1998.6.18
もしも私の家に広い庭があったなら一度はやってみたいのが“ビオトープ”作り。
池を掘ったり、井戸水を流して小川をこしらえたり、小さな実のなる雑木を植えたりしたら、後は敢えて放置。するとそこに様々な虫や鳥たちが集まって生態系ができるのだという。
早い話が、都会では暮らせない野性生物のための場所作り。環境さえ整えば、生き物たちはちゃんと帰ってくるんだね。素敵だよ“ビオトープ”。
さて、そんな素敵なことを実際にやってらっしゃる方よりメールをいただいた。
高校の中庭に“ビオトープ”を作られたそうなのだけれど、そこでプラナリアがうじゃうじゃ見られるんだとか!
すご〜い!! “ビオトープ”はプラナリアも呼び戻せるんだ。
いいなぁ、いいなぁ。
って、発言すべき主は本来私じゃないかもね。無理やり連れて来られ窮屈な生活を強いられているウチのプラナリアたちが知ったら、さぞ羨ましがることだろうな“ビオトープ”。
まぁそんなわけで、山田さん(ありがとうございました!)他の方々がお作りになった千葉県立小金高等学校の“ビオトープ”と、そこで暮らす幸せなプラナリアたちを是非ご覧くださいませ。松戸みどりのネットワークへGO!
1998.3.29
まるで真夏のような陽気。ヤバイ。そろそろ手を打たねば。
そこで考えた末、特別チームを編成することにした。
水槽の中から身体の大きな10匹を選び出し、それらを水を入れた小さなガラス瓶の中へ。そして瓶に蓋をして、さらにバンダナですっぽり包み……。
冷蔵庫の中に置いた。
数時間後、覗いてみると、なんだか冷えて縮まっちゃて動きは至極鈍いのだけれど、それでも全員生存している模様。瓶をかざして光を当てたら、おおっ、ビヨ〜ンでスーッを始めたよ。
大丈夫かな。大丈夫だよね。
よし、では君たちに任務を与えよう。今日からここで生活しなさい。そして何がなんでも夏を越せ!
1998.5.2
大丈夫みたい。みんな生きてる。
1998.5.10
一匹死亡しているのを発見。
その後残りの9匹にエサをやったのだが、ほどなくして3匹の身体が崩れた。
何事ーっ?! エサがまずかったのかな? ワケわからん。
1998.5.11
瓶の中には現在6匹。
しかしそのうちの一匹は生死あやしい。光を当てても反応なし。
1998.6.5
一匹消えた。フワフワに化けて散った。
現在残り5匹。
1998.6.28
冷蔵庫内、瓶の中の水温は摂氏5〜10度。
一方玄関に置いてある水槽の中の水温はここのところ20度を越えていた。
外気は30度以上。疑いようもなく夏。昨日も暑かった。そして今朝も暑かった。
水槽に果たして何匹のプラナリアが残っていたのかは定かではないけれど、先週エサをあげたときには確かに小さいのが数匹いた。彼らがレバーに食いついているところを私は見た。
しかし、もういない。一匹もいない。
寝苦しい夜が明けて朝、水槽を覗いてみたら、内側の壁に一匹へばりついていた。泳ぐでもなく這うでもなく、動かずただ張り付いていた。苦しくて砂利の下から這い出してきたのかい? そしてそこで力尽きたの? そのプラナリア、死んでたよ。
水温を計り、水槽に手を突っ込んでみた。摂氏27度。私の手はそれを心地よいと感じたが、プラナリアにとってはきっと灼熱の、死の温度なんだね。
突っ込んだ腕を動かして砂利をガラガラかき回してみたけれど、動くものを見つけることができず、ならばと今度は水槽内の水をすべてくみ上げ残った砂利を手で少しずつすくい、それを新聞紙の上に広げて注意深く観察するという作業を行なったが、結果は同じだった。生存者ゼロ。
ああ、ごめん。私が悪かった。もっと早く何か策を講じるべきだった。また殺しちゃったね。ごめん。本当にごめん。
残るは冷蔵庫内のチームだけ。それも残り4匹になっていた。
1998.7
冷蔵庫内チームのうち1匹、生死不明。
固まっている。動かない。しかしフワフワに化けるでもなし。
1998.8.16
