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2002.11.27
『江戸東京物語 山の手篇』を読み終えた。

 町名の由来だとか、ちょっと昔あるいはかなり昔の通りの様子だとか、その土地縁りの著名人のエピソードだとかをコンパクトにまとめたコラムが101。
 それぞれにカラーのイラストか写真が添えられ、さらに散歩用の地図やガイドも用意されてて、こりゃーお買い得、と思ったね。

 本書のほかに『都心篇』『下町篇』もあったが、それらを買わずに『山の手篇』を選んだのは、馴染みの土地が最も多く載っていたから。

 知ってる場所の知らなかった一面を知る。
 「へぇ」「ふうん」「そーだったのか〜」の連続で、楽しかった。
 

新潮文庫『江戸東京物語 山の手篇』
編/新潮社 発行/新潮社
2002年5月1日発行 ¥781 ISBN4-10-120827-1


2002.11.16
東京都美術館で『第34回 日展』を観た。

 美術館めぐりのついでに入った、でっかい美術展覧会。
 とにかく展示数が多くて、まいった。

 洋画、日本画の数百点を観て回っているうちに、もうごちそうさま、吐きそうってな気分になったよ。
 色にあたったのかな。
 逃げるようにして入った書の部屋の、白と黒の世界がなんと愛おしく思えたことか!
 もっとも、その書も、数百点はやはり多すぎ。

 疲れた。
 

『第34回 日展』(東京会場)
2002年11月2日〜11月24日 東京都美術館
主催/社団法人 日展


2002.11.16
東京都美術館で『生誕400年記念 江戸絵画の巨匠「狩野探幽」展』を観た。

 京都・二条城の大広間から持ってこられた「松鷹図」の迫力に圧倒された。
 カッコイイ!

 語彙が貧困だから「カッコイイ!」だなんてありきたりの言葉しか浮かばなかったけれど、しかしここでハタと気付く。
 私がパッと見で「カッコイイ!」と思う作品は、いつだって決まって日本画なんだな。

 いや、西洋絵画の中にも「カッコイイ!」と思った作品はあったかもしれない。
 あったかもしれないが、あったとしたら、それは多分に日本画的な作品だろう。

 余分なものをバッサリ切り捨てる潔さ。
 それを目の当たりにしたとき、私は咄嗟に「カッコイイ!」と思ってしまうようだ。

 展示されていた「松鷹図」には、どデカイ松の枝と、どデカイ鷹、ただそれだけしか描かれていなかった。
 当然のように、堂々と、ただそれだけしか描かれていなかった。
 ああ、なんてカッコイイ!
 

『生誕400年記念 江戸絵画の巨匠「狩野探幽」展』
2002年10月19日〜12月8日 東京都美術館
主催/東京都美術館・日本経済新聞社・テレビ東京 特別協賛/凸版印刷 協賛/日本郵船・三菱商事 特別協力/旭硝子 後援/江戸幕府400年事業推進協議会


2002.11.16
東京藝術大学大学美術館で『ウィーン美術史美術館名品展〜ルネサンスからバロックへ〜』を観た。

 ウィーン美術史美術館から65作家81作品が来日。
 栄華を極めたハプスブルク家のコレクションはさすが、名品揃いだ。

 アルチンボルドのグロテスクな肖像画に巧みな構成力を見て驚き、幼い王子や王女を描いたベラスケスの作品では肌や着衣の質感の見事な再現に唸らされ、デューラーが旅先で残したとされる女性の肖像の板絵にはその向こうに彼の澱みのない視線を感じた。

 こういう見応えのある作品がこれでもかっつーくらい豊富に展示されてるのか、ウィーン美術史美術館には。
 行ってみてぇな。
 

『ウィーン美術史美術館名品展〜ルネサンスからバロックへ〜』
2002年10月5日〜12月23日 東京藝術大学大学美術館
主催/東京藝術大学・NHK・NHKプロモーション 後援/外務省・オーストリア大使館 協力/ANA・NCA


