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2001.03.12
『月の本』を読み終えた。

 未読の本を整理してたら出てきた。
 いつ買ったのか記憶にない。
 ま、よくあることだが、こういうときには決まって拾い物をしたような気分になる。得した、ラッキー!ってね。よくよく考えれば、自分で買ったものなのにね。

 それはさておき、この一冊は「月」のガイド・ブック。
 林 完次さんによる写真をメインに、そのほか文学、美術、天文学、社会学、人類学など、さまざまな切り口から眺めた「月」で全ページが埋め尽くされている。

 読み物としてもまぁ面白かったけれど、林さんの本の最たる魅力はやっぱり美しい写真にあって、文章を読むのと同じくらいの時間をかけてじっくりと写真の数々を眺めさせてもらった。

 月はいいねぇ。
 気高くて、冷たそうで、美しくて。
 

『月の本 [perfect guide to the MOON] 』
写真/林 完次 文/林 望、小笠原邦彦、林 完次、竹内 均、高山 宏 発行/光琳社出版
1997年12月6日初版発行 ¥3200 ISBN4-7713-0242-1


2001.03.08
『高畠華宵・美少年図鑑』を読み終えた。

 大正から昭和初期にかけて活躍した挿し絵画家、高畠華宵の作品の中より「少年」を描いたものを集めて編まれた本。

 高畠華宵の絵は躍動感に溢れたものほどなぜか色気がある。
 だから楚々とした「少女」の画より、動きのある「少年」の画のほうがより魅力的だと私には思える。
 雄々しく刀を振りかざす若き剣士たちの、ああ、なんてエロティックなことか!
 

『高畠華宵・美少年図鑑』
編/コロナ・ブックス編集部 発行/平凡社
2001年2月7日初版第1刷発行 ¥1524 ISBN4-582-63388-9


2001.03.07
『YASHA 夜叉』第9巻を読んだ。

 シン・スウ・リンの登場で、ああ『バナナフィッシュ』はまだ続いているんだな、と思う。
 そっか、月龍は暗殺されちゃったのか……。
 そのあたりの詳しい話がいずれ作品化されたりなんかすると嬉しいな。
 

別コミフラワーコミックス『YASHA 夜叉』第9巻
著/吉田秋生 発行/小学館
2001年3月20日初版第1刷発行 ¥390 ISBN4-09-138029-8


2001.03.07
『HUNTER×HUNTER』第11巻を読んだ。

 とても長い物語になりそう。
 

ジャンプ・コミックス『HUNTER×HUNTER』第11巻(NO.11 9月4日)
著/冨樫義博 発行/集英社
2001年3月7日第1刷発行 ¥390 ISBN4-08-873087-9


2001.03.07
『江戸の道楽』を読み終えた。

 江戸町人の道楽のさまを教えてくれる本。
 ここで取り上げられた道楽は主に「園芸」「釣り」「学問・文芸」。

 気もそぞろに読んじゃった。
 ほとんど頭に入らなかった。
 

講談社選書メチエ『江戸の道楽』
著/棚橋正博 発行/講談社
1999年7月10日第1刷発行 ¥1500 ISBN4-06-258161-2


2001.02.16
東京都庭園美術館で『ポスター芸術の革命 ロシア・アヴァンギャルド展/ステンベルク兄弟を中心に』を観た。

 20世紀初頭に誕生し1917年のロシア革命を契機に花開いたロシアの前衛芸術の中から、グラフィックの作品を集めて展示した催し。ニューヨークのMOMAで好評を博し、欧米を巡回して日本にもやってきた。
 
 いやぁ、カッコイイ…。
 ピカイチはやはり、この展覧会の目玉でもある、ステンベルク兄弟による映画ポスターの数々だった。
 大胆なアングル。斬新な構図。シンプルだが効果的な色使い。
 70年以上も前の作品だというのに、今の世の中に溢れまくっている何のどんなポスターよりも、ちくしょー、新しくてカッコイイじゃんよぉ。
 ああ素敵!

