署名
ある始まりの客が
エントランスから入ってきた。
フロント係は台帳を広げた。
「ご署名を・・・」

男は自分の名前を大きくしるすと、
その上にさらに大きな
バツ印をつけた。

フロント係は辛抱強く待った。

「お名前のご訂正はどのように・・・」
「いや、これでいい。これがおれの名だ」
「では、下のところにもう一度お名前を・・・」

「このバツがおれなのだ」

 

署名2