2002.11.16
国立西洋美術館で『ウィンスロップ・コレクション〜フォッグ美術館所蔵19世紀イギリス・フランス絵画』を観た。

 ハーヴァード大学のフォッグ美術館よりウィンスロップ・コレクションがやってきた。館外に貸し出されるのは今回が初めてだといい、東京を皮切りにパリ、ロンドン、NYを巡回するらしい。
 バーン=ジョーンズ、ロセッティ、ビアズリー、ブレイク、アングル、ワッツらの幻想的、神秘的な作品がメインである。
 出展数が少なく、やや物足りなさが残ったものの、まあそこそこ楽しめた。ラファエル前派やロマン主義は、決して嫌いじゃない。

 最も印象に残ったのは、モローの「出現」。
 見覚えのある絵だが、初めてお目にかかった実物のサイズに驚いた。
 うわっ、小さい!
 小さいけれど、しかし、ヨハネの生首が血を滴らせながら宙に浮くこの絵は、やはり強烈なインパクトを与えてくれる作品だった。

 さてこれは家に帰ってから気づいたことだが、見覚えありと思っていた「出現」は、今日観た「出現」とは実は別の絵だった。
 大まかな構図はほとんど同じだけれど、手持ちの本に載っている「出現」はパリのモロー美術館所蔵のもので、絢爛さに欠けたところを見るとあるいは習作だろうか、ともかく明らかに違う作品だ。
 そっか、モローには少なくとも2つの「出現」があるのね。
 ほかにももっとあるのかな。
 

『ウィンスロップ・コレクション〜フォッグ美術館所蔵19世紀イギリス・フランス絵画』
2002年9月14日〜12月8日 国立西洋美術館
主催/国立西洋美術館・東京新聞・ハーヴァード大学付属フォッグ美術館 後援/外務省・文化庁・アメリカ大使館・フランス大使館・ブリティッシュカウンシル・東京都・神奈川、埼玉、千葉各県教育委員会 協力/西洋美術振興財団 協賛/昭和シェル石油


2002.10.31
赤坂ACTシアターで『エレファント・マン』を観た。

 “象人間”の奇怪な姿を、藤原竜也くんが裸で表現するという。
 どんなものなのだろうと想像すらできずにいたが、観てなるほどと思った。

 藤原くんは半裸または全裸で終始右肩を上げたままだった。
 というか右肩を上げているに過ぎないのだが、それだけで彼の身体が畸形に見えた。
 特に背側から眺めると、左右のバランスを崩されて不自然に歪んだ背骨と肩甲骨が、いかにも畸形チックだった。
 そうか、これは骨格のマジック。
 “象人間”を表現するのに骨の歪みを利用するため、だから服を着けたら意味がない、裸でなきゃダメなんだ。
 納得。感心。

 ときおり冗長な台詞があったりして、劇自体は実はあんまり好みじゃなかったけれど、藤原くんの裸体は堪能させてもらったので、ま、それだけでもありがたい作品だったと思うことにする。
 

『エレファント・マン』
2002年10月23日〜11月6日(東京公演) 赤坂ACTシアター
作/バーナード・ポメランス 翻訳/山崎正和 演出/宮田慶子 企画制作/ホリプロ
出演/藤原竜也・小島 聖・今井朋彦・小市慢太郎・腹筋善之介・湯澤幸一郎・大森 博・湯浅 実


2002.10.26
『遠藤浩輝短編集』第2巻を読んだ。

 予定より約1年遅れて届いた短編集。
 収録の「Hang」という作品内での性行為の描写をめぐって、作者と編集側との間にどうやら葛藤があったらしく、それで発売が大幅に延びた模様。

 結局原稿には修正が加えられた。
 幸いにも初出(アフタヌーンシーズン増刊No.6掲載)が手元に残っていたので、どこがどう手直しされたのかを、興味本位でチェックしてみた。

 リアルなセックスシーンは残されている。
 けれど、ヘアと性器が消えてるねー。

 ふうん。
 セックス描写はOKでもヘアと性器は描いちゃダメなのか。
 青年マンガ作品における「倫理」の境界線を見せてもらった気がするよ。
 その線引きの根拠となると、その点は実のところ私にはさっぱりなのだけれどね。
 

