4章

食糧生産


中間発表

 さあ、必要とされる食糧の増加がわかったところで、それだけの食糧が
生産されるかどうかを見ていきましょう。
今食べられている食物を生産する手段としては、農業、水産業、畜産業
などが考えられます。
 水産業でみると養殖によるものはごく一部、高級なものなど採算性の高
いものがほとんどと思われます。現在のままでの大幅UPは難しいでしょう。
畜産業では穀物が飼料であり、放牧によって生産されている家畜がいる
としても、これから放牧地を大幅に増やすとも考えられません
ということで、計画的に生産され、主食であり畜産の飼料でもある穀物を
基準作物としてチェックしてみましょう。

(もみ米) 小麦 大豆 ばれいしょ トウモロコシ (1000t)
1970 315480 318371 46536 287982 262621 1230990
1975 358691 359393 64418 260785 344448 1387735
1980 399112 446107 80910 230263 359949 1516341
1985 468360 521275 100833 299132 490155 1879755
1990 521703 601723 108134 268107 479340 1979007
1993 527413 564457 111011 288183 170570 1961634

世界の農業生産
国連食料農業機関1993(*=1984年)


世界の農業生産
上の表の計をグラフにしたもの

 これが主要穀物の生産に関するデータです。この表にある23年間で
59.4%UPしています。これは決して悪いペースではなく、これまで
人口の増加率よりも多いペースで生産が増加してきたと考えられます。

 80年代後半からの伸びが減っているところが気になるところです。
これにはいくつかの理由が考えられます。
●天候の不順
 天候の悪化による不作というのも考えられますが、通常どこかが異常
低温で不作の場合、別の場所が好天による豊作になったりして、それ
なりにトントンになります。火山の大噴火などの場合は全世界的な規模
で数年間にわたった不作になりますが、歴史的な大噴火というほどもの
も無いようなので、これだけではかたずけられません。
●農業生産の頭打ち
 減反を続けている日本は別として、今まで増えていた耕地の増加が
止まってきている。これが残存耕地に関する問題です。また肥料を使う
ことによって増加していた単位面積あたりの収穫量が、肥料がほぼいき
わたることによって、これ以上の増産が見込めなくなってきました。
●地球環境の悪化
 1997年8月の新聞記事にあるように、地球環境問題によって、農業
生産に影響が出始めた可能性もあると考えられます。
●人為的な生産調整
 自国の生産でほとんどが完結している国、輸入に依存する経済的余
力のない国は別として、経済的流通品としての穀物は商品であり、在庫
が増えた場合には生産調整がされます。(おいおい、食うや食わずの国
があるんだから、バンバン作って送ってやれよ!)

 どのようにグラフのデータを分析するかですが、’85年までのようなレ
ベルでの増加が今後も見込めるのならば、贅沢化は別として少なくても
人口増加には対応できそうな気がします。生産の増加が望めないような
らば、どうも不安のような気がします。
 では、オリジナルカロリーの増加のグラフ、これまで、そしてあなたの
予想についてのグラフと比べてみて下さい。
 どうですか、あなたの増加予測を満たしているでしょうか?あなたが
何歳まで生きるかによりますが、十分満たしているようならば心配あり
ません。子孫の将来をどれぐらい気遣うかにもよりますが、あなたの人生
食糧問題を考えるより、他の事について考えましょう。
不安な状況を感じた方は先をどうぞ。

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