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2000.10.18
『ルーブル美術館』に行った。

 デカい、広いと聞いてはいたが、まさかこれほどとは!

 この日はラッキーにも開館時間延長(しかも入場無料)の日だったので、時間的には充分な余裕があったのだけれど、それでもすべてを観尽くすことはできなかった。
 持たなかったんだ、体力が。
 ぐるぐる歩き回っているうちに脚が疲労を訴え始め、途中からはもう、早く回り終えることがなんだか目標になっちゃって、古代オリエントや古代エジプトのコーナーなんてただ素通りしたに等しい状態。

 勿体なかったなぁ。超一級の所蔵品が並んでいたというのに。
 でもホント、疲れたよ。
 ルーブル、恐るべし!
 

『ルーブル美術館  Musee du Louvre』
Palais du Louvre, Paris 1er, France


2000.10.18
『ドラクロワ記念館』に行った。

 ドラクロワの生涯最後の家とアトリエが今は記念館になっている。
 「民衆を率いる自由の女神」など、ドで〜んとデカい作品を残したドラクロワだけれど、アトリエを含め住まいは思ったより小ぶりで地味。

 画材なども保存・展示されていたが、特にファンというわけでもなかったので、たいした感慨もなくただぼーっと眺めてしまった。
 

『ドラクロワ記念館  Musee National Eugene Delacroix』
6, rue de Furstenberg, Paris 6e, France


2000.10.18
『中世(旧クリュニー)美術館』に行った。

 中世世俗芸術の品々を展示。
 派手さには欠けるものの、当時の人々の生活がなんとなく窺い知れて楽しかった。

 中に見覚えのあるタピスリーがあった。
 「Dame a la Licorne 一角獣を配した貴婦人像」。
 15世紀後期の作だそうだが、はて私はどうしてこのタピスリーの絵柄を知っていたのだろう。
 かなり昔にどこかで見たような気がする。いや確かに見た。けれど、どこで見たのか、思い出そうとして思い出せなかった。
 

『中世(旧クリュニー)美術館  Musee National du Moyen Age des Thermes de Cluny』
6, place Paul Painleve, Paris 5e, France


2000.10.17
『オルセー美術館』に行った。

 まるで美術の教科書だわ。
 モネ、マネ、ドガ、セザンヌ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、ミレー、スーラ……本で観たことのある絵があっちにもこっちにも。
 は〜、なんだか贅沢な気分。

 セーヌ川沿いのこの建物はその昔、駅舎だったそうで。
 展示品ガイドと一緒に「オルセーの歴史」という解説書を買って読んでみたが、オルセーが現在のような美術館になるまでの経緯が古い写真とともに紹介されていて、なかなか面白かった。
 

『オルセー美術館  Musee d'Orsay』
1, rue de Bellechasse, Paris 7e, France


2000.10.15
『ラ・ペドレラ』に行った。

 「ラ・ペドレラ」より「カサ・ミラ」の名のほうが通りはいい。
 ガウディの建てた都市型集合住宅だ。

 中の展示室に入るとそこに、このアパートが建てられた当時、20世紀初頭の上流家庭の暮らしが再現されていた。
 キッチン、書斎、寝室、子供部屋。
 家具も小物もことごとく、まぁなんてモダンでオシャレ!

 最上階のガウディ資料展示室を抜けて屋上にも昇ってみた。
 うねうねした山。宇宙人のような風貌で立つ煙突。
 ああいいなぁ、楽しいなぁ、このアパート。
 見下ろした中庭も素晴らしく、ちくしょー、こんな場所で生活してみたいぜ、と思わずにはいられなかった。

 それにしてもガウディってやっぱスゴイわ。
 

『ラ・ペドレラ(カサ・ミラ)  Centre Cultural Caixa Catalunya, La Pedrera(Casa Mila)』
Provenca 261-265, 08008 Barcelona, Espana


2000.10.15
『アントニ・タピエス美術館』に行った。

 ガウディの手による建物、カサ・バトリョを観に行ったついでにふらりと立ち寄ったのがここ。
 アントニ・タピエスとはスペイン現代美術の巨匠、なのだそう。
 どデカいコラージュ作品の数々が、ゆったりと展示されていた。

