RPGリプレイ小説

『ナイトメア・バスターズ』

第2話  タンタロス



プレイヤーズ・キャラクター紹介
 
  • 石見 信介(いわみ・しんすけ)
    東江戸川大学(通称「ヒガ大」)雑学部雑学科3年。2
    1才。得意の武器は日本刀。眠らせるツボだの起こすツ
    ボだの、クリティカルなツボを突きまくってマスターを
    困らせた上、またも剣でオイシイところを持っていった。
     
     
  • 知場 法久(ちば・のりひさ)
    同大学3年。22才。焼酎をこよなく愛する「突撃な奴」。
    得意技は一気飲み。口が悪く、魅力はメンバー中最低。
     
     
     
  • 瀬賀 亜梨沙(せが・ありさ)
    聖カミニート女学院高等部3年。18才。得意の武器は
    セーラー服の特権、殺人ヨーヨーだが、今回は向ける相
    手が違ったようで…
     
     
  • アンディ・ノーマン
    アメリカからの留学生。すごいハンサムに見えるが、実
    は男装の麗人。マジックの天才。得意技は魔球。
     
     
     
    ノン・プレイヤー・キャラクター
     
  • 紀田 順一(きだ・じゅんいち)
    ヒガ大雑学部雑学科助教授。32才。今回は学生たちに
    逆襲されかかるが…やっぱり外道な元締めだった。
     
     
     
     


      第1章 大食
     
     毎度毎度の事ながら、紀田助教授から単位をネタに脅
    されて、泣く泣く例のごとくレストラン『マイヨール』
    で会った今度の依頼人は女性。ひどく痩せているんだが、
    とてつもない大食らい。非常識なまでの健啖ぶりに、一
    同絶句。さすがの紀田先生も、今回ばかりは何も食べる
    気がしないらしく、しおらしくコーヒーを注文している。
     食うだけ食ってやっと落ち着いたのか、依頼人はヒガ
    大のOGで馬場きみこと名乗り、こう切り出す。
    「私、食べても食べても太れないんです」
     亜梨沙が「うらやましー…」(注1)と呟くが、きみ
    こは首を横に振り、写真を見せてくれる。写っているの
    は、よく言えば健康的な、丸々とした女性である。
    「私、昔はこの写真みたいに太ってたんです。どうして
    もダイエットしたくて色々試したんですが、どれもダメ
    でした。最後に試したのが、『スロタンタ・コーポレー
    ション』という会社の出している、『アンブロシアン・
    ダイエット』という商品でした。効果がすごくあって、
    1ヵ月と経たないうちにダイエットに成功したんですけ
    ど、今度は太れなくなってしまって…」
     アンブロシアン・ダイエットというのは、何やらお守
    りのようなものと白いシーツ、それにカセットテープで
    暗示を掛けてダイエットするというような商品らしい。
    口コミで友達の広瀬重子から聞いたという。
     
     依頼人の家へ行き、家族にも話を聞いた。きみこを除
    く一家3人、揃いも揃って健康家族。飼ってる猫(注2)
    までボッティチェリ。
     アンディはトイレ(注3)に行く振りをして、案内し
    てくれた母親から話を聞き出す。どうやらダイエットを
    決意させたのは、ボーイフレンドの倉田光太郎(注4)
    くんのため。ところが彼氏に聞いてみると、彼氏の好み
    が太目だと解ったので、また太ろうとしたのだが…と言
    う訳らしい。女心は悲しいものだ。(注5)
     一方こちらはきみこと一緒に居間の方に残った組。
    「精神科の医者にかかってみましたか?」
     知場が聞く(注6)と、きみこはぎょっとして、
    「私、精神病なんて…」
     石見が慌てて説明する(注7)。
    「精神科と言っても、あなたの気が狂ってるとかそう言
    う意味じゃないんです。ただ、あなたが太れないのは、
    何かのストレスとか、精神的な原因がからんでいるかも
    しれないという、その程度の意味ですよ」
     戻ってきたアンディが、後を続ける。
    「催眠術、掛ケサセテクレマセンカ?」
     またもきみこはためらうが、石見の説得も効を奏した
    らしく、アンディの催眠術に掛けられることになる(注
    8)。
     やがて催眠状態に入ったきみこは、夢の中を語り始め
    る。何かが渦を巻いている。女の人の悲鳴が遠くから聞
    こえてくる。心臓の鼓動のような音が低く響いている。
    時々、力を吸い取られるような感じがする…
     催眠状態から覚めた途端、きみこは叫ぶ。
    「お母さん、お腹すいた」
     一家揃っての食事の風景は、すさまじいものであった。
    とても人間が食う量ではないと思われた料理の群を、こ
    の家族はとんでもない勢いで食べつくしていくのだ。特
    にきみこの食事の様子には、悲壮感さえ漂っている。
     げっそりしながらも食事が終わるのを待ってきみこの
    部屋へ行き、ダイエットに使われたお守りとカセットテ
    ープ、そしてシーツを預り、スロタンタ社の連絡先を聞
    いておくことにした。
    「シーツは怖いので物置にしまいこんでありますから取
    ってきます」
     きみこが部屋から出て行ってる間に、石見は入ってす
    ぐに目をつけていた、机の上に伏せてある写真立てを起
    こしてみる(注9)。
     写っているのは丸々としている頃のきみこと、スリム
    でなかなかハンサムな青年。これが件の倉田君だろう。
    そのまま写真立てを戻す(注10)。
     
     
     