 なお今回の貴重な展示品はすべて、ポスター・コレクターとして知られる、「BA-TSU」の松本瑠樹氏のコレクションだそう。
 保存状態がよかったことも「新しい」と感じた要因か。
 こんなカッコイイものを苦労して集めて公開してくださった松本氏にも、ぜひ感謝しなくちゃね。
 

『ポスター芸術の革命 ロシア・アヴァンギャルド展/ステンベルク兄弟を中心に』
2001年2月10日〜4月1日 東京都庭園美術館
主催/(財)東京都歴史文化財団・東京都庭園美術館・NHKプロモーション 共催/東京2000年祭実行委員会 後援/東京都 協賛/戸田建設・東芝 協力/東急グループ 特別協力/オールファッションアート研究所・松本瑠樹コレクション


2001.02.07
『追悼の達人』を読み終えた。

 明治・大正・昭和の文学者の中から49名を選出。彼らが死んだときに誰がどこにどのような追悼文を書いたかを、調べて集めてまとめた一冊。

 「弔辞」集ならまだしも、「追悼文」集とは恐れ入る。
 だって並みの数じゃなかろうに。有名な文士が死ねば、あっちの新聞、こっちの新聞、あれこれ雑誌にも、追悼文がいくつも載る。それらを全部、ひっくり返して読まれたのか。すごいな、嵐山光三郎さん。

 その嵐山さんの「あとがき」によれば、
「追悼はナマの感情が出る。新聞に依頼されれば一晩で書くし、文芸誌ならば頼まれてから二、三日で仕上げる。人が死ぬのは突然だから、書く側はまだ心がうち震えており、生前の記憶が強く残っている。それで、心情をナマのまま書く。私が追悼に目をつけたのはそのためで、追悼には本心が出る」
のだそう。

 「追悼には本心が出る」。そのとおりだった。
 「惜しい人を亡くしました、哀しいです」ばかりではなく、追悼の形を借りて、ここぞとばかりに死者を批判している文も全然珍しくないんだな、これが。
 そんなのを目にするにつけ、追悼される側にとっちゃ甚だ不愉快、墓の下で地団駄踏んでいるに違いないと想像しつつも、愛憎うずまく当時文壇の裏世界を垣間見せてもらったような気がして、楽しかった。

 約450頁。寝酒よろしく、毎晩ちびりちびりと読んだよ。
 美味しい本だったな。ごちそうさまでした、嵐山さん。
 

『追悼の達人』
著/嵐山光三郎 発行/新潮社
1999年12月15日発行 ¥1700 ISBN4-10-360105-5


2001.02.06
『世界人名ものがたり──名前でみるヨーロッパ文化』を読み終えた。

 ヨーロッパ人の伝統的な名前の語源と由来を辿ってみましょう、という本。

 そっか、なるほど。ジョンはヨハネ(Jhon)にあやかった名前で、マシューはマタイ(Matthew)、マークはマルコ(Mark)、ピーターはペテロ(Peter)、スティーヴンはステパノ(Stephen)、メアリーはマリア(Mary)なのね。
 人気者・洗礼者ヨハネ(Jhon)を源として広まったジョン(Jhon)の仲間には、フランスのジャン(Jean)、イタリアのジョヴァンニ(Giovanni)、スペインのファン(Juan)、ドイツのヨハン(Johann)やイアン(Jan)、スコットランドのショーン(Sean)、アイルランドのシャーン(Sean)、ハンガリーのヤーノシュ(Janos)、ロシアのイワン(Ivan)などがいるんだ。ふーん。

 案の定、ヨーロッパ人の名の多くはキリスト教の影響下にあって、福音者、使徒、殉教者などの名前からとられたり、そこからの変化だったりするみたい。でもそれら素となる人物の名をさらに遡れば、そこにギリシア神話が横たわっていたりするから面白い。
 聖人や十字軍の英雄にあやかって流行った、ヘレナ(Helena)、アレクサンダー(Alexsander)、ニコラス(Nicholas)、フィリップ(Philip)、ジョージ(George)なんてのもギリシア語起源の名前なんだって。
 ゲルマン語起源ってのも多いな。国王の伝統的な名前、ルイ(Louis)、チャールズ(Charles)、ヘンリー(Henry)、エドワード(Edward)、ウィリアム(William)、ロバート(Robert)なんかはみなゲルマン語に由来するものだそう。

 確かに、その名前がどこから来て、いつどうやって広まって今に至ったのかってのは、なかなか興味をそそる話だよね。名前の持つ意味やイメージばかりではなく、もっとほかにもいろんなことが発見できそう。実際、ひとつの名前の歴史を追っているうちに、ふいに時代の大きなうねりに出くわしたりなどして、何度かハッとさせられたよ、読みながら。
 まあしかし、この本はヨーロッパ人の名前だから成り立っているんだろうな、きっと。翻って日本の人名だったら、こうはいくまいと思った。

