スクリーン'99の記事より
Q警察官、そして中国系アメリカ人の役づくりの努力は?
僕はどうしても、悪漢がサマになる面構えだから、最初にオファーがきた時は
少しばかり足踏みしたね。まっ、顔のことはともかく現地人なみに英語をしゃ
べらなければならないことが気になったからだ。自分で納得してセリフを話さ
ないと妙なリズムがでてきてコメディーになりかねないからね。アクションが
多いとはいえ、この前の「リプレイスメント・キラー」の時より、はるかにセ
リフも多いし、心理描写のシーンが重要だから、監督としつかり話あった。
彼がセリフは後で調整できるから、この男の内面と性格をつかんでくれさえし
たら、それで行けるとはげましてくれ、それでやっと主演を承諾した。
Qハリウッド映画と香港映画の現場での大きなちがいは?
何といってもシステムがちがうと思う。香港では1日18時間は普通で、24時
間働きぱなしもめずらしくない。ハリウッドでは組み合いがあるから、12時
間以内、特別にときたま14時間というリミットまで働くことはあるが、何し
ろ働く時間は格別に短いね。
Q今回の役づくりに備えてNYの警察など訪れたのでしょうか?
リサーチはたくさんした。僕の演じるニック・チェンは実際の人物をベース
にしているから、原作者に会って話しを聞いた。新聞に彼のような警察官が
でてそれにヒントを得たストーリーなのだろう。NYに行って、それなりに歩
き回り色々な人に会ったのも、役づくりに利用した。
Qマーク・ウォルバーグについて
マークはいっしょに仕事をしている時は、ものすごく真剣でなにごとにも注
意をはらっているが、いざシーンが終わると、ふざけたり、歩きまわったり
してリラックスしているようだった。僕のワイフとばかり話していて、僕を
邪魔者あつかいしてた。ワイフも僕といるよりマークと話すほうが楽しそう
だったね。

マーク・ウォルバーグに「Chow Yun-Fatとの共演はいかがでしたか?」
英語でのコミニュケーションがいまいちだから、もっぱら彼のワイフのジャス
ミンとばかり話していた。彼女は可愛くて、頭がよくて、英語もうまいし、色
々な東洋の事情を教えてくれたな。Chow Yun-Fatが英語のセリフに苦労して
いるのを見て、うーん、アクションのシーンでも、英語のしゃべり方にも気を
とられていて、よくやるなーと感心するばかりだった。僕が、広東語のセリフ
を言うシーンがあって、改めて、意味も、どこで切るかもニュアンスも確信が
もてないままに、分かっているというフリをしてしゃべるという難しさを改め
て理解したね。Chow Yun-Fatはアクションのベテランだから、彼の動きを見
ていては真似をしてみた。カメラにどう収まるか、という事を、もう体で知っ
ている彼だから、まるでアクション・コーチについているようだったな。