     手に入れた品々を持って、研究室へ行き、助教授を引
    っ掛けよう(注11)とする一同。
     アンディはスリの技能で助教授のポケットにお守りを
    入れようとして失敗(注12)し、助教授に睨まれる。
    石見が話をそらす。
    「ところで知場、この間ダビングさせてくれる約束だっ
    たテープ、あるか?(と目くばせする)」
    「(ははーん)ああ、あるぜ」
    「先生、一緒に聞きません?ノリPですけど(注13)」
     亜梨沙も石見たちの考えを察すると、必殺技「門限」
    を使い万が一に備えてその場から離れる。アンディは亜
    梨沙を送って行くと言う口実で逃げ出した(注14)。
     ノリPの歌と偽って掛けたのはもちろん、例のテープ。
    やがて流れくる音楽…不覚にも、知場と石見は眠り込ん
    でしまう。
    「おい、起きろ」
     助教授に叩き起こされて、二人は目を覚ました。石見
    たちの企みはすっかりバレていて(注15)、助教授は
    ちゃっかり耳栓をしていたために平気だったらしい(注
    16)。
    「ま、お前らの考える事はこの程度だろうな」
     またもイヤミを言われてから、テープは単なる催眠音
    楽だと言うことが解る。
     さらにお守りには、何らかの邪悪な呪いが込められて
    いたらしいが、今は抜けてしまっていて害はないこと
    (注17)、またシーツには九芒星が浮き出していて、
    その内の一本がある方角を向いて伸びていることが解る。
    これを馬場きみこの部屋のベッドの位置と合わせてみれ
    ば、ひょっとすると一つの方向が掴めるかもしれない。
    さらに助教授は、閻魔帳片手に二人を脅す(注18)。
    「それからお前たち、単位が欲しくば俺の言うことを聞
    け。いいか、まず明日の朝…」
     
     
     
     
     
     
     
     


      第2章 追跡
     
     朝の1限はラテン語のLL授業である(注19)。
     現われたアンディを、両側から押さえ込もうとする石
    見と知場。単位をネタに脅されて、アンディを懲らしめ
    る(注20)片棒をかつぐことになったのだ。
     だが、アンディもさるもの。得意のマジックであら不
    思議、二人が押さえた腕が肩からすっぽりと抜ける。こ
    んな事もあろうかと、にせの腕を用意していたのだ(注
    21)。逃げ出すアンディ。
     しかし、非常識にもLL教室中に鳴り渡る催眠テープ
    (注22)の前に、さしものアンディも遂に紀田助教授
    の軍門に下り、寝顔の写真を撮られてしまった(注23)。
     
     ここからやっと本筋。午後からヒガ大の学生課で、広
    瀬重子の連絡先を調べ、そちらに赴く。
     一足遅かった。広瀬重子は既に帰らぬ人となっていた
    (注24)。
     死因は拒食症による栄養失調という事だが、何の事は
    ない、アンブロシアン・ダイエットの犠牲者である。仏
    壇の写真が、丸々としていた頃のものである事が、かえ
    って涙を誘う。
     重子の母親に、ダイエットに使っていた物(シーツと
    かテープとか)が残ってないかと聞いたのだが、
    「あんなものは処分してしまいました」
    と言われる(注25)。気持も解らなくはないが、貴重
    な手掛りが失われたことになる。無念。
     念の為、スロタンタ社の連絡先にも赴いてみるが、こ
    こは単なる貸し電話の事務所。スロタンタ社の人間がど
    ういう奴だったか聞いてみたが、中肉中背の中年男性と
    いうだけで、全く要領を得ない。単なる無駄足だ。
     
     八方ふさがり。
     研究室に戻って作戦を練る。
    「こうなりゃ力技だ。俺とアンディのコンピュータ技能
    で、ここ3ケ月の拒食症による死亡者をリストアップだ!
    (注26)」
     門限が来てしまった亜梨沙を帰して、知場とアンディ
    は徹夜でコンピュータと取り組む。石見はその様子を見
    ながら、いつしか横でうとうとと寝てしまう。
     
     
     
     
     
     


      第3章 餓鬼王
     
    「Hey,石見!Wake up!」(注27)
     夜も白々と明ける頃、アンディに叩き起こされた石見。
    眠い目をこすりながらモニターを見る。が、その目つき
    が見る見るシャッキリしてくる。
    「おい、こいつは…!」
     知場が嬉しそうに頷く。
    「ドンピシャリ!拒食症による死亡者が百人越してたの
    には参ったが、ふと思いついて、中にヒガ大関係者がい
    ないかと思ったら大当たりさ」(注28)
     神崎広美。ヒガ大在学中に死亡。日付は広瀬重子の死
    亡した日よりも前である。
     全員で(注29)飛び出そうとしたところへ、電話が
    飛び込む。知場が電話を取った。
    「はい、紀田研究室です」
     慌てふためいた声が聞こえる。
    「あ、私、馬場きみこの父親なんですが、急にきみこの
    容態が悪化しまして、ど、どうしましょう?」

    「とにかく、栄養剤の点滴を片っ端からガンガン打ち込
    んで下さい!」
    「は、はい、解りました。お医者様もそう言っておられ
    ます。とにかく、なんとかきみこを助けてやって下さい。
    お願いします!」
    「解ってます!大分手掛りも集まってます。気をしっか
    り持って下さい」
     ヤバい状況になってきた。ボヤボヤしていると、馬場
    きみこの生命が危ない。徹夜明けの二人に、石見が眠気
    の覚めるツボを突いてやってから(注30)、急いで神
    崎広美の家を訪ねる。
     正解!九芒星のシーツが残っていた。馬場きみこの九
    芒星と合わせて、2つの線が見つかったことになる。そ
    してその交点は…
    「川崎のあたりだな」
     