 建物は旧「モンタネール・イ・シモン出版社」。
 ガウディと同じくモデルニスモの建築家であったドメネク・イ・モンタネールによって建てられたものだが、残念ながら内装はリフォームされて残っていなかった。
 

『アントニ・タピエス美術館  Fundacio Antoni Tapies』
Arago 255, 08007 Barcelona, Espana


2000.10.15
『サグラダ・ファミリア寺院』に行った。

 ガウディが生涯を捧げた大聖堂。
 着工から118年を過ぎたが完成まではあと100年以上もかかるそう。
 ってことはつまり、現在地球上にいる人間の多分ほとんどは、この建物の完璧な姿を拝むことなく死んでいくってことか。
 しかしにもかかわらず、決して見ることのないその日に向けて今も着々と建設作業は進められている。ガウディの遺志を受け継いた人々によって。

 地下にガウディが眠っていた。
 ああこの人は、なんて幸せな人なのだろうと思った。
 

『サグラダ・ファミリア寺院 Temple de la Sagrada Familia』
Mallorca 403, Barcelona, Espana


2000.10.15
『ピカソ美術館』に行った。

 ピカソの美術館はあちこちにあるし、ことさらここで観なくても……とも思ったが入ってしまった。

 うん、ああ、でも、入って良かったよ。
 ピカソがまだスペインに住んでいた時期の作品、とりわけ少年時代に描かれたデッサンや油彩は見応えがあった。
 

『ピカソ美術館 Museu Picasso』
Montcada 15-23, 08003 Barcelona, Espana


2000.10.14
『カタルーニャ美術館』に行った。

 圧巻は11〜12世紀コレクション。カタルーニャ・ロマネスクの数々。
 壁画、祭壇の板絵飾り、木彫りの像などなど、元々はみな各地の小さな聖堂内にあったものだ。
 親切なことに壁画は聖堂ごと持ってきて展示してある。

 いやー、もうハートを鷲掴みにされちゃったよ。
 なんじゃこりゃー!って感じ。

 カタルーニャ地方の伝統に則って描かれたキリストや聖母や聖人たちは例外なく強い輪郭線を持ち、赤や黄や青の鮮やかな色で塗られていた。
 単純化された顔も、まるで何かに操られているかのようにぎこちなく不自然な身体の動きも、中世初期絵画ゆえのものというよりは、それらがあまりにも堂々と何の迷いもなく描かれているせいに違いない、むしろ現代アート的な斬新な表現と目に映る。
 面白い。見てて飽きなかった。

 やはり。
 タダものではない芸術家たちを後に多く輩出したこの地方は、はるか昔からタダものではない地だったんだなぁ。
 

『カタルーニャ美術館 Museu Nacional d'Art de Catalunya』
Palau Nacional - Parc de Montjuic, 08038 Barcelona, Espana


2000.10.14
『ミロ美術館』に行った。

 バルセロナの街を見下ろすモンジュイックの丘の上。明るくて居心地のいい美術館だった。

 ミロの作品は、幼児の落書きと見紛う、線も色も極力少ないものほど私は好き。
 

『ミロ美術館 Fundacio Joan Miro』
Parc de Montjuic, s/n, 08038 Barcelona, Espana


2000.10.12
オランジュの『古代劇場』に行った。

 プロヴァンスにはローマ遺跡が数多くあるという。ひとつくらいは観ておかねばと思い、オランジュに向かった。

 7000の座席がすり鉢状に並ぶこの古代の野外劇場は、保存状態のよさで知られ、今なおオペラなどで使われているらしい。
 舞台背後に高さ36mの石壁が築かれており、その中央に皇帝アウグストゥスの彫像が立つ。
 建造は紀元前1世紀末だそうだ。

 元がどんな色だったのかは知らないが、今はまっ茶っ茶な壁の岩をしげしげと眺め、その昔この岩を積み上げた人々を思った。
 想像だにしていなかっただろうな。
 自分たちの造った建物が、風雨にさらされながらも2000年以上も生き続けるなんてことは、さ。
 

