RPGリプレイ小説

『ナイトメア・バスターズ』

第1話  ピグマリオ


 
プレイヤーズ・キャラクター紹介
 
  • 石見 信介(いわみ・しんすけ)
    東江戸川大学(通称「ヒガ大」)雑学部雑学科3年。2
    1才。得意の武器は日本刀。時代劇オタク。東洋医学に
    通じ、経絡秘孔ならぬツボ攻撃でウケを取る。口癖は
    「不器用ですから」。
     
     
     
  • 神谷 舞(かみや・まい)
    同大学3年。22才。得意技は一気飲み。歌うまし。と
    っても過激なヒト。美人だが口が悪く、魅力はメンバー
    中最低。ちなみに噂では、某ファミリー歌手の写し身と
    いう話。
     
  • 瀬賀 亜梨沙(せが・ありさ)
    聖カミニート女学院高等部3年。18才。受験生であり
    ながら、頼まれもしないのに事件に首を突っ込む物好き
    な財閥令嬢。得意の武器はセーラー服の特権、殺人ヨー
    ヨー。得意技は錠開けと「門限があるので帰りまーす」。
     
     
  • 平岡 正樹(ひらおか・まさき)
    ヒガ大大学院雑学系研究科雑学専攻修士課程2年。24
    才。活躍の場があまりないまま、眠り込んで人形化。
     
    ノン・プレイヤー・キャラクター
     
  • 紀田 順一(きだ・じゅんいち)
    ヒガ大雑学部雑学科助教授。32才。単位をネタに学生
    たちを脅してバスターさせている、外道な元締め。口癖
    は「じゃあ単位は要らないんだな」。
     
     

     
      第1章 依頼
     
     いつものごとくたまり場の喫茶店『獏』にたむろして
    いた四人組。今日も今日とて紀田助教授が現われる。
    「みんな揃っとるな。仕事を持ってきたぞ」
    「とりあえずイヤです」
     平岡が言うと、紀田助教授は閻魔帳を取り出した。
    「ほーお、そうか。えーと、院生の単位は…」
    「やります!やらせてください!」
     
     
     
     
     そんなこんなで、連れてこられたのが高級レストラン
    『マイヨール』。やってきたウエイトレスに、助教授は
    一番高いメニューを頼む。そして学生たちに向かい、
    「みんなはコーヒーでいいな?」
     せめてもの抵抗。
    「アール・グレイ」と石見。
    「あたしはココア!」と亜梨沙。
     助教授は渋い顔をしたが、言う通りのものを注文して
    くれた。
     ところで依頼人は、中年男性。名前を高縄幸司(たか
    なわ・こうじ)といい、都内で酒屋を営んでいる人物だ。
    「冴河市文(さえかわ・いちふみ)君を探し出して下さ
    い。皆様方と同じ東江戸川大学文学部の学生さんで、私
    の店でアルバイトをしてもらっていたんですが、それが
    この一週間ほど、何の断りもなく店を休みまして…いえ、
    冴河君は実に真面目で優しい好青年でして、無断でアル
    バイトをさぼったことなど一度もないのです。下宿の方
    にもこの一週間姿が見えないらしくて…何か悪いことで
    もあったのではと心配で…」
     四人は冴河の写真や下宿の住所、高縄氏の連絡先など
    を受け取って店を出た。夜九時を過ぎたので、
    「門限があるので帰りまーす!」と亜梨沙。この一言で
    この日は解散となった。
     


      第2章 足跡
     
     市文と同じ学部に知り合いがいる事を舞が思い出し、
    午後一番の講義でまずそいつに接触。話を聞いた。
    「冴河?そう言えばここんとこ、あいつの顔見かけない
    なあ。変わった様子ってもねえ…あ、そうだ。『人形の
    作り方に詳しい奴を教えてくれ』って言われたんで、教
    えてやったよ。アニメ研の諸尾(もろお)って奴だ」
     ここでなぜか石見が諸尾の知り合いであると判明。諸
    尾に会いにいくことになるが、とりあえず、冴河の実家
    の連絡先を名簿から調べて、実家の方に電話を掛けてみ
    る。そこで初めて石見たちは気づく。
    「あれ?実家の名前が、『冴河』じゃなくて『広田』に
    なってる」
     電話に出たのはひどく無愛想な男の声。冴河の事を切
    り出すと、さらに無愛想になり、それでも多少話をして
    くれた。
     広田と言うのは冴河の叔父であり、冴河の両親は事故
    で死んだこと、冴河が実家に戻ってくることはないだろ
    うということなどが解る。念の為、こちらの住所を知ら
    せておいたが、こっちは望み薄だ。仕方なく、オタクの
    たまり場に向かった。
     
     オタクのたまり場の喫茶店で、諸尾に散々オタッキー
    な話を聞かされた末に、やっと得られた情報は、
    「人形について書いた本を教えてくれと言われて、五冊
    ほど教えたよ」
     
     オタクの話に時間を取られ、この日も既に午後九時。
     別れ際に、舞が気づいた。
    「何だか、このところ霧が多いわね」
     石見は、霧で何かを思い出しかけたのだが空振り。こ
    の霧が恐ろしい事件の鍵だとは、この時、四人の誰一人
    として知るよしもなかった。
     
     


      第3章 魔書
     
     ヒガ大の総合図書館で、諸尾に聞いた五冊の本を探す
    が、全部貸出中。
    「大方借りているのは冴河だろう」
     石見が呟くと、司書は、
    「お知り合い?だったら早く本を返すように言って。も
    う貸出期間をとっくに過ぎてるんだから」
     とりあえず図書館を出て、冴河の下宿に行こうとする
    と、声をかけてきた女の子がいる。高縄紫咲(たかなわ・
    むらさき)。高縄酒店の娘である。
    「私も冴河さんのことが気になるので、御一緒させてい
    ただけません?」
     断る理由もない。紫咲を伴い、冴河の下宿へと向かっ
    た。
     
