食糧は足りるか

 だからといって、いつ食糧不足になるのでしょう?現在でも食糧に不
足している国はあるし、食糧難民などという危機的状況という記事を見
ることも珍しくはありません。
この章は食糧の増産の可能性について調べる予定ですが、その前に
現状を見てみましょう。

 現在の食糧供給、オリジナルカロリーの世界平均は5240kcalです。
これはどのような量なのかと考えると、
  炭水化物や蛋白質だけなら1310g(植物性)
  脂肪だけで582g(植物性)
  白米だけで茶碗31杯
  和牛だけなら約225g(5243kcal:オリジナルカロリー10倍で換算
  そんな奴はいないって!)
ごはんを1日茶碗6杯(1020kcal)とブタ肉260g(3962kcal:オリジ
ナルカロリー7倍で換算)、この場合の摂取カロリーは1594kcalです。
 日本人の成人の栄養所要量(生活活動中程度)による摂取カロリーは
成人男性で約2500kcal、女性で2000kcalですから(*1)、ブタ肉を
減らし植物性蛋白にかえれば、そこそこの料理が作れそうです。
 世界中にバランス良く供給されていれば、現在食糧の不足は無いの
かもしれません。政治、経済、流通、輸送、それに天変地異など自然条
件などが原因と考えられます。
 経済的に恵まれない地域でも自給自足が可能なら大きな不具合は無
いでしょうし、日本などのように外国が食糧を売ってくれなければ、ほと
んど即死のような国もあります。

 現在世界で8億とも10億ともいわれる人が飢えているといわれてい
ます。全ページのランク別のグラフからみると、多く見積もってもオリジ
ナルカロリーで3500kcal以下、実際ほとんど動物性カロリーを摂取し
ていないようです。全部植物性だとしても3500kcalなのだから当然で
すか。
先ほどと同じように計算すると、
  炭水化物や蛋白質だけなら875g
  脂肪で389g(植物性)
  白米を茶碗で21杯
  和牛だけなら約110g
 ごはんを1日茶碗6杯(1020kcal)とブタ肉88gです。これを摂取カ
ロリーで計算すると1214kcalとなりぜんぜん足りません。ほとんどの
蛋白質や脂肪を豆類などから摂り、気持ち程度に肉が入っていること
になります。
ということで、2000kcal台前半という、アフリカやアジアの一部の国は
生きているだけで精一杯という状況なのが想像できます。

 先ほどの予想で順調な増産を選んだ場合でも、贅沢化を吸収するほ
どにはなっていないと思います。どうも人間はいちばん効率の悪い牛肉
が好きな傾向があるようですので…
さらに情報や交通の便がよくなれば、2000kcal前半などという人道的
な救済が必要な地域への援助も活発化し、最低レベルでも平均化が行
なわれるでしょう。
先進国は10000kcalあたりで定着し、最低レベルが3500kcal(まで
増えれば偉いかな!)あたりになり、その間の国で経済的な余力のある
国は先進国並みを目指すことになるでしょう。

*1  人間の成長期にはより多くの栄養が必要です。体の大きい国
    の人の場合も当然ですし、気温の低い国では体温などを維持す
    るために必要な基礎代謝のエネルギーも多くなります。西欧先
    進国が多くなっているのにはこういう理由も入っています。

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