アフタヌーンKC『遠藤浩輝短編集』第2巻
著/遠藤浩輝 発行/講談社
2002年9月20日第1刷発行 ¥514 ISBN4-06-314275-2


2002.10.12
『ジョルナダ』を読んだ。

 小野塚さんの最新短編集。

 恋愛マンガの楽しみ方が、いまだにわからなかったりする私…。
 

『ジョルナダ』
著/小野塚カホリ 発行/祥伝社
2002年10月15日初版第1刷発行 ¥933 ISBN4-396-76287-9


2002.10.12
『HUNTER×HUNTER』第15巻を読んだ。

 成長著しいガキんちょ2人組、ゴンとキルアに、親のような心持ちで声援を送る。
 これって母性? いや父性?
 ま、どっちでもいいけどさ。

 もっともっと強くなれ。
 

ジャンプ・コミックス『HUNTER×HUNTER』第15巻(NO.15 躍進)
著/冨樫義博 発行/集英社
2002年10月9日第1刷発行 ¥390 ISBN4-08-873314-2


2002.10.11
東京都現代美術館で『横尾忠則 森羅万象』展を観た。

 横尾忠則の活動の全貌を紹介する大規模な回顧展。

 エロスだったり、三島由紀夫だったり、渦だったり、滝だったり。
 芸術家を芸術家たらしめるものは、偏執狂じみた執着心なのかも。

 三叉路への執着によって生み出された絵画「Y字路シリーズ」の、最近の作品群が私は好きだよ。
 

『横尾忠則 森羅万象』
2002年8月10日〜10月27日 東京都現代美術館
主催/東京都歴史文化財団・東京都現代美術館・朝日新聞社


2002.10.04
『巷のドイツ語』を読み終えた。

 ドイツ語会話のレッスンに通い始めてから1年が経とうとしているのに、ちーっとも上達してないんだよなぁ、これが。いまだに初心者レベルの域をウロウロモタモタしている。
 差し迫った理由があって始めたわけじゃないから、別に上達しなくたって構わないといえば構わない。構わないのだけれど、そうやって開き直ってダラダラと惰性に身を任せてしまうのが私の悪いクセで、ああこうして私はまた時間と金を浪費し続けるのね、などと考えたらさすがに面白くなかったので、んじゃまぁちょっとは精進しましょかーと思い立って本屋に入り、ドイツ語学習書コーナーで見つけたのが、すなわちこの文庫本。

 “著者の豊かな滞独体験と長い教授生活から拾ったドイツ語に関する興味ある話を集めて”編まれた一冊で、中を開くと、ドイツでの日常において頻繁に使われているのであろう単語やら文やらが、「台所」「喫茶店」「コーヒー」「ビール」といったテーマごとに紹介されている。

 精進しましょかーと選んだんだ。本来なら、私の強い味方になるはずの本だった。
 でも残念! てゆーか私ってバカ。
 ただただ読み進めちゃったよ。一語ずつ、一文ずつをしっかりと頭に叩き入れながら読むべきところを。
 単語も文も右から左、だ。読んだそばから忘れてしまった。
 私の脱・独語初心者レベルの日はまだ遠い。

 それはそうと、この本、おニューで買ったのに中身古すぎ。
 恐らく書店買い取り扱いで返品もできず、長い間売れ残ったまま置かれていたんだろうね。
 読み始めてほどなく違和感を覚え、奥付見たら、初版昭和36年だって。私が手にした第5版でも昭和58年発行だよ、なんと!

 はしがきによれば、「新しいことば、いや一般に生きたことばは辞書や教科書にはなくて生活の中にある。巷にある。」のだそう。だからこそ著者は、生きたことばを伝えようと、わざわざペンを執ってドイツの巷とそこでのことばを書いてくださったわけだが、それがまさかン十年後に読まれるなんてことは夢にも思ってらっしゃらなかったに違いない。

 時おり古ぼけた日本語に出会えるこの本に記されたドイツ語のすべてが、果たして現在でも生活の中で元気で生き続けているのかどうか、甚だ怪しい。
 

大学書林語学文庫『巷のドイツ語』
著/植田敏郎 発行/大学書林
1961年1月5日第1版発行 ¥1000


2002.09.27
三井文庫別館で『館蔵 絵画名品展』を観た。

 散歩がてらにぶらり立ち寄った。
 雨の日。わずかひと間の小さなギャラリー。客は3人。私と、あとは熟年カップル。
 静かで、そしてなんとなく厳か。
 こういう雰囲気、けっこう幸せ。

 さて中身。
 三井家所蔵の名画の展示とのことだが、今回観ることができたのは前期分の20点。
 所蔵品の中で最も価値ありとされる、円山応挙「国宝 雪松図屏風」は、残念ながら後期分20点のリストに含まれていて拝めなかった。
 まあ、それでも、ちょっとした収穫はあったよ。