あ。一個体増えてる。勝手に分離したらしい。
どういうつもりかは知らないけれど、残党わずかな今この時だけに、数が増えてくれるのはとても嬉しい、ありがたい。
胴から離れた小さな頭、キミも頑張って生きてくれよな。
1998.9.13
先日、とある方より、プラナリアを飼育するなら水温は摂氏14〜24度(±2〜3度)くらいがベストだよ、とのアドバイスをいただいた。
そうか、それじゃウチのは冷えすぎなのね、もうちょい温度上げなくっちゃ、ってなわけで冷蔵庫内の温度調節スイッチを弱に切り替え、結果として現在、瓶の中の水温は14度。生死不明の一匹を除いては、今だみな無事である。
さて、今日はここで姫路工業大学理楽部生命科学科細胞制御1講座をご紹介。
すでに何度か話題にさせていただいてるが、世界で初めてプラナリアの増殖に成功した渡辺憲二教授や、『切っても切ってもプラナリア』の阿形清和助教授のいらっしゃる研究室がこちら。そして、たった一匹から何万匹にまで増やされたクローン・プラナリア集団(最初の一匹が岐阜県入間川産なので、その頭文字を取って「GI」と命名されているのだそう)を用いて日々、遺伝子や細胞レベルの研究が行なわれている、そういうスゴイ場所がここなのだ。
実は冒頭の、アドバイスくださったとある方というのが、なんとびっくり! お話を伺ってみたらば、名高いこのご講座の方とのこと。ううっ、感激!(ホントにどうもありがとうございました)
気恥ずかしさと臆病さ、そしてなにより怠惰な性格が災いし、ずっと放り投げたままだったけど、ここで晴れていただきましたよ、リンクのご許可を。
さ、さ、どうぞ。装いも新たな、姫路工業大学理楽部生命科学科細胞制御1講座のPlanaria's roomへGO!
1998.10.8
3週間家を空けた。
プラナリアたちをどうしようか迷ったのだけれど、一か八かの賭け、冷蔵庫内に放置した。
「ただいま〜」。
3週間ぶりのわが家。3週間ぶりのプラナリア。果たして?!
おおっ! 生きてる! 3週間、エサもなし、水の交換もなし、そんな劣悪な環境をものともせず、4匹立派に生き延びてる!!
スゴイ! エライ!
冷蔵庫の前にしゃがみこんで彼らを眺めているうちに、なんだか感謝したくなっちゃったよ。生き物の生命力ってやつにさ。
1998.11.8
1匹切ってみようと思い、大きめのを氷製の手術台に載せた。途端に気がつく。
あれっ、こいつ頭がない…。
瓶を覗き込んで状況が把握できた。どうやらこのプラナリア、知らぬ間に勝手に分裂してたらしい。頭部分はしっかりちゃっかり水の中。
まあそれならそれで仕方ない。手術台の上の頭なしプラナリアにカッターの刃を当てた。
1、2、3、4……7、8。
あ、切りすぎちゃったかな。調子にのりすぎ? 細々だぁ。
おまけに、まずい、ちょっと時間経ちすぎちゃったような。水の中の頭部を観察したりしてる間、こいつ氷上に放ったらかしだったもんな。
なんだかイヤな予感…。
水に戻してみた。的中。ガガ〜ン。
8つの破片のうち6つは即座にフワフワ化。死んでると見分けがついた。残る2つも、かろうじて、の状態。
ああ、ごめん。ごめんなさい。取り返せないミス。後悔後を立たず。
1998.11.9
かろうじての2片、死滅。
1998.11.15
瓶の中の頭だけプラナリアが死んでるのを発見。何でだろ。
生存は3匹。大きいのが1匹と、8月に分裂してできた小さいのが2匹。
1998.11.28
悲しい。
一番大きなプラナリアが死んじゃった。ガラス瓶の内側にへばりついたまま、動かなくなってた。スポイトの先でちょんと触れたら、もろく崩れた。
何が原因? 誰のせい? やっぱり私のせいなのか?
1998.12.8
小さいプラナリアのうちの1匹も消えた。
もう限界なのだろうか。
残るは1匹。
何をどうすればよいのかわからない。しかしとにかく何とかせねば。そこで根拠のない行動。瓶を冷蔵庫から出し、玄関の靴箱の上に置く。