ひきつづきの客が エントランスから入ってきた。 フロント係は台帳を広げた。
男はふところから 透明な液体が入った 小ビンを取り出すと、 ガラスのペン先をひたし、 署名した。
フロント係は辛抱強く待った。
「お名前が見えませんが・・・」 「いや、これでいい。これがおれの名だ」 「では、下のところにもう一度お名前を・・・」
「この透明がおれなのだ」