 円山応挙の「破墨山水図(溌墨山水図)」とかいう水墨画の大胆な筆遣いと、清の画家・沈南蘋による「花鳥動物図」の鮮やかな葉の緑が、印象に残った。
 

『館蔵 絵画名品展』
前期:2002年9月14日〜10月20日 後期:2002年10月23日〜11月24日 財団法人 三井文庫別館


2002.08.24
『YASHA 夜叉』第12巻を読んだ。

 書店で帯のコピーを見て驚いた。
 「堂々完結 !! 」
 えっ、ウソ?! もう終わり?
 もっと長い長い物語になると思ってたよ。すっかり読みが外れちまった。
 が、そんなことはまあいい。

 泣けた!
 大泣きした。

 この結末 !!
 ああやはり、お見事だわー、吉田さん。
 

フラワーコミックス『YASHA 夜叉』第12巻
著/吉田秋生 発行/小学館
2002年9月20日初版第1刷発行 ¥390 ISBN4-09-138032-8


2002.08.02
『YASHA 夜叉』第11巻を読んだ。

 春に出てたのか。今ごろ購入。

 冷酷な凛を見守る三上の思いが切なくて、涙が出た。
 

別コミフラワーコミックス『YASHA 夜叉』第11巻
著/吉田秋生 発行/小学館
2002年3月20日初版第1刷発行 ¥390 ISBN4-09-138031-X


2002.07.19
『江戸の少年』を読み終えた。

 近世における子供と若者をめぐる社会史的考察、ってのが主題らしい。
 数多の文献の中から少年・少女・青年たちがしでかした事件を引っ張り上げて、当時の彼らの実像になんとか迫ろうとした一冊。

 惰性で読んでしまった。
 

平凡社ライブラリー『江戸の少年』
著/氏家幹人 発行/平凡社
1994年10月15日初版第1刷発行 ¥1165 ISBN4-582-76072-4


2002.06.01
『EDEN』第7巻を読んだ。

 ヤク中の娼婦、抗争に明け暮れるチンピラども、地下で暗躍する役人、反目しあう内務省と警察…。
 SFだけれど、背景はリアル。

 現在を強く意識した。
 

アフタヌーンKC『EDEN』第7巻
著/遠藤浩輝 発行/講談社
2002年5月23日第1刷発行 ¥505 ISBN4-06-314294-9


2002.05.31
国立西洋美術館で『プラド美術館展』を観た。

 ベラスケス、ゴヤ、スルバラン、エル・グレコ…。
 なかなか魅力的なラインナップだったにもかかわらず、ほとんど楽しめなかった。

 混んでる美術館って、キライ。
 

『プラド美術館展』
2002年3月5日〜6月16日 国立西洋美術館
主催/国立西洋美術館・プラド美術館・読売新聞社 後援/外務省・文化庁・スペイン大使館・東京都・神奈川・千葉・埼玉各県教育委員会 協賛/清水建設・トヨタ・KDDI・JR東海・JR西日本・東レ 特別協力/JR東日本 協力/日本航空・日本通運・西洋美術振興財団


2002.05.29
『こうして猫は愛をむさぼる。』を読んだ。

 気力が萎えている時期には、マンガでさえ読むのに骨が折れる。

 恋愛マンガって、いったいどうやって読めばいいんだっけ?
 

『こうして猫は愛をむさぼる。』
著/小野塚カホリ 原作/原田梨花 発行/祥伝社
2002年5月15日初版第1刷発行 ¥876 ISBN4-396-76272-0


2002.04.30
『蟲師(むしし)』第2巻を読んだ。

 アフタヌーン増刊の看板作品。
 相変わらず面白い。

 第1巻がたいそう売れたのだろう。
 この第2巻ではカラーページをカラーで収録。
 にじみやぼかしの効いた、人肌の水彩画が、これまたイイ味なんだよな。
 

アフタヌーンKC『蟲師』第2巻
著/漆原友紀 発行/講談社
2002年2月22日第1刷発行 ¥533 ISBN4-06-314284-1


2002.04.25
『HUNTER×HUNTER』第14巻を読んだ。

 「グリードアイランド」なるRPGの世界の中に飛び込んだ主人公のガキ2人組。
 前途多難。

 それはともかく、冨樫さんって、よほどゲームがお好きなんだな。
 ルール設定が細かい、細かい。
 この「グリーンアイランド」、近く必ず商品化される、とみた。
 

ジャンプ・コミックス『HUNTER×HUNTER』第14巻(NO.14 島の秘密)
著/冨樫義博 発行/集英社
2002年4月9日第1刷発行 ¥390 ISBN4-08-873262-6