     午後一番で川崎へ向かう。石見は一足先にバイクで現
    地へ。他の三人は電車で向かった。徹夜明けの二人は、
    電車に乗る直前、眠りのツボを突いてもらって、電車の
    中で爆睡。
    「あ、しまった。眠りのツボを突いた奴、起こすの難儀
    だぞ」
     石見は後になって気づいた(注31)が後の祭り。
     しかし、駅の前で待っていると、3人は無事に電車か
    ら降りてきた。
    「亜梨沙ちゃん、どうやって起こしたの?」
    「これでぇーす!」
     亜梨沙の手に握られている物は…!
    「ち、痴漢防止ブザー…!まさか亜梨沙ちゃん、電車の
    中でそれを…?」
    「そうでぇーす!」(注32)
     石見は頭を抱えた。
     公衆電話の電話帳で健康食品だのエアロビクスだの、
    ダイエットに関係のありそうなところをしらみつぶしに
    調べまくって、浮かび上がった怪しげな会社の名前が
    『タンタロス・ヘルス株式会社』(注33)。3人をタ
    クシーに乗せ、石見はバイクで随行して、一同、タンタ
    ロス社に向かう。
     
     異臭の漂う工場群の間を抜けた先に、なぜかポッカリ
    と穴のように空いた、だだっ広い造成地。その真ん中に、
    タンタロス社はあった。敷地の中を覗いてみると、手前
    に事務所、奥に工場らしき建物が見える。
    「…よし、じゃあ作戦を整理するぞ。まず、俺と亜梨沙
    は客のふりをして中に入って様子を探る。万一の場合は、
    亜梨沙の痴漢防止ブザーを鳴らす。アンディと知場は表
    に隠れて、中からの合図を待つ。いいな?」(注34)
     石見と亜梨沙は兄妹のふりをして電話を掛けた。やた
    ら愛想のいい男が応対に出る。
    「そちらのダイエット関係の商品についてお伺いしたい
    んで、妹と二人でお邪魔してもよろしいですか?」
    『はい、それはもう、ぜひ起こし下さいませ。こちらの
    本社にはショールームのスペースもございますので、ゆ
    っくりと商品を御覧いただけますし、充分な御質問をな
    さった上で、御契約のご相談をなさっていただけます』
     早速バイクでのり込む二人。(注35)
     出迎えた愛想のよい男は、タンタロス社社長、段田修
    司と名乗った。最初は当たり障りのないダイエット商品
    の話から入った石見たちだったが、徐々に核心を突く質
    問を出していく。
    「ところで、こちらのダイエット商品は、本当に安全な
    んでしょうね?」
    「と、おっしゃいますと?」
    「いや、ぼくの大学の友人で、欠陥商品でひどい目に遭
    った人がいるんですよ。やせ過ぎて止まらなくなっちゃ
    って」(注36)
    「(憤慨したように)ほう、それは許せませんな。一体
    どこの会社でしょうな」
    「確か、スロ何とか…御同業ですから、御存知ありませ
    んか?」
     途端に段田の表情がこわばった。
    「ほ、ほう、そうですか。いや、残念ながら存じません
    な」
     必死にごまかしているようだが、ボロが出はじめてる。
    もう一押ししてみるか。
    「そうですか、それは残念だ。確か商品名は、アンブ…」
     瞬間、段田が身をひるがえして裏口へ逃げ出した。
    (注37)
    「亜梨沙ちゃん、ブザーを!俺は奴を追う!」
     慎重派の石見には珍しく、とっさに段田を追いかけて
    いく。残された亜梨沙は、思いもかけなかった石見の過
    激な行動に、一瞬パニックした(注38)が、すぐにブ
    ザーを鳴らした。
     表の二人が、ブザーを聞きつけて駆け込んでくる(注
    39)。あたりを素早く見回し、石見がいないのを見て
    取った知場が叫ぶ。
    「石見は!?」
     亜梨沙が裏口を指差すと、知場もそっちへダッシュ。
     アンディは慎重だった。事務所に取り残されてきょと
    んとしている若い事務員たちに、話を聞く。(注40)
     タンタロス社は、さっき逃げ出した社長の段田と、副
    社長のロバート・ロスの管理下にある。元はまっとうな
    健康食品会社だったのだが、あの二人が管理するように
    なってから、なにかヤバい事に手を染めているらしいと
    いう事は薄々感じていた。しかし、給料がよいので見て
    みぬふりをしていた…(注41)
     一方、段田を追った石見と知場は、工場の入口が開い
    ているのを見つける。早速飛び込もうとする知場。
    「待て!」
     止めたがもう遅い。(注42)
     ヒュンヒュンヒュン!
