2


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