2002.04.19
『愛の試み』を読み終えた。

 愛と孤独について綴られたエッセイ集。
 挿話として併録されている掌編小説がなかったら、私にとっては多分退屈きわまりない一冊になっていただろう。

 恋愛?
 ごめん、今はそれどころじゃないのだ、私は。
 ……だったら読むなよ、てか。
 

新潮文庫『愛の試み』
著/福永武彦 発行/新潮社
1975年5月26日発行 ¥324 ISBN4-10-111506-0


2002.04.15
『勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪─ヘミングウェイ全短編2─』を読み終えた。

 面白かったり、面白くなかったり。
 

新潮文庫『勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪─ヘミングウェイ全短編2─』
著/アーネスト・ヘミングウェイ 訳/高見 浩 発行/新潮社
1996年7月1日発行 ¥552 ISBN4-10-210011-3


2002.04.14
ニューオータニ美術館で『広重「名所江戸百景」』展を観た。

 歌川広重の晩年の大シリーズ「名所江戸百景」の全作品、約120点が並んだ。
 愉快、愉快。
 広重の絵はどれを観ても楽しいが、中でもこの「名所江戸百景」は抜群。

 枝の間から梅林を覗き、障子の向こうに女性の気配を感じ、鷹の視線で平野を見下ろす。
 その大胆さは、1世紀半を経てもなお新しい。

 まったくカッコイイよな、広重。
 

『太田記念美術館所蔵 広重「名所江戸百景」』
2002年3月15日〜4月14日 ニューオータニ美術館
主催/ニューオータニ美術館・太田記念美術館 協力/(財)大谷美術館


2002.03.30
浮世絵 太田記念美術館で『暁斎・芳年・年方』展を観た。

 幕末の絵師・歌川国芳の門人たちを取り上げた企画展。
 月岡芳年を目当てに出かけたのだが、規模が小さく、わりと地味な作ばかりで、ちょっとがっかり。

 いや、それでもまるきり収穫がなかったわけではない。
 芳年のいくつかの作品の中。うりざね顔の女性たち。色のない、白無地だと思っていた襦袢の襟に、細かな柄が型押しされているのを見つけた。
 生で観なければきっとずっと気づかずにいたはずの、心憎い凸凹。

 浮世絵の楽しみ方をひとつ学んだような気がする。
 

『暁斎・芳年・年方』
2002年2月5日〜28日・3月5日〜31日 浮世絵 太田記念美術館


2002.03.30
『無限の住人』第12巻を読んだ。

 月刊アフタヌーン誌上でお目にかかる『無限の住人』は、ときにとても「白い」。
 「締切に間に合いませんでした。ペン入れもベタ塗りもまだ途中なんです〜」ってな状態で載っていたりする。
 しかしそれらのページが単行本では、当然だがしっかり仕上げられ「黒く」なっている。

 何であれ工程を見るのは楽しい。
 単行本が出ると私は、あの「白い」絵のどこがどう「黒く」なったのかを嬉々としてチェックする。
 そして決まって感心する。
 沙村さんの絵は「白」でも「黒」でもカッコイイんだな、これが。
 

アフタヌーンKC『無限の住人』第12巻
著/沙村広明 発行/講談社
2002年2月22日第1刷発行 ¥505 ISBN4-06-314268-X


2002.02.22
『幸福な王子──ワイルド童話全集』を読み終えた。

 あれっ、こんな話だったっけ。
 いや、大筋では一致している、私の記憶の中にあった「幸福な王子」の物語と。
 けれど、なんだか違和感。

 もっと泣ける話のはずだったのになぁ。
 

新潮文庫『幸福な王子──ワイルド童話全集』
著/オスカー・ワイルド 訳/西村孝次 発行/新潮社
1968年1月15日発行 ¥400 ISBN4-10-208104-6


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