『古代劇場 Theatre Antique』
84100 Orange, France


2000.10.11
アヴィニョンの『プティ・パレ美術館』に行った。

 14世紀、アヴィニョンに法王庁があった時代のままの姿を残すエリアに建つ古い美術館。一帯は世界遺産にも登録されているらしい。

 13〜16世紀イタリアの絵画と12世紀〜16世紀アヴィニョンの絵画、彫刻を所蔵・展示。時代と土地を反映し、ほとんどがキリスト教を題材とした作品で占められている。

 ルネサンス以前の宗教絵画を観るのも嫌いじゃない。
 決して嫌いじゃないのだけれど、美術館内をぐるり巡って出るころには、もうお腹一杯ってな気分になってしまった。
 

『プティ・パレ美術館 Musee du Petit Palais』
Palais des Archeveques, Place du Palais des Papes, 84000 Avignon, France


2000.10.05
『絵画館』に行った。

 ベルリン文化フォーラム内のいち施設。
 旧西ベルリンのダーレム美術館と旧東ベルリンのボーテ博物館のコレクションを統合して'98年にできたのだそう。

 13〜18世紀のヨーロッパ絵画が中心で、レンブラント、ラファエロ、ボッティチェリ、ブリューゲル、フェルメールなどの名作も並べられていたのだが、閉館まで間がないことを承知で夕方に駆け込みで入ったため、足早に回らざるを得ず、どれもこれも満足いくまで眺めることができなかった。
 失敗。

 見学には時間に余裕を持って臨まんとイカンね。
 

『絵画館 Gemaldegalerie am Kulturforum』
Matthaikirchplatz 8, Berlin-Tiergarten, Deutschland


2000.10.05
『ペルガモン博物館』に行った。

 ベルリンにあるこの博物館の売りはその名のとおり、小アジア北西部の古都ペルガモン(現トルコのベルガマ)の遺跡から発見された品々の展示。しかもただ陳列してあるだけじゃない。
 紀元前2世紀にペルガモンのアクロポリスにあった大理石大祭壇が博物館のひと部屋の中に復元されている。20m幅の階段を中央に持つ、高さ10m近くの大祭壇という建造物が、すなわちここに置かれた展示品なのだ。

 見ものは何といっても、彫刻群! 祭壇の壁に施された高浮き彫りの、その素晴らしいことといったら!
 ゼウス、レト、アポロン、アルテミス、ヘラクレス、アテナ、アフロディテ、ヘリオス、ポセイドン、トリトン、エロス……。
 全長100mを超える規模で彫られドラマチックに展開するのは、ギガントマキア(ギリシアの神々と巨人たちとの闘い)。
 均整のとれた肉体のダイナミックな動きが、細やかな観察眼と優れた技術で表現されており、あっち見て感動、こっち見て感動と、とにかくひたすら感動しちゃった。
 う〜む、これぞヘレニズム芸術の極みってヤツなのかぁ。スゲエな。いや、まったくスゲエよ。

 発掘品なので、もちろん欠けてる箇所が多々ある。当時のままのすべてを観ることができたならと思うと残念だけれど、しかしその見事さを知るに充分な量は集められていて、うん、もう大満足!
 懸命な発掘と復元作業の末に、かくも感動的な展示物を完成させたこの博物館にも、ぜひ拍手をお贈りしたいな。

 なおペルガモン博物館には、上記のペルガモン大祭壇のほかにも、ミレトスの市場門や古代バビロニアのイシュタール門と行列通りといった遺跡が、どデカイ姿でそっくりそのまま展示されている。
 なんとも豪快でユニークな博物館だよね。
 面白かった。
 

『ペルガモン博物館 Pergamonmuseum』
Am Kupfergraben, Berlin-Mitte, Deutschland


2000.10.05
『ザクセンハウゼン強制収容所』に行った。

 ベルリンの北約30km。ザクセンハウゼン強制収容所はオラニエンブルクという町にある。
 1936年に建てられ、1945年までに10万人を超えるユダヤ人がここで犠牲になったそうだ。