     中から何かが飛んできた。
     首を突き出していた石見、飛び込んだ知場、二人とも
    辛うじて飛んできた何かをかわした。
     べちゃ。
     地面に落ちたそれは…
    「…パイ?」(注43)
     この会社で作っている、特製の『太らないパイ』(注
    44)が飛んできたのだ。
     工場の奥には5人の工員(注45)が見える。段田が
    石見たちを食い止めるようにと工員たちに命令して、さ
    らに工場の裏口から逃げようとしている。
    「突撃いいいい…ぶっ!」
     なーんも考えず突っ込んだ知場(注46)は、最初の
    数発をかわしたものの、さすがにかわしきれなくなって、
    一発をモロに顔面に食らってしまい、ぶっ倒れる。石見
    はというと、こちらはさすがに慎重だった。扉に隠れて
    あたりを見回し、工場の左側から回り込めそうだと判断。
    正面突破を避けて裏側へと向かう。(注47)
     苦労しながらも何とか工場の中を突破した知場だった
    が、工場の裏口で後頭部にパイの直撃を食らってまたも
    転倒。顔といわず身体といわずパイまみれの色男。(注
    48)
    「…馬鹿…!」
     工場の裏手に、さらにもう一つの建物を発見して入ろ
    うとしていた石見だったが、知場のあまりの姿に、行動
    を起こす気力が失せてしまう(注49)。それでも再び
    立ち上がって走ってきた知場を、扉の陰に迎え入れ、素
    早く扉を閉める。
     バシバシバシバシバシ!
     五人の工員が一斉に投げたパイが、扉に空しく激突す
    る。
    「…確か連中、パイを両手に持ってたよな」
    「…やるか」
     同時に同じ事を考えた知場と石見。一瞬、扉を開いて、
    「ベロベロベロー」
     サッと扉を閉める。
     成功!(注50)
     バシバシバシバシバシ!
     残り5つのパイも空しく潰えた。知場と石見は安心し
    て奥へと歩を進める。
     一方、事務員から重役室の棟が工場の裏にあると聞い
    てきた亜梨沙とアンディ。工場の表に飛び出してつぶれ
    ているパイを見て、身の危険を感じ(注51)、石見と
    同じく裏へ回る。さらに、工場の裏手にも激闘の跡を見
    て取り、慎重を期してさらに裏へと回る。
     奥の重役室に入った知場と石見は、二人の男がいるの
    を見る。一人は段田らしい。もう一人の方は外人に見え
    る。恐らくロスだろう。が…部屋の中が暗くてよく解ら
    ないが、何だか様子がおかしい…?
    「先手必勝!」
     知場はいきなり殴りかかる。
     石見は、外の光を取り入れるために窓へ駆けより、カ
    ーテンを開けた。すると、窓の外には回り込んできてい
    た亜梨沙とアンディが(注52)。とっさに窓の鍵を開
    ける石見。
     だが、これがまずかった。タンタロスの社長と副社長
    は、餓鬼へと変身し、襲いかかってきたのである。
     石見の肩口に、鋭い痛みが走る。餓鬼に噛みつかれた
    のだ。
     慌てた亜梨沙とアンディが、それぞれ得意のヨーヨー
    と魔球で攻撃に出るが、これがまたまた大はずれという
    か大当たりというか、二つとも石見を直撃。泣きっ面に
    ハチどころの騒ぎではない(注53)。
    「こんの…大バカ者ーっ!」
     怒りに我を忘れた石見は、肩に食らいついた餓鬼の首
    を両手で引っ掴むと、そのまま首投げで餓鬼を窓の外に
    放り出す。亜梨沙は何とかかわした(注54)が、アン
    ディは落下してくる餓鬼と正面衝突(注55)。
     だが、素早く立ち直ったアンディは、亜梨沙と一緒に
    再びヨーヨーと魔球のツイン攻撃。さすがに今度ははず
    さず、ダブルで餓鬼にヒット!餓鬼はなかなかしぶとく、
    まだ死なない。が、身動きはできない様子。そこへさら
    にツイン攻撃を食らっては、さしもの餓鬼も遂に倒れ、
    シュウシュウと音を立てて消え去る。
     一方、バーサークして窓から飛び蹴りに出ようかとし
    た石見だったが、アンディに一矢報いて(?)満足した
    のか、一人素手で奮戦する知場の援護に向かう。が、そ
    の必要はなかった。
    「遅かったな」
     平然という知場の足許に倒れ、消滅していく餓鬼。知
    場はこいつを一人で殴り殺してしまったらしい(注56)。
     勝った、と思う間もなく、重役室の壁に掛かっていた
    抽象画と思われた額の中から黒い霧が湧き出し、4人は
    夢空間へ。
     