     
     
     
     ちょうど出てきた大家さん、それに同じ下宿の住人に
    話を聞いてみたが、あまり役にたちそうな情報はない。
    「実は明日提出のレポート書くのに、冴河君に貸した本
    が必要なんです。冴河君の部屋に入れていただけません
    か?」
     と大家さんに頼んでみたが、信用してもらえず断られ
    てしまった。それでは、と言うので、大家がいなくなる
    のを待って冴河の部屋に忍び込むことにした。
     亜梨沙の錠開けが見事さくれつ。
    「鍵、開いちゃいましたよお」
     頭を抱えつつ揃って冴河の部屋へ。紫咲は目を丸くし
    ている。
     ゴチン。石見は入った時に、天井からぶら下がった裸
    電球に頭をぶつけてしまった。
     冴河の部屋はかなり殺風景で、目ぼしい物は机・椅子・
    本棚・ファッションケース・冷蔵庫といったところ。机
    の上には、図書館から借りたらしい五冊の本。
    「めくり癖がないかな?」
     石見が試してみる。
    『人形と呪術』だの『人形と魔術』だの、怪しげなペー
    ジばかりだ。
     机の上や引き出しの中を調べて、出てきたのは何語か
    解らない言葉の書いてある紙と、日本語の書きなぐり。
    日本語の方はその場で読むことが出来た。
    『無から有は生まれない』
    『生命ひとつに魂一つ』
    『美理恵』
    「意味が有りそうでなさそうな…」
    「最後のは女の子の名前かな?」
     とりあえず、五冊の本と紙切れを全部持ち出すことに
    する。
     本棚やその後ろなどももう少し念入りに調べたかった
    が、人に見つかるとヤバい。いったん引き揚げることに
    した。
     
     紫咲と別れて、助教授の研究室へいき、読めなかった
    メモを助教授に見せてみる。
    「なんだ、この程度のラテン語も読めんのか」
     散々嫌味を言われてから、『ピグマリオの書』の存在
    を教えられる。メモの一部にその名があったらしい。ジ
    ーン・シドーの三大魔書と言われるうちの一つで、何と
    ヒガ大の図書館にあると言う。ならば、と勇んで図書館
    へ乗り込んでみたが、『ピグマリオの書』は見つからな
    い。司書に聞いてもそんな本は知らないと言う。
     だが、石見たちが持ってきた五冊の本に司書が目を止
    め、それを書庫に戻しに行った途端、突然の悲鳴。慌て
    て書庫に駆け込んだ石見たちの横をすり抜けて、司書が
    大慌てで走って行く。
    「あたしは中を調べるわ!」
     血の気の多い舞が書庫の中へ。
    「じゃあ、あたしは司書さんを追いかけまーす!」
     と亜梨沙。石見と平岡は、戦闘力に不安のある亜梨沙
    に付き沿う。
     司書は図書館の館長室へ駆け込んだ。中でなにかドタ
    バタしているようだ。耳をすましてみたものの、中の声
    は聞こえない。
    「ええい面倒だ!扉を開けちまえ!」
     平岡が扉を開けた。
    「何だね君は!今は取り込み中だ!出て行きたまえ!」
     館長の声が届くが早いか、わらわらと現われた警備員。
    全員あっという間に外へつまみ出されてしまった。
     一方、書庫の奥へ走った舞。あたりの気配を探ってみ
    たものの、何も感じない。そうこうするうち、こちらも
    警備員に捕まって、他の連中と同じ運命。
    「仕方ないわ。他の図書館へ行ってみましょ」
     
     舞の提案で、一同は国会図書館へ。が、ここで意外な
    (?)事実を知らされる。
    「『ピグマリオの書』?ジーン・シドーの?あんたらヒ
    ガ大の学生さんが何でこっちにくるの?あれは日本じゃ
    ヒガ大の図書館にしかないよ」
     途方にくれて国会図書館を出る一同。だがその時、石
    見と舞が同時に気づく。
    「尾けられてる」
     舞のコンパクトで後ろの様子を確かめると、黒づくめ
    の人物の姿が。
    「とりあえず、そのへんの喫茶店に入って様子を見よう」
     と石見。喫茶店の中から様子を伺ったが、外に姿は見
    えず、入ってくる様子もない。
    「このままじっとしてても仕方がない。格闘ができそう
    なのは俺と平岡さんだな…よし、舞と亜梨沙は先に表へ
    出ろ。俺と平岡さんは、さっきの奴が二人の後を尾ける
    ようなら、その後を追って正体を確かめる。OK?」
     石見の作戦指揮で、行動開始。案の定、黒服が二人の
    後を追う。石見と平岡はさらにその後を追い、石見が黒
    服の肩を叩いて声を掛けた。
     途端、黒服の痛烈なパンチ!だが、石見はうまく身を
    かわした。その時チラリと見えた黒服の顔は…女!
    「何だ、オバサンか」
     不用意に平岡が口走った。オバサ…いや失礼、妙齢の
    美女の強烈な蹴りが平岡に向かって飛ぶ。が、平岡も辛
    うじてこれをかわす。
     だが、強烈な攻撃を繰り出しながらも、女の口許には
    笑みが。本気じゃないのだ。
    「待って下さい!僕たちは怪しいもんじゃありません。
    僕はヒガ大の3年生で石見信介。他はみんな僕の友達で
    す。あなたが後を尾けて来るので、正体を確かめようと
    しただけなんです。あなたは一体誰です?なぜ僕たちを
    尾けるんです?」
     答えの代わりに、女性は警察手帳を出した。
    「警視庁猟奇課警部補、高見沢葵」
     こちらの事情をかいつまんで説明し(モチ、忍び込ん
    だこととかは抜きね)、向こうの話を聞く。何と、『ピ
    グマリオの書』は単なる本ではなく、一種の魔力を宿し
    ていると言うのだ。図書館が大騒ぎになったのはそれが
    紛失したためで、葵がそこに派遣されてきた。で、たま
    たま(でもないが)ウロウロしていた怪しげな連中(石
    見たち)を見つけて後を尾けた、とこういう訳なのだ。
    さらに葵は続ける。
    「あんたたち、知らないの?最近、世間を騒がせている
    謎の眠り病の事。東京全域で、この一週間ほどの間に、
    次々に眠りに捉えられる人が続出しているのよ。覚める
    ことのない眠りにね」
    「それが『ピグマリオの書』と関係あると?」
    「それは解らないけど、その可能性はかなり大きいと思
    うわ。タイミング良すぎるもの。魔書の紛失、東京全域
    に広がって消えようとしない奇妙な霧、そして謎の眠り
    病の発生…ともかく、一刻も早く彼を探し出して、本を
    取り返さないと。とりあえず打つ手としては、まず明日
    一番に手続きを取って、冴河君の下宿を家宅捜査してみ
    るしかないわね」
     一緒に立ち合わせてくれと頼んだが、にべもなく断ら
    れ、四人はすごすごと研究室へ引き返した。
     
