1.序説:もっと悪魔を!


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 様々な由来を持つ多くの古の神々=「悪魔」を自在に召喚し操ることは、預言者としてのDMたらんことを志す者にとっては、正に大いなる夢と言ってよいだろう。そして、愚者たるプレイヤーたちの中にもまた、時に心強い仲魔として、時に恐るべき敵として、時に(そして多くの場合)油断のならぬ隣人として現れる、より多くの悪魔たちとつきあっていきたいという思いを強くしている者は多いはずである。

 しかし、いかんせん教典たる『真・女神転生 II TRPG 誕生篇』にその召喚法が紹介されている悪魔の個体数は、悪魔と呼ぶには必ずしも相応しくない者たち(マシンおよび人間)を含めても、わずか63体とあまりに少ない。愚者が頼るには、彼らは非力であり、預言者が彼らを操って愚者どもに対峙させようにも、その個体数の少なさ即ちバリエーションの不足がネックとなって、多くの預言書を綴ることが叶わぬ状況にある。
 このような状況を打破するために、多くの預言者たちが、新たなる悪魔の召喚法を渇望していることは議論を待たない。

 ところが、新たなる悪魔の召喚法は、現在のところ統一的な方法が提示されていない。勢い、個々の預言者が我流で召喚を行なうこととなるわけだが、この方法は極めて危険と言わざるを得ない。
 過去の事例を紐解くまでもなく、定められた儀式によらない召喚が往々にして悪魔の暴走を招くことは自明である。

 それでは、定められたる正しい儀式の方法とは、いかなるものか。
 残念ながら、その術は一部の秘儀精通者のみが知るところであり、市井に埋もれし一介の預言者の知る術はないのが現状である。
 しかし、暴走の危険を覚悟の上で新たなる悪魔を召喚せんとする者がいる現状を鑑みるに、儀式の手法を多少なりとも読み解くことが、一刻も早く必要であると痛感し、その方法を必死に模索しているとき、突如として天啓のごとく湧きあがった考えがあった。
 悪魔召喚の上では伝統的とも言える「秘儀的手法」によるのでなく、現代の世に、そして『真・女神転生』の世界に、ある意味では似合いとも言える科学的手法。
 即ち、「統計的手法」によって、悪魔の分析を試みるという方法である。

 ある意味で「デジタル・デビル」の名に相応しいことだが、教典の中において悪魔たちの能力や特性は、その多くが数値データ化されている。これは幸いというべきであろう。これらの数値が判っていれば、その悪魔を召喚し操ることは極めて容易だからである。
 そして、それらに統計的な有為性があるとしたら、未だその存在が明らかにされていない無数の悪魔たちの能力を、大まかにではあるが推定することが可能となるだろう。
 「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」の故事にならうまでもなく、彼らの能力の傾向を知る事が、彼らを召喚する上で大きな助けになることは、間違いない。

 以下、2章から7章にわたって、教典によって召喚法の確定した63体の悪魔の様々な能力を分析した結果を掲げた。ここでは、その数値データを縦軸に取り、横軸には主としてレベルを取ってグラフ化し、その傾向を探っている。
 実際には、悪魔たちはその種族あるいは神族ごとに共通の特徴や傾向を持っているものと思われる。しかし、確認されている個体数の少ない現状では、それらの詳細な特徴を明らかにすることは不可能と言わざるを得ない。
 そこで、本論では基本的にすべての悪魔を画一的に扱うこととした。
 ただし、種族的特徴として「CPが0である」という、他の悪魔たちとは本質的に異なる特徴を持つマシンおよび人間は、別に扱っている。
 今後、この分析を元に、新たな悪魔を召喚する方法を模索し、公表していくことを予定している。

 この行為は、「神」を冒涜する行為であるかもしれぬ。また、秘儀が秘儀でなくなることを恐れる精通者たちを敵に回すことになるかもしれぬ。
 しかしながら、この情報を多くの人々に対して公表することが、天啓を受けし者の使命と信じ、敢えて公表に踏み切ることとした。

 最後に、今は遠き地にある我が妻と子に、心よりの愛を捧げて、序文をしめくくることとする。


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