     
     
     入り込んだ夢空間は、以前に馬場きみこから聞いたも
    のとそっくりだ。どろどろとした物が渦を巻き、女性の
    悲鳴が聞こえてくる。悲鳴の方へ行ってみると、そこに
    は何人かの女性の姿と、『スター・ウォーズ』に出てき
    たジャバ・ザ・ハットみたいなモンスターがいる。
     べちゃり。知場がモンスターに絡みつかれた。
    「このっ!」
     知場が殴りつける(注57)。
     プチッ。モンスターは弾けて、黄色いどろどろの脂肪
    の流れになってしまった。
    「神崎さーん!」
    「広瀬サーン!」
     亜梨沙とアンディが、死んだ女性の名を呼ぶ。果たし
    て、一人の女性が振り返った。
     広瀬重子である。仏壇の写真とそっくり、いや、あれ
    よりもっと太った様子ではあるが、確かに広瀬重子だ。
    「うらやましい…」
     重子が呟く。その視線の先を追うと、さっき知場につ
    ぶされたジャバ・ザ・ハットのあたりである。
     知場と石見が同時にひらめいた(注58)。
    「知場、ジェノサイドだ」
    「やるか」
     石見は精神集中してお馴染みタケミカヅチを作り、知
    場は素手の拳で、当たるを幸い、ジャバ・ザ・ハットを
    殺戮し始める。
     危ない二人を尻目に、アンディと亜梨沙は重子に話を
    聞く(注59)。
    「私たちは、この地獄に囚われているのです。生きてい
    る時はどんどん痩せさせられ、死んでからは…いいえ、
    死に切れないまま太らされ続けて、あんな姿にされた挙
    げ句の果て、最後はあいつの餌にされてしまうのです…」
     見ると、時折オドロオドロの空から渦が降りてきて、
    それが女性たちやジャバ・ザ・ハットの口に吸い込まれ
    ていく。その度に、身体が一回り膨れ上がり、臨界に達
    したジャバ・ザ・ハットは自然に弾けて、どろどろと流
    れて行く。
    「じゃ、まさか、あれは…?」
     恐怖の面持ちで、亜梨沙がジャバ・ザ・ハットを指差
    すと、重子は頷く(注60)。
    「あれは、女性たちの変わり果てた姿なのです…。お願
    い! これ以上私が醜くなる前に、私を殺して! 殺し
    て下さい!(注61)」
     一瞬、4人の誰もがためらう(注62)。が、石見が
    一歩進み出た。
    「ぼくがやろう」
     つ、と最上段に剣を構える石見。広瀬重子は目を閉じ
    る。
    「さよなら」
     呟くように言って、石見は剣を振り下ろす(注63)。
     剣に込められた霊気が、餓鬼の餌食とされる事なく、
    広瀬重子の魂を浄化した。石見の瞳の裏に、広瀬重子の
    微笑みが、一瞬映ったような気がした(注64)。
    「こんなことをしていてもきりがないぜ(注65)。親
    玉を叩くっきゃないな」
     まだジャバ・ザ・ハットを…いや、哀れな女性たちの
    成れの果てを浄化しまくっていた(注66)知場が言う。
    「よし、のり込もう!」
     脂肪の流れが行き着く先は、赤黒い液体に満ち満ちた、
    池であった。いや、それは池ではなく、子宮かもしれな
    い。そして中に満ちているのは、羊水…
    「…まさか!」
     悪い予感が的中した。
     池の中で、何か巨大で、とてつもなく邪悪なものが成
    長しているのだ。奴が目覚める前に倒さなくては…しか
    し、どうやって…?
     知場がダイナマイトを作って投げ込んだ。
     ドカーン…?とこない。
     ぐぅぇーぷ。
     げっぷのような音(注67)。
    「あ…の野郎、ダイナマイトを食っちまいやがった…あ
    ちちっ!」
     吹き上げてきた羊水(熔水)をかぶって、知場が悲鳴
    をあげた。すかさず、亜梨沙がステンレスの雨傘を作っ
    て、知場とあいあい傘をする。
    「…ありがと」(注68)
    「どーいたしまして」
     ダメだ。並みの武器じゃ倒せそうにない。どうすれば
    いい?このままじゃ、奴はどんどん脂肪太りして、遂に
    は…(注69)
    「…脂肪太り…?」
     石見の脳細胞が目まぐるしく回転した。
     脂肪…分解…石鹸。
    「洗剤だ!大量に洗剤を作って、あの池の中にぶちこむ
    んだ!」(注70)
     全員で手をつなぎ、精神力を一つに集めて台所用洗剤
    を作る。やがて出現したのは、ドラム缶一本分はあろう
    かというほどの、巨大な…
    「おい、誰だ?商品名の入ったラベルまでイメージした
    のは!」(注71)
     …巨大な…巨大な『マ×レモン』である。
    「ママ×モン砲、スタンバイ!」
    「照準、セット!」
    「ママレ×ン砲、発射!」(注72)
     ノリはほとんど特撮戦隊もの。3人がかついだママレ
    モ×のビンの口を、石見がタケミカヅチで切る!
     切り口からタパタパと流れ出した緑の液体(注73)
    は、赤黒い羊水の中に流れ込む。
     断末魔のもがきか、巨大な何かは再び熔水を吹き上げ
    た。かわし切れずに、またも知場がダメージを食う(注
    74)。
     しかし、そこまでだった。赤黒い池全体を、緑の液体
    が覆いつくし、やがて池は美しい緑色に染まった。そし
    て、それも次第に小さくなり、やがて緑の点になり…消
    えた。
     気がつくと4人は、タンタロス社の重役室のあたりに
    いた。餓鬼の死体はもちろん、壁にあった抽象画のよう
    な地獄の門も、今は消え去っている。
     パイ投げの工員が残っていないかどうかに気をつけな
    がら(注75)、4人はタンタロス社を後にした。事務
    所の方は、何やら大騒ぎになっているようだったが、も
    はや関わりたくもない。事務員たちにはちょっと気の毒
    な気もしたが、そのまま4人は研究室へと帰る事にした。
     途中、今だ色男のままの知場が、道行く人に15回も
    笑われた(注76)というのは、全くの余談である。
     


      エピローグ
     
     翌日の朝、馬場家から連絡があった。きみこは、驚い
    た事に昨晩のうちにすっかり元気を取り戻したという。
    「…それで、皆さんにお礼をしたいと申しまして…もう
    そろそろそちらに着く頃ではないかと思います」
     ザラリ、としたいやあな予感を、石見は感じた。(注
    77)
     知場も腰を浮かしかけている。
     遅かった。
     予感は的中した。
     研究室に入ってきた馬場きみこが抱えてきた、大きな
    箱の中に入っていたものは…!
    「わぁぁぁぁ、パイはこわいよぉぉぉぉ!」
     知場は悲鳴をあげて逃げ出した。(注78)
     
     
     
    第3話に続く
  • はみ出しリプレイ漫談

    『ないとめあ・ばすたあず』

    第2回  たんたろす



    キャラクターズ・プレイヤー紹介
     
  • 河村 克彦(かわむら・かつひこ)
    「いやあ、マスターったら、オレにあつらえたみたいに
    オイシイ場面用意してくれるんだもん。ノリにノリまく
    ってやらしてもらいましたよ」
    (注)必殺技、「季節によって指紋が消える」を今回初
    めて披露し、プレイヤーたちを驚かしてくれた。
     
  • 的場 良平(まとば・りょうへい)
    「…というわけで(何が「というわけ」なんだ?)、男
    に戻ったのであった。」
    (注)突撃突貫な性格が災いしたためか、今回は白い弾
    丸を全身に浴びて、瀕死の重笑を負う。
     
  • 富永 明子(とみなが・あきこ)
    「えっと…あの…富永です。こ、今回もあんまり活躍で
    きなくって…すみません。でもあの…イラスト描いてき
    たんですけど、見ます?」
    (注)味だなー。
     
  • 小川 敏明(おがわ・としあき)
    「はっはっは、こいつは誰も知らんだろう。(C)学研のキ
    ャラクターである。」
    (注)マスターの考えを読む才能がある、マスター泣か
    せの男。人呼んで、「漂泊の吟遊編集者」。
     
    ゲーム・マスター
     
  • 武田 明宏(たけだ・あきひろ)
    「食べても太らないってのは人類の夢だそーで。そーか、
    夢か。なんだ、その目つきは。私は太ってないぞ!イラ
    ストレーターの陰謀だー!!」
    (注)その割にプレイ中のダイエットの説明、詳しかっ
    たですねぇ?
     