 だいたい、日本の伝統的な名前って何だ? ヨーロッパと同じように、千年、2千年の歴史を持つ人名ってのが、いったいどのくらいあるんだろう?
 聞くところによると、日本は人名の種類の多さにかけては世界一なんだって。そういえば、最近の赤ちゃんの名前なんて、めちゃくちゃバラエティに富んでるもんなぁ。今日も明日もどこかで、今までにないまったく新たな名前がおぎゃーと誕生しちゃあ、増えるワケだよ、日本の人名。
 こんなふうに好き勝手に名前を作る風習がいつごろからあったのかは知らないけれど、多分今に始まったことじゃなく、その時代には一般的と思われたどんな名も時の流れの中で次々と廃れていく様子から察するに、日本人は太古より名前を作り続けてきたんじゃないかと思う。
 だから、この本のように現存するいくつかの名前だけを取り上げても、そこから日本の文化や歴史の流れを浮かび上がらせることは困難に違いない。もし浮かび上がらせたいなら、むしろ消えていった名前を拾い集めて時系列でつなげるのが最も手っ取り早いと考えるがどうだろう。「日本人の名前の変遷」(仮)……う〜ん。どーかなぁ。
 

講談社現代新書『世界人名ものがたり──名前でみるヨーロッパ文化』
著/梅田 修 発行/講談社
1999年1月20日第1刷発行 ¥660 ISBN4-06-149437-6


2001.01.29
新宿東映で『頭文字[イニシャル] D Third Stage』を観た。

 3D CG 映像の出来が見事で、臨場感たっぷりに仕上がったバトル・シーンには身じろぎひとつせず見入っちゃったよ。

 純な恋愛ものが苦手な私にとって、なつきとのラヴ・ストーリーは鬱陶しいかぎりだったけれど、ま、それでも、拓海くんの走りを迫力ある大スクリーンで堪能することができたから、よしとしましょう。
 うん。よかった。

 そっか、拓海くん、プロを目指すのか。
 OK、OK。これからもガンガン走ってください。
 

『頭文字[イニシャル] D Third Stage』
2001年 日本映画
原作/しげの秀一(講談社「週刊ヤングマガジン」連載) 脚本/戸田博史、岸間信明 キャラクターデザイン・作画監督/佐藤和巳 CG監督/長尾聡浩 音楽監督/三間雅文 監督/山口史嗣 監修/土屋圭一・ホットバージョン編集部 制作/パステル 製作/トゥーマックス・オービー企画 配給/東映
出演(声)/三木眞一郎、石塚運昇、岩田光央、川澄綾子、子安武人、関 智一ほか


2001.01.23
『蟲師(むしし)』第1巻を読んだ。

 アフタヌーン・シーズン増刊に連載されている作品。
 「ゲゲゲの鬼太郎」における妖怪を「蟲(むし)」に、妖怪退治の鬼太郎を「蟲師・ギンコ」に置き換えたような物語、という説明ではいかがだろう。「ゲゲゲの鬼太郎」ほどおどろおどろしていないが、この2作品の間の距離はそう遠くはないと思うぞ。

 シリーズ化の発端となった四季大賞受賞のデビュー作「瞼の光」(「蟲師」より改題)を含む収録5編を、私は全部、雑誌上ですでに読んでいる。読みながら単行本化を心待ちにしていた。
 ザラッとした質感の絵も、旅をしながら蟲絡み事件を知恵と好奇心で次々と解決していく主人公・ギンコのキャラクターも、とても魅力的。
 舞台となる時代については作者本人も特定せずに描いているらしいが、明治・大正あたりにはきっとあったに違いないと思わせる日本の景色もまた素敵だ。

 「およそ遠しとされしもの 下等で奇怪 見慣れた動植物とはまるで違うとおぼしきモノ達 それら異形の一群を ヒトは古くから畏れを含み いつしか総じて『蟲』と呼んだ」(『蟲師』冒頭ページより)。