     研究室に戻って、助教授に葵の事を話す。
    「ん?猟奇課の事は前にも話さなかったか?」
    「…聞いてません!」
     ともかく助教授の紹介で、猟奇課課長の吉沢警視に会
    い、家宅捜査立ち合いの許可をもらう。といっても、時
    間は既に夕方を通り越して夜。家宅捜査は翌日だ。
     何となく落ち着かずに冴河の下宿まで行ってはみたも
    のの、亜梨沙の「門限があるので帰りまーす」が出てし
    まっては鍵を開けられる者がいない。仕方なく解散とあ
    いなった。
     


      第4章 人形館
     
     警察の徹底的捜査の結果、出てきたのは四年前の新聞
    の切り抜き。
    『人形館に母娘生き埋め』
     その時生き埋めになって、奇蹟的に助かったのが、守
    月美理恵。当時10才。
     守月という名を紫咲が思い出す。
    「うちの配達区域に、たしか守月さんてお宅があったわ」
     葵、紫咲と共に、四人は守月邸へ向かう。守月邸はか
    なり格式があるらしい、豪華な洋館。霧はこれまでで一
    番濃い。どうやらここが霧の中心部らしい。ここで、洋
    館の一番上の窓に、人影を亜梨沙が見た。
    「今の、冴河さんだったみたいですよお」
     門扉の横のインターホンの呼鈴を押したら中年女性の
    声で応答があった。
    『はい、どなた様でしょう?』
     舞がインターホンに向かって言う。
    「あのー、こちらに冴河さんて方、いらっしゃいません?」
    『当屋敷にはそのような方はおられません。お引き取り
    下さい』
     もう一度呼鈴を押したが、返事がない。電話を掛けて
    もダメ。途方にくれた一同のそばで、ドサリ、と音がす
    る。
     見ると、平岡が眠りこけている。眠り病にやられたら
    しい。ほおっておくわけにもいかず、かついで歩くこと
    になった。
     
     屋敷の周囲を一回りしてみたが、特に有効な発見はな
    い。警察の手で中を強制捜査できないかと頼んでみたが、
    「犯罪があったという証拠がないと…」
     と言われてしまう。
     こうなると例の手を使って忍び込みたいんだが、それ
    には葵が邪魔だ。
     石見が突然言い出す。
    「葵さん、すみませんが平岡さんを病院まで送り届けて
    くれませんか。俺たちは別の調べものを…いえ、このあ
    たりに張り込んでますから」
     うまくたぶらかした。葵はすんなりこちらの言うこと
    を信じ、平岡を連れて行く。残る三人は紫咲と共に、屋
    敷の中へ。
     