     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    (注1)
    富:別にうらやましくもないだろが。
    亜:そう!あたしは別に太ってないもんね。太ってるの
    はあたしじゃなくて…もがが。
    知:マスターだろ。
    富:そうそう!
    マ:悪かったな!どーせ俺は身長160cm体重85kgだよ!
     
    (注2)
    亜:猫と何とかコミュニケーションしようと思ったんだ
    けど、やっぱりただの猫だったわ…
    富:ちなみに亜梨沙は猫派、私は犬派だよん。
     
    (注3)
    小:トイレってアンディの弱点だよなー。
     
    (注4)
    マ:RXのつかないブラックは良かった…。車に乗るの
    はガマンしよう。3段変身も見逃してやる。しかし、銃
    を、銃を撃つんじゃないっ!
    石:マスター、あなたは甘い!四つ輪に乗って何のライ
    ダーぞ!
    河:そうだそうだ!
     
    (注5)
    亜:しょーがないわねー。女の子はありのままが一番!
    富:あんたはありのまますぎるんだがね。
     
    (注6)
    富:行動だけでなく言動も突撃なヤツ。
     
    (注7)
    亜:相変わらずソツがないとゆーか、丸め込むのがうま
    いわねー、石見さん。
    石:君や知場みたいなのと年中つきあってるとね、これ
    くらいは自然と身に着くんだよ。
     
    (注8)
    富:芸の多い人だなー。
    亜:うらあましー…。
    小:能力値をすぐ使いたがるトーシロプレイヤーだ。
    石:自虐的な人だなー。
    河:やらせとけよ、本人あれで結構楽しんでるんだから。
     
    (注9)
    亜:ここらへん、その話題についてつっこもーとする男
    性陣を、必死で止めてたよーな記憶があるなぁ、あたし。
    石:知場やアンディと一緒にしないでくれよ。俺は写真
    見ただけだぞ。
    知:それを言うなら俺だって、写真立ての写真をスリ取
    ろうとしたアンディを止めただけだぞ!
    三人:じとー…。
    ア:OH?ワタァシィ、ニホンゴゥ、ワカリマセーン!
    三人:ごまかすんじゃないっ!
     
    (注10)
    マ:指紋は?
    石・河:今、俺指紋ないんですよ、ホラ。
    (注:河村と石見は、1年に2回、春と秋に必ず手の皮
    がボロボロに剥け、その後しばらくの間は指紋が消滅し
    ているという特異体質なのである。ちなみに河村は、ス
    ピード違反で捕まった時に、お巡りさんに「何か薬を扱
    う仕事でもしてんの?」と言われてしまったそうだ。)
    全:こりはびっくり!
    富:そりゃーズルいですよ、河村さん。ったく、人外な
    人ですねぇ。
    河:それは誉め言葉だね、経験値をあげやう。
    マ:マスターに無断でそーゆーことをするんじゃないと
    言っとるんだ!
     
    (注11)
    富:これって、亜梨沙とアンディが言い出したんだよね、
    たしか。
    亜:ふっふっふ。
     
    (注12)
    小:かなりの確率で成功するはずなのにー。運が低いー!
     
    (注13)
    知・的:俺はノリPなんて聞かんぞ。
    石:シーッ!話を合わせりゃいいんだよ!
     
    (注14)
    富:こいつら天下御免のひきょーもんだな。
    ア:ワタシ、ふぇみにすとデスカラ。
    全:う〜む…
     
    (注15)
    亜:さーすが紀田先生!
    富:さっきからしらじらしーぞこら。
     
    (注16)
    マ:後にこの部分が伏線になろうとは、マスター自身も
    知らなかった。そこで格言。「敵をあざむくにはまず自
    分から」
     
    (注17)
    亜・富:ちっ!
     
    (注18)
    富:いやー、こりゃほとんど悪役のノリだね。
    亜:紀田先生、すてきー!
     


    (注19)
    マ:以下は、本筋から外れたアドリブである。いやー、
    ラテン語やるなんて、「雑学科」にしといてよかった。
    みんなのるのる。
     
    (注20)
    亜:「いぢめる」の間違いじゃないの?
     
    (注21)
    富:こんなんありかぁ〜!
    亜:もっと役に立つとこで技を使ってよ、アンディ。
     
    (注22)
    マ:考えてみるとすごいなあ。
     
    (注23)
    ア:Oh,shit!コンナ事ナラ、だみーノ耳も用意
    スルデシタネ。
    小:この写真、結局(第5話の)最後まで取り戻せない
    んだよなー。
    河:しかし助教授ってば、実はその手の趣味があったの
    か?
     
    (注24)
    亜:がーん…死人が出てたなんて、けっこうショックだ
    よー。
    マ:光はね、闇を際立たせる為だけに存在するんだよ。
    富:亜梨沙にそんなむずかしげな事言ってどーするんで
    すか。
     
    (注25)
    亜:おかげで、ここらでけっこー時間食ったんだよね。
    マ:実はPCたちに、いろいろなスキルを活用させたか
    っただけだったりする。時間食って、ごめんね。またや
    るからね。
     
    (注26)
    小:自分で作っといて言うのもなんだけど、ムチャクチ
    ャなキャラクターだ…と思う。
    河:バカ言え!ムチャクチャでないキャラクターが、こ
    の中に一人でもいるか?
    キャラクター全員:それは誉め言葉だね、経験値をあげ
    やう。
    マ:やめっちゅーに!
    的:しかし、いい加減このパターンにも飽きてきたな。
     


     
    (注27)
    小:おお、英語ぢゃっ。
     
    (注28)
    知:経験値よこせ!!
     