 作者によれば、「蟲」とは作者が生み出した「妖怪のいち形態」なのだそうで、つまりはすべて作り物なのだけれど、人も自然も蟲も共存共棲するこの物語世界のまるごとを、どこか懐かしいと私は感じている。実際には見たことないくせに、それでもいつかこの目で見たような気がすると、ぼんやりだが、なぜだか感じる。
 なぜだろうと考えて、もしかしたらこれってDNAに刻まれた記憶が呼び覚まされているからなんじゃないかな、なんて思った。
 私たちのご先祖さまは、ちょっと前まではこの物語に似た世界を生きていたはず。自然とも異形のモノとも、とても上手に付き合って暮らしていたんだ。
 私の血に残るそのころの記憶が、今の私に「ああ、懐かしい」と感じさせてくれているのかもしれない。
 

アフタヌーンKC『蟲師』第1巻
著/漆原友紀 発行/講談社
2000年12月22日第1刷発行 ¥533 ISBN4-06-314255-8


2001.01.23
『無限の住人』第11巻を読んだ。

 やった!! 凶(まがつ)が表紙だ! 嬉しい!
 凶の、尸良(しら)との死闘の場面がたっぷり100ページ以上も読めるこの巻は、私にとってはかなり美味しい。主人公・卍(まんじ)さんに次いで、私はこの凶がお気に入りなのだ。

 それはそうと、レジンキャストキットに続き、卍さんの1/6サイズ・アクションフィギュアも発売されるらしい。
 誰か私にプレゼントしてくれないかなぁ。
 

アフタヌーンKC『無限の住人』第11巻
著/沙村広明 発行/講談社
2001年1月23日第1刷発行 ¥505 ISBN4-06-314259-0


2001.01.14
『神様の名前』を読んだ。

 多田由美さんの最新単行本。8つの短編を収録。

 骨好きの私にとって多田さんの絵にはたまらんモノがあったりする。
 骨そのものが描かれているわけではないけれど、見てわかる。多田さんの描く人物にはきちんと骨が通っている。そしてそれは実際のヒトの骨格の形や動きに忠実だ。

 うまいなぁ、と思う。羨ましいなぁ、と思う。
 頑張れば私もいつか、ヒトの骨格の複雑で美しいフォルムを捕らえることができるのだろうか。多田さんのように。
 

『神様の名前』
著/多田由美 発行/美術出版社
2000年12月10日初版第1刷発行 ¥1300 ISBN4-568-73016-3


2000.12.24
『ホメロスを楽しむために』を読み終えた。

 ギリシア神話を知るためには読むべし、とされている古典がいくつかあるらしい。
 ヘシオドスの「神統記」、ホメロスの「イリアス物語」と「オデュッセイア物語」、古代ギリシアの三大悲劇作家アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスの戯曲など。

 ギリシア神話は知りたいが、しかし、古代文献を繙くほどの気力は今の私にはとてもない。
 本屋でホメロスの翻訳本を見つけたものの、開いてすぐに閉じてしまった。分厚い。たるそう。きっと無理。読み切れまい。
 もとより私は根性なしだからね。

 さりとて、やはり知りたいので、根性なしも根性なしなりの努力はするのだ。
 ホメロスの代わりに買ったのがこれ。
 『ホメロスを楽しむために』。

 まったく阿刀田 高氏は名ガイドさんだね。
 400ページ足らずの文庫本一冊で、ホメロスの長大な叙事詩2作を読み知った気になったよ。
 

新潮文庫『ホメロスを楽しむために』
著/阿刀田 高 発行/新潮社
2000年11月1日発行 ¥552 ISBN4-10-125524-5


2000.12.19
新宿アカデミー劇場で『バトル・ロワイアル』を観た。

 あたりまえの話だが、活字で読むより遥かにスピーディーに展開するので、わぁ!ダイジェスト版を観ているみたいだ、なんて思ってしまった。
 いや、ダイジェスト版ってのは間違いか。凝縮版かな。おかげで心臓バクバクしっぱなしだったよ。

 感動も覚えたよ。ストーリーそのもの以上に、出演している若い役者たちに対して泣けた。
 誰も彼も体当たりのいい演技を見せてくれているんだ。

 それだけに、某代議士による「つまらなかったので、途中居眠りをした」云々のコメントが腹立たしく思い出された。
 過激な内容に関して賛否両論あるのは仕方ないと思うんだけれどね、内容だけにしか目を向けず「駄作」と一蹴するような態度はなんだか許し難いよ。
 それって、あんまりじゃん。スクリーンいっぱいの迫真の演技を見てなかったの? じゃあ役者の存在は何? 忘れてもらっちゃ困る。出演者の大部分も実際に、みんなが気にかけている「少年少女」たちなんだけどなー。