     亜梨沙の錠開けが再び決まり、扉はすんなり開いた。
     またも石見と舞が感じる。
    「おい、ここは…」
    「夢の中にいるみたいな感じだわ」
     豪華な作りの古い洋館には、まるで人気がない。しか
    し、妙に雰囲気がにぎやかで、陽気(妖気?)だ。用心
    深く、奥の部屋へと進む。
     耳をすますと、奥の部屋から微かに音楽が聞こえてく
    る。ワルツのようだ。
     扉を開けると、そこは盛大なダンスパーティーの会場
    だった。但し、踊っているのは皆人間ではない。人形で
    ある。しかも踊る人形の群の中に、見覚えある顔が。な
    んと、平岡ではないか!肩を叩いてみると、ポコンと空
    洞のような音。
    「ニセ者だ!実体は他にいる!(笑)」
     そしてその向こう、椅子に座っている少女は、成長し
    て新聞の顔写真の頃とは印象が変わってはいるものの、
    紛れもなく守月美理恵。だが彼女は、入ってきた人間た
    ちには目もくれようとせず、人形の動きだけを楽しげに
    追いかけている。生き埋めになった時のショックで、人
    間とコミュニケート出来なくなっているのだ。
     そしてさらに、美理恵の隣に立っているのは、冴河市
    文!
     舞は美理恵に触れようとするが、さりげなく人形に邪
    魔される。
    「冴河くんだね?」
     石見は語りかけるが、冴河は悲しげに口をつぐんでい
    る。肩に触れようとすると、身をかわされた。
    「美理恵ちゃんを戻したいんだろう?」
     ダメだ。冴河は悲しげに首をふるばかり。
     亜梨沙はレコードプレーヤーから流れる音楽を止めよ
    うとするが、冴河に邪魔されてしまい、部屋の外に追い
    出されようとする。が、その時冴河は石見と舞に背中を
    向けた。
     石見は舞に目で合図し、二人同時に冴河の両腕をつか
    む。成功!そのまま部屋から引きずりだそうとすると、
    冴河が忽然と消えた。こいつも実体ではなかったのだ。
     またも音楽を止めようとする亜梨沙。よほどワルツが
    嫌いらしい。音楽が止まると同時に、人形たちも動きを
    止める。
    「みんな、どうしちゃったの?」
     急に悲し気な声を上げて、美理恵が視線を不安定にさ
    まよわせ始めた。
    「ともかく、この娘をここから連れ出そう」
     石見と舞が椅子ごと美理恵を抱え上げると、美理恵が
    悲鳴を上げ、二人は壁に叩きつけられた。
     ゴトリ。
     同時に、玄関ホールの左の階段の上から重々しい足音
    が。
     美理恵を連れ出すことを諦め、ホールに出てみると、
    階段の上から裸の男が降りてくる。いや、よく見ると人
    形だ。顔だけがまだ作りかけらしいが、紛れもなく冴河
    の顔である。
     冴河人形は、石見に向かって攻撃を掛けてきた。石見
    はかわしきれず、肩のあたりを殴られる。恐ろしく強い。
    「舞、俺がこいつの攻撃を受け流してる間に、武器を作
    れ!」
     石見が腕に覚えの合気道で冴河人形の攻撃を受け流す。
    舞は青竜刀をイメージするが、失敗。
     一方、紫咲と共に奥の部屋の入口にいた亜梨沙は、再
    び動き出した人形たちの一斉攻撃を受けて大ピンチ!冴
    河人形が来たのと反対の階段に向かって逃げ出すが、途
    中で人形たちにタコ殴りにされてしまう。
     ポカポカポカポカポカポカポカポカポカ。「いったあ
    ーい!」
     石見、舞のコンビは役割を交代した。舞が敵の攻撃を
    受け流し、石見はまず精神集中。
    「ナウマクサンマンダボダナン アビラウンケンソワカ!
    …あ、これじゃ三鈷杵ができちゃうな(笑)」
     だが、精神集中の効果もあり、時代劇オタクの技能も
    手伝って、石見の手にはきらめく日本刀タケミカヅチが
    出現。こいつで冴河人形を真っ二つかと思いきや、石見
    は冴河人形には目もくれずに、体力に余裕のない亜梨沙
    の援護に向かう。1体目を切る!脚に命中!人形は崩れ
    落ちた。が、切った感触が人形のものではない。まるで
    肉を切るような感触だ。
    「ヤバい!」
     直感的にそう感じ、石見はできるだけ急所をはずして
    切ることにした。狙いはただ一点、すねである。ここを
    軽く撫で切りにするだけで、人形たちはバランスを崩し
    て次々に崩れ去っていく。
     一方、舞は一人で冴河人形に立ち向かうが、いかんせ
    ん素手では勝ち目がない。
    「ここは一時退却ね」
     元いた部屋の方へ逃げようとしたが、冴河人形に回り
    込まれてしまった。やむをえず、亜梨沙たちのいる階段
    の方へ逃げると、冴河人形は部屋の前に立ち止まったま
    ま動こうとしない。
    「舞、そいつには構うな!どうやらその冴河人形は、美
    理恵ちゃんを守っているだけだ。それより、本物の冴河
    を探すのが先だ!」
     それだけ叫ぶと、石見は人形の破片を飛び越えて階段
    を駆け登り始めた。即座に舞も後を追う。
     