    《紀田順一の無用の雑学知識》
    第2回 タンタロスとは
    その1
     
     ゼウスの子の一人で、アトレウス家の祖。ゼウスの子
    ということで神々の仲間入りをしていたが、それをよい
    ことに神々だけの食物『アンブロシア』や神々だけの飲
    物『ネクタル』を盗み出し、人間に売った上、オリュン
    ポスの宴席で聞いた神々の秘密を、ある事ない事吹きま
    くった。             (その2に続く)
     
    (注29)
    富:全員?亜梨沙いつ来たの?
    紀:そりゃあ、通学してきた…わけないな。
    亜:ちゃんと情報が入るのをみはからって来たんですよ。
    ぴったりだったでしょ。
     
    (注30)
    紀:こういうのはやっぱり横暴だと思うぞ。
    マ:いいぞ、もっとやれ!
     
     
    【キャラクター・データ・ファイル】
    No.10  知場 法久
    性別:♂   年齢:22才
    筋 力:13  体 格: 7
    知 識:10  魅 力: 6
    敏捷性: 5   運 : 9
    器用さ:10  精神力:17
    体力ポイント:16 精神エネルギー:51
    技能(30)
    コンピュータ:5 格闘:5 医学:5 オートバイ:5
    観察:3 植物学:2 外国語:2 話術:3
    その他:歌唱、威圧、一気飲み
     
     
    (注31)
    富:やーい、ゲーム中は気づかなかったくせにー。
    石:それは言わない約束でしょ。
     
     
    (注32)
    富:ま、亜梨沙ならそのくらいはやるわな。
    亜:えー!別に悪いことじゃないもーん。
     
    (注33)
    富:タンタロス、スロタンタ…一発でわかるよーな偽名、
    つかうなよな…。
     
    《紀田順一の無用の雑学知識》
    第2回 タンタロスとは
    その2
     
     そして遂に、彼は神々を夕食に招き、自分の息子ペロ
    プスを殺してその肉をあぶり、羊の肉と称して神々に供
    するという、恐るべき邪悪な行為に出た。しかし、正義
    の神ゼウスはその肉が人間のものであることを見抜き、
    孫であるペロプスを生き返らせ、タンタロスを撃ち殺し
    た。               (その3に続く)
     
    (注34)
    小:アンディって、けっこう消極的なキャラなんだよな
    ー。口ばっかり。
     
    (注35)
    亜:わーい二人のりだーい。
    富:あぶねーなーまったくー。
     
    (注36)
    亜:こうストレートに攻めるとは思わなくって…あたし
    あせりましたよ、石見さん。
    石:不器用ですから。
     
     
    《紀田順一の無用の雑学知識》
    第2回 タンタロスとは
    その3
     
     しかしゼウスは、かくも恐ろしいこの罪人をただ殺し
    ただけでは満足せず、タンタロスが永劫に苦しむことを
    望んだ。ゼウスの与えた罰は次のようなものだった。ま
    ずタンタロスは食物と飲物を与えられず、ひもじさで気
    も狂わんばかりになり、渇きで喉がカラカラになるまで
    放置された。           (その4に続く)
     
     
    (注37)
    富:予想外だなーバカなヤツ。口先でごまかしてりゃー
    いーのに。
    段:いやー工場の奴らを呼んで、痛めつければいいと思
    ったんですよ、えへへ。
     
    (注38)
    亜:パニックするなんてぇ、不覚だわ。
     
    (注39)
    マ:パーティ2分すると、非常にやりにくいんだよな。
    亜:じゃあ、どんどん分裂しよう。
     
    (注40)
    小:どーせ口だけ…
    亜:2人の魅力と話術でたぶらかしたんだよね、アンデ
    ィ。
    ア:Oh,yes!
    石:(うさんくさそうに)男をかぁ?
    ア:Oh?イイエ、女ノ子モ、イマシタネ。
    マ:あれ、そうだっけ?
     
    (注41)
    亜:しかしこの人、ここまでしゃべっちゃっていいのか
    なー?
    富:社員の教育がなっとらんな、ここは。
    紀:外資系の企業なんてそんなもんだ。
     
    (注42)
    亜:ホントに止めましたかぁー?
    石:止めたってば!でも止めて止まるよーなヤツじゃな
    いんだもの。
    知:解ってるんなら止めるなよ。
     
    (注43)
    知:食い物をソマツにしよって。
     
    (注44)
    恵:何か商品名ないかな?
     
    (注45)
    富:5人だもんなー。
    亜:アンディの方にくっついてて正解だったね。
     
    (注46)
    亜:そこまで言いますかー?まーその通りですけどぉ。
    知・的:考えた末なんだ、分ってくれ!
    石:俺は感謝してるよ、お前のおかげで無事だったから。
    河:そりゃお前、フォローになってないよ。
    亜:石見さんてば、相変わらず立ち回りがうまい…(注
    47)。
     
    (注48)
    マ:パイもしたたるいい男。
    富:この光景には、創作意欲を刺激されました、はい。
    亜:知場さんかーっこいー!
    知:誰のおかげで助かったと思ってるんだ、え!?
     
    (注49)
    亜:精神エネルギーが5つくらい減ってそーですねぇ。
     
    (注50)
    的:なんというカルいノリだ。
    富・亜:残念!
    石:あんた方、どっちの味方なんすか!?
    マ:いや、これはうまいと言っていーよ。
     
    (注51)
    小:ズルイよなー…。ズルイ上に口先だけ、あれ?この
    性格はどこかで…あ、なんだオレか。
    ア:Oh,no!ワタシ、ココマデヒドクナイデスネ!
    亜:けど、誰だってびびりますよぉ、あれは。あたしら
    女の子だし。
    石:あたしら…?
     
    (注52)
    マ:やー、やっと合流できた。もー2度とこんな事させ
    んぞ!
     