 ホント、生徒役の誰も彼もが驚くほど良かったんだ。
 もうそれだけで、わたしゃこの映画に拍手を送りたい気分でいっぱいだよ。
 

『バトル・ロワイアル』
2000年 日本映画 113分
監督/深作欣二 原作/高見広春 製作/バトル・ロワイアル製作委員会 配給/東映
出演/藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗原千明、柴咲コウ、安藤政信、ビートたけし、ほか


2000.12.11
『ギリシア神話を知っていますか』を読み終えた。

 旅から持ち帰った宿題、その2が「ギリシア神話」だったので、こんな本を手に取ってみた。
 ちなみにその1は「聖書」で、こちらはすでに自分の中では片付いたことにしてある。登場人物とストーリーはだいたい把握できた、と思う。だからまぁよい、次へ進もう、ってなワケだ。

 さて「ギリシア神話を知っていますか」。
 「知りません」と答える私のような者のために用意されたこの本では、阿刀田 高氏が著名なエピソードを選んで解説してくださっている。
 氏の豊富な知識とわかりやすい語り口に助けられ、とても楽しく読むことができた。
 面白いねぇ、ギリシア神話。

 しかし、まだまだ宿題は終わりそうもない。
 いくつあるか定かでないほどのストーリーと、夥しい数のキャラクターを、全部とは言わないまでも、せめて半分くらいまでは掴みたいな。
 

新潮文庫『ギリシア神話を知っていますか』
著/阿刀田 高 発行/新潮社
1981年6月25日発行 ¥400 ISBN4-10-125504-0


2000.11.26
『古典落語100席』を読み終えた。

 立川志の輔さん選・監修の古典落語入門書。
 100の話を2ページずつコンパクトにまとめて紹介。

 自慢じゃないが、私はまったくといっていいほど落語を知らない。
 知らないくせに言うのもなんだけど、やっぱり落語はまずは見るか聞くかで味わうべきものだと思う。
 

PHP文庫『滑稽・人情・艶笑・怪談……古典落語100席』
選・監修/立川志の輔 編/PHP研究所 発行/PHP研究所
1997年11月18日第1版第1刷発行 ¥495 ISBN4-569-57080-1


2000.11.15
『虜囚』を読んだ。

 小野塚カホリさんのホモ・マンガ。

 ヤクザものに、学園ものに、大正デモクラシーもの。
 小野塚さん、守備範囲広いなぁ。
 

June Comics ピアス・シリーズ『虜囚』
著/小野塚カホリ 発行/マガジン・マガジン
2000年11月25日初版発行 ¥619 ISBN4-906011-86-1


2000.11.10
国立西洋美術館で『死の舞踏──中世末期から現代まで デュッセルドルフ大学版画素描コレクションによる』を観た。

 骸骨の姿をした「死」が人間の手を取って踊りに誘う。こういう絵柄を指して「死の舞踏」というのだそう。
 たいていは連作で描かれ、ある絵では若者が、ある絵では老人が、ある絵では子供が、ある絵では農民が、ある絵では商人が、ある絵では聖職者が、ある絵では王様が、それぞれ「死」に「踊ろうよ」と誘われている。
 つまり「死の舞踏」とは、老若男女、身分を問わず、誰しも「死」からは逃れられないこと、万人の前で「死」は平等であることを示した図像だ。

 その「死の舞踏」を中心にヨーロッパ中世末期以来の「死の像」を紹介しようという試みが今回の展覧会。
 小サイズの作品が多く、顔を近付けて観続けるのは骨が折れたが、『名画でみる聖書の世界<新約編>』で「死に憑かれた画家」と紹介されているのを読んで以来、気になっていたホルバイン作の時祷書「死の舞踏」を観られたのが嬉しかった。
 

『死の舞踏──中世末期から現代まで デュッセルドルフ大学版画素描コレクションによる』
2000年10月11日〜12月3日 国立西洋美術館
主催/国立西洋美術館・デュッセルドルフ大学・(財)西洋美術振興財団 後援/ドイツ連邦共和国大使館・東京ドイツ文化センター 協賛/(財)朝日新聞文化財団・(財)花王芸術科学財団 協力/日本航空