 塀で囲まれた広大な土地には当時の建物が今もいくつか残されており、無料で見学できるようになっている。うち数棟の内部は現在、資料展示室。この場所が一体どんな場所だったのかを、多くの写真や解説のパネル、捕虜の遺品などが詳しく語る。

 ドイツに行ったら強制収容所跡を是非とも訪ねてみたいと思っていた。
 にもかかわらず2年前、ミュンヘンまで行きながらダッハウの収容所を観ずに帰ってきてしまった。
 後悔が残ったので、今度こそとばかりに今回はベルリンを旅程に入れてザクセンハウゼン見学と相成ったのだが。

 敷地の一角、“Station Z”と呼ばれていたエリアに立ち、そこに遺されたガス室跡と死体焼却炉跡を観た。
 数万人分の絶望。数万人分の死。
 ここがまさにその現場だったのだという実感と、ここまで来てさえやはり到底想像しきれない50数年前の光景──確かさと不確かさが混ぜこぜになったせいだろうか、居心地の悪い、妙な感覚に捕われた。

 生体実験室にも足を踏み入れてみた。
 幾人もの死体を載せたはずの台や、多量の血を舐めたはずの床が保存されている部屋の天井からは、当時この室内で撮影された写真が大伸ばしにされ何葉か釣り下げられていた。
 バラバラにされた手足、集められた歯、皮を剥がされた頭部……。
 ああ、ちくしょう、どうしてだろう。
 想像の余地すら与えてくれないような極め付きの凄惨さを見せられて、今度こそ恐怖した身体がすでに逃げ出す用意をしているというのに、頭が必死に「目を背けるな!」と言う。
 おかげで目に焼き付くまで凝視してしまった。部屋に充満していた、吐きたくなるほどに強烈な消毒液の匂いの中で。

 ナチスのこと、ユダヤ人のこと、戦争と平和のこと、歴史のこと、国のこと、人類のこと……。
 そんなこと考えなくたって生きてはいけるし、そんなことばっかり考えていたらひょっとして生きてはいけないのかもしれないけれど、脳天気な私もさすがにこの日ばかりは眠りにつくまでずっと真剣にあれこれ考えちゃったよ。
 折も折り、ベルリンの宿のTVからは、パレスチナ人とユダヤの民・イスラエル人との間の血なまぐさい抗争の模様が流れていた。
 

『ザクセンハウゼン強制収容所 Gedenkstatte und Museum Sachsenhausen』
Strasse der Nationen 22, 16515 Oranienburg, Deutschland


2000.09.16
『アラマタ図像館2[解剖]』を読み終えた。

 荒俣 宏さんによる「解剖図」紹介本。

 解剖図といっても、現在の理科室や医療施設内に貼られているような味気ない絵じゃなくて、ここに収められたのは、16世紀から18世紀にかけてドヤドヤと生み出された、眺めて楽しい解剖図の数々である。

 西洋の初期解剖図では、それが医学用のみならず美術用の資料でもあったため、描かれた人体がその辺で悠然とポーズを取ったりしている。筋肉や内臓や骨を露にした、現実世界ではとうに死んでいるであろう人間が、だ。
 中には自らの手で腹の皮をめくり「ほれっ」と内部を覗かせてくれたりしている、すこぶるサービス精神旺盛な男も。あっぱれと拍手を送りたくなっちゃったよ。

 一方、江戸の腑分け図のように、死体を死体のまま生々しく描いた解剖図もある。
 ポーズを決める人体の図に比べると極めて現実的。けれど描き手の意思がはっきり見て取れる、いち作品としての佇まいは、現代のメカニカルな解剖図には決してないものだ。
 構図や描線、色使いなどにも見るべきところが多かった。