     
    【キャラクター・データ・ファイル】
    No.11  アンディ・ノーマン
    性別:♂(実は♀) 年齢:19才
    筋 力:12  体 格:11
    知 識:11  魅 力:16
    敏捷性: 8   運 : 6
    器用さ:18  精神力:18
    体力ポイント:18 精神エネルギー:54
    技能(33)
    コンピュータ:5 心理学:5 情報収集:5
    変装:5 科学:5 神秘学:5 法律:5
    その他:スリ、魔球、逃げ足、目星、手品
     
     
    (注53)
    亜:アンディ、ナイスコンビネーション!
    富:よーし、もう1回だ!
    石:あんたらなーっ!
    ア:Sorry,石見。Unluckyネ。
     
    (注54)
    富:ほんと、紀田助教授テープ事件の時といい、こいつ
    は逃げがうまいとゆーかヒレツとゆーか…
    亜:日頃の行いね。
     
    (注55)
    小:女の子をイジメルかぁー?
    石:あ?誰が女の子だって?
    ア:What!?…小川、何ネボケタ事言ウネ。Hahaha…
     
    (注56)
    富:知場くん、やるじゃなーい。
    亜:素手とはめずらしーですね。
    知:夢ん中じゃないから1升ビンが作れんのだ。
     
     
    《紀田順一の無用の雑学知識》
    第2回 タンタロスとは
    その4
     
     それからタンタロスはきれいな水の流れる小川の中に
    立たされ、その頭上にはりんごの木の枝がおいしそうな
    実をたわわに実らせていて、枝は彼に誘いかけるように
    たわんでいた。いた。だがタンタロスが手を伸ばして実
    を取ろうとすると、枝は静かに揺れて遠ざかり、彼は決
    してりんごを食べることが出来なかった。また、水を飲
    もうとしてかがみ込むと、水は彼の唇からさっと逃げ、
    一滴の水を飲むことも出来なかった。        
     
     
    (注57)
    富:ま、誰だって殴りたくなるわな。
    亜:気の毒だけどね…。
     
    (注58)
    マ:ひらめくなよな。バラして驚かす楽しみがないじゃ
    ないか。
    亜:イヤな仕事おしつけて、ごめんね。
    石:俺はともかく、知場はどーだかな…。
    知:言い出したのはてめーのほーだろが!
     
    (注59)
    小:まただよ。ホント口ばっかりやな。意外にこのゲー
    ムの解説者役のよーな気もする…
     
    (注60)
    亜:うげげ。
     
    (注61)
    マ:マスターの趣味当てクイズ。さて、この「殺して下
    さい!」というセリフは、一体どこからのパクリでしょ
    う?
    富:当たったら経験値いくら?
    マ:1/2Dね。
     
    (注62)
    亜:仕方ないじゃない。一発で殺してあげる自信ないん
    だもん…。
    知:殴り殺すってのもあんまりだしね。
    ア:魔球モデスネ。
     
    (注63)
    亜:石見さん、シブーイ!
     
    (注64)
    的:気のせい。
    マ:でも、アイテムとしてちゃんとあげたよ。
    石:はい、確かにいただきました。
    河:ちなみに「広瀬重子の感謝の微笑み」は装備リスト
    にちゃんと書いてある。
     
    (注65)
    知:何か大量殺戮向きの武器はないか?
    的:火炎放射器ってのがありますね。
    マ:…もしそれをジャバ・ザ・ハットに使ったら…
    河:感謝の微笑みのてんぷら。
    (一同、頭を抱えて笑う)
     
    (注66)
    富:浄化しまくる…何てぇ言い方だい、まったく。
     
    (注67)
    紀:お前ら、化学雑学の時間に言っただろう。ニトログ
    リセリンは甘いんだ。敵にエネルギーをやってどう
    する!
    知:ケチらんとグレネードを放り込むんだった…。
     
    (注68)
    富:テレてるテレてる。
    亜:これで相手が紀田先生だったらサイコーなんだけど
    な。
    石:ステンレスの傘で?
     
    (注69)
    紀:だから素直にノンカロリー食品とか辛い食べ物とか
    出せばいいものを、こいつらは…
    マ:もっとやれ!
     
    (注70)
    富:石見くんも大活躍じゃない。
    知:次回に御期待下さい。
    亜:まあ、あたしのプレイヤーは頭回んないしね。
    富:…いー度胸だ。
     
    (注71)
    富:マスターじゃない?
     
    (注72)
    富:んなはずかしーコト、しとらんぞ。
    亜:もーちょっとマジメだったわよ。
     
    (注73)
    的:ちょっと待った!×マレモンって、黄色じゃなかっ
    たっけ?
    知:…おい、本当に中身はマ×レモンか?
    石:チャー×ーグリーンだったりして。
    マ:しかし、赤と緑というのは良いね。
     
    (注74)
    亜:ほーんと、今回は災難続きですねぇ。
    富:痛い目ヒドい目に遭ってないのって、亜梨沙くらい
    じゃない?
     
    (注75)
    亜:いやーほんと、まだいたらどーしよーと思った。
     
    (注76)
    的:サイコロ3個分!
     
     


    (注77)
    亜:あたしは別に…。
     
     
    (注78)
    亜:けっこー情けないですねぇ、そんな弱みを紀田先生
    の前でさらしてしまうなんて。
    知:次回までに克服したのだった。
    ア:シャ、写真ハ…。
     
    マ:マスターの趣味当てクイズの答えです。C.L.ム
    ーア「大宇宙の魔女」ハヤカワSF文庫より「ミンガの
    処女」から。マスターは中学時代、この本を倫社の先生
    に没収されたことがある。
     
    マ:さぁーて、次のシナリオのネタ、どーしよう?
    小:え?これってキャンペーンじゃないんですか?
    マ:?…(膝をポンと叩き、ニヤリと笑って)フッフッ
    フ、そうだよ。

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