     
     一方、石見の援護もあって、どうにか無事に二階へ逃
    げ延びた亜梨沙は、トイレに逃げ込んでいた。トイレの
    中には、運良く敵はいなかった。
    「そうだ、あたし今のうちにヨーヨー作りまーす!エコ
    エコアザラク、エコエコザメラク…」
     …亜梨沙ちゃん、君いくつ?…ともかく、亜梨沙の手
    にはずっしりとした手応えの光り輝く殺人ヨーヨーが一
    個(ちなみに桜の代紋が内蔵されているかどうかは定か
    でない)。紫咲は、バスターの武器作成を目の当たりに
    して、小さな悲鳴を上げた。
     殺人ヨーヨーを片手に、用心深く二階の廊下を進んで
    いく亜梨沙。と、三階へ続くらしい階段が。
    「そうか、冴河さんは上にいたんだっけ。おーい、石見
    さん舞さん、上に続く階段がありますよおー!」
    「解った、すぐ行く!亜梨沙ちゃん、そこでじっとして
    るんだ!」
     石見の叫びが下から聞こえ、やがて石見と舞が亜梨沙
    たちに合流した。
     四人は階段を登り始めたが、どうもおかしい。いくら
    登っても階段が続いているのだ。
    「無限回廊か…たあっ!」
     気合い一閃、石見は剣をふるったが、魔力にダメージ
    を与えることはできない。右往左往しているうちに、と
    うとうしびれを切らした紫咲は、ずんずん上へ登り始め
    た。二十階分も階段を登ったろうか、目の前には一個の
    扉が。
    「冴河の野郎、中途半端な無限回廊作りやがってえええ
    ええ…!」
     こみあげる怒りに歯を食いしばりながら、扉を開ける。
    グツグツと何かが煮える匂いが鼻に飛び込むと同時に、
    目に入ったものは…
    「冴河さん!」
     紫咲が叫んで駆け寄る。机に向かったまま眠りこけて
    いるのは、確かに冴河本人だ。何せ、消えた冴河や作り
    かけの人形冴河に比べると、顔だちがパッとしないのが
    何よりの証拠だ。
    「起きんかボケ!」
     石見がひっぱたいたが起きる気配がない。
    「…ほーお、そうゆう態度にでるわけね」
     石見は目を閉じて呼吸を整えると、人差し指に気を集
    中した。
    「目覚めのツボ、頭頂点!あたっ!」
     さすが東洋医学に通じているだけあって、効果あり。
    今度は冴河も目を覚ました。が…
    「あの子が呼んでいる」
     それだけ言うと、また眠り込んでしまう。外を見ると、
    霧はまだ晴れていない。ハッと手を見ると、日本刀もヨ
    ーヨーも消えていない。まだ、どこかに敵がいるのだ。
     一つ一つ片付けていくことにした。まず、薬草だか何
    だか知らないがグツグツ言っている鍋の火を止め、鍋を
    コンロから降ろした。次に、舞の提案で、寝ている冴河
    の横にあった『ピグマリオの書』の訳本を燃やす。これ
    も、何の問題もなくペラペラと燃え上がる。
     さて、最後に残ったのが問題の『ピグマリオの書』。
    こいつは本棚にあった。
    「こんなもん、燃やしちゃいましょ」
     これも舞の意見で、燃やすことに。石見が本に手を伸
    ばす。
     ピョン。
     本が飛び跳ねて、逃げた。
     反射的に、石見が切りかかる。が、これも飛び跳ねて
    かわされた。本から黒々とした霧がたちのぼり、中から
    現われた姿は…
    「夢魔だ!」
     戦闘開始。
     石見は日本刀で切りかかる。切先が夢魔の体を鋭く切
    り裂いた!が、同時に夢魔の一撃を食らってしまう。
     ビュルッ!
     瞬間、石見は身体の力が抜けるような感覚を覚える。
    精神エネルギーを吸い取られたのだ!そして、夢魔の身
    体も回復している。
     その間に舞は棍棒を作り、亜梨沙はもう一個ヨーヨー
    を作って、凶悪無比のダブルヨーヨー攻撃にでる。が、
    いかんせん射程の短い棍棒での攻撃は夢魔にかわされる
    ばかり。ヨーヨーの亜梨沙はと言うと、これはもうただ
    キャーキャー言いながら振り回してるだけで、当たる気
    配すらない。
     一人、必死に善戦する石見だが、なぜか集中的に夢魔
    の攻撃を受けて精神エネルギーを奪われ続け、次の一撃
    でやられるかも知れない大ピンチ!
     が、夢魔にも油断があったのか、それとも亜梨沙の強
    運か石見の悪運か、亜梨沙の振り回していたヨーヨーが
    夢魔にヒット!
     バキッ!会心の一撃!
     断末魔の絶叫を残し、シュワシュワと光の中に消え去
    る夢魔。同時に、窓の外を覆っていた霧も消え始める。
    勝ったのだ!
    「冴河は?」
     目を覚ますかと思いきゃ、コイツまだ寝てやがる。し
    ょうがないのでひっかかえて引きずり降ろすことにした。
     上りの時と違って、今度は一階分降りただけで二階へ
    着く。と、下から美理恵が上ってきている。
    「お兄ちゃん、どうしたの?」
     美理恵が冴河に呼びかける。途端に目を覚ます冴河。
    ったくコイツは…
    「美理恵ちゃん?元に戻ったんだね!よかった!」
     美理恵をしっかと抱きしめる冴河。
     キリキリキリ。
     石見たちの背後で、何かがつりあがる音がした。恐る
    恐る振り返ると、つりあがったのは案の定、紫咲の目尻
    である。
    「こっから先は俺らの管轄外…ずらかれっ!」
     三人はとっととその場を逃げ出した。
     


      エピローグ
     
     翌日、松葉杖をついた痛々しい姿の平岡が、葵刑事に
    付き添われて研究室に現われた。葵の話だと、眠ってい
    た人たちは全員意識を取り戻したらしい。
    「ただ意識を取り戻す直前に、かまいたちって言うのか
    しら、脚やすねのあたりに、鋭い刃物で切られたような
    傷ができちゃってね。平岡君もその犠牲者ってわけ」
     ギク。
     石見は亜梨沙と舞の二人に目で合図を送った。
    『何にも見なかった』
     平岡が首を傾げる。
    「うーん、へんだなあ…寝てる間、夢の中で、見たよう
    な顔に会ったような気がするんだが…確かこの傷もそい
    つに切られて…」
     ギクギク。
    「い、いやあ、平岡さんは夢魔に魂を抜かれて人形に封
    じ込められていたんですよ。で、ぼくたちはそれを助け
    ようとしたんですけどね、追い詰められた夢魔の奴、ど
    さくさまぎれに人形たちを壊しやがって…いや、もちろ
    ん防ごうとしたんですが、防ぎ切れなくて…でも、それ
    でも、急所をやらせるのだけは防いだんですよ」
     かなり苦しい言い訳だったが、どうやら平岡は言いく
    るめられたようだ。
    「そうかー、じゃ、お前たちには生命を助けられたんだ
    なあ。感謝しなくちゃなあ」
     ホッ。
    「そんな、感謝だなんて。ぼくたちは当然の事をしただ
    けですから…」
     そこへ、仏頂面の紀田助教授が入ってきた。
    「どうしました、先生?御機嫌斜めですね」
    「どうしたもこうしたもあるか!昨日お前たちが持って
    きた『ピグマリオの書』、あれは何だ!中は全くの白紙
    じゃないか!」
     三人は顔を見合わせた。
     紀田助教授の小言ばかりが、研究室中に空しく響き渡
    っていた。
     