 ところで。
 この本を読んでいる最中にグッド・タイミングで、ある曲がヒットしていた。
 ロビー・ウィリアスの「Rock DJ」。
 いや、曲自体は解剖とは何の関係もないのだけれど、そのプロモ・ビデオが素晴らしい。
 全裸になり、自身でベリベリと皮をめくり、筋肉を剥ぎ取っては投げ、挙げ句骸骨になってもなお楽しそうに踊るロビー。
 これはまさしく西洋初期解剖図譜と同じパターンだよね。
 TVで放映するにはあまりにもグロテスクと、本国イギリスでは物議を醸したりもしたらしいが、踊る解剖男、面白いじゃん。私は好きだよ。
 

小学館文庫『アラマタ図像館2[解剖]』
著/荒俣 宏 発行/小学館
1999年7月1日初版第1刷発行 ¥733 ISBN4-09-403112-X


2000.09.15
渋谷イメージ・フォーラムで『素肌の涙』を観た。

 俳優ティム・ロスの初監督作品。
 父娘間の近親相姦を柱にして、平凡で幸せな一家が崩壊へと向かう過程を描いた映画。

 これがデビューとなった娘ジェシー役のララ・ベルモントの存在が光っていた。
 それと、一家が暮らす地のロケーションに惹き付けられたよ。

 丘と森。緑の中をくねくねと走る細い一本道。その行き着く先にある暗く厳しい海。複雑な海岸線。

 デヴォン郊外、とプログラムにあった。
 調べてみたけど、手持ちの地図では見つからなかった。
 

『素肌の涙』
1998年 イギリス映画 100分
監督/ティム・ロス 原作・脚本/アレキサンダー・ステュアート“THE WAR ZONE” 製作/サラ・ラドクリフ、ディキシー・リンダー 製作総指揮/エリック・エイブラハム
出演/レイ・ウィンストン、ララ・ベルモント、フレディ・カンリフ、ティルダ・スウィントンほか


2000.09.13
『河童が覗いたヨーロッパ』を読み終えた。

 「あ、私と同じ!」。

 細密イラスト付き、文字も含めて全ページ手描きによるヨーロッパの旅のルポ。
 とても有名な本なのだろうが、恥ずかしながら河童さんの著書を手に取ったのは今回が初めてだったので、上記のような感想を臆面もなく抱いてしまった。

 で、何を「同じ」と思ったかというと、まずは旅のスタイルの好み。

 宿はやっぱり現地調達が基本、なのだ。
 シャワー、トイレ付きでなかろうが、多少狭かろうが、そんなことは二の次、二の次。
 安くて、清潔で、味のある部屋ならオッケー。それに加えてオーナーがとても親切だったりなんかしたらもう、大満足!
 河童さんと同様に、私も旅先での格安宿探しが大好きだ。

 宿探し宿巡りが好きならば、その宿を記録するのもやはり好きで、実際、私もあるものをノートに描きためてきた。
 これが河童さんと「同じ」のその2で、描きためてきたあるものとは、泊まった部屋の見取り図である。

 見取り図はイイよ。
 なんとか宿を記録しようと、室内では写真もたくさん撮るけれども、壁があって天井もある部屋全体を一枚に収めるなんてことはしょせん無理。
 そこで見取り図の登場となる。
 スパッと部屋を輪切りにし真上から眺めたつもりで、壁、ドア、窓、ベッド、机、椅子、洗面台などを紙の上にひとつずつ置いていく。目に付いた色や形や構造、感触などは、図の内外にこちょこちょとメモ。
 こうしてできあがった部屋の見取り図は、自分向けの、かなり嬉しい土産になったりするんだなぁ。

 見取り図の他にも私は、これまた河童さんと同じように列車内をスケッチしたり、その日の食事メニューを絵にしたりする。
 もっとも、本職の河童さんとは大きく違って、何を描いても私の図や絵はどれもこれも下手で雑なんだけれどね。

 実は近々、またヨーロッパをふらふらと旅する予定。
 河童さんに刺激され、今度の旅ではせめてもう少しマシな図や絵を持ち帰ってこようと思っている。
 

新潮文庫『河童が覗いたヨーロッパ』
著/妹尾河童 発行/新潮社
1976年7月25日発行 ¥590 ISBN4-10-131101-3


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