歪曲の館
前を歩いていたキャラバンが、
廊下をまがって消えた。

右の窓からは街の景色が見わたせ、
左の窓からは地面の断層が見える。

突然、電話のベルが
半世紀もむかしの音で鳴りだす。
つい、受話器を取りあげる。

 「ジジジ・・・私の・・ジジ
・・部屋はどこで・・ジジジ・・」
ツー、ツー、ツー。

ドアが開いて、よれよれの姿の男が叫ぶ。
「ここもおれの部屋じゃない!」

 

無限階段      化石化/石化