    第2話に続く
  • はみ出しリプレイ漫談

    『ないとめあ・ばすたあず』

    第1回  ぴぐまりお


     
    キャラクターズ・プレイヤー紹介
     
  • 河村 克彦(かわむら・かつひこ)
    「いやあ、剣使いがリーダーってのは定石どおり(何の?)
    だけど、いい役やらしてもらってます。得意技はおいし
    いセリフです」
    (注)季節によって指紋が消える、両肩に翼をもぎ取っ
    た跡がある、麻雀で負けると牌を投げるなど、多彩にし
    て恐るべき隠し技を持つ。
     
  • 的場 良平(まとば・りょうへい)
    「キャラクターの男女比率改善のために女役を選んだの
    だが…性別に関係ないな、このキャラは!」
    (注)好きな言葉は「突撃突貫」、ジェノサイド好きの
    肉弾野郎。
     
  • 富永 明子(とみなが・あきこ)
    「…あ、あの。こ、紅一点の富永、です。記憶力も、推
    理力もないので、皆さんには迷惑をかけどおし…え、口
    癖ですか?『帰省しまーす』は、よく口にしますが。あ
    の…私、暗いですか?」
    (注)これじゃ南風まろんだな。
     
  • 土佐 光司(とさ・こうじ)
    「(不適切な発言により編倫カット)」
    (注)教訓:セッションの途中で抜けるのはやめよう。
     
    ゲーム・マスター
     
    武田 明宏(たけだ・あきひろ)
    「私はオリジナルしかやらないのが自慢だ!ゲームバラ
    ンス?何だそれは。私は私のシュミ優先でマスタリング
    するのだ!それが私のポリシーだ!」
    (注)口癖は「だってシナリオにそう書いてあるんだも
    ーん」

     
     
     
    富:亜梨沙は別に、いつもたまってるわけでは…
     
    【キャラクター・データ・ファイル】
    No.1  石見 信介
    性別:♂   年齢:21才
    筋 力:11  体 格: 9
    知 識:17  魅 力: 8
    敏捷性:14   運 :17
    器用さ: 5  精神力:10
    耐力ポイント:16 精神エネルギー:30
    技能(51)
    精神集中:5 追跡:5 医学:5 東洋医学:10
    刀剣戦闘:5 かわし身:6 オートバイ:10 話術:5
    その他:神話伝説(東洋・ギリシャのみ)、ヨガの眠り、
    時代劇、紋章
     
    マ:ココアに銘柄ってないのかなー。
    亜:バンホーテンとか。
    マ:それはメーカー名だって。
     
    【キャラクター・データ・ファイル】
    No.2  神谷 舞
    性別:♀   年齢:22才
    筋 力:13  体 格: 7
    知 識:10  魅 力: 6
    敏捷性: 5   運 : 9
    器用さ:10  精神力:17
    体力ポイント:16 精神エネルギー:51
    技能(30)
    コンピュータ:5 格闘:5 医学:5 オートバイ:5
    観察:3 植物学:2 外国語:2 話術:3
    その他:歌唱、威圧、一気飲み
     
    亜:この頃は、この一言でだいたい解決したのよねー…
     


    《紀田順一の無用の雑学知識》
    第1回 ピグマリオとは
    その1
     
     ギリシャ神話の物語の中にピグマリオンという彫刻家
    のエピソードがある。ピグマリオンは美の女神アフロデ
    ィテをモデルにして彫像を作った。 (その2に続く)
     
    亜:ジトー…。石見さんて、そーゆー人だったんですね
    えー…
    石:俺は無実だぁーっ!ただ、運が悪かっただけなんだ
    ぁーっ!
    マ:運がよかった(石見の運の能力値は17)からだっ
    てば。
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    富:こーゆー自分を傷つけるような表現、していいんで
    すか?
    舞:でも、正しいものの見方だと思うわ。
    マ:お前、何かアニメ研に何か偏見持ってないか?
    河:そりゃーもー、アニメ研八年やってますから。
     
    マ:サイ振って出た目の時間数だけ話を聞かされるんだ
    よ(と言って振る)。
    全:でえー!6出すかー!
     
    マ:おお、まるでホラー物のノリではないか。
    紀:だからホラーなんだって。
     


     
     
     
     
     
    紀:マスター、ひょっとして美人の司書さんにトラウマ
    があるんじゃないのか?
    マ:ぎくっ!な、なぜそれを!
     
    マ:この娘は利き酒のスキル持ってたんだけどなー、使
    えんかった。
    亜:まさか第1話からあたしより若い女子高生が出ると
    はなー…思わんかった。
    富:こりゃヨーヨーなんかに目がくらんで女子高生なん
    かやるより、男性キャラにしといたほーがよかったかな
    ー?
    的:しかしそれでは2話以降、黒一色のパーティーにな
    るぞ。
     
    平:響子さんみたいなのかな?
    石:いるんだ、こーゆーやつが。
    マ:…の、50年後。
    河:なるほど、ウチの大家さんだな。
    (注:マスターと河村は、下宿の大家が同じである)
     
     
     
     
    富:こーゆー言葉使いはせんように思うぞ、今日びのじ
    ょしこーせえは。
    亜:そーそー。石見さん、女の子に幻想を持ち過ぎです
    ってば。
    石:このセリフを書いたのは俺じゃない、恵紋のヤロー
    だ!
    的:私はどちらもかわいいと思うぞ。
     
     
    【キャラクター・データ・ファイル】
    No.3  瀬賀 亜梨沙
    性別:♀   年齢:18才
    筋 力: 6  体 格: 5
    知 識: 8  魅 力:12
    敏捷性: 8   運 :13
    器用さ:13  精神力:11
    体力ポイント:12 精神エネルギー:33
    技能(24)
    精神集中:5 情報収集:5
    格闘:5 刀剣戦闘:2
    話術:3 錠開け:3 動物学:1
    その他:殺人ヨーヨー、目星、値切り、なぜか持ってい
    る、さりげなく消える
     
     
     
    亜:あたし、女子高生だもーん。
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    亜:…まーそーですけどね。でもこりじゃ舞さんが鬼の
    よーに強いみたいだぞ。
    石:鬼に金棒、舞に一升ビン。似たよーなもんじゃない
    か?
    舞:…聞こえてるわよ(がこっ)。
    マ:一升ビン攻撃はダメージ1ダイス。
     
     
     
     
    【キャラクター・データ・ファイル】
    No.4  平岡 正樹
    性別:♂   年齢:24才
    筋 力:    体 格:  
    知 識:    魅 力:  
    敏捷性:     運 :  
    器用さ:    精神力:  
    体力ポイント:   精神エネルギー:  
    技能(  )
     
    (注)キャラクター・シートがない!
     
