08.ついに捕獲!〜プラナリアにうってつけの日〜

1997.4.26
 やった快晴! いざ行かん。今日をおいてほかはない。
 家を出てから3時間弱。電車を乗り継ぎ、バスに揺られ、着いたところは奥武蔵・黒山(埼玉県入間郡越生町/古川さん感謝!)。あった、あった、山の中。人気(ひとけ)のない、ちょろちょろ水の流れる場所。川のせせらぎ、覆う緑。ああなんて至福の景色。
 早速水辺にしゃがみこんだ。うわっ、飲めそうだな、この水。目を凝らす。石と枯葉のほかに何も見当たらない。けれど知ってるんだ。奴らの居場所はここだー!
 適当な石を選んでめくってみると…やったー! 大当り! いた、いた、いた、いた、いた、いた〜!! めくった石に張り付いて、いた。間違いない、こいつがプラナリア。
 想像以上に小さい。想像以上に黒い。水にもどしたシイタケの傘の破片に似てる。光に当てたら縮まった。それでも石に張り付いている。指先で撫でてみた。ちょっとヌルッ? あまりに小さいもんだから、感触と呼ぶには物足りないや。それより気をつけないと圧し潰してしまいそう。
 爪に引っかけ石からはがしてみようと試みる。ややっ頑固、はがれん。はがれろ、はがれん。はがれろ、はがれん。アッ!ヤバイ、傷つけちゃったよ。やっとのことで、用意したペットボトルの中に入れた時には頭と尾、今にも2つに分離状態。そーいえば前述の「切っても切ってもプラナリア」には、見つけたら水を張った容器の中で石ごとチャプチャプ振れば簡単にはがれ落ちる、と書いてあった。2匹目からは素直にそうするよ。こんなに早く切断実験するつもりはなかったんだ、ごめんね。
 とにかくこうして1匹を捕獲。あとはもう、トランプの神経衰弱ゲームよろしく、石をめくってめくってめくってめくって、次々と。大きいの、小さいの、じっとしてるヤツ、慌てふためいて白い腹を見せてるヤツetc…。面白いように発見できた。比較的流れの緩やかな場所が狙いめだった。そして気がつけば、ペットボトルにプラナリアの群れ。
 1、2、3……、数えてみたら23匹。ま、こんなもんかな。すぐ増やせるだろうし。満足満足大満足。ペットボトルに蓋をして、大切にリュックにしまい込み、意気揚々と帰途に着いた。さあ、可愛いプラナリアたち、今日からは私のおウチで暮らすのよ。
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私がプラナリアと出会った地。
紙屑ひとつ落ちていず、なんだかとても神聖な場所のようで、足を踏み入れるのが申し訳なくさえ思えた。

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水中の石をめくったら、そこにヤツらが…。



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捕獲成功!
ペットボトルの中で泳ぐプラナリアたち。


09.飼育スタート!寝床を提供

1997.4.29
 連れ帰ったプラナリアたちのために私は居を用意した。透明のプラスチック容器に石を並べて水を注ぎ入れただけの簡素なものだが、果たして気に入ってもらえたかどうか。光があまり好きではないらしいので、陽の射す部屋を敢えて避け、玄関の靴箱の上に置いている。
 プラナリアたちの動きは緩慢。普段は石の上や裏側でじっとしていることが多い。無理やり石をどかすと「あれっ?」ってな感じでノソノソと動き出す。その様子が面白くて、私は日に何度も意地悪く石をどかす。
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容器は幅21.2×奥行10.1×高さ5.0 (cm)。
お手軽なもんだ。
石の間から顔をのぞかせるプラナリア。
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10.ビヨ〜ンでスーッな動きを観察

1997.4.29
 さて今日は石を全部取り除いてプラナリアたちの動きを観察してみることにする。隠れ場を失って、早速あちこち移動し始めた。じっとしている時の彼らは黒く縮んでいるけれど、移動中ともなるとビヨ〜ンと体が長く伸び、色味もやや薄まる。
 岩場とは異なり容器の底が平らなせいなのだろうか、“泳いでいる”というよりは“這っている”という感じだが、その動きはなかなかスマート。体をクネクネさせたりバタつかせたりすることなく、スーッと前進する。「体の表面がせん毛で被われており、このせん毛を使って水中を泳ぐとき水面にうずが起こる」と読んだ(04.参照)けれども、せん毛なんて肉眼では確認できないや。水面のうずもまったく見られない。ミクロの世界での話なのかな? 今度虫メガネ買ってこようっと。
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