不在書店

長い階段をのぼりきると、
せまい入り口がある。

古い時計が、時間を刻む音。

うず高くつまれた書物のぬけがら、
たおれかかる書棚の列。

だれもいないが、
だれかがいたという
気配が感じられる空間。

無限回廊都市の
宙にぶら下げられた、
小さな箱。
不在書店。

書棚      店の奥