     
     
     
    亜:コンパクトねえ…舞さんけっこー女らしいじゃない。
    舞:『美人だが口が悪い』のがとりえでね。にしても、
    五月のさなかに何て格好だろね、全く。
    マ:だから美学だってのに。
    亜:かたよってますねー。
     
    舞:格闘だったらあたしも自信あんのよっ!
    石:レディに気を使ってるんだってば。
     
     
     
     
     
     
     
    マ:ちなみに芳紀28才です。
     
     
     
    亜:ホントに笑みがあったんかー?蹴りは本気じゃない
    のー?だって「オバサン」って…
    葵:小娘はおだまりっ!(ゴチッ)
    富:私は成人じゃが。
     
     
     
    マ:(C)高橋葉介。
    富:しかし警視庁もとんでもねー課をつくるもんだねぇ…
    雑学部といー勝負だわ。
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    富:葵さんもこの頃は鋭かったよなー。常識人の発想じ
    ゃないぞ、これは。
     
    《紀田順一の無用の雑学知識》
    第1回 ピグマリオとは
    その2
     だが、自ら作ったその彫像のあまりの美しさゆえ、ピ
    グマリオンはその彫像の乙女に恋をしてしまい、彼女を
    手に入れることが出来ないのであれば、生命を断とうと
    まで思い詰めてしまった。     (その3に続く)
     
     
    石:いちいちやり口が引っ掛かる人だ…
    亜:でも紀田先生だから亜梨沙許しちゃう。
    河:つまり石見は「ケレンが有り過ぎだよ、このマスタ
    ー」と言いたいわけだ。
    マ:それは誉め言葉だね、経験値をあげやう。
     
     
     
     


     
     
    マ:おお、素晴らしい。珍しくまじめな技能判定をして
    いる。まるでスキル制のRPGをやっているよーだ。
    亜:じゃ、今までは?
    紀:脱線とアドリブ。
     
     
     
    マ:元華族とゆー設定である。
     
     
     
    富:だからその語尾はやめてってばさ。
    亜:まーいーじゃないの、かわいけりゃ。
    恵:そーそー。
    亜:…今の、誰?
    石:通りすがりのウチのワープロだよ。
     
    亜:いきなりなんてストレートな物言いなんだろねぇ。
     
     
     
     
    マ:ここでプレイ場所の喫茶店が看板になり、日が変わ
    ったのだが、平岡のプレイヤー土佐が修論(現実の)に
    逃避したため、結果として本文に後述の通り、「最も重
    要な」役割をやってもらう事になった。
    亜:でもこれって、舞さんがかついでんのよねー。
    富:石見くん、男として情けなくはないかい?
    石:(憮然として)俺の敏捷性は三人の中で一番高い
    (能力値14)んです!ヘタに荷物かついでたら、万一
    の時に二人を守れないでしょーに!
    舞:へーへー、どーせあたしゃ敏捷性5よ!
     
    マ:コイツ悪知恵だけはよく働くなー。
    石:それは誉め言葉ですね、経験値をあげましゃう。
    マ:キャラクターがマスターにモノを与えるんじゃない!
     
     
     
     
     
    富:しっかし亜梨沙、ニブいねー。
    亜:あたし、女子高生だもーん。
     
    石:塩気のない古いヨーカン…失礼しました。
    亜:三年もの。まだ甘い…
    石:♪えっ?何か言った?
    亜:ううん、何にも。
     
     
    舞:死霊の盆踊り?
    マ:ちがーうっ!ワルツだ!ヨーロッパ趣味なんだ!
    (ジタバタ)
     
     
     
    【キャラクター・データ・ファイル】
    No.5  紀田 順一
    性別:♂   年齢:32才
    筋 力:10  体 格: 9
    知 識:18  魅 力:12
    敏捷性: 7   運 :18
    器用さ:13  精神力:18
    体力ポイント:16 精神エネルギー:54
    技能(54)
    心理学:5 情報収集:5
    医学:5 雑学:10
    チョーク投げ:7 単位操作:8
    威圧:5 スライド使用:1
    乗物一般:4
    じつはそこにいた:2
    じつはきいていた:2
     
     
     
     
     
    亜:あたしの勝手でしょっ!
    マ:そーか、亜梨沙ちゃんは昔、ワルツに似た顔の男に
    ふられたんだね?
    亜:…紀田先生、マスターのHP、サイコロ10コ分引
    いといて。
    紀:あいよ。
    マ:こっ、こら、NPCの分際で何をする!ぎゃあああ
    あぁぁぁぁぁ………
     
     
    マ:よーし、うんうん、よーし!これこそ、正しいホラ
    ー物のノリである。
    紀:たった3行で復活するとは、めげない人だね、この
    マスターも。
     
     
     
    《紀田順一の無用の雑学知識》
    第1回 ピグマリオとは
    その3
     アフロディテはピグマリオンの才能を惜しみ、彼の願
    いを叶えてやることにした。女神に促されて、ピグマリ
    オンは大理石の乙女に口づけした。 (その4に続く)
     
     
    マ:ダメージはサイコロ2コ分ね。
    富:げっ、9!
    亜:サイコロのひきが弱いんだから、もー…
     
    亜:まーたまた石見さんてば、ひとが解んないギャグと
    ばしてー。
    河:そんなこったから諸尾なんかと知り合いなんだ。
    亜・富:うんうん。
    石:言ってるあんた方も知ってんでしょーが!
     