2000.11.05
小田急美術館で『ベッティナ・ランス写真展 イエスの生涯──フランスの女性写真家が挑む現代の宗教画』を観た。

 フランスの写真家、ベッティナ・ランスによる現代版「聖書物語」。
 「新約聖書」の中から約100の場面を選び、それを現代社会に再現したのだそう。
 イエスは馬小屋ではなく駐車場で生まれ、イエスの門下たちはミュージシャン……といった具合。

 250人以上の俳優、モデル、学生たちを動員して2年がかりで撮ったそうだが、ファッション写真や広告写真なども手掛けるランスの写真は、さすがハイセンスでファッショナブル。
 あぁプロの仕事だなぁと思った。

 それはともかく。
 『名画でみる聖書の世界<新約編>』を読んで聖書に関する知識を得たばかりの私。以前なら「?」であっただろう絵柄も、誰が何をしているシーンなのかがすぐわかったよ。
 成果のほどはバッチリだったってわけだ。
 嬉しいねぇ。
 

『ベッティナ・ランス写真展 イエスの生涯──フランスの女性写真家が挑む現代の宗教画』
2000年10月18日〜11月6日 小田急美術館
主催/PPS通信社・日本テレビ 後援/フランス大使館・(社)日本写真協会・日本写真家協会・(社)日本広告写真協会


2000.11.02
『HUNTER×HUNTER』第10巻を読んだ。

 ゴンとキルア。小さい2人の友情がいつまでも続いてくれたらな、と願っている。
 しかし、私が予想するに、いずれこの2人はやむを得ない理由で対峙することになるんじゃないだろーか。
 たいした根拠はない。
 そのほうが、ストーリーが盛り上がりそうだから。
 

ジャンプ・コミックス『HUNTER×HUNTER』第10巻(NO.10 9月3日)
著/冨樫義博 発行/集英社
2000年11月7日第1刷発行 ¥390 ISBN4-08-873021-6


2000.10.31
『名画でみる聖書の世界<新約編>』を読み終えた。

 旅先でたくさんの絵を観た。
 近代より前のヨーロッパ絵画はその大半がキリスト教を題材にしたものだ。どこの美術館に行っても当然、イエス様やマリア様や多くの聖人たちに出会うことになる。
 しかし哀しいかな、私は聖書の物語を知らない。
 知らないので、一部の場面や登場人物を除けば、その絵に描かれている人がどんな人で何をしているところなのか、さっぱり「?」だった。

 そこで帰国後、本屋に飛び込み見つけたのがこの本。
 「受胎告知」から「最後の審判」まで、場面ごとに名画を集め、それぞれ解説を施してくれている。一冊読めば「新約聖書」が実際にどのような物語なのかを理解できる仕組み。

 いやー、もうめちゃ嬉しかったよ。
 何がって、聖書の内容そのものもさることながら、それを題材にした名画を読み解く方法を知り得たことがね。

 そう、この本は聖書の解説書であると同時に「キリスト教絵画鑑賞の手引き」としても大いに役立つ一冊。各作品の鑑賞ポイントや画家の横顔などにもこと細かく触れられている点が実にありがたかった。

 イエスはユダヤ人で中東の人、聖書の舞台ももちろん中東、なのに名画の中ではそれがヨーロッパ人、ヨーロッパの景色に置き換わっている、とか。
 カラヴァッジオなら少年の裸身、パティニールなら風景、といった具合に、聖書の一場面を描くことを口実にして実は趣味を全開させた名画がかなり多く存在する、とか。
 著者・西岡氏による例えばそういうユニークな指摘に従って作品を観てみれば、なるほど確かにそのとおりで、随所において「おおっ!」ってな声を上げたくなったぞ。
 驚きと発見の連続。おかげでキリスト教絵画の見方がすっかり変わったね。
 ああ、ちくしょう。これまでの私は解読法も知らずに暗号文をただ眺めていたようなものだったんだな。

 ところで、思えば聖書って元は「書物」なんだよね。
 「書物」の絵画化っつーことで、小説系同人誌マンガが思い浮かんだんだけれど、描き手独自の解釈とイマジネーションが多様な作品を生み出していく点で、この2つは似ているんじゃないかな。
 うん、キリスト教絵画は一種の同人誌だと言えなくもない。
 もっとも聖書ほど膨大に、世界規模で同人誌化されている「ネタ本」は探しても他にはないと思うけど。
 

KODANSHA SOPHIA BOOKS『名画でみる聖書の世界<新約編>』
著/西岡文彦 発行/講談社
2000年10月15日第1刷発行 ¥1600 ISBN4-06-269124-8


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