アメリカ合衆国心臓協会(AHA)の科学的見解

食べ物の成分は、炭水化物、たんぱく質と脂肪に分類される。脂肪は、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸酸多価不飽和脂肪酸、単価不飽和脂肪酸に分類される。

飽和脂肪とトランス脂肪は、血中コレステロールを上げる。食品中のコレステロールも、血中コレステロールを上げる。

血中コレステロールの高値は、心筋梗塞、狭心症(心臓発作をおこす)の主要な危険因子で、脳卒中の危険性も増す。

アメリカ合衆国心臓協会(AHA)の勧告

飽和脂肪、トランス脂肪、コレステロール分が多い食品を制限する。
具体的には:

成分無調整牛乳・乳製品、脂っこい肉、卵黄、熱帯植物油と不完全水素化植物油(業務用油)を控える。

つまり飽和脂肪、トランス脂肪とコレステロールの少ない食品を選ぶ。
具体的に勧める食生活は:

果物と野菜を食べる。
穀物製品・全粒穀物(玄米)を食べる。
最低週に2回、魚(特に脂ののった魚)を食べる。
(日本では毎日でも食べましょう)
勧められている食生活は、朝からお米を食べていた頃の日本の食卓です。食事には時間と手間をかけましょう。

無脂肪乳製品、豆類、皮なしの鳥肉と脂の少ない肉も含む。
2グラム未満の脂肪と油:例えば液状マーガリン、カノーラ、コーン、紅花油、大豆とオリーブ油を選ぶ。

飽和脂肪の摂取量は、総カロリーの7%を上回ってはいけない。
トランス脂肪の摂取量は、総カロリーの1%を上回ってはいない。
太りすぎの人は、脂肪分のカロリーを総カロリーの30%以下にする。

一昔前の日本の食事では、脂肪分は総カロリーの8%でしたが、現在は30%です。

飽和脂肪酸
とは、何ですか?

飽和脂肪酸は、結合できる枝、全てが結合していて、飽和状態です。安定していて、すぐには酸化しない。
飽和脂肪は、室温では固体である。
飽和脂肪とトランス脂肪は、血中コレステロールを上げる食事の主な原因になってる。
典型的アメリカの食事の飽和脂肪の主な食品源は、動物性食品と熱帯植物性食品である。

トランス脂肪とは、何ですか?

魚や植物の、天然の不飽和脂肪酸はシス型で、折れ曲がった構造をしている。

植物油の不飽和脂肪酸に、人工的に水素を添加し、水素化すると、直線構造のトランス型に変化し、トランス脂肪酸になる。

トランス脂肪は、飽和していないが、総コレステロールとLDL「悪い」コレステロールを上げ、HDL「よい」コレステロールを低下させる。
加熱商業食品で、つまり、大部分のレストランとファーストフードチェーンで使われている。
不完全水素化植物油で作られるクッキー、クラッカーなどの加熱商品は、トランス脂肪分が多いようだ。
フレンチフライ、ドーナツなどの揚げ物商品は、トランス脂肪の主要な源である。

 

コレステロールを上げる脂肪

食品源

食品からのコレステロール

動物性食品

肉、卵黄、酪農製品、臓物(心臓、レバーその他)、魚、鳥肉

飽和脂肪

動物性食品

牛乳、クリーム、アイスクリーム、チーズ、バター、ラードと肉

 

植物油の例

ヤシ、ヤシ・カーネルとココナッツオイル、カカオバター

トランス脂肪

不完全水素化植物油

クッキー、クラッカー、ケーキ、フレンチフライ、揚げたタマネギ・リング、ドーナツ

 

水素化された脂肪とは、何ですか?

食品加工の間、脂肪は水素化と呼ばれている化学的プロセスを経る事がある。水素化とは、脂肪酸を飽和することである。液状の油(自然では不飽和度の高い脂肪酸)をより固形で、より飽和化した形に変え、トランス脂肪酸が生成されることがある。
多くの商業食品には、全てか部分的に水素化された植物油が含まれる。
最近の研究は、これらの脂肪が血中コレステロールを上げる可能性を示唆している。
大部分のマーガリンや多くのパンにつける食品には、脂肪酸の種類を、パッケージまたはラベルに印刷されている。
液状マーガリンは、ほとんど飽和脂肪とトランス脂肪を含まない。

多価不飽和脂肪酸、単価不飽和脂肪酸とは、何ですか?

多価不飽和脂肪酸と単価不飽和脂肪酸は、2種類とも不飽和脂肪酸である。
不飽和脂肪は少なくとも1つの不飽和結合を持つ−つまり、少なくとも1つの場所で、水素を加えることができる。

不飽和脂肪は、魚と植物性の液状油である。

多価不飽和油は、室温、そして、冷蔵庫の中でも液状である。
多価不飽和油は、容易に酸化し、悪臭がするようになる。
多価不飽和脂肪の一般的な食品源を、下の表に記載する。
単価不飽和油は室温では液状だが、冷蔵庫では固まり始める。

食品源については下の表を見よ。

コレステロールは、主に肝臓で作られ血管に沈着するが、多価不飽和脂肪は、新たにできたコレステロールを取り除くのを助ける。
多価不飽和脂肪酸は、血中コレステロール・レベルを下げて、動脈壁でのコレステロールの沈着を減らす。
最近の研究では、単価不飽和脂肪も、血中コレステロールを減らすかもしれないとされているが、飽和脂肪酸と食べると効果はない。
あなたの食事で、飽和脂肪の代わりに不飽和脂肪を使えば、あなたの血中コレステロール・レベルを下げる助けになるだろう。

しかし、全てのタイプの脂肪は、タンパク質と炭水化物の、2倍以上のカロリーを含むので、控えめにすべきである。

飽和度の高い脂肪分(例えばバター、ラードまたは水素化されたショートニング)を止めて、代わりに、多価不飽和脂肪か単価不飽和油(例えば液状マーガリンなど)を、控えめに使わなければならない。

コレステロールを下げる脂肪

食品源

 

 

 

 

多価不飽和脂肪

植物油の例

紅花、ゴマ、大豆、コーンとヒマワリ-の種油、ナッツと種

単価不飽和脂肪

植物油の例

オリーブ、カノーラと落花生油、アボガド

 

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