    マ:この場合は精神エネルギーだけどね。
    富:ありがとう、石見くん!
    亜:いやー、一時は死ぬかと思いました。
     
    マ:しかしお前は、よく毎回私の引っ掛けを読むねー。
    河:そりゃもー、七年も一緒に卓囲んでりゃ当然ですよ。
    (注)この時河村は、最初の人形のどこを狙うかとマス
    ターに聞かれ、とっさに「脚!」と答えたのだった。急
    所を狙った日には大惨事となっていたことは言うまでも
    ない。肉のような感触云々は、筆者の創作である。(恵)
     
    【キャラクター・データ・ファイル】
    No.6  高見沢 葵
    性別:♀   年齢:28才
    筋 力: 9  体 格: 9
    知 識:12  魅 力:16
    敏捷性:15   運 : 7
    器用さ:11  精神力:05
    体力ポイント:15 精神エネルギー:10
    技能
    ピストル:5 空手:5
    追跡:7 猟奇:3
     
    マ:運でロールして、失敗したらモンスターが…いない
    か。
    亜:いてたまるかっ!
    マ:じゃ、人形飾ろうともしないトイレだね。
     
    亜:えー、亜梨沙は18才だけどぉー…
    富:うるさいわね、22よ。どーせ私はチャンピオン読
    者さ。
     
    亜:ありゃりゃ、紫咲ちゃんもけっこー女らしいな。こ
    りゃまずいや。
    マ:女の子だからとか、そーゆー問題じゃないと思う。
     
    《紀田順一の無用の雑学知識》
    第1回 ピグマリオとは
    その4
     するとたちまち彫刻には生命が通い、たった今まで冷
    たい石の像が立っていた台座の上には、見事な金髪を腰
    より下まで垂らした、暖かな血の通った美しい乙女が台
    座の上に立っていた。       (その5に続く)
     
     
    石:階段は全部右曲りだったから、右往右往(うおーう
    おー)とも言う。
    河:上往下往(うえおしたお)の大騒ぎとか。
    マ:ホント、いろいろやったんだけどね。
     
    富:マスターの野郎、以下同文。
     
     
     
     
     
     
    富:ひでー言い方。
    マ:ちなみにPCたちは皆、夢の中では現実よりいいカ
    ッコしてるよ。
     
     
     
     
    マ:こーゆースキルはひどすぎると思う。いったい誰だ、
    こんなスキル認めたのは。責任者、出てこーい!
    紀:…あんただよ。ま、このおかげで連中の必殺ワザの
    一つ、『5分だけ眠り』が開発されたわけだ。これは強
    い。
     
     
     
     
     
    舞:ゴミは燃やすのが一番。
    亜:舞さん、相変わらず過激ねー。
    富:こーゆーとこでは思わずおとなしくしてしまう亜梨
    沙ちゃんなんだわさ。
     
     
    【キャラクター・データ・ファイル】
    No.7  高縄 紫咲
    性別:♀   年齢:17才
    筋 力:13  体 格: 9
    知 識:10  魅 力:12
    敏捷性:14   運 :13
    器用さ:10  精神力:
    体力ポイント:   精神エネルギー:
    技能
    利き酒:9
     
     
     
     
    河:女のくせに何てもんを作るんだろうねこの子は。
    舞:ほっといてちょーだい!
     
     
    亜:ぶー。石見さん、それが命の恩人に対する態度なわ
    け?
    石:だからあ、この文章書いたのは俺じゃなくて恵紋な
    んだってば!
     
     
    富・亜:私(あたし)の実力です。
     
    富:おほほほほ。1ダイスでダメージ6よ!
    亜:前言てっかい。やっぱ、ひき強いわ。
    舞:この間に私は何をしてたんだろう…?
     
     
    【キャラクター・データ・ファイル】
    No.8  冴河 市文
    性別:♂   年齢:19才
    筋 力: 8  体 格: 8
    知 識:15  魅 力:12
    敏捷性:10   運 : 9
    器用さ:14  精神力: 5
    体力ポイント:16 精神エネルギー: 2
      (ただし発見時)
    技能
    人形製作:5
     
     
    亜:この後、いったい何が起こったんだろぉ…知りたい
    よーな知らんぷりしたいよーな…
     


     
     
     
    【キャラクター・データ・ファイル】
    No.9  守月 美理恵
    性別:♀   年齢:14才
    筋 力: 7  体 格: 6
    知 識: 8  魅 力:17
    敏捷性:10   運 :11
    器用さ:12  精神力:
    体力ポイント:   精神エネルギー:
     
     
     
     
    《紀田順一の無用の雑学知識》
    第1回 ピグマリオとは
    その5
     乙女はガラテアと呼ばれた。後に、ピグマリオンとガ
    ラテアの間に生まれた子の名をパポスと言い、アフロデ
    ィテに捧げられた同名の街は彼に因んで名付けられたも
    のであるという。                 
     
     
    富:いや、これはホント、危なかった。もー少しで言い
    くるめに失敗するとこだったんよ。
    亜:けど、平岡さんてこんなしおらしい人でしたっけか。
     
     
     
     
    紀:これでやっと六つ目のセリフ…えっ、もう終わりか?
    …今に見ていろ!
    マ:ま、いいワキだったよね。
     
    富・亜:紀田先生のそーゆーとこが